原作終了後のツナ君をイメージしてます。登場するのは3人のみ。
※Lobiにも投稿してます。
学校が終わり、妙に落ち着かない足取りでツナは帰っていた。それもそのはず、今日はツナの誕生日なのだ。
この歳になって、誕生日に浮かれるのもどうかと思うが、数日前からツナの友達がソワソワしていたのだ。気にならないはずがない。
ましてツナには数年前に自身の家庭教師の誕生日に催促してしまった形で祝ってもらった苦い経験があった。今年はその家庭教師の祝いがなかったため、もしかして今度は本当に……、でもやっぱり違うのかもしれないという期待半分不安半分と気持ちで落ち着かないのだった。
そーっと扉を開け、玄関を確認する。
「(いつもと一緒だ……)」
ガクッと肩を落とす。ツナはやっぱり祝ってもらいと思っていたのだ。
「あれ? ツナ君?」
扉から顔を覗かせたままのツナだったが、勢いよく顔をあげる。大好きな女の子の声だったのだ。聞き間違うはずかない。
「おかえりなさい」
「きょ、京子ちゃん……!」
パタパタと小走りで駆け寄ってくる京子はとても可愛らしく、ツナは真っ赤になった。
「早かったね」
「え? そう……かな?」
失敗した。よく見れば、京子はエプロン姿だった。ツナが早く帰ってきてしまったため、準備に間に合わなかったのかもしれない。
「(こんなことになるなら、寄り道すればよかったーーー!)」
頭を抱え始めたツナに疑問を浮かべながら京子は声をかける。
「あのね、ツナ君」
「ど、どうしたの?」
「誕生日おめでとう!」
ツナは死んでもいいと思えた。今、死ぬ気弾を撃たれても後悔できないと確信するぐらい幸せだ。
幸せ真っ只中のツナの背中ポンっと何かが当たる。そしてぐいぐいと背中を押される。
「えっ? ええええーー!?」
いったい何がと確認すると、犯人は京子だった。幸せすぎて放心状態だったらしく、いつの間にか京子が背後にまわっていたことに気付かなかった。
「きょ、京子ちゃん!?」
パニックになりながらも幸せを噛み締めるツナ。楽しそうに京子がツナの背中を押すなんて滅多に経験できることではない。最悪、これが人生で最後かもしれない。
幸せモードのツナが京子に抵抗するわけもなく、あっさりと目的地である居間に着き、促されるまま席に座る。
そして、ツナは目を見開いた。
『ツナ君、誕生日おめでとう』
ケーキの上に乗っているチョコレートが、これをツナの物と証明している。しかし、どうしても確認したかった。
「こ、これって……オレの……?」
「そうだよ。ツナ君にだよっ」
とびっきりの笑顔を見せられ、ツナは失神しかける。
ただホットケーキを重ねて作った簡単な物なのかもしれない。だが、どう考えても京子の手作りなのだ。嬉しすぎて気を失いそうになったのだ。
「た、食べていいのかな?」
「うん!」
ちょっと不安そうな顔をしてツナの顔を覗く京子はとても可愛らしく、時が止まってほしいと願ったのはヒミツだ。
「もしかして……お腹いっぱいだった?」
「まさか!! いただきます!!」
京子に見惚れていたなんて言えるわけもなく、ツナはケーキを食べ始める。
「美味しい! 美味しいよ! 京子ちゃん!」
「ほんと!? 良かったー」
本当に……あまりにも美味しく、ツナの手と口は止まることがない。京子がその速度に驚き、そして笑顔を見せたのも止まらなかった理由の1つだ。
「美味しかったー」
「ちょっと大きいかなって思ったけど、大丈夫だったね」
もっと大事に食べてれば……と一瞬頭をよぎったが、京子が安心したようなのでこれで良かったんだとツナは思えた。
そして、気付く。
今日は自身の誕生日。京子は手作りケーキを作ってくれた。そして、2人っきり。
「(もしかして……いい感じ……?)」
普段はチビ達がいるし、何かしら邪魔が入る。それが、ない。
「きょ、京子ちゃん!」
ツナに呼ばれ、京子は顔を向ける。
「あ、あのさ……」
死ぬ気にならないと伝える勇気がなかったはずのツナが、意を決し京子と目を合わせる。
「オレ、ずっと京子ちゃんのことが……」
「時間切れですぞ」
「……リボーン、さん……?」
急に現れたリボーンにツナは驚きすぎて、いつものように叫ぶことも出来ない。自身の家庭教師をいつもの呼び捨てでなく「さん」付けで呼んでる時点でその驚きっぷりがわかるだろう。
「なんだ? ツナ、忘れちまったのか」
「忘れたって……?」
「ボンゴレアン・バースデーパーティのルールだぞ」
聞き覚えがあった。確か、奇数才の誕生日をむかえる主役が参加者が用意したプレゼントや出し物に点数をつけるルールだったはずだ。
「思い出したようだな。今回はあのルールに時間制限を追加したんだぞ」
「え……じゃぁ……もしかして……」
「ツナ君、どうだった?」
わくわくした表情の京子を見て、ツナは100点と答える道しか残されていなかった。
「次は山本の番だな。参加人数が多すぎてツナが移動する方法をとってるんだ。さっさと行くぞ」
ガクリと項垂れていたツナだったが、聞き捨てならない言葉に反応する。
「参加人数が多いって……他に誰がいるの?」
「ファミリー以外だと京子とハルだけだな」
「それってつまり……」
ツナが察したことに、ニヤリと笑うリボーン。
「いやあああああ!!」
誕生日プレゼントといい、命を狙われたりボコボコにされる未来しか想像できないツナであった。