◆一「遺跡の大剣」
戦祭りは終わった。
ここに集う戦士達はそれぞれの使命の旅に戻り、我が戦友たる放浪騎士の彼もまた別の用事のためにと旅立った。
誰もいなくなった赤獅子城の広場は、どこか寂しげな風が吹き通っていた。
祭りを運営していた城主も旅に出たからだろうか。
だが、赤獅子城にはまだまだお宝が眠っている。
俺も何とか歯を食いしばって戦ったからか「遺跡の大剣」というお宝を得ることに成功した。
これは空から降る遺跡の残骸であるといい、砕けることのなかった欠片を大剣として鍛えたものだという。
空から降る遺跡と言えば、個人的には死に生きる者たちの「死の鳥」や黒炎を扱う「神肌の祈祷書」との関連性が印象的だ。
だがこの「遺跡の大剣」は、崩壊の力を宿しているという。
崩壊の力は重力魔術によく似た、あるいは同種の力ではないか……というのが俺の意見だ。
遺跡を崩壊に追いやった"隕石"の存在が噂されており、それがその崩壊の力の由来なのかもしれない。
とても貴重な資料だ。
大切に保管しようと思う。
武器として振るうには、あまりにも重すぎるからな。
できるだけ丁重に扱い、調査に役立てよう。
◆二「灼けた砥石刃」
赤獅子城で得たお宝は他にもある。
「灼けた砥石刃」。
これは物理および炎系の戦灰で武器に属性付与する際、炎と炎術の属性を追加で選択できるようになるもの。
簡単に言えば、武器に炎属性を付与できるようになる道具だ。
勿論無理やり炎属性を付与できるというものでもないが、選択肢は大幅に広がる。
「炎」属性と「炎術」属性の違いは、それぞれ「筋力」「信仰」と相性がよい点にある。
「炎」属性の武器は、筋力がある褪せ人ほど大きな炎を出力できる。
一方で「炎術」属性の武器は、信仰心に反応して炎の威力を高める。
実際に属性付与する際は、その辺りと相談しないといけないな。
ラダーン軍はケイリッドを蝕む朱い腐敗に対し、火で対抗していた。
これはそのための道具なのだろう。
赤獅子の軍団ことラダーン軍は、そのすべてが熟練の戦士であるという。
そんな彼らは炎の武器を振るうことでも知られていて、その武器を鍛えた一端がこの砥石刃なのだろう。
頼もしい限りだ。
ぜひ俺もその恩恵に肖ろうと思う。
※追記
砥石刃には種類がある。
この項では、俺が知る限りの種類を簡単にまとめようと思う。
「鉄の砥石刃」。
「重厚」「鋭利」「上質」の属性を武器に付与できるもの。
「重厚」は「筋力」が高い褪せ人と相性が良く、「鋭利」は「技量」に優れる褪せ人と相性がいい。
「上質」は「筋力」と「技量」を併せ持つ英雄が振るうことで真価を発揮する。
俺が入手したものは、ストームヴィル城にあったものだ。
「輝石の砥石刃」。
「魔力」と「冷気」の属性を武器に付与できるもの。
「魔力」属性は、知力のある褪せ人と相性がよく、「冷気」は相手を凍傷させて弱らせる力を持つ。
俺が入手したものは、もともと魔術学院レアルカリアの中に保管されていたもの。
おそらくは時空の"ずれ"により、魔術学院の外にこぼれたと思われる。
「聖なる砥石刃」。
「神聖」と「雷」の属性を武器に付与できるもの。
「神聖」属性の武器は信仰に篤い褪せ人であれば絶大な力を誇るようになり、「雷」は文字通り雷属性の武器へと鍛える。
現時点で現物は入手できていないが、どうやらアルター高原にある王都ローデイルにて保管されているという噂がある。
「黒い砥石刃」。
「毒」「血」「神秘」の属性を武器に付与できるもの。
いずれも「神秘」と呼ばれる力を持つことで、大きな味方になるという。
こちらについても現物を入手できていない。
この狭間の地の地下に眠っているという噂があるだけで、実在するかも不明だ。
だが入手できれば、選択肢を大きく広げることができるだろう。
探る価値はあるかもしれない。
◆三「赤獅子の火炎壺」
赤獅子の軍団が使う火炎壺は、どうやら特別製らしい。
赤獅子城で得たお宝の一つに製法書があったんだが、その製法書に曰く赤獅子の火炎壺はより大きなダメージを誇るという。
この「赤獅子の火炎壺」は、その壺に赤獅子の紋章を刻むのが特徴だ。
その性質故か、このアイテムの制作には「ヒビ壺」ではなく「儀式壺」を用いる。
