これが戦艦レ級! 悪魔の力よ!! 作:ウィルキンソンタンサン
有志がまとめてくれている設定を読んで後付けしまくってます。矛盾が生じたら消えます。
「マジで? え、マジで?」
「マジです」
「私、追放?」
「流行りじゃないすか」
「波に乗りましょうってか? シバくぞ」
第五船団の核である空母あずみ、その医務室。そこで私は怪我をした右足の診断を受けていた。
「はいレントゲン見て。ここ分かる? 足首周辺の脛骨、あと腓骨。加えて外側靭帯。」
目の前に座る、医療部門に所属する白衣を着た青髪の彼女はそう言ってモニターに映し出された私の足のレントゲン写真を指す。
「右脛骨遠位端骨折、右腓骨遠位端骨折。加えて右足関節外側靱帯付着部に裂離骨折と認められますね〜」
「…………えと…」
「つまりはえげつい骨折です。Broken。一緒に」
「「Broken」」
「そう、レーキの足は壊れていると言っても差し支えありません。いつかやると思ってたけど、ここまでとは想定してなかったすよ。骨が皮膚を突き破っていないのが救いでしょうか。」
らしいです。
確かにレントゲン写真を見てみれば、かなり骨が散らばっている様子。私の右足こんななってんの? 冗談きついぜ。
下に視線を送れば、添え物で固定された右足。アイシングと痛み止めが効いているのか、特に何も感じないけれど……少し前までは腫れ上がっていて大騒ぎだった。あ、私がね。
「ここでなんとか出来ないの? ……出来そうもない診断名だけど」
「そりゃあ手術するし」
「がち」
「がち」
「切る?」
「開く」
「おわった」
「この感じだと固定だけじゃなく遊離骨片の摘出とORIFが必要になるし、船上での手術は無理寄りの無理すね。」
「無理寄りの無理。」
「ゲヘナとトリニティの生徒が肩組んで雨に唄えばやるくらい」
「じゃあ無理じゃんよ。ちなみにORIFって?」
「骨を元の位置に戻してプレートとかで固定する手術」
「プレート。」
「プレートをネジで止めてガッチリ固定します」
「ネジで」
「それか髄内釘」
「ずいないてい……?」
「骨の中に金属の棒を通して固定する」
「ひえ……」
なんという事だ、と頭を抱える。
出港したばかりだというのに陸へ強制送還される上、足をメスで切られた挙句骨に穴を開けられる事が確定した。これも全部ヘルメット団のせいだ、絶対許さねぇ。
「なんでギブスでガッチガチに固定しないのかと思ったら、手術かぁ……」
「手術前にそんな事したら手間だし、変な形に骨がくっ付く可能性があるから。戻らない骨片も筋肉に取り残されたままになるし。」
「うひゃーおそろし。どうにかしてください」
「じゃあ病院までヘリで送ってもらいましょ。それまでここで休んでるといいですよ。」
それだけ言って、彼女は医務室から出て行った。
ポツンと1人だけ残された私は、松葉杖で椅子から立ち上がりすぐ隣にあったベッドへ腰を下ろす。
「……れーちゃん?」
『………』
「まだいじけてんの? 不正は無かったよ、正真正銘私の勝ち。」
あの時の感覚を思い出す。
ギリギリの大賭け、失敗すれば何が起きたか計り知れないオールオアナッシング。あれしか手が無かったとはいえ、まったく気が触れていたとしか言い表せられない。
一種のランナーズハイみたいになっていたというか、なんというか。
とはいえ結果として上手くいったし、大円団。いまさら文句を付けられても困る。私の右足が犠牲になってしまったのは解せないが。
そう、右足。レ級の力を使ってのあの跳躍により、私の右足は完全に破壊されてしまった。
元々足首を捻っていたのもそうだし、疲労が溜まっていたし……しかし尋常ではない出力。この新しいカードは果たして、足の力1本で頑張ってきた私としては強化にあたるのだろうか。
使い方を知れば、みたいなとこはあるかもしれないけどね。
でも要領はあの時掴んだ。物は試しだ、ちょっとやってみよう。
押さえ付ける蓋の力を、ほんの少し緩める。
「……ッ!」
