司書補の私の生きる意味   作:ボプ!!!!!!!!!

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最後の構成をどうにか文にできたので投稿します。


それはそれで、これはこれ

セリカさん救出の後日。柴関ラーメンにて。

 

『ほ、本当に美味しい…!!』

 

「…ぅ…あっつぃ…」

 

実は芝関ラーメンがすごく安いと知った(どこから知ったのかは分からないけど。)ルルがラーメンを食べたい、と言うので。

私はルルの味覚を私の体に同期させるためだけに、モコモコの服を着たままラーメンを食べている。モコモコの服が汗を吸い込んで、あまりにも苦行だ。

 

「先輩、暑くないの?そのモコモコ、脱いだら?」

 

「…ダメ?」

 

『まだ。全部食べる。ダメ。』

 

「…ぜんぶたべるまで、脱げないみたいです………。」

 

「どういう事???」

 

バイト中のセリカさんがそうやって言ってくる。…ルルのことをどうやって説明したら良いのか。それに悩んでいると、ガラガラガラッ、と店の扉が開き。

「…むぅ。」

 

「こ、こんにちわー…5人でーす…」

 

大層ご立腹なアヤネさんと一緒に、先生達が入ってきた。

 

…さて、アヤネさんが怒っている理由についてだが。ちょっと前に遡ることになる訳で。

 

アビドスで行われているらしい定例会議で、借金の返済に向けて議論をする…はずだったんだけど。

 

返済に向けた対策が、やれ銀行強盗だとか、バスジャックとアイドルだとかで。

 

最終的に、進行のアヤネさんがちゃぶ台をひっくり返して滅茶苦茶になった…ので、その会議で最初に提案して、そのまま門前払いされたセリカさん(その後にバイトがあった)とひっそり逃げてきたわけだった。

 

なので。

 

「ヴァンちゃーん?なんで逃げたのかなー?」

 

「私にも教えてください〜★」

 

「…ん。しかも先に食べてる。ずるい」

 

「そうだよ!!!私も怒られたんだからね!!!」

 

怒られた主犯達に囲まれる。…ていうか、先生もアイドルに関してはノリノリだったし。

 

「先生は自業自得じゃないですか?まあ、真面目な意見を出さなかった方が悪いってことで。」

 

『…アンタ、早く食べなさいよ』

 

「あっ、はい。」

 

ずるずるずる、と麺を啜る。アヤネさんも隣にすっ、と座って怒りのままに注文し始めて。

 

「まぁ…ご飯食べたら気分も落ち着きますよ」

 

「…そうですね。そうだといいんですけど。」

 

 

 

 

 

「…今度ヴァンちゃんのアイドルのコスプレさせてやる」

 

「いいですね〜♣︎」

 

「…私たちを見捨てたから、仕方ない。」

 

「うんうん、賛成さんせ〜♪」

 

…なんだか、すごく嫌な予感がする。本当に、やめてほしい。

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『おなかいっぱい……。』

 

「食べ過ぎなんですけど…私も食べてるんですからね…。」

 

『まぁいいでしょ?美味しかったし。』

 

「…美味しかったですけど。」

 

動くのが自分じゃないからって何していい訳じゃないんですけど…と呟く。動くのも億劫だ。…ちなみにアヤネさんは替え玉を食べている。

 

「…すごい食べるねぇ。ヴァンちゃんもいっぱい食べたでしょ〜?」

 

「そうですね…眠くなるくらい食べました…」

 

「うんうん、そのままお昼寝したらきっと気持ちいいよ〜。ほら、ノノミちゃんのお膝貸してあげるから〜。」

 

「…ぅ、遠慮しときます……ていうかなんでホシノさんがノノミさんの膝を…」

 

「遠慮しなくて大丈夫ですよ〜♪」

 

「うわっちょっ、せんせったすけっ」

 

「絶景だね。うん。」

 

「何いってんですか…!???」

 

