名もなき褪せ人の手記   作:上代わちき

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アルター高原編
三十二ページ目「古遺跡断崖の上にて」


 

 

 

◆一「捨てられた荷車」

 

 古遺跡断崖から登り続け、溶岩土竜という大敵をいなした先に「アルター高原」は広がっている。

 ラダーン祭りを経た俺なら、何とかなる試練だった。

 

 古遺跡断崖奥の昇降機を登った先は、大量の荷車が捨てられていた。

 リエーニエ西部でトロルがひいていた、あの仰々しい荷車と同じものだ。

 

 

 何らかの理由で、どこかからここまで逃げてきた末路だろうか。

 それとも意図的にここが荷車の捨てる先として利用されているのか。

 

 いずれにしろ、それなりに凄惨な何かがあって、それに関連している場所がここなのだろう。

 

 

 

 詳しい情報は見つからなかったが、ちょっとした背景は推察できそうだ。

 

 荷車傍の死体から"譲ってもらった"ものに「領主の仮面」がある。

 これは老賢を象る、小国の領主たちの装束だ。

 装備すると信仰を高める効果がある。

 

 おそらくこの荷車の群、あるいは一部についてはこの領主の持ち物だったのだろう。

 領主といえばそれなりの地位であり、一定以上は安定した生活を享受できる者達だ。

 それなりに苦労はしているだろうが、しかしそんな生活を放ってしまわないといけない"何か"があったに違いない。

 

 

 

 黄金樹の麓である「アルター高原」。

 ここもまた、エルデンリングが壊れたが故の悪影響が色濃く出ているのだろう。

 

 

 

◆二「忌み子」

 

 捨てられた荷車の群には、何体か「忌み子」がいた。

 これは以前にも記した、王都ローデイルの地下に封じられ、けれども戦の折に出された者達なのだろう。

 

 彼らの身体的特徴として、体中から生える角があるが、俺が見た者達は皆その角を折られた"凄惨な痕跡"が見られた。

 とても痛々しい跡だった。

 

 

 そんな彼らが荷車の群にいたのは、略奪が目的なのか……?

 

 彼らの特徴として、褪せ人より大きく強靭な肉体が挙げられる。

 ちょっとした斬撃程度じゃ、奴らは体力にものを言わせて耐えてしまう。

 戦技「構え」による強烈な突き上げとかで大きく怯ませていけばそれなりに有利に戦えるが、無策で挑めばかなり面倒な相手となるだろう。

 今の狭間の地では、虐げられた「忌み子」もまた褪せ人の敵だからな。

 

 

 また、奴らが振るう武器の一つ「忌み子の太刀」は、筋力を必要とする野蛮ながらも強力な威力を誇るもの。

 忌み子の並外れた筋力を物語るものであり、その攻撃力も馬鹿にならない。

 

 一方で、忌み子が振るう武器には「劣化の呪法」なるものが施されているらしい。

 刃に浮かぶ紋様が、その名残であるという。

 

 

 彼らの肩身の狭そうな状況が推察できるが、一方で彼らを使役する側も彼らを恐れたという証左だろうな。

 並の者より恐ろしい強敵である事実を、より端的に示している。

 

 

 

 繰り返すが、忌み子もまた褪せ人の敵だ。

 用心は怠らないようにな。

 

 

 

◆三「ランサクス」

 

 荷車の群をのぼっていこうとすると、突然化け物に襲われた。

 

 それは赤い雷を操る竜。

 それも、古竜と呼ばれる怪物の一体だった。

 

 

 広範囲を薙ぎ払う、薙刀のような赤い雷が印象的だった。

 

 

 

 その時の俺は、遠くから「黒炎」をいくつか投げつけるぐらいしかできなくて、隙を見つけて逃げることしか頭になかった。

 幸い俺の「黒炎」を嫌ったのか、いつのまにか奴の方から姿を消して凌ぐことはできたが……。

 

 

 

 折を見て円卓に戻って文献を漁っていくと「古竜ランサクス」の記述が見つかった。

 いくつかの特徴が合致していたことから、俺があったのはほぼ間違いなくランサクスだと思う。

 

 ランサクスは、フォルサクスなる者の姉として知られている。

 人の姿に化けて、古竜信仰の司祭として騎士たちと交わったという。

 

 

 

 俺が時折振るう祈祷「雷の槍」や「雷の武器」は、もしかしたら奴……いや、彼女が伝えたものなのかもしれない。

 そう思うと、かなり貴重な出会いだったのだろうな。

 

 

 

◆四「エインセル河本流」

 

 これはアルター高原とは関係ないんだが、耳寄り情報を手に入れたんでな。

 この項ではそれについて記す。

 

 リエーニエ東部にあるという井戸から降りた先に「エインセル河」という地がある。

 そこの、特に「本流」と呼ばれるエリアは"高品質なすずらん"がたくさん採れるという。

 

 

 すずらんとは、簡単に言えば遺灰を強化できるアイテムだ。

 俺は割と無縁の存在だが、遺灰は選ばれた褪せ人にとってはかなり心強い仲間だ。

 その仲間を強化できるのは、狭間の地の攻略を目指す褪せ人にとってとても重要な情報だろう。

 

 「霊姿摘みの鈴玉」も、このエインセル河本流の奥に眠っているという情報も聞いた。

 俺が見つけた鈴玉より、さらに上位の「霊姿の墓すずらん」を入手できるようになる鈴玉だという。

 

 

 もしこれを読んでいるのが遺灰と縁がある褪せ人なら、一度エインセル河本流を探ってみることを勧める。

 

 

 

 肝心の行き方なんだが……どうやらリエーニエの井戸からは「本流」にはいけないらしい。

 

 その代わり、以前記した「ノクローン」の夜の神域に、本流に繋がるお宝が眠っているらしい。

 それがどういう意味で繋がるかはわからないし、俺が探索した時にそれらしい心当たりは殆ど思いつかないが……。

 あるいは、あそこの椅子廟の宝箱がそうだというのか……?

 

 

 まぁ、時空の歪みで俺には見つけられなかっただけの可能性もある。

 エインセル河本流に興味があれば、一度ノクローンの夜の神域も探ってみてくれ。

 

 すずらんを多数入手できる地、というのはノクローンも同じだ。

 そういう意味でも価値のある探索ができるはずだ。

 

 

 




 活動報告でも申し上げていますが、現状本作では「ノクローンを除いた地下世界」や「影の地」などといった一部エリアはスキップする予定です。

 が、エインセル河本流については、そこに落ちている「霊姿摘みの鈴玉【2】」の存在が、攻略においては比較的大きいものであると考えたため、今回はこういう感じで触れてみることにしてみました。
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