儀式壺とは、ヒビ壺よりも負荷に強い特別な壺だ。
壊れてもまた復元する性質はヒビ壺と同じで、純粋にヒビ壺の上位アイテムといった感じのシロモノだ。
だがそれだけにヒビ壺よりも貴重なアイテムだ。
ヒビ壺同様に廃墟などに眠っていたり商人が売っていたりするから、可能であれば入手して数を確保しておきたいところだ。
さて、改めて「赤獅子の火炎壺」について。
この壺はキノコ二個・燻り蝶・古牙を儀式壺に詰め込むことで完成する。
キノコと燻り蝶は従来の火炎壺でも使用する材料で、比較的入手しやすい筈だ。
だが「古牙」は比較的大型の獣を狩るなどして調達しなければならない。
興味深い入手例として、赤獅子城やゲール砦などにいる老獅子を倒すとこの「古牙」を入手できる。
赤獅子の軍団と老獅子に一定の関係性が見えるのは、この「赤獅子の火炎壺」と「古牙」の関係が所以なのかもしれないな。
◆四「英霊たちの地下墓」
慟哭砂丘。
赤獅子城北の教会から至れるこの場所は、おそらく赤獅子城が攻められた場合の抜け道であったと思われる。
だが具体的にどのような道があり、どういった撤退経路を想定していたかは不明だ。
ケイリッドの闘技場にまともな道がなかった件も含めて、何らかの地形変動があったのかもしれない。
現在の慟哭砂丘はラダーン祭りの舞台であり、そして破砕戦争の面影を強く残す場所である。
そして、その証左となるのが「英霊たちの地下墓」だ。
慟哭砂丘の北東。
ほぼ海沿いにある扉が至れるこの地下墓は、その立地から察するに、もともとはラダーン軍のための施設だったと思われる。
だが現在、地下墓内部では霊体となったラダーン軍とマレニア軍が今なお殺し合っている。
彼らは今でも破砕戦争の時に囚われたままなんだ。
地下墓下層では朱い腐敗の沼が溶けだしていることから、マレニアの朱い腐敗の影響によりマレニア軍の霊体も出没するようになったのだろう。
あるいは、ラダーン軍に刻まれた破砕戦争の記憶が映し出された結果、こうなっているのかもな。
地下墓を探索すると、ラダーンに由来する魔術「星砕き」やラダーン兵の遺灰などを見つけた。
中には赤獅子最古参として有名な「赤獅子騎士、オウガ」の遺灰まで納められている。
彼もまた大弓の使い手であり、重力の矢雨を降らせることができる賢しくも猛き戦士であったという。
ここで見つけることができる痕跡は悉くラダーン軍絡みだ。
多分、上述した俺の見立ては正しい筈だ。
ちなみに、見つけた遺灰は後々丁重に弔わせてもらった。
流石に、腐敗沼に放置したままというのは気が引けたからな。
わずかでも情報を得ることができた礼として、できる限りのことをしておいた。
その場に放浪騎士の彼がいれば、彼に委ねることも考えたけどな。
霊体を呼び出す術と資格を持つ彼なら、きっとラダーン兵たちの意思をくみ取った対応ができる。
もしかしたら、旅の仲間として連れて行ったかもな。
◆五「ケイリッドの探索を終えて」
さて、これでケイリッドの情報は以上だ。
かつてケイリッドは森林地帯が広がる緑豊かな景色であったといい、腐敗が齎されるまでは、森の街道を力強く走る赤獅子の騎馬隊の光景があったのかもしれない。
縁あってラダーンをおくる鎮魂歌……と思われる曲を聞いたが、その情報のせいか雄々しい森の中に佇むラダーン将軍の姿を想起できた。
一方で個人的な印象としては、キレムの"街"とサリアの街の二大都市の存在が強く記憶に残っている。
もとは森の中の都市であったことを考えるとまだまだ考察の余地がありそうだ。
俺の使う祈祷「黒炎」や「黒炎の刃」の源泉であろう「神狩りの剣」についてもな。
勿論俺が見つけていない情報も少なくないだろうし、あえて手帳に記す必要もないだろうと考えた情報の中に見逃した重要情報があるかもしれない。
そもそも俺の見立てそのものが間違っている可能性もある。
だがまぁ、ケイリッドの大雑把な概要ぐらいはまとめることができたのではないかと自負している。
それが正しいのか、それとも間違っているのか……そこは、この手帳を手にした君が判断してくれ。
この手帳はあくまで真実のための糸口なのだから。