その言葉と同時にノノミさんとホシノさんが私にじゃれついてきた(?)ので、アヤネさんのところに逃げたらこれ以上怒らせたくなかったのか、襲撃は止まった。

 

 

 

…さて。そんなことをしているうちに、新しい客が来ていたみたいで。ふとそちらを見ると、外から一人、顔を出していた。

 

「あの…こ、ここでいちばん安いメニューって、いくらですか…?」

 

「1番安いのは…580円の柴関ラーメンです!この店の看板メニューなので、オススメですよ!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

それを聞いた紫髪の子は、何故か顔を引っ込めた。

 

「…?」

 

そして、直ぐにまた扉が開いて、先程の子と加えて、3人が店に入ってきた。

 

「えへへっ、やーっと見つかった、600円以下のメニュー!」

 

「ふふふっ。ほら、何事にも解決策はあるのよ。」

 

「はぁ…。」

 

その4人は、セリカさんに案内されてテーブル席に座ったみたいで。

 

「…角…。ってことは…ゲヘナでしたっけ?」

 

「そうだねぇ。…ここだと珍しいけど。」

 

「少し騒がしいですし…ちょっと様子、伺ってみましょうか〜♪」

 

ひょい、と3人でそちらを覗き込んでみる。私は膝枕されたままだけれど。

 

「ご、ごめんなさいっ…。貧乏でごめんなさい、お金が無くてすみません…!!」

 

「い、いや…別に謝らなくても…。」

 

「いいえ!お金が無いことは悪いことなんです!生きる価値なんてないんです!虫けらのような存在なんです!!」

 

 

 

「…えっと。何が起きてるんですかね…?」

 

「さぁ…おじさんにはさっぱり…」

 

自責思考の極みのような声が聞こえるけど。一体何が。

…それに、なんかセリカさんが凄い熱弁をしているし。

 

「…まあ、とにかく。すぐに持ってくるね!」

 

セリカさんがふんすっ、とやる気高めにそこから戻って来たので、何があったのか聞いてみたら、

 

「お金が無くてラーメン一杯しか頼めなかったみたい。」

 

との事だった。…確かに、セリカさんが熱弁をするはずで。

 

「…あの子達の分のお金、払ってあげようかな…?」

 

それを聞いて財布の中を漁り始める先生に、ボソリと呟く。

 

「一昨日、プラモデル買ってませんでした?」

 

「うぐ」

 

だから昨日払う時に苦しげだったんでしょうに、とうめき声を上げた先生に追い打ちをかけて。

 

「仕方ないですよ、お金って大事ですし…………って、なんですかアレ…大きすぎません????」

 

最後まで言い切れそうだったのに台無しだ。

 

セリカさんが運んできたのは、超特大サイズっていうか5人前位ありそうなラーメンの…いやあの大皿ラーメンのものじゃないよね…???

 

ともかく、それをしっかり運んできたのを見たゲヘナの人たち(推測ですけど)は、当然断っている様子だったけど結局食べていた。

 

それを見て、ここは都市じゃないことを実感させられる。

 

すごく優しい世界で、私は──────

 

(私じゃなくて、先輩たちが…レーチェルが来ていたらどれだけ良かったか)

 

そう心の中で呟いたのだった。

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さて、その後の話になるけれど。

 

あの後、ノノミさん達がゲヘナの人達に話しかけた結果、

 

「じゃ、頑張って!!!」

「お仕事、上手く行きますように!!」

 

…外まで一緒に出てくる位には仲良くなっていた。

 

「いい子達だったねぇ…やっぱり払ってあげれば良かったなぁ…」

 

「先生には金を払うことしか思考がないんですか…?…まぁ、確かに悪い人たちではなさそうでしたけど。」

 

…でも、少し妙にも感じる。

 

何で遠くのゲヘナ学園の生徒が、わざわざここまで来るのだろうか。

 

しかも、「仕事」というところも引っかかる。先生にも声をかけておくのもあるが、まずは。

 

(…ルル。…あれ?ルル?大丈夫ですか?)