まったく、相変わらず凄まじい力の奔流に汗が滲む。
この感覚はこの世で私1人しか分かるまい。みるみる内にジャケットは黒く染まり、肌の色も髪色も変化していった。
ホバークラフトでの感覚を呼び覚まし、あの時よりも引き出す力の量を少なくしてみる。
するとどうだ。
身体から漏れ出る瘴気のようなそれが、透き通る青色になった。あの静脈血みたいな赤黒い色が嘘だったかの様に、窓から入る陽の光を存分に取り込んで宝石の如くキラキラと輝いている。
「なーるほどね。引き出す力の量によって色が変わるのか。」
赤い時ほどの力は感じられない。ま、それでも十分すぎるほどパワーが漲ってはいるけれど。
「この状態なら足治ってるとか……無いか」
足の容態は変わらず。痛みが無い分違和感がもの凄く強い。
手で銃の形を作って前へ突き出してみる。
すると、手の横にあの連装砲が現れた。この砲で魚雷群を吹き飛ばしたという訳だ、砲身を見るとそこらの銃より遥かに大きな口径にうへえと声が出る。
恐らくはレ級と戦った時に使われたものと同じだろうし、その威力は折り紙付き。身をもって体験してるからね。
手の形を崩すと、連装砲は音もなく消えた。
「こうなると、副砲とか魚雷とかも気になるけど……もしや艦載機も出せる? うーわ、夢が広がるねぇ」
想像が膨らむ。あの尻尾が生えていないのは気になる点だが、連装砲が出せてるんだしあまり気にする事でもないのかもしれない。
『……オイ』
「ん?」
しげしげと変化した肉体を眺めていると、脳内に声。どうやら引きこもっていじけ虫をしていたレ級が部屋から出てきた様子。
「どしたのれーちゃん。やっとお話する気分になった?」
『ホザくなザコ器』
「雑魚器」
『あノ程度で壊れるトハ思わナかッタ』
と思いきやクレームです。
私以外でも耐えられる人少ないと思うんですがね……。なんせホバークラフトからウチの艦まで目算でも10海里*1は離れていたし、それをひとっ飛びしたら流石に砕けるだろう。
それに、その前にも何度も跳躍してた訳だし。遠くのホバークラフトまで行きはほとんどレ級の身体に変化してたとはいえ、乳酸は溜まるし辛いものは辛い。
「今日跳んだ距離を合計したらフルマラソン完走出来ちゃうよ。足くらい壊れるって。」
『知った事カ。それよりも、
コレとは? 一瞬疑問に思ったが、直ぐにピンと来た。
親指を自分の胸にトンと突きつける。
「コレって、コレ? なんでよ」
『ナンデもあるか。ワタシの力をカッテに使いやがッて、キ持ちワルイ』
「あらま。」
『ダイタイ、どうしてソッチに主導ケンがあるんダ』
「れーちゃんが知らんなら知らんよ。あんま人って乗っ取られる事無いし。強いて言うなら気持ち」
やっぱ人間って気持ちの生き物だから。元気があればなんでも出来る。
出来ないやつは気合いが足りてないのよ、気合いが。
まぁ、気持ち悪いなら無理をさせる必要も無い。変身を解いた。
すると途端、漲っていた力が嘘みたいにどこかへ消えていく。服の色も肌の色も髪の色も元に戻った。
どうやら元の身体と変身した身体の髪質が少し異なるらしく、前髪に違和感があったのでフルフルと頭を振って手ぐしで髪型を元に戻す。
さっきドライシャンプーをしたからサラサラなのです。それはそれとしてシャワーは浴びたいけど。
完全に変身が解けたタイミングで、ミニサイズのレ級が肩からぴょこんと出てきた。こうすると可愛いんだけどなぁ。
「ちょっと怪生物が寄生してきたくらいでへこたれる様な奴に、このオデュッセイアは務まらんよ。特に、トライデントはね。」
『トライデント?』
「オデュッセイアの……なんだろ、警察みたいな? この船団は一応それの傘下なんだよね。」
『海上保安ッてヤツ? そこハカトなく不愉快なコトバ。』
「おっ、100年前のお話聞けたりしますか」
『……サァ、あんまり覚えテ無い』
「なんだ、つまんないの」
とはいえ、その末があの鎖で繋がれた姿だ。100年前のオデュッセイアが頑張ったんだか分からんが、結局こいつは負け続きだという話なのだろう。
