◆一「赤獅子の砦」
ゲール坑道の南に、大きな砦が聳え立っている。
そこはゲール砦といい、入り口や内部は赤獅子が警備している。
特筆すべきは、入り口を護る者は空から大量の矢雨を降らせる技を持つことだな。
これは重力にまつわる技であるらしく、文献を漁ると魔術の一種であるそうだ。
残念ながら、褪せ人が使えるという情報はなく、ラダーンや赤獅子の古株にのみ許された秘奥義であるらしい。
砦の中を探索すると「星砕きの伝承」というタリスマンを入手した。
筋力を高める効果があるとされるが、どちらかというとタリスマンに込められた物語の方が興味深い。
曰くデミゴッドで最も強いとされた英雄は、降る星に一人で挑み砕いたという。
以来、星の運命は封印されたのだという。
以上、伝承に込められた物語の一部抜粋だ。
つまり、ラダーンは降る星を砕いたというわけだな。
これが星砕きの由来であることは言うまでもない。
先述の重力の技は、この星に備えたものだろうか?
他にも理由があったのだろうか?
いずれにしろ、ラダーンと重力の技が密接な関係があることは明白だ。
ラダーンと赤獅子の軍団。
重力の技と、魔術。
ゲール坑道の件も含めて、ラダーンと赤獅子には一定以上魔術と縁があることが伺える。
ラダーンとはレナラの子であるが、その縁故だろうか?
※追記
赤獅子の軍団が使う矢雨だが、俺の調べの限りやはりそれらしい魔術は見つからない。
だがそれに近しい戦技はあった。
アローレイン。
時空の"ずれ"た先の褪せ人の一人が教えてくれたもので、これは弓を使う"戦技"だそうだ。
この戦技を使えば、複数の矢が雨の如く敵に降り注ぐ。
竜のような体躯のでかい怪物相手には効果的である他、意外なことに毒矢のような状態異常効果を持つ矢との相性もいいそうだ。
入手経緯的に、ラダーンとの関連性が伺えると言っていた。
以前紹介した"絵画"を追って入手できた戦灰で、今回のものの題名は「赤獅子」なのだそうだ。
もしかしたら、上述の赤獅子の軍団が使う矢雨は、魔術ではなく戦技なのかもな。
ただ、絵画の出所が魔術街サリアであることから魔術に関連する技術である可能性は非常に高い。
◆二「火の僧兵の力」
ゲール砦だが、実は赤獅子以外の勢力の痕跡も見受けられた。
火の僧兵。
彼らが使うという火の戦車が、赤獅子の軍団と共にゲール砦を護っていた。
つまり火の僧兵と赤獅子は一定のつながりがあることが伺える。
まぁ火の僧兵の祈祷「火の癒しよ」が、朱い腐敗に有効であることを考えれば当然だろうな。
ラダーン軍は朱い腐敗に対抗するため、火の僧兵を頼ったわけだ。
どういう取引があって火の僧兵が赤獅子に力を貸したかは調査中だが、しかしその取引は正しく合理的という他ないだろう。
ところで少し気になる祈祷が、ゲール砦にあった。
「火よ、力を!」
これも火の僧兵たちの祈祷であり、特に高位とされるもののようだ。
効果だが、自らの内に火をおこして、物理および炎属性の攻撃力を高める。
火の僧兵たちもまた優れた戦士であることは周知の事実だが、その強さの秘密の一端がこれだろう。
しかし興味深いのは、「火の癒しよ」と異なり術者自身を焼くことはないという性質だ。
故に監視者の禁術である……というのが、この祈祷にまつわる知識だ。
この祈祷がケイリッドのゲール砦にあったということは、禁術を扱うような一派がゲール砦および赤獅子に力を貸していたということだろうか?
