リエーニエ編では一つ一つのテキストの文字数が想定外に膨れ上がる傾向にあります。
ご了承ください。
◆一「ラスカーの廃墟」
件の野営地を通り抜けると、ようやく湖にたどり着けた。
湖の南部にあたるこの位置は森が広がっていて、霧の存在もあってさながらリムグレイブの霧の森を思い出す景色だ。
森を進むと、水没した廃墟が見えて来た。
廃墟の内部には地図が拾える石碑があって、それなりに重要性のある施設だったことが伺える。
繰り返すが、地図というのは国にとって重要な情報だ。
普通なら、そんな地図が拾える石碑には見張りがいて当然なのだ。
そして、この石碑の見張りには幽鬼がいた。
幽鬼は特別な鈴を鳴らし、さまよう呪霊を喚ぶ。
そのさまよう呪霊を、侵入者である俺へけしかけてくるのだ。
単体なら大した脅威じゃないが、奴らはそれなりに数が多い。
それから、カッコウの輝石ほどじゃないが金属盾の防御を貫いてくる攻撃だ。
防ぐよりも、回避を重視して行動した方がいいかもしれないな。
そうそう。
奴らの持つ"呪霊喚びの鈴"だが、廃墟を探索しているうちに一つ手に入れた。
俺もまた、奴らが使役する呪霊を味方につけることができたというわけだな。
魔力を消費するし、呪霊の動きは遅いが、だからこそ投げ矢や火投げとは異なる使い方が出来そうだ。
尤も、呪霊とは呪われて死んだ怨霊だというらしい。
彼らを使役するということは、それなりの業を背負うことを意味しているのかもしれない。
実際に使うかどうかは、慎重に検討した方がいいかもな。
※追記
彼らは回復の祈祷がよく効く。
つまり回復の力で、大きなダメージを与えられる。
不可思議な現象だが、彼らは呪われている存在だからだろうと、その筋の情報源は言っていた。
補足事項として、効果範囲の広い回復祈祷であるほど効果的だ。
もし祈祷の力に頼れるなら、試してみるのも手だぜ。
◆二「死の鳥」
湖のリエーニエにも、死に生きる者たちはいる。
以前紹介したイリス教会の近くにも墓地があったんだが、そこにも奴らがいたといえば、その面倒くささは伝わるだろうか。
まぁ、その時はすでに対処法をおさらいした後だったんで何とかはなったんだが。
今回はより面倒くさい奴に出会ってしまった。
死の鳥。
文献では、墓所の火守りだという。
鳥でありながら右手に巨大な死かき棒を持ち、遺体の燃えがらを掻きだしているいるとかなんとか。
こいつの特徴は、夜にだけ現れるという点だな。
身の毛がよだつような咆哮が物語る通り、明らかに普通の敵ではないから、できるだけ夜の探索は避けるのが無難だな。
こういう夜にだけ現れる敵というのは、狭間の地ではいくつかいる。
機会があればまた記そう。
ちなみに。
この死の鳥は、リムグレイブにもいる。
このリムグレイブに出現する死の鳥と、今回俺が見つけた湖のリエーニエに出現する死の鳥だが、実はこの両者には共通点がある。
それは、狭間の地に点在している"遺跡"の近くで出現するという点だ。
この"遺跡"は、空から降ってきたものだとされていて、調べてみるとそれは「空にある神殿の一部」だという。
この遺跡はリムグレイブにも湖のリエーニエにもあるが、それはつまり狭間の地の真上に「空にある神殿」があるということなのだろう。
それについても気になるが、そんな神殿の近くに死の鳥が出現するという点も興味深い。
死の鳥は墓所の火守りだというらしいが、その墓所とは空にあるのかもしれないな。
◆三「ストームヴィルの死に生きる者たち」
死に生きる者たちについて、さらに情報がある。
せっかくの機会なので、ここに記す。
円卓に一人また褪せ人が訪れた。
……いや、外出していたがこのタイミングで戻ってきた、というのが正しいか。
いずれにしろ、俺にとっては新しい情報を聞きこむチャンスだった。
彼はストームヴィルに潜入していたそうで、実は俺も協力者という形で助けを得たんだ。
なのだが、円卓にいるその褪せ人は、立つこともままならない状態だった。
下半身に、木の枝のような棘が生えていて、彼を蝕んでいるようだった。
それは、死に生きる者たちの業だ。
これは褪せ人にのみ効く呪いのようで、彼はその餌食になってしまったようだ。
彼は深く語らなかったが、ストームヴィル城で呪われたのは容易に推察できた。