 

ルルに何時でも準備出来るように声を掛けたが、返事がない。何度か声を掛けると、数秒の呻き声の後にこんな声が聞こえてきた。

 

『…ごめん、眠くて何も聞いてなかったんだけど…。』

 

…えっと。

 

(…まさか、食べ過ぎで眠くなってます?…ならいいや。杞憂かもしれませんし。もし何かあったら私だけで何とかしますか。)

 

…まあ、わざわざ起こす必要も無いか。そう思い、そのままそっとしておくことにした。

 

 

〜〜〜

「あ、そういえば。先輩は何で銃じゃなくてその武器を使ってるの?いくら先輩がそっちの方が手馴れてるとはいえ、銃の方がいいんじゃない?」

 

アビドスに戻ってからセリカさんにそう聞かれた。

 

「えっとね…セリカちゃん、私達は銃はあんまり──────」

 

「え?ああ…銃はあまり使わなかったんです。高いし、格上には全部弾かれるので。それだったら、こういう武器の方が良かったんです。」

 

「えっと…弾かれるって、何…?」

 

「あー…まあ…気にしないで。」

 

「…あれ?なんか…あれぇ?」

 

ちょっと話しすぎたので、不自然になりつつもそこで話を切っておいた。我ながら、適当だと思う。

 

…それにしても。

 

(…銃、かぁ。L社の時も、ほぼ使わなかったしなぁ。)

 

(…イゴリー先輩の魔弾ぐらいかな。一回撃たせてもらって、その先のエレベーターから出てきたラインハルト先輩のお腹貫いちゃって大変だったんだっけ。)

 

(…懐かしいな。…でも、使うなら終止符事務所の人みたいなハンドガンが良さそうだよね…迷うな…)

 

…銃のことはよく分からないし、また後で誰かに相談してみようと思った。

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その後しばらくして。

パソコンを見ていたアヤネさんが唐突に声を上げた。

 

「校舎より南方15kmから大規模な兵力が確認されました!!」

 

「ん、もしかして、またヘルメット団?」

 

「いえ、これは…傭兵です!日雇いの傭兵!!これ以上接近されるのは危険です!!!」

 

「分かった!みんな行こう!!」

 

そう言って外に出ると、奥の方から数十人の人影が見えた。

 

『…何?うるさいんだけど…』

 

(あ、起きました?起きたなら手伝ってくれません?)

 

『寝起き直ぐに頼むことじゃないわよね…。まあ良いけど。』

 

(ありがとうございます。頼りになります)

 

そうやって話をしているうちに、迫ってきている人影の顔が見えるぐらいになって。

 

(…やっぱりか。ゲヘナぐらい遠くの所から急に来るわけ、ないですよね)

 

見えたのは先程のゲヘナの生徒4人と、傭兵達。それを見て、セリカさんが叫ぶ。

 

「あーっ!あんた達、さっきの!!恩を仇で返すつもり!?」

 

「ゔっ…それは…」

 

リーダーの生徒が言い淀むけれど、他の生徒はちゃんと割り切っているようで。

 

「ごめんねーっ。でもそれはそれで、これはこれだからさー。」

 

「…一体誰の差し金?…いや…言わないか。力ずくで口を割らせるしかないよね」

 

だからこそ、シロコさん達は手加減などをする気もないようだった。

 

「…皆、行くよ。」

 

「えぇ!目にもの見せてやるわ!!!」

 

「戦闘開始っ!!!」

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「ルルっ」『人の使い方が荒いわね!』

 

戦闘開始の掛け声。それを聞いて、全員がバラけて動き始める。私とホシノさんは、正面から突っ込む役割で。

 

「ふふっ、正面から来るなんて馬鹿ね!総員!攻撃!!!!!」

 

「えっちょっ社長、さすがに罠じゃ──────」

 

