名もなき褪せ人の手記   作:上代わちき

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 ケイリッド編では、導線というものを意識してみました。
 ですが、ケイリッドの大ボスであるラダーンを倒すと、永遠の都エリアが解禁されます。

 そのため、ケイリッドのラダーンからの導線を意識してついに地下世界を解禁してみました。
 現在の想定としては、地下世界そのものではなく「永遠の都、ノクローン」を主題にしている……という具合になります。


ノクローン編
二十八ページ目「永遠の都にて」


 

 

 

◆一「リムグレイブの大穴」

 

 将軍ラダーンは星を封印していた。

 この与太話が真実何を意味しているか、その具体的なところはわからない。

 だが一定の信憑性はあるものと考えている。

 

 ラダーン祭りの直後、何かが狭間の地に落ちた。

 それはリムグレイブに落ちたようだ。

 

 

 何せそこに大きな穴ができていたからな。

 特異なのは、岩の破片が大量に浮いていることだ。

 

 重力にかかわる何かの影響だろう。

 それがラダーンの修める重力魔術を想起させるのは、言うまでもない。

 浮いた岩の破片はゆっくりと渦を形成するかのように回っている。

 

 

 一方で、その大穴周辺にて面白いものを見つけた。

 

 

 遺跡だ。

 何かが落ちた際の衝撃でできた穴の先に、遺跡が広がっていたんだ。

 

 青白い火を灯す燭台。

 その不思議な灯りを頼りにどんどん下へ降りていくと、都市の姿が見えてきた。

 

 

 

 「永遠の都、ノクローン」

 その都市の成れの果てが、狭間の地の広大な地下に眠っていた。

 

 もしかしたら、ラダーンが封印していたのはこれのことなのかもしれない。

 さっそく、その秘密を探ってみることにした。

 

 

 

◆二「銀の雫」

 

 永遠の都。

 その建物群の屋根を伝っていくと、妙な存在に出くわした。

 

 そいつは「銀の雫」というそうで、なんというかスライムのような姿をしている。

 不定形生物とも表現できるだろう。

 

 

 この時、俺が出くわしたのは槍を形成して突きだしたり飛ばしたりする個体だった。

 つまり液体のような体を、一時的に硬化できる性質を持つ。

 

 なかなかに厄介な奴だが、一方でその本質は別のところにあるようだ。

 

 

 

 円卓の文献に曰く「銀の雫は生命を模倣する」ようだ。

 そして「模倣はやがて再誕となり」「いつか、王になるのだという」らしい。

 ここに引用する。

 

 なんとなく以前紹介した、サリアの街に縁深い「夜の王」を思い出すのは俺だけだろうか?

 案外その「夜の王」を蘇らせようとしたその痕跡が、この「銀の雫」かもな。

 

 

 

 他方で、おそらくは別件だが、似たような話を聞いたことがある。

 考察の邪魔になるかもしれないが、一方で何らかのヒントになるかもしれないので、あえて記述する。

 

 

 これは東の国の話。

 あるいは葦の国か、それに近しい別の国での話だ。

 

 

 なんでも『黄泉への門を開く』力を持つ、不可思議な刀がその国にあるのだという。

 その刀は不死を殺す力を持つともされるが、一方でその不死を生贄にすることで死者を蘇らせるという。

 

 その数少ない使用例として、とある国主がその命と引き換えに先代国主というべき存在を蘇らせたらしい。

 それも"新しい肉体"と共にな。

 

 国主とは、即ち王だ。

 その国は、王の蘇りを求めて成し遂げたのだ。

 

 

 

 「銀の雫」とは、王の模倣というアプローチを以て王の再誕……即ち「王の蘇り」を試みたものと思われる。

 それはつまり、形はどうあれ、王に"新しい肉体"を齎すものだ。

 

 先述の例と「銀の雫」が同質のものとまでは言わないが、しかし似た思想を持つ何かであることは、推察できるとは思う。

 

 

 

 肉体はいずれ老いて、腐りゆくもの。

 だがその肉体を更新していけば、あるいは不死が叶うかもしれない。

 その不死が王であれば、国もまた永遠を約束される。

 

 そう願った者達が、この世界に存在するようだ。

 

 

 

◆三「落ちる鷹の兵団」

 

 永遠の都の中を進むと、小さな人型の者達を見つけた。

 

 彼らは「落ちる鷹の兵団」というらしく、褪せ人よりも小さく貧弱な体を持つが、大盾や弓矢を駆使する侮れない戦士となっている。

 その出自は不明だが、かつて永遠の都の探索を命じられた奴隷達だという。

 

 狭間では小さな体は蔑みの対象とされるようで、小さな体を持つ彼らが奴隷として扱われるのはその流れを汲んでいるからだろう。

 

 

 

 一方で、彼らは霊火の力を使いこなす。

 その代表的なアイテムが「霊火の矢」で、こいつを喰らうと魔力属性のダメージと「冷気」の状態異常効果に苛まれる。

 火でありながら「冷気」を齎す特殊な攻撃で、そのまま「凍傷」になってしまうとより傷つきやすくなるから要注意だ。

 

 これは同時に彼らのルーツを探る貴重な資料でもあるが、一方で永遠の都の探索に入ってから冷たい霊火を手に入れたとされる情報も手に入った。

 今のところ彼らについて確実な情報はないから、これ以上確かなことは言えなさそうだ。

 

 

 

 判然とわかったことは一つ。

 

 永遠の都には、探索に値するお宝が眠っている。

 そう考える者達が、この世にいたという事実だけだ。

 

 

 

◆四「霊姿摘みの鈴玉」

 

 落ちる鷹の兵団が屯する広場で、有用なアイテムを手に入れた。

 

 

 霊姿摘みの鈴玉。

 これは、円卓の双子が「すずらん」を売ってくれるようになるアイテムだ。

 

 おそらくは、すずらんを摘んで売ることで生計を立てていた誰かの遺品なんだろう。

 

 

 

 すずらんといえば、大分前に紹介した遺灰を強化するのに必要なアイテムだ。

 俺にはあまり縁のない代物だが、遺灰の霊体を呼び出せる選ばれた褪せ人にとってはとても益のある品となる。

 なんせ、ルーンさえあればほぼ無限に入手できるようになるからな。

 

 

 

 だが、俺が見つけたこれは「特別なすずらん」にちなんだもののようだ。

 そういうものは霊姿に寄り添うもの……即ち「霊姿」という通称を持つようになる。

 「霊姿の墓すずらん」だ。

 

 

 

 遺灰の中には、死してなおも名前を失わないものがある。

 そういう特別な遺灰は、通常のすずらんでは強化できない。

 

 この「霊姿の墓すずらん」は、名前を持つ遺灰を強化するためのアイテムとなる。

 「霊姿摘みの鈴玉」の入手は、その特別なすずらんを多数手に入れる貴重なチャンスというわけだ。

 

 

 

 もしこれを読んでいる君が、名前を持つ遺灰と縁があるならば、「永遠の都」に潜るといい。

 運が良ければ、時空のずれの先でこの「霊姿摘みの鈴玉」が手に入るかもしれないぜ。

 

 

 

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