名もなき褪せ人の手記   作:上代わちき

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三十六ページ目「アルター高原の街道にて」

 

 

 

◆一「大きな街道」

 

 日陰城から戻り、再び「黄金樹を臨む丘」でキャンプした。

 そのタイミングで時が重なった褪せ人と出会ってな、一緒に茹でたエビは絶品だったぜ。

 一応作り方は知っているが、あの塩加減はなかなか真似できそうにないのが口惜しい。

 

 さて、ここ最近は「黄金樹を臨む丘」を拠点としてきたが、そろそろ出発の時期だ。

 

 

 丘から東へ向かうと、道を塞ぐかのように野営地が広がっている。

 ローデイルの兵達のもので、大型のバリスタまで用意していることからよほど「古遺跡断崖」方面から来る何者かを警戒していたようだ。

 それは俺のような褪せ人か、あるいはゲルミア火山か日陰城の誰かを警戒しているのか……?

 

 ただ、エルデンリングが壊れた影響で抜け道はある。

 うまいこと回り込んでやり過ごすことはできそうだ。

 野営地の物資が欲しければ、うまく身を隠して兵達の後ろから奇襲を仕掛けるのがおすすめだ。

 バリスタも背中から襲う分には御しやすいだろう。

 

 ここで一度、野営地への対処方法と隠密のやり方をおさらいすることを勧める。

 

 

 ……と、話が長くなったが、そんな野営地をやり過ごすといよいよ王都ローデイルへ続く街道にたどり着く。

 南西にはリエーニエと行き来できる「デクタスの大昇降機」があり、逆の方に行けば王都ローデイルへたどり着けるようだ。

 つまり、本来はこの街道が王都への正規ルートだな。

 

 それだけあってローデイル兵やゴーレムの行き来も少なくない。

 黄金樹もさらに大きく見えてきたし、周りの平原もその影響か黄金色に輝いている。

 

 

 いよいよ、ここからがアルター高原の本領だ。

 

 

 

◆二「ルクスの廃墟」

 

 あえてデクタスの大昇降機の方へ進んで探索すると、ルクスの廃墟を見つけた。

 ここは亜人達のテリトリーになっているようで、内部には以前記述したものとは別種の「亜人の女王」がいた。

 

 ゲルミア火山にいた亜人達の勢力とは、何らかの理由で敵対しているか、まぁせいぜいが中立の勢力だろう。

 でなければ行動を別にする理由はない筈だ。

 

 

 あまり大した情報はないんだが、しかし廃墟の中には「捧闘の剣のタリスマン」を見つけた。

 体力が有り余る時に限り、攻撃力を高める有用なタリスマンだ。

 もともとは闘技場や、その戦士達に関連した施設だったと思われる。

 

 王都ローデイルにも、闘技場の一つがあったと知られている。

 あるいは、戦士達がそこに至るための、中継地点か何かだったのかもな。

 

 

 

◆三「黄金の一族の封牢」

 

 ちょっとデクタスの大昇降機周辺を見て回ったら、崖の下に封牢を見つけた。

 どうやら谷の方から回り込むことでたどり着ける場所のようだが、大昇降機南西の崖沿いでなんとか降りることでも行ける。

 

 封牢を調査してみると、なんとあのゴドリックと同じ姿をした怪物が現れた。

 

 接ぎ木のゴドフロア。

 その姿はゴドリックと同じく、数多の腕を持つ。

 どうやら接ぎ木の儀式は、ゴドリック固有のものではないらしいな。

 まぁ多腕の文化は彼らに限ったことじゃないから、今更と言えば今更だが。

 

 

 おそらくはゴドリックとは何らかの縁がある奴なのだろう。

 直接の父……と断定するのは危険だが、まぁおそらく親戚関係か何かと推測するのは妥当だろう。

 

 

 

 彼についての情報は多くないが、なんでも第一次ローデイル防衛戦で「古竜の騎士、クリストフ」に捕らえられたという情報はつかめた。

 クリストフは王都ローデイルの名高き騎士であり、故にその敵であるゴドフロアはローデイルを攻める側の英雄だったのだろうな。

 

 ゴドフロアとクリストフ。

 こういう、かつての戦争におけるライバル同士の逸話は、中々ロマンがあって好きだな。

 

 

 

※追記

 

 ゴドフロアを倒すと「ゴッドフレイの肖像」というタリスマンを得られた。

 これが封牢の宝だな。

 

 驚くべきことに「伝説のタリスマン」のひとつで、タメ攻撃を強化する力を持つ。

 このタメ攻撃とは、魔術や祈祷、戦技のタメ使用を強化するものだ。

 俺のもので例えるなら、祈祷「黒炎」は即投擲するだけでなく、少しだけ力をタメてから投擲できるものなんだが、それをより強化するということだろう。

 

 その力は侮っていいものじゃない。

 それに、かのゴッドフレイに関連するアイテムだ。

 その価値は並のタリスマンの比じゃない。

 

 

 それを所有していたのだから、やはりゴドフロアも「黄金の一族」に相応しい人物だったのだろう。

 

 

 

 

◆四「三叉路」

 

 改めて、デクタスの大昇降機の反対方向へ進む。

 その先は三叉路となっており、そして祝福にありつけた。

 今後はここが俺のキャンプ地となるだろう。

 

 ここからのプランだが、ひとまずは王都を後回しにして周りの探索から始めていこうと考えている。

 三叉路は、「デクタスの大昇降機」へ続く南西 「王都ローデイル」へ続く東側、そして北への道の三つに分かれている。

 そのうちの、最も後者の「北への道」を突き進むことにした。

 

 

 というわけで、この項は三叉路の北側を簡単に探索して得た情報を纏める。

 

 

 

 まず一つ。

 三叉路を北へ進んですぐ、幻影の木がある。

 例によって「黄金の種子」が見つかるから、聖杯瓶の強化が捗るだろう。

 「黄金の種子」は、聖杯瓶の使用回数を増やす効果だ。

 

 二つ目。

 幻影の木から少し進んだ先に、野営地がある。

 この野営地は忌み子のテリトリーのようだ。

 おそらくローデイル兵に使われている個体だと思われる。

 野営地を探ると「調香瓶」を一つ手に入れた。

 何かの役に立つかもしれない。

 

 三つ目。

 石畳みの街道をそのまま北へ進んでいけば、地図の石碑がある。

 街道上にぽつんとあって、リムグレイブのものと比べると警備らしい警備が見当たらない。

 一方で地図の内容は、王都外郭の、そのまた外の地形を描くに留まっている。

 俺にとっては貴重な資料だが、一方で軍事的な価値は比較的少ないのかもしれない。

 これが、この地図断片が半ば放置されている理由の一つかもしれないな。

 

 四つ目。

 石碑から東に進んだところに、くぼんだ地形がある。

 飛び降りてみると、"抱き合う二人の石造"に「琥珀の星光」なるものが供えられていた。

 どういった物質かまるでわからないが、どうやら特別な薬の材料のようだ。

 ただ、あまり詳しい情報を得られなかった。

 仮に薬を生成できたとしても、試したいとは思えない。

 これ以上については期待しないでくれ。

 

 

 

 以上だ。

 これらの情報が、誰かの助けになってくれることを祈る。

 

 

 




 ついに本作だけで、十万文字を超えました。だいたい文庫本一冊できるかできないかぐらいの文字数です。
 番外編も込みの数字とは言え、我ながら三か月だけでよくぞここまで……。

 継続は力なりとは言いますが、ここまでこれたのは皆様の応援があってのことです。
 改めて御礼申し上げます。
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