◆一「鈴玉狩り」
以前紹介した鈴玉だが、実はこの鈴玉を狙う悪党が狭間の地に潜んでいる。
そいつは「鈴玉狩り」と呼ばれていて、大抵は商人がいるところに現れる。
もしくは単なる褪せ人がいる場所に現れるケースも聞くが、いずれにしろ鈴玉を得られる見込みがある場所に現れるそうだ。
この鈴玉とは、円卓の双子に渡すことで双子の取引が拡張される。
とりわけ鈴玉の主が取り扱っていた品物が、そのまま双子の取引に追加される。
だから鈴玉の主とは、ルーンの取引を生業とする者達であるわけだ。
商人といえば真っ先に思いつくのが放浪商人だが、鈴玉を生み出すものは彼らに限るわけではない。
褪せ人もまた、ルーンの取引を繰り返した者は何らかの理由で死んだ時に鈴玉を落とすという。
鈴玉とは、取引の概念に紐つけられた遺物なのかもな。
それを狙う「鈴玉狩り」の意図はよくわからない。
円卓の双子に渡す以外の用途があるのかもしれないが、現状だと情報がなくて確かなことは何も言えない。
ただ、奴は夜にのみ現れるという噂は聞いた。
だからか、商人たちの一部は夜になると姿を消して身を守るようにしているという。
夜は、例の騎兵や死の鳥も現れる危険な時間帯だ。
特別な理由がない限り、夜は焚火を囲んで時間を潰すに限るな。
◆二「ケイリッドの神授塔」
キレムの廃墟から以前記した竜塚のエリアに侵入すると、ケイリッドの神授塔を見上げることができる。
おそらく本来の入り口は失われて久しいのだろう。
サリアの燭台と同じように巨大な木が進入路となり、そしてラダーン軍の兵が外壁に梯子をかけていた。
その梯子をのぼった先の道をたどることで、ようやく内部に侵入できた。
この神授塔はラダーン将軍の大ルーンに対応した場所のようで、内部にもラダーン軍が何人かいた。
だがそれよりも興味深いのは、ここの下層に黒炎を使う者達がいたことだな。
黒炎とは神肌と呼ばれる者達の業とされる。
つまり、彼らこそが神肌と呼ばれる者達なのだろう。
彼らは火の僧兵と似た姿をしていた。
もともとは監視者だったのだろう。
だがどうやらその任を捨てたようだ。
曰く、神狩りの黒炎に魅入られた、禁忌の誘惑に負けた者達であるという。
以前、ケイリッドにおける火の僧兵の痕跡には「火よ、力を!」という禁術を扱う者がいたかもしれないと記した。
禁術を扱うとは、禁忌に近づくということでもある。
その禁忌とは、神肌の黒炎だったのかもしれない。
神授塔地下の最奥には「神肌の使徒」と呼ばれる者がいて、サインの力を借りて突破すると宝箱にありつけた。
宝箱には「神狩りの剣」が収められていて、調べてみると使徒たちが操る黒炎はこの剣によりもたらされたという。
火の僧兵……それも禁術を使うかもしれない奴ら……がラダーン軍に味方しているのは、ケイリッドの神授塔に保管されていた「神狩りの剣」が理由なのかもしれないな。
◆三「グレイオール」
竜塚の東の方を探索していると、何匹もの竜を見かけた。
彼らは腐敗からこの台地へ逃れたもので、だからこそこのエリアが竜塚と呼ばれる所以なのだろう。
だがその竜たちには親玉というべき存在がいるようだ。
それは山のように巨大な竜で、名を「グレイオール」というそうだ。
奴は竜の大母という異名を持つ存在で、周囲にいる竜たちは眷属のようなものなのだそうだ。
だが特徴的なのはその咆哮。
グレイオールの咆哮を喰らうと、攻撃力と防御力に支障をきたしてしまう。
戦闘能力が低くなってしまう危険な攻撃で、しかも咆哮の範囲が広いため回避はできない。
グレイオールの周辺では戦闘は避けるべきだろう。
いっそ奴を倒す術があれば話は手っ取り早いんだが、竜塚にいるものたちはどいつもこいつも強い。
そんな竜塚の主ともいうべきグレイオールの力もまた計り知れないものだから、慎重に立ち回るべきだろう。
◆四「ファロス砦」
今は竜塚と呼ばれるこのエリアだが、かつては一定以上人の行き来があったと思われる。
その証拠の一つに、このファロス砦の存在がある。
ファロス砦はグレイオールが眠る地の近くに建つ砦だ。
もとはラダーン軍が管理していた砦なのだろうが、いまや人面蝙蝠やネズミが巣食う廃墟と化している。
だがそれでもラダーン軍が管理していた頃の名残か、単に時間がかしいでいるのか、ラダーン兵の霊体が現れることもある。
探索にはかなりの困難が伴うだろう。
だがそれ相応のお宝もあったようだ。
運の悪いことにすでに俺と時と空間を共有する誰かが持って行った後のようで、もぬけの殻だったがな。
きっといいお宝だったのだろうが、口惜しいばかりだぜ。
このファロス砦だが、もともとはこの台地を支配する目的で建築されたのだろうな。
その意義については、考察の余地があるように思う。
順当に考えればケイリッドの神授塔の存在が絡んできそうだが、個人的には台地の北に建つ神殿の方が匂う。
立地的に、あそこの神殿を守護するためのものではないかと考えている。
この場合の守護とは、かの神殿を俗世から隔離するといった意味合いも込められている可能性を感じる。
訪ねてみたら、いいお宝にありつけるのかもな。