報告ありがとうございました。
◆一「指読みの老婆」
学院の門前町は物々しい雰囲気だった。
水没した地域ではしろがね人が屯していて、問答無用で襲ってくる。
祝福の近くは比較的安全だったが、それ以外の場所では気が抜けなかった。
だがそれでも、封印された門の近くよりはマシだ。
個人的に門前町上層部と呼んでいる、つまり土台からしてまだ水没していない高いところでは、レアルカリア兵がバリゲードなどを用いて防衛拠点を築いていた。
挙句の果てに、誰かの顔面を模した"火の戦車"すら運用している始末だ。
街の探索は危険が伴った。
この火の戦車だが、"火の僧兵"と呼ばれる者達が用いるものだそうだ。
それがここにあるのは、レアルカリア兵が略奪したのか、はたまた何らかの繋がりがあるからなのか……。
いずれにしろ、この地には火の僧兵がいるようだから、機会を見て探ることとする。
ともあれ。
門前町にまともな奴は一人もいなかったわけだが、無害な存在と出会うことはできた。
指読みの老婆。
門前町上層の、崩れかけた橋に彼女はいた。
なぜか机の上に座り込み、そして接ぎ木のゴドリックを思い起こさせるように複数の腕を持つ。
その複数の腕で妙な杖を持っていた。
もしかしたら接ぎの儀式と何らかの繋がりがあるのかもな。
例えば、ゴドリックが行っていた儀式の由来には、指読みの老婆にも関連があるようなルーツが隠されている……とかな。
彼女に話しかけると、俺の指を読ませるよう要求された。
そのままわけもわからず見せると、何やら預言のような言葉を囁きだした。
言葉の内容については、あえて今回は省略する。
円卓に戻って彼女のことを調べると、どうやら彼女は一人だけではないようで、リムグレイブにも似たような存在がいることがわかった。
彼女らに指を読ませると、褪せ人に旅の手掛かりとなるような情報を与えてくれる、旅の味方だという噂話もな。
また、文献では「指読みは、二本指の声である」らしく「永遠を生きる」「王の乳母でもある」という情報が記載された。
ここに引用する。
最後に、彼女達に関連するアイテムがあるので、これについても記す。
実はストームヴィル城のゴタゴタで拾ったアイテムに"お守り袋"がある。
一見して萎びた手編みの小袋だが、特別な力があるらしく"タリスマン"の力をより引き出す効能があるらしい。
そんな普通ではないお守り袋は「指読みの老婆が王、あるいは王たらんとする者に贈る」ものだそうだ。
つまり、ストームヴィルには「王、あるいは王たらんとする者」がいたということになる。
普通ならデミゴッドの一員であるゴドリックのことを指すのだろうが、実はこれを拾ったのは城の前であり、ゴドリックとは無関係なように思える。
疑わしいのは門番のように立ちふさがり、けれども助力を得て倒すことができたあの忌み鬼だが、彼がそうなのだろうか……?
※追記
指読みの老婆が持つ杖だが、よく見てみると円卓にいる"双子の老婆"が持つ杖とよく似ている。
もしや、あの像はもともと指読みの老婆だったのだろうか?
