◆四「人さらいの乙女人形」
人形兵の類似品と思われる兵器がある。
"人さらいの乙女人形"と呼ばれるこの兵器は、上述のものと異なり鉄製である。
鎖鎌や車輪を振り回す物騒な兵器だが、鉄製というだけあってかなりの脅威だそうだ。
その性質上、学び舎の中庭や大水車付近の場所といった広い屋外で運用されていたとのこと。
こちらについて特徴的なのは、内部に蠢く触手の腕があること。
前面のカバーが開いた時に垣間見えるそれは、生物的でおどろおどろしいものだったそうだ。
もしその触手の腕に捕まると、そのまま鉄人形の中に閉じ込められるだろうことは言うまでもない。
だが一方で、あえてその触手の腕に捕まることで転送を試みることができるらしい。
昔は、人さらいの乙女人形に転送の魔法装置を備え付けていたという情報がある。
もしその魔法装置が機能している人形兵が残っていたら、もしかしたらローデイルへの侵入を試みることができるかもしれない。
◆五「生きた壺」
人形兵は墓地などを中心に配置されていたが、学び舎やその中庭には生きた壺がいたという。
この生きた壺はリエーニエに限らず、狭間の地の各地でみられる。
生きていない個体なら、小黄金樹の近くにもいたのは記憶に新しい。
生きている個体は、文字通り壺に手足が生えているような見た目だ。
そんな彼らが学院内……それも学び舎に住み着いていた辺り、もしかしたら魔術師とかかわりがある者達なのかもしれない。
生きた壺の破片には、禁呪の力を秘めるとされる。
それ故に密猟の対象とされるそうだが、そこに何か魔術師と親しくなるような秘密があるかもしれないな。
また、生きている壺は基本的に善良である。
有無を言わさず敵対する分には正当防衛した方がいいが、そうでないなら可能な限り彼らを刺激しない方がいい。
ちなみに、狭間の地にはヒビ壺と呼ばれるアイテムがある。
各地の生きている壺が護っていたり、穏当な入手手段としては放浪商人が売っていたりするものだ。
ツール鞄を用いて、これの中に様々な素材と術を閉じ込めてしまうと、色々な効果を期待できる。
わかりやすい例を言うと、「火炎壺」だな。
火炎壺と言えば、学院内を警備する鳥人形兵も使っていたという話を思い出す。
やはり、学院と壺には何らかの繋がりがあると思えてならない。
◆六「満月の女王、レナラ」
学び舎の中庭を経て大書庫に至ると、そこに満月のレナラがいたという。
彼女は大書庫にて、琥珀のタマゴを抱いていたそうだ。
その琥珀のタマゴはラダゴンから贈られたものであり、そこにこそ大ルーンが宿っていた。
放浪騎士の彼の目的だ。
レナラ自身は心を失った状態で、まともに戦える状態ではない。
だがその代わり、彼女の娘である魔女ラニが仕掛けた罠が放浪騎士を襲い、大ルーンを得るための試練となった。
まず最初は足のない学徒たちがレナラを護り、その護りを砕いた後はレナラの幻影が第二の障害となった。
特にレナラの幻影は、魔術師でありながら凄まじい力を有しているようでな。
満月の力をはじめあらゆる魔術を駆使し、一方で接近戦では杖を浮かす戦技のようなものを用いてきたという。
また彼女は霊体の友の力を借りることができるようで、放浪騎士の彼と同じように霊体を味方につけてきたという。
その霊体の中には、竜や巨人の姿もあったという。
だが、その戦いを制したのは放浪騎士の彼だった。
竜や巨人の力に及ばなくとも頼りになる味方と共に立ち向かい、そして自身よりも優れた戦士でもあったレナラを打ち倒したのだ。
また一つ、王の伝説が打ち立てられたというわけだな。
この話を真っ先に聞くことができて、俺は本当に幸運だ。
◆七「産まれ直し」
レアルカリアについての情報は殆ど終わりだ。
即ち湖のリエーニエについての情報も殆ど記し終わったことになる。
だから次回は、別の地域に移動してそちらについて記していくこととなるだろう。
楽しみにしていてくれ。
それでは、最後に琥珀のタマゴについての情報をまとめる。
レナラを捨てたラダゴンが、そのレナラへ贈ったというもの。
そのタマゴには、生まれなかったデミゴッドの大ルーンが宿っていたという。
大ルーンには「産まれ直し」を完全なものにする効果があるらしい。
レナラは産まれ直しの術に耽っているらしく、先の足のない学徒たちはその産まれ直しの術を受けたものだそうだ。
だが産まれ直した子供たちは皆脆弱であり、そして短命であるともいう。
足のない状態は、おそらく不完全な生まれ直しによって生じたゆがみだろう。
足がないと言えばしろがね人を思い起こさせるが、もしかしたら何かつながりがあるのかもな。
「雫の幼生」というアイテムがある。
これは基本的に貴重なだけであまり価値のないアイテムだが、その実レナラの「産まれ直し」の素材となるそうだ。
このアイテムは"銀の雫"と呼ばれる変態生物の核であり、生物と物質の中間にあるものだそうだ。
それが産まれ直しにかかわるのだから、何か恐ろしいものを想像してしまいそうだ。
まさかとは思うが、足がなくなる現象はここに由来するのか……?
だが、放浪騎士の彼が得た「産まれなき者の大ルーン」は、その産まれ直しを完全なものにする。
彼だけは、その力を適切に利用することができる。
その身に宿る才能を「雫の幼生」の数だけやり直して、力の調整ができるようになるのだ。
力とは使う者によって本質は変わる。
道具と同じだ。
だからきっと、これからは正しい使い方が行われるだろう。
リエーニエ編はこれにておしまい。
意図したりしていなかったりで回収していない要素もありますが、それは次回以降に回収できる機会があれば……という具合です。
次回は未定ですが、ここまでお付き合いいただいた皆様には今一度御礼申し上げます。
また感想や誤字報告・お気に入り登録なども励みになっております。こちらについても感謝申し上げます。