だとしたら、リエーニエの時とは異なりケイリッドの僧兵の働きは監視者勢力の本意というわけではないのかもな。
◆三「転送門」
ゲール砦の奥に、転送門があった。
転送門とは、文字通り遠く離れた地へ転送してくれる門だ。
これは赤獅子の軍団に限らず、狭間の地全域にある技術だ。
今まで縁がなかっただけで、リムグレイブやリエーニエにもある。
ゲール砦の転送門の先は、なんとケイリッド南端の赤獅子城に繋がっていた。
つまり、俺はもう戦祭りの会場にたどり着けたってことだ。
まぁ冷静に考えれば、当然のことではある。
ゲール砦は赤獅子の軍団の拠点であり、彼らの本拠地である赤獅子城とはつながりがある。
そもそもゲール坑道で採れた鍛石を赤獅子城に運ぶための中継地点が、ゲール砦なのだろうな。
道理で赤獅子の軍団の警備が堅いわけだ。
一方で赤獅子城の警備は殆どない。
これはおそらく戦祭りのため、俺のような褪せ人を迎えるためだろう。
案内人こそいなかったが、しかし奥に入れば同じような褪せ人が集っていた。
残念なことに、大半の褪せ人は時空の"ずれ"た先にいるようでまともに聞き込みはできなかった。
中には獣人や壺人もいたのだが、彼らも時空の"ずれ"の先にいるせいで話を聞けなかったのが実に惜しい。
それから、戦祭り自体も開催はあと少しだけ待たなければならないようだ。
これも時空の"ずれ"によるものかもしれない。
俺の世界の大ルーンを持つ"放浪騎士の彼"の姿がなかったことから、まだ"役者が揃っていない"ということでもあるだろうな。
まぁ場所は覚えて、祝福を通じた転送はできるようになった。
時期が来るまでは、ケイリッドを探索して情報を集めることとしよう。
◆四「キレムの廃墟」
色々と寄り道したが、燻り教会から道なりに進むと「キレムの廃墟」にたどり着く。
ここは炎に焼かれた亡者が蔓延り、さらには火の僧兵の戦車まで暴れている危険地帯だ。
だがもともとは、ケイリッド西部における交通の要所となる街だったと思われる。
キレムの廃墟は、東西南北に道やその痕跡がある。
廃墟から見て北はリムグレイブへ続き、西に向けば前述のゲール坑道や砦へたどり着く。
もしかしたら西の坑道や砦も、もともとは街の一部だったかもな。
南へ行けば赤獅子城への道がある他、東へ行けば「グレイオールの竜塚」と呼ばれるエリアにもアクセスできる。
グレイオールの竜塚への道は、まともなつながり方をしていない。
途中で崖を飛び越えなければならないからな。
だが崖を飛び越えた先は木の柵があったり道が続いていたりと、かつてはまともな道が繋がっていたと思わしき痕跡がある。
グレイオールの竜塚は、腐敗から逃れた竜たちの住処であり、かなりの危険地帯だ。
だがこのエリアに神授塔や何らかの神殿があったりすることから、もとは重要な一帯だったと思われる。
当然人の出入りも一定以上はあったことだろう。
そんなグレイオールの竜塚に繋がる「キレムの廃墟」は、かつては各地を往来する商人や旅人の重要な拠点だったに違いない。
どことなく城壁の痕跡らしきものや遠くを見渡せる「鳥の遠見」があったことから、本来はとても賑やかな街だったのだろうな。
※追記
キレムの廃墟の地下には「かぼちゃの狂兵」がいた。
かぼちゃの狂兵は大柄で力の強い化け物で、元は剣闘士であるという。
出血や虫の羽生で狂ってしまう性質を持ち、普段はかぼちゃの兜の暗闇で恐慌を抑え込んでいるという。
そんな有り様になるほど壊れてしまっていて、転じて彼らが望んだ剣闘は凄まじく過酷だったのかもしれないな。
一方で、剣闘は市民にとって娯楽だ。
狭間の地でもそういう文化があった痕跡があり、道こそ繋がっていないがキレムの廃墟の北には闘技場がある。
道が完全に繋がっていないことから今はまともに闘技が行われていないだろうが、闘技場があるからには昔は闘技が行われ、そしてまともな道もあったに違いない。
かぼちゃの狂兵という剣闘士がいたことから、キレムの廃墟は「リムグレイブ」「ゲール砦」「赤獅子城」「竜塚」だけでなく「闘技場」への中間地点でもあったかもしれない。
考察すればするほど「キレムの廃墟」は交通においてかなり重要な都市だったかもしれないという可能性が見えてくるのは、実に面白い限りだ。