…とりあえず、大量の弾が飛んできているのが見えた。普通に死ぬ──────…だから。

 

 

「ホシノさんっ!!!!!!!!!!」

 

「ここなら安全だよー、隠れて〜」

 

全力でバットで砂を巻き上げながら蹲り、その前にホシノさんが盾で弾を防いでくれる。ホシノさんのおかげで被弾は無かった。弾がそこらに着弾して、砂埃が舞う。

 

「ノノミちゃん!!アヤネちゃんのドローンが飛んでる方向を撃ちまくって!!!セリカちゃん、シロコちゃんは射線を広げて!」

 

「お仕置きですよーっ!!!!」

 

ずだだだだだっ、とノノミさんが敵の方に向かって乱射する。

 

「うおっ、弾飛んできた!??どっから来てるんだ!??」

 

「てか砂が口入ってくんだけど!!最悪!!!」

 

「ちょ、ちょっと…!?げほっ、けほ…」

 

砂煙で見えない中、アヤネさんのドローンでゲヘナの人達の位置を把握し、その方角をノノミさんが撃つことで周囲にそちらにも砂埃を発生させる。簡易的なスモークだ。

 

「ノノミちゃん、それでOK!…ヴァンちゃん!!ホシノちゃんっ!!!とつげきいいいいっ!!!」

 

「うへぇ、砂まみれぇ……うぇ、口に砂入った…」

 

「言ってる場合ですかっ。せぁぁっ!!!!!」

 

そして、取り回しが悪いという理由で、ルルの本から元に戻した私とホシノさんが突撃して、スモークの中を制圧して。

 

「射線通った!」「ん、カバーする。」

 

スモークの外に出てきた傭兵や、スモーク外の傭兵は外の三人が処理してくれる、という算段な訳だ。

 

「先行ワンキルで行こう。長引くとヴァンちゃんが心配だしね。」

 

地の利はこっちにあることを生かした戦術なわけだけど、そう簡単に行くはずがなく。

 

 

 

「けほっけほ…ムツキ!!上!」

 

「ぜーんぶ使っちゃうよ〜〜!!!よーいしょっと!!」

 

唐突に、真上から爆風。その風圧で、砂埃が全て吹き飛ばされて。そのまま囲まれたような状態になる。

 

「…撃ちなさいっ!!!」

 

「後ろはやります!!ホシノさんは前!」「後ろお願いね!!」

 

囲まれた状態で撃たれているのに、届く範囲の銃弾を黒剣で叩き落とすことしか出来ない。

 

「やばっ、シロコちゃん達カバーいける!?」

 

「ん!ドローンで制圧す──────」

 

「社長!上!」

 

「えぇ!」

 

しかも、シロコさんのドローンを狙撃で叩き落とされて、

 

ドンッ!!!

 

「うわぁっ!??何今の音っ!!」

 

カバーに入ろうとしたセリカさんも、急に鳴らされた何倍も大きい銃声に怯んでしまったようで。

 

そして、私の目の前にさっきのネガティブな子が躍り出てくる。彼女の武器は──────ショットガン。

 

「まずっ──────」

 

「死んでください死んでください死んでくださいぃっ!!!!」

 

「──────ルルぅぅっ!!!!!!!!!」

 

『無理に決まってんでしょぉがああああああっ!!!!』

 

バットを振り下ろすよりも前に散弾が貫──────

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…総記の階の皆、殺したんですね。…次は私ですか?』

 

『ああ、そうなる。…抵抗しないなら苦しませずに殺してやる。お前は付き合いが長かったしな』

 

『…一応、形式だけ抵抗させてもらいますね。』

 

『…そうか。どうしてかは聞かないんだな。』

 

『それはそれで、これはこれだから…ですよね?…ていうか、もし私がその状況になったら…きっと私も、そうするでしょうから。』

 

『…そうか。』

 

だって仕方ない。私もそっちの人間だから、分かってしまうんだ。

 

私の剣が弾かれて。

 