少なくとも俺は、指読みの老婆と双子の老婆には一定の関係性があるように思う。
◆二「黄金のルーン」
俺の故郷では、物の取引は硬貨を用いたものだ。
基本は銅貨で、高い買い物には銀貨を、金貨はだいたい街や領主が使うものだとして俺には縁がなかった。
また吟遊詩人として各地を旅するようになると、同じ銅貨・銀貨でも発行元が異なると質や価値が変わるから、扱いには苦労したぜ。
通貨の動きで都市や国の動きも変わったりするものだから、本当に考えることは多かった。
だが狭間の地では、その常識は通じない。
ルーンが、通貨となるからだ。
放浪商人との取引もこれが基本となるし、それ以外でもだ。
「黄金のルーン」というアイテムがある。
これを使用すると、いくばくかのルーンを通貨として使用可能な状態となる。
だから基本はどんどん使ってしまえばいい……となりそうだが、実はその状態のルーンはよく"落としてしまう"。
そのリスクを分散するためには、こういうアイテムはあえて使わずにとっておくのも選択肢だ。
こういう「黄金のルーン」は狭間の地の各地で入手できる。
例えば旅先で出会う人から"譲ってもらった"り、街道に転がる骸骨を砕いて得ることもある。
また、各地にある石棺からはより多くのルーンを得られる上質な「黄金のルーン」を得られる場合もあるから、そういう場所を巡るのも悪くはない。
黄金のルーンとは、狭間の地に宿った祝福であり、その名残であるという。
だがエルデンリングが砕かれた今、その祝福を適切に扱える者は多くない。
"譲ってもらえる"なら、どんどん貰い受けてしまった方がいい。
指の巫女の助けを得られるなら、肉体の成長の糧にもなるしな。
◆三「バラ教会」
門前町を降りて周辺を探索していると、一風変わった教会にたどり着いた。
バラ教会というらしいこの場所は、しかし教会内部の地面一面が血だまりとなっていた。
しかも奥の壁は、巨大な肉の塊のような、そんな不気味な何かが張り付いていた。
この教会や周辺を調べてみると、このバラ教会は「血の君主」なる存在に連なる場所であることが分かった。
あるいはもともとは別の由来があったのかもしれないが、少なくとも俺が見聞きした限りではそういうことになる。
血の君主は、己の力を他者に分け与えることができるらしい。
その一端が血盟祈祷である「血炎の刃」だ。
この祈祷は武器に"血炎"を纏わせる。
この血炎を纏う武器で攻撃されると、その不気味な力により「出血」を強いられる。
「出血」してしまうと、それ相応に命を削られてしまうから注意することだ。
勿論これ以外にも血盟戦技といった力は存在するが、基本的にこういうものは「出血」に関連した力であることが多い。
もし「血の君主」やその関係者に襲われた場合は、「出血」に対する備えが必要になるだろう。
「出血の苔薬」は、その数少ない備えとなるアイテムだ。
アイテム製作で手に入るから、ツール鞄の出番だぜ。
これを作るための製法書と材料の調達も忘れずにな。
◆四「輝石鍵」
以前にも紹介した、輝石鍵の取引場と思わしき場所。
状況証拠からひと悶着あるとは想定していたが、予想以上の厄ネタが飛び出てきた。
輝石竜スマラグ。
即ち飛竜が、その場所で眠っていたのだ。
輝石鍵を持つ魔術師は、その竜の近くで事切れていたことから、この竜こそが取引が破綻した原因だろう。
状況は芳しいものではなかった。
だが、運命の女神は俺を見放していなかった。
このタイミングで、霊馬に駆る褪せ人と再会できた。
あのストームヴィル城で共にゴドリックを倒した、放浪騎士の褪せ人だ。
彼もまた学院に入るための輝石鍵を求めていて、おそらく時空の"ずれ"で飛び出て来ただろう「待ち合わせの地図」でこの場所を知ったのだという。
すぐさま事情を説明し、共にその竜へと立ち向かった。
スマラグは強敵で、魔術師喰らいと称されるほどに魔術師を食らった化け物だ。
だからなのかスマラグ自身もまた魔術の力を行使してきたのだが、王の器である褪せ人の助力を得た俺の敵ではなかった。
こうして、俺は輝石鍵を入手できたわけだ。
だが問題がある。
輝石鍵は、魔術学院の門を物理的に開くものではない。
封印された門に施された、転移の魔術を起動するためのもの。
つまり、一人しか学院に入ることができない。
しかも輝石鍵は使用者を記憶する性質を有していて、一度使ったら他の誰にも譲渡不可だ。
用が済んでも、他の用がある者に渡すことができないというわけだ。
俺か放浪騎士か。
入れるのはどちらかだけ。
この選択肢を迫られた俺は、しかし放浪騎士の彼に渡すことを選んだ。
なんせ彼こそが、エルデの王となる者。
魔術学院の中に、エルデンリングの修復に必要な大ルーンの一つがある以上、彼の使命こそが優先されるべきだ。
その代わり、魔術学院の中で得た情報は共有するよう、彼に頼んだ。
魔術学院についての情報は、彼が探索を終えるまでのお預けだな。