そりゃあ面白くないし、忘れたいものなのかもだ。
はぁ、と息を吐く。
それと同時に、医務室の扉が開いた。すでにレ級は肩から姿を消している。
「へいレーキさん、準備出来ましたよ」
「もう? 随分と早いね」
「そんな早くないすよ、病院に連絡自体はあんたが気絶してすぐにしたし」
「あそうなの。」
「そう、なんなら遅いくらいだし。」
「なんやねーん」
まあまあ、と室内に入ってくる。見れば、両腕いっぱいに学園のロゴが入った白い巾着袋を抱えていた。
「なにそれ」
「遅れた原因これだったりします。鞄に入れときますね」
「だからなにそれ」
「あっちでのお楽しみですよ。」
そう言って、その巾着袋を机に置いてから壁際に立てかけられた折り畳みの車椅子を引っ張り出して広げる。
「じゃあ運ぶんで座ってもらって」
「ああ、うん」
彼女の補助を受けながら、車椅子に座る。
「ちょい胸当たってるて」
「当ててんのよ」
「いや当たってんのそっちの手な? どけろ?」
「注文が多いですねぇ」
「ふふっ、ちょっと脇くすぐったいって! あっはは! あんたわざとでしょ!」
突然の攻撃に身を捩りながらも、なんとか着席。こういうじゃれ合いもしばらく出来ないのかと思うとどこか寂しさを覚える。
「はぁー、手洗いたい」
「あ、やっぱ殺そうかなこいつ」
下のスペースに白い巾着袋を入れられた後、カラカラと車椅子を押され移動。普段歩いている通路をこんな風に通過していくのはなんだか不思議な気分だ。
というより、車椅子自体不思議な感覚がする。こういうのってベビーカー以来だろうし。
エレベーターに乗り込み、一気に上へ上がる。チンという音と共に扉が開くと、一気に潮風が流れ込んできた。この感覚もしばらくおさらば。
いつもより風が強いなと思えば、遠くにプロペラを回すヘリコプターがあるのが見えた。
……デカくね?
甲板をカラカラ移動しヘリコプターに近付く。
「お疲れ様でーす!」
「来たね! お疲れー! 」
「えぇちょっとちょっとちょっと」
朗らかに挨拶を交わす一同に、困惑した声を漏らす。
「ん? どしたレーキ!」
「いやいやいや、デカくね?」
「ん!? なんだって!?」
「デカくね!?!?」
そう声を張り上げると、キョトンとした顔をされた。いやおかしいだろこれ。
というのも、目の前にあるのこの空色のヘリ。
何を隠そう最近導入された対潜や救難、哨戒を担うヘリコプターだ。時として空対艦ミサイルを放つ事もあるし、電子戦も行えるなど多方面に大活躍な虎の子。それがこの子、シーホーク。決して1人を病院へ送るために使っていい子じゃない。
「マジで、マジでいいの!? 虎の子だよ!?」
「なーに、いいって事よ。司令からの命令でもあるしな」
司令。この船団のトップだ。
つまり私達全員の上に立つ存在が、私に対してシーホークで送れと言ったのだろう。
「シーホークじゃなくても小型のヘリとかあるでしょ!?」
「ケガ人をそんなんで運べるかよ! いいから乗りな、これは私達の総意でもあるんだ! 遠慮すんなよ、らしくないぞレーキ!」
「いやいやいや……!」
遠慮しようにも車椅子の為ずんずんとヘリに近付いていく。無情なり。
「気を付けて上げてください!」
「はいはい! いくよー、さん、に、いち!」
あれよという間に車椅子からひょいと持ち上げられ、ヘリの中へ。地べたに設置されていた担架に寝かせられ、ベルトでがっちりと固定される。右足にはクッションが噛まされ、心臓より高い位置に固定。
私を乗せた2人は一旦降りたと思えば、学校指定のボストンバッグを手にもう一度乗り込んでくる。
あれ私のやつだな、私の私物パッキングしてくれたのか。あの巾着袋も入ってんだろうな。
「それじゃ、私はここまでです! また完治した頃に!」
青髪を風に揺らしながら昇降口の外からそう言う彼女。
「釈然としないけど、分かった! じゃね!」
そう手を挙げると同時に、スライド式の扉がガチャりと閉じられた。私を運んだ2人は座席に座る。