ぞぶりと自分の体にローランさんの槍が貫いたのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「いっ…づぅっっっ!!!!!!」

 

『あんった本当にいい加減にしなさいよ…っ!????』

 

運が良かった。運良く、ルルの本を着ることが出来た。

 

ルルの本は、普段の私よりも体力が多い。とはいえ、ショットガンを耐えられるかなんて、かなりの賭けだったけれど。

 

持っていた剣がバットになった事で面積が大きくなって、かなりの弾を弾いてくれたみたいだった。……それでも、何箇所か焼けるような痛みがあるけれど。

 

「…燃えろぉぉおおおおおっ!!!!!!」

 

「あうっ!?」

 

その痛みを振り切り、バットでショットガンを弾き飛ばしてそのままホシノさんの方に蹴り飛ばす。

 

「ナイスパースっ!!!!」

 

蹴り飛ばした先で、どぉんっ!!!とホシノさんのショットガンの音が聞こえる。多分これで大丈夫。

 

多分ショットガンの子が前衛だったんだろう、だから──────

 

「先生っ」

 

「うん。皆!お願い!!ヴァンちゃんは引い──────」

 

「誤射はしないでくださいねっ」

 

「えぇ!??待っ!???」

 

下がるなんて、論外。

 

『やられっぱなしは性に合わないでしょ。』

 

「それに、どうせ勝手に治りますから!!!!」

 

「治るわけ無いでしょうがあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

 

ロボトミーの頃には治っていたとはいえ…ドーパミンというのは恐ろしいな、と後で思った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「…セリカちゃんはヴァンちゃんを狙う子を撃って!ノノミちゃんは乱射して、こっちに意識を向けさせて!シロコちゃんは前に出てヴァンちゃんのカバー!!ホシノちゃんは…」

 

「こっちの子は気絶してるから大丈夫。すぐそっち向かうね〜」

 

「了解、じゃあそれで行こう!」

 

「先生、ヴァンさんは…」

 

「大丈夫、さっきはびっくりしたけど、煙幕がなくなっただけなら…!!!」

 

アヤネちゃんにそう答えて指示をしながら、ヴァンちゃんについてぐるぐると考える。

 

(どうして、あんな無茶を)

 

…でも、無茶だとしても、動きそのものは冷静で。

 

「ここまで近ければ狙撃もできないですよね!!!!!」

 

「ごめんアルちゃ~ん!!こっちだめ〜〜〜!!!ずっと弾飛んできて顔出せなーい!!!」

 

「っ…カヨコ、ここをお願い!!」

 

「シロコさん、逃げてる方お願いします!!ここは大丈夫です!」

 

シロコちゃんのことはずっと近接戦をしていたヴァンちゃんには伝わってないはずなのに。

 

「ファイアーバット!!!!!」

 

「あっっつ!!!!」

 

「ちっ…ショットガン持ち以外は一度距離取って再射撃!ショットガン持ってるやつは私と前に立って!」

 

行動が無鉄砲に見えても、想定済みで。

 

「セリカちゃん、距離取ってる方を撃てる?」

 

「分かった!!」

 

 

「くっそ、弾を弾くな、イカれてんのか!???」

 

「流石にそれは傷つくんですけど…!!!誰が青いキチガイですかっ」

 

「そんなこといってなああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!??」

 

勿論、弾を弾く技術だって。

 

『苗字…ああ、私にはないです。あまりいい生まれではないので。』

『強くないといけないんです。銃なんかに怯えてたら、大事な人を失うから。』

『銃はあまり使わなかったんです。高いし、格上には全部弾かれるので。それだったら、こういう武器の方が良かったんです。』

 

(…触れるべきではないのかもしれないけど…。)

 

なんでそんな技術を得ないといけなくなったのか。そして彼女の大事な人の話も。

 

…いずれ、聞きたい。聞かないといけない。そう思った。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「あ、時間だ。」

 

 

 

