◆一「第二マリカ教会」
三叉路から北へ続く道を歩いていると、その脇の崖下に教会が見えてきた。
「第二マリカ教会」だ。
元の道には祝福を通じて戻れるから、一度崖をうまく降りて教会を訪ねてみた。
その結果、二つの縁に恵まれた。
一つは「聖杯の雫」だ。
これの効果についておさらいすると、聖杯瓶の回復量を強化するものだ。
集めておいて損はない。
もう一つは、血の指「エレオノーラ」だ。
エレオノーラは、火山館とは別件の勢力らしい。
奴は竜餐の祈祷と、それから赤い刃が特徴的な両刃剣を振るってきた。
両刃剣とは、刀身を柄の両端に配した武器だ。
順手と逆手の同時に刃を持つものだから扱いが難しい。
刃が二倍というわけだから、振るうのにも筋力がいる。
だがそれだけに使いこなすことができれば、回転を駆使した攻撃で圧倒的な手数を誇る。
例えば、毒のような状態異常効果の付与なんかには向く代物だ。
特に今回の血の指が持つ両刃剣は、出血効果をもたらすものだ。
まともに食らえば一気に血を失う。
これを扱う「エレオノーラ」は、葦の地に何か縁があるようだ。
そもそも武器が、極東で鍛えられたものだそうだからな。
一方で「血の君主」なる存在にも、何か縁があるようだ。
エレオノーラを倒すと「浄血の結晶雫」を落としていった。
噂に曰く、霊薬に配合して飲めば、血の君主に対する備えになるそうだ。
これで血の君主と無関係と断じるのは、流石にナンセンスだ。
血の君主に興味があるなら、第二マリカ教会を訪ねてエレオノーラに会ってみることをお勧めする。
◆二「森渡の大橋」
祝福を通じて元の道に戻り、そのまま北上すると「森渡の大橋」が見えてきた。
文字通り、低地に広がる森の上を渡り、そのまま北の高地へと続く大橋のようだ。
この大橋があれば、王都外郭を回避してゲルミア火山にアクセスできそうだな。
地図に曰く、この大橋の超えた先の西側にゲルミア火山への道がある。
橋そのものは崩落して久しいようだが、転送門のおかげで現在でも橋の向こう側へ行くことができる。
俺が見聞きした限り一方通行のようで整備不良を感じさせるが、それでも元の機能を再現しようとした試みも感じる。
よほど便利な橋だったようだ。
ただ、この大橋が建設された経緯は推察できない。
なんせ外郭を回避するような立地だからな……。
南の方を出発地点として、ゲルミア火山の方へ向かうというなら、普通ならば王都外郭を経由すればいい。
多少遠回りでも、むしろ王都側からすれば、外郭の中を通ってもらった方が人の往来を管理しやすい筈。
……だから、王都を避ける意図で建てられたと考えるのがわかりやすい気がする。
だがそれならそれで、王都以外の勢力が王都の近くで堂々と橋を建設できているのは、少々不可解だ。
一体誰が何のために造った大橋なんだろうな?
◆三「大橋周辺の縁」
森渡の大橋では、その立地ゆえか多くの人が立ち寄るロケーションとなっている。
放浪商人の一人が崩落した大橋の脇で焚火を囲んでは、楽器で音楽を奏でている。
話しかければ、いくつかの情報や製法書、「石剣の鍵」などを売ってくれた。
割と狭間の各地では「石剣の鍵」をよく使うから、確保できるうちに確保しておいた方がいい。
それ以外にも「指読みの老婆」もいてな、少し聞き込みできた。
東には、壊れた黄金。
西には、蛇の冒涜。
聞き込みできた内でまともな情報はこれぐらいだが、いいヒントにはなる。
東には黄金樹が聳え立ち、しかしその祝福が壊れている。
一方西のゲルミア火山には、悍ましい冒涜が潜んでいる。
どちらも、訪ねれば情報がいっぱい転がっていそうだ。
今のところは、西の方を先に探ってみたいと考えている。
以前にも記した通り、王都は後だ。
※追記
森渡の大橋を、転送門で渡った先には「金仮面卿」なる人物がいた。
早速話を聞いてみたのだが、彼は無口でな……。
彼とは、まともに情報交換はできなかった。
伝説に語られるような有名人であるから、有益な情報を賜れると思ったんだが……。
せめてもの情報として、彼は黄金樹の方へ指を指して、その状態のまま何か思考を巡らせているようだった。
これが彼についての、何らかの手掛かりとなるだろうか。
◆四「ハイマの魔術師」
森渡の大橋の北側。
そこを見張るように、丘に佇む影がいた。
そいつは、戦魔術師だ。
戦魔術師はレアルカリアの魔術師の一派で、ハイマの教室に学ぶ者だ。
彼らは争いを鎮める力として、砲と裁きの魔術を修めるそうだ。
そのためか、彼らが被る輝石頭はFP……魔術を使うためのリソース……と引き換えに、知力と筋力を高める効果がある。
他の輝石頭がフィジカルにデメリットを齎すのに対し、彼らの輝石頭はフィジカルに優れた効果を齎すのは中々興味深い。
レアルカリアは戦の度にその門を閉ざすが、しかしハイマの学徒はその例外であるという。
むしろ戦場こそが彼らの魂の場所で、生き残るためには魔術を扱う知恵だけでなく純粋な身体能力も求められたのだろう。
だが一方で「争いを鎮める力」は純粋な暴力としての側面が強いようだ。
力で無理やり戦を鎮めるといった、乱暴なドクトリンで運用している印象を受ける。
そのためか、砲と裁きを振るう彼らは、むしろ戦をこそ求めるような手合いも排出したそうだ。
そういうわけで、ハイマの戦魔術師は狭間の各地で活動しているようだ。
どういうスタンスであれ、当然のように褪せ人と敵対し、そして強敵として立ちはだかる。
森渡の大橋にいる彼もそうだった。
だがうまいこと彼らの装備や魔術の知識を奪うことができれば、知力に優れる褪せ人にとっては強力な切り札となるだろう。
「石の棍棒」だなんて、魔力を帯びていない石造の棍棒を振るうパターンもあるらしい。
知力がなくても、筋力があればそれはそれで彼らの力を有効活用できるかもしれない。
機会があれば、彼らに教えを乞うのも手かもな。