普通のヘリは側面に座席が配置されがちだけど、このシーホークは進行方向に沿って設置されてるんだよね。
程なくして、ヘリはふわりと飛んだ。
大きな揺れの無い安定した垂直飛翔、流石はミレニアムの最先端技術の詰まった高級ヘリだ。一機しか無いのはシンプルに高額だったからに他ならない。
なんでも、この第五船団の上半期予算が吹っ飛んだらしい。バカ。
「納得いって無さそうね」
冷却スプレーで私の右足を度々冷やしながら、向かいに座った1人がそう声を発する。空挺部隊に所属する彼女達は、連携などもあり何度も言葉を交わした仲だ。このシーホークに乗り込むのも今回が初めてじゃない。
「……うん、さすがにね。空飛ぶ上半期予算だよ? 病院までの輸送で使われるのは気が引けるよ」
「あんたね……いいや、これ見てみなさい」
「えぇ、なによ」
そういって頭上に差し出してきたのはタブレット端末。ヘリの外部映像だろう、遠ざかっている甲板が表示されている。
「これは……」
そこに映っていたのは、こちらに向かって手を振っている乗組員達。飛び立った空母だけじゃない、周りを取り囲む艦船の乗組員も同じ様に手を振っているのが辛うじて分かった。
「スカーフまで振ってる奴いる……これなに?」
「見送りよ、見送り」
「見送りって、そんな」
「─────ウチらにとって、夜灯守レイキって存在はそれだけ大きいし憧れだって事だよ」
もう1人がゆっくりとそう言う。彼女もまた、同じ任務を共にした戦友だ。
「オデュッセイア唯一の海上戦闘要員。あんたは私達の憧れなんだよ」
「そうそう。レーキちゃん、人気者なんだからね?」
「………あ、そう」
消え入りそうな声で、そう返す。
え、なに。みんなそんな事思ってたの? しかもこの2人は空挺部隊だし超エリートだよ? 私なんてそんな……。
「シーホークを出してるのがその証明でしょ。司令だって大事に思ってるのよ。」
「………。」
閉口する。
そう言われてしまえば納得する他無い。あの鬼の様な司令が? ほんまか? 全然納得いかない。
「第五であんたの事嫌いな人間なんかいねぇよ。艦間を飛び回って、何海里だってひょいと行っちまう。アイランドの頭の硬い人間にゃあ信じられないだろうさ。」
「………ぅ……」
「数回しか見た事のない
「………うぁ……」
「それに、この骨折も魚雷を破壊する為だったそうじゃない。ヘルメット団がステルス魚雷を持っていたなんて予想してなかったわ。」
「あぁ、レーキがいなきゃ一隻沈んでた。……かと言って、素直には喜べないけどな。」
「そうね、レーキの大事な足が犠牲になってしまったもの。船を降りるなんて聞いて、私達も含めてみんな悲しがってたわ。」
突然の褒め殺しに、脳が茹だる。私は私のやれる事をやってただけなのに、こんなに評価されていたなんてつゆとも知らず。
凄い恥ずかしいぞ、これ。
『……オイ、身体がアツイ。体温をサゲロ。』
うっせぇ黙ってろ!
脳内に反響する声に反射で出た返事は、幸いな事に口に出ることは無く。私はただ切に、早く病院に着けと願うばかりであった。
1ミリも本編と関係無い話なんですが、エミマルがチェルシーに移籍して彩艶がヴィラ正GKになりましたね。アーセナル戦めっちゃ働いててデビュー戦とは思えなかったし現地サポから絶賛されててマジで凄いぞ彩艶、キック強すぎてビルドアップいらないのズルだろ。負けはしたけど1失点で抑えたの強いし点入んないの攻撃陣の問題だしチャンスメイクしまくってたしプレミアでも通用してるぞやばいなほんと。ヴィラに腰落ち着けてもいいけどここから更に上位チーム狙える能力してるから勝負の年だぞ頑張れ彩艶。でもマンC行ったら敵だからな。
一方チェルシーはGKが穴だったのにエミマルが入るから強くなっちゃいますね、750万ポンドとか随分安いけど今が1番いい頃なのかな。ヴィラはチームを若返らせたい、チェルシーは2,3年ベテランで補強して若手を育てたい。そう考えると合理的で綺麗な取引ですね〜