「…は?」

 

戦っていた一人が、急にそんな事を言い始めた。

 

「あ、ホントだ。…よーし、かえろ〜〜〜。」

 

「…ちょ、ちょっとぉ!???」

 

続々と帰っていく傭兵たちに、社長と呼ばれていた狙撃手が悲鳴を上げている。全く、意味がわからない。…が、これは好機であると見た。

 

「何処見てるんですか?」

 

「っ、まず──────」

 

呆然としていた眼の前のゲヘナ生を羽交い締めにし、バットを喉元に突きつける。

 

「全員、動くな。動いたらこの人の首が焼き切れると思ってください」

 

「…っ、くぅっ」

 

「カヨコ!!!?」

 

「え、それって私達も〜〜〜?」

 

「…襲う気がないなら別にいいです、さっさとどっかに行ってください」

 

「やった〜〜〜〜〜」

 

傭兵たちの間の抜けた声をバックに、ゲヘナ生二人を見据える。

 

「誰からの依頼なのかを吐けば解放します。そうじゃなければ…お互い、人員が1人減ると思ってください。……ホシノさん、気絶してる子を確認してきてもらえますか。不意打ちにあったら目も当てられない。…あ、やらないと思ってたら間違いですから。」

 

本気ですよ、と軽く自分の手にバットを当てると、肌が焼かれる音が周囲に広がる。

 

「カヨコっ!!?」

 

「カヨコちゃん!!!」

 

その焼けた音が首を焼いている音と勘違いしてくれたから、それを使って、もっと良い条件を引きずり出そうと思っていた。

 

なのに。

 

「ヴァンちゃん」

 

「…先生、なんですか」

 

「離してあげて。」

 

思考が止まった。意味がわからない。

 

「…頭沸いてるんですか?正気じゃない。」

 

「お願い」

 

「この人達は私達を撃ちました。同じぐらい苦しめてもいいと思いますけど」

 

「それでも、お願い。」

 

「……なんなんですかっ、なんで止めるんですかっ!?だってっ、殺されるかもしれなかったんですよ!?」

 

 

「私は先生だから。……それに、ヴァンちゃんにもそんな真似、させたくないんだ。」

 

 

 

 

【ヴァンちゃんには、苦しい思いして欲しくないんだ。……ここの職場だと厳しいかもしれないけど。】

 

 

「──────。」

 

バットを下ろす。そのまま人質を仲間のところに突き飛ばして。

 

「……さっさと消えてください。」

 

小さな声で、言う。

 

「お、っ……覚えてなさーいっ!!!!」

 

その言葉と共に、4人(ホシノさんが倒してくれた生徒はポニーテールの生徒が救出していた)が逃げ去っていく。

 

「……。」

 

私は、ぼうっとそれを眺めて。

 

(あ、意識飛ぶ)

 

「ヴァンちゃんっ!??」

 

そのまま、さっきのショットガンの痛みと貧血で気絶した。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『あああああああっ!!!!!』

 

何人も人を殺した。

 

『まだ……死ぬ訳にはいかないの……』

 

女の人も、男の人も。

 

『こんな、マヌケな動きをっ……』

 

何回も、死んで。殺して。もう殺したくないって、思う時もあった。

 

『よくも……ユジン部長をっ……!!』

 

でも、司書補として、殺す事は止めなかった。

 

『覚悟しろ。今日、都市の星が沈むことになる。』

 

確かに、アンジェラ様に強制させられていたのもあるけれど。

 

……私は。あの人達に、また会いたかったから。




作者です。

一応ですが、ヴァンの同僚の名前と、先輩後輩の細部について明記しておきます。

⬆️先輩
イゴリー(1日目雇用の職員。男)
ミカエラ(ヴァンが入った教育チームの先輩。女。)
ラインハルト(ものすごいハゲ。男。)
ヴァン(主人公。)
レーチェル(ヴァンの初めての後輩。女。)
⬇️後輩
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