いてもたってもいられなくなった俺は、すぐ祝福を通じてストームヴィル城に戻って探索したんだ。
そしてついに突き止めたんだ。
ストームヴィル城で下層だと思っていた場所よりもさらに地下に、巨大な躯があったのさ。
地面を覆いつくす程に巨大な顔の躯の周辺には、死にまつわるタリスマンや魔術の知識と言う形で、死に生きる者たちの痕跡があった。
おそらく先の褪せ人が呪われたのも、これに関連しているのだろう。
円卓に戻り、あえてこのことを彼に聞いてみると、どうやらこの躯はあの"陰謀の夜"にまつわるものだという見識を語ってくれた。
陰謀の夜。
黒き剣のマリケスが有する死のルーンが何者かによって盗み出され、その力によってデミゴッドの一員である"ゴッドウィン"が殺された事件だ。
ゴッドウィンはデミゴッド最初の死者となり、そして女王マリカが狂い、そしてデミゴッド達による戦争"破砕戦争"の遠因だともいう。
だがその真相は、闇の中だ。
だからこそ、彼は陰謀の夜について探り、そしてストームヴィルの地下に至ったのだという。
ストームヴィル地下の痕跡を探った限り、どうやら例のゴッドウィンは黄金樹の根本に埋葬されたのだそうだ。
だが死のルーンの力か、はたまた別の理ゆえか、いずれゴッドウィンは"死王子"と呼ばれるような存在になり果てたらしい。
あの躯は、きっと地下を通じて出て来た死王子の成れの果てに違いない。
この俺"トニー"は真実の探求者だ。
穢れた棘で動けなくなった彼のためにも、これからは陰謀の夜と死に生きる者たちについても積極的に探っていきたいと思っている。
また新しい情報を見つけたら、どんどん手帳に記していくことにする。
◆四「学院の門前町」
さて。
一度リエーニエの湖に戻り、こちらの探索を続けていくと、水没した街が見えてきた。
学院の門前町。
魔術学院レアルカリアの麓に広がる街で、文字通り門の前にできた街だな。
こういう門の前に街ができているってのは、少なくとも俺の故郷じゃよくある街の形式だ。
街や城の門は、想像以上にその意味は大きい。
その代表的な例が関税で、門の内側と外側では税のかかりかたが大きく異なる。
だから門の前には、よく街ができるもんなんだ。
多分、この学院の門前町も似たようなケースで出来上がったものだろうな。
今でこそ輝石鍵でしか開かない状態だが、平時でも門はそう簡単に開かれるものではなかったに違いない。
学院に余計な者を入れたくないという事情もあるだろうが、そもそもここの門は二つの街道の中継地という事情も重なっている。
つまり王都ローデイルへと続く街道の出入り口であり、だからこそここを通るには厳しい審査や手続きがあったんだろう。
きっと破砕戦争が起こるまでは、厳格ながらも賑やかで平和な景色が広がっていたのだろう。
そういう痕跡が見受けられる場所だった。
それはさておき、この場所では二つの地図を見つけることができた。
一つ目は石碑の地図。
リエーニエ北部を記したもので、魔術学院やその北の道が記されていた。
従来なら街と共にこの地図を護る何らかの措置があることは想像できるが、水没した今となってはその面影もない。
二つ目は"待ち合わせの地図"だ。
封印された魔術学院の門の前で"譲ってもらった"ものだな。
どうやら彼もまた輝石鍵を求めていたようで、何らかの取引かなんかで輝石鍵を手に入れる予定だったのかもしれない。
その取引場と思わしき場所が記されていた。
だがおそらく、その取引は破綻したのだろう。
それもどうしようもない理由で。
だからこの地図の持ち主は封印された門の前でうな垂れていて、俺に地図を快く譲ってくれたのだろう。
リスクは大きい。
だが、行ってみる価値はある。
早速、俺は待ち合わせの地図に記された場所を目指してみることにした。
陰謀の夜の下りは、原作では絶対にありえないテイストになったと我ながら思います。
これについては、原作のアイテムテキストではできない、この日記形式ならではのテイストになったのだと考えています。
ちなみに「※追記」は仕様です。
後々から知った情報があるので追記した……という体裁で、話題を変える効果があるのではないか。という試作です。勿論筆者が本当に後から知った情報を追記している、という側面も中にはありますが……。
リエーニエ編は「※追記」を何回か使用しています。