一発ネタ。神様転生チート洗脳個性持ち女主人公が気楽に生きる話。

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強制的に相手を平和主義者にする個性

生まれは片田舎の小作農家で、現代じゃ古めかしいとか思われそうな木造平屋の一般家庭に産まれた転生者が私、平柳 和深(ひらやなぎ なごみ)である。

両親は私に優しく、時に厳しく育ててくれた。

理想の家族というものじゃないだろうか。前世の両親は社畜同士でカップルになり愛情を持って私を産み育てたが、子どもの頃からほぼ手放し教育だったのでゲームとか漫画とかアニメとかの室内遊戯にかまけ、未来への自立投資など欠片も考えて育たなかった。大人になってからだいぶ後悔したものだ。

今では8才で既に野菜の良し悪しがわかる。畑の耕し方や育て方もわかる。就職に困ったら農業を出来るだけのノウハウが叩き込まれているのだ。

これは本当に得難い事である。今代の両親に心から感謝しかない。でも朝は本当に眠いし畑仕事はマジでキツい。ちょっとだけ勘弁してくれないかなって思う。

 

さて本題に入るとしよう。現在の私は8才であり、ここはヒロアカ世界である。つまり既に個性に目覚めている。

バチクソに違和感のある足先に居心地悪い思いをしたのもだいぶ昔。4才頃に個性診断を病院でされ、既に個性持ちとしての書類を提出している。内容はこうだ。

 

個性:対象の心を穏やかにする。

 

ふわっとしている。

私は所謂神様転生で、個性には神様謹製のチート能力を貰っていた。

強制的に相手を平和主義者にする個性である。勿論永続的にである。

どんな世界に飛ばされるかは教えてくれなかったのでそうさせてもらった。ちょっと強めの催眠だと思って貰って構わない。私のためにどんな世界の極悪人でも真人間になって貰う。当然の権利である。

世界というものは悪役(ヒール)がいないと成立しない。これがまさに現代日本でもなにがしかの物語でも当てはまるのだ。ジャンプコミックの世界なんかに飛ばされたら目も当てられないだろう。なろう小説の世界にでも行ってみろ、頻繁に敵が神様やら上位存在なのだ。奴らは凡人の手の届かない場所から無慈悲にこちらをひねり潰してくる。ふざけるな、びびり散らかして糞尿撒き散らしながら世を儚んで自死すんぞ。

 

因みに両親の個性は「植物の体調がわかる」個性と、「髪型をゆるふわにする」個性である。ゆるふわは父である。ハゲてるけど。

 

そういうことで、私はマジで穏やかに小学校生活をエンジョイしていた。

小学校生活だって私の個性でいじめもない超平凡な学校である。

勿論中学でもそうした。私が入学すると同時にいじめが消える。急にそうなれば勿論どこぞのキチに嗅ぎ付けられるだろうが問題ない。

私の能力はオートである。パッシブ能力である。東京ドームくらいの範囲に及ぶ拡散能力がある。

こんな山間部の集落に来たら悪者は全て一貫の終わり。来るならこい。真人間にしてやろう。フハハ。

 

とか思っていたが、一向にそれっぽい問題が起こらない。見知らぬ人が来村したとかいう話も聞かない。

 

そりゃそうである。私は自分の能力を過剰評価して見られると思っていたがこんな村の一村人にどうこうとか本当に無かった。

そうして中学生2年生になってニュースを見ながら、私は1つの決意をした。

 

そうだ、都会へ行こう。

正直に言えば、前世社会人であった私は都会になんの魅力も持っていなかった。なんだったら忌避すらしていた。あの蟻の巣のようなコンクリートの檻に絶対に行きたくないとすら思っていた。

けれど、ヒーローが活躍しているニュースを見て、ふと思ったのだ。

世界が私を待っている。

拡大した自意識が一瞬自分の自我を侵食したような心地だった。

ヒーローが活躍しなくても良い世界にするべきだ。

警察はいても良い。必要だ。でもヒーローはいらない。ヴィランと呼ばれる存在もいらない。

私は穏やかに過ごしたい。

 

我が家は農家だ。旅行なら農協の具合で行き放題である。

これまでは両親も私も全く旅行に興味がなかったのでどこにも行かなかったが、それでは勿体ない。

折角農家に産まれたのだ。特権を行使しなくてどうする。

将来の夢すら曖昧だったが、その事に目が及んだ瞬間から私の将来設計が形を成してきた。

世界旅行に行ける職業につく。それか農家に戻って畑を継ぐ。

今目指すところはマルチリンガルとかだろうか。

溢れる万能感を身に宿して私は英語の教科書を広げた。

 

開始数分で諦めた。

多言語習得は私には無理だ。ムリムリ。もっと別の事をしよう。そうだ、そうしよう。

外国旅行には通訳の人さえ雇えればいい。なんだったらツアーで行けばよいのだ。

親孝行もしたい。何がいいだろうか。

取り敢えず両親に相談してみるか。

 

「お母さん、私将来の夢みたいなのがないんだけど何か良いのない?」

 

「うーん……あ、そこの大根取って。」

 

「はーい。……で、お母さん。何か良いやつ。」

 

「うーん……。お父さんに聞いてみて?」

 

「わかったー。」

 

てくてくとトイレに籠っている父の扉前に行く。

 

 

「おとうさーんっ」

 

「んおお……?なんだー?」

 

「私ねーっ、将来の夢がねーっ、ないんだけどーっ」

 

「おー。」

 

「なんか良い感じの職業ってなーいっ?」

 

「あー、ヒーローとか?」

 

「やだーっ」

 

「看護師?」

 

「休み無さそうだからやだーっ」

 

「うちの畑を継ぐ?」

 

「それも考えてるんだけど手前に何かの職業についてみたーいっ」

 

「んおお、そうかぁ。うーん。休みがあって良い職業かぁ……。……スマホで調べたら銀行とかフライトアテンダントとか良さそうだぞー?あ、フライトアテンダントだめだ。和深は小さいから厳しいみたいだ。」

 

「トイレにスマホで持ち込まないでよーっ」

 

「すまんつい……」

 

というわけで私の将来の職業は銀行員に決めた。競争率高そうなんだよなあ銀行員……。がんばって勉強しないとなぁ……。

 

「調べてくれてありがとーっ、それとさーっ」

 

「おーう?」

 

「次の農閑期で都会に旅行しよーよ!私オシャレなデザート巡りしてみたい!」

 

「ハハハ、わかったわかった。母さんにも相談して日程決めるから行きたい店さがしとけよーっ」

 

「はーい!……おかあさーんっ!次のねーっ」

 

パタパタとキッチンの母親の元に行って次の農閑期にオシャスイーツ巡り旅行を告げて私は部屋に戻る。

うむ。我ながらザ・娘!って感じに出来たと思う。

まさかこれがヴィジランテだとは思いもしないだろう良い娘だ。

 

まずは日本を山も谷もありはしない、世界一平和な国にしてやろう!

 

 

__数年後。

 

 

突如ヴィランの消えた日本の職業難ヒーロー達が世界中に飛び立ち、ニュースで大活躍でしたとか放送されたり、

ヒーロー訓練高が軒並み外国に転居し、日本には沢山の移民がやってきてちょっと人口が問題になったりとか、

今度両親とアメリカへ海外旅行をしてみようと話したりとか。

日本には神が宿っているとか言われて神社参りが流行したりするのは規定路線かもしれないよね?

 


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