名もなき褪せ人の手記   作:上代わちき

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四十三ページ目「王都ローデイルにて【1】」

 

 

 

◆一「竜のツリーガード」

 

 内城壁をぐるりと回り込んだ先の東。

 そこには「竜のツリーガード」がいた。

 

 

 どうやら通常のツリーガードとは一線を画す存在のようで、奴はハルバードの代わりに「大竜爪」なる特大武器を振るってきた。

 彼は雷の力を己のものとしており、故に恐ろしい強さを誇った。

 攻略に雷に対する対策が必要となる。

 

 また馬にも特別な強化が施してあるようで、炎を吐いてきた。

 

 

 なんでも、大古竜の襲来により彼らツリーガードは己の強化を余儀なくされたそうだな。

 それに対する答えが、己も竜になることらしく、その結果が雷を振るうツリーガードの姿だろう。

 

 数こそ一人だけだが、ローデイルへの入り口を護る番人に相応しい難敵だ。

 

 

 

 攻略が難しければ、近くの小黄金樹や、わき道の先にある地下墓を訪ねてみるといい。

 それぞれ「霊薬の聖杯瓶」と「遺灰」を強化できるアイテムを入手できる筈だ。

 ……前者に関しては、選択肢を広げると表現するべきか。

 

 いずれにしろ、こういう寄り道は巡り巡って己を強化することに繋がる。

 きついと感じたなら、他を当たってみるのも手だ。

 

 

 

※追記

 

 祝福「外郭の戦場跡」から登った先を、北の方向へ曲がると、祝福が壊れた影響なのか死に生きる者たちが蔓延る墓地が広がる。

 その墓地の先には、ボロ家を店とする「放浪商人」がいる。

 王都を臨む、なかなかいい景色のところに店を構えているな。

 彼からは、調香瓶や王都がらみの情報、それからあの「歩哨の松明」を買うことができる。

 

 以前紹介した「賢者の洞窟」に苦戦しているなら、ここに立ち寄るといいだろう。

 彼が販売する「歩哨の松明」の祝福は確かで、「賢者の洞窟」に潜む幻を打ち払ってくれる筈だ。

 

 

 ただし、このボロ家周辺にはあの「鈴玉狩り」が出没するという情報もある。

 戦闘を避けたいなら、昼間に訪れることだ。

 

 

 

◆二「王都ローデイル」

 

 竜のツリーガードをいなせば、いよいよ内城壁内部「王都ローデイル」だ。

 もうずっと気が急いていたが、それも報われた。

 

 本来ここの入り口は、王都側だけでなく円卓の二本指によっても塞がれているらしい。

 だが放浪騎士の彼が、すでに王の資格たる大ルーンを複数入手したことによりその封印は解かれた。

 そのおこぼれにあずかった形で、俺も王都に侵入できたわけだ。

 

 

 今回使った侵入口である「王都東城壁」から見た景色は素晴らしい。

 高所から見下ろす黄金の都は、かつての盛時を物語る"大通り"を中心に黄金の住宅街が広がっている。

 

 一方で、王都内でも身分差があったようで、大通りと関所みたいな"一軒の建物"を境とする低所に荒んだ下層街も広がっている。

 だがそんな下層街の上にも、騎士や貴族のための住宅街が橋のような形で広がっている。

 かつてはその橋みたいな部分から王都正面入り口にもアクセスできたんだろうが……その先が水に沈んでいるのは以前紹介した通りだ。

 

 

 それとかつての古竜戦役の名残か、巨大な竜の遺体が遺され、さらには建造物よりも大きな"槍"が街中に突き刺さり聳え立つ。

 

 そんな竜の遺体と対称するように、巨大な黄金樹とその手前に建つ"城"が見える。

 あの城が、ここからの目標だ。

 

 

 ちょっと景色を見ただけでこの情報量だ。

 実に高揚する。

 

 だが一方でかつての盛隆は、もうその面影しか残っていない。

 まともな住民も営みも残されておらず、ただ落葉を舞い上げる寂しい風の音だけがその衰退を物語っている。

 できれば王都の店で買い物をしたり、宿で王都の生活を体験したりしてみたかったんだが、叶わぬ夢のようだ。

 

 

 栄枯盛衰。

 その言葉を象徴するような景色だった。

 

 

 

◆三「神託の使者」

 

 王都東城壁では、神託の使者たちが楽器を鳴らしていた。

 

 神託の使者とは、聖なる術を使う人ならぬ楽団だそうだ。

 彼らは、新しい神、あるいは時代の予兆ともされる。

 

 この場合は、次代のエルデの王である"放浪騎士の彼"を歓迎しているということだろうか?

 

 

 

 だが俺には敵対的でな……奴らはその楽器を鈍器のように振るい、あるいは黄金色のシャボンを笛から放ってきた。

 シャボンは聖属性の攻撃であり、食らえばやけどでは済まない。

 

 彼らを倒して楽器も手に入れたが……人の身では吹き鳴らすことはできなさそうだ。

 「あるいは、まだその時は来ていない」とは円卓の文献による文言だ。

 この楽器のための"時"が、いずれ訪れるのかもしれないな。

 

 

 ともあれ、残念だ。

 せっかく吟遊詩人としての腕を試せるかと思ったんだがな。

 

 

 

◆四「調香の街」

 

 王都ローデイルは、調香の街としての側面もある。

 

 内部を探索していると調香師達が屯している建物がいくつかあってな。

 そこではいくつもの植物を栽培していたり、場所によって市民に治療を試みていたりする痕跡があった。

 

 

 だからか、王都では植物特有の独特ながらよい香りが漂っていてな。

 また植物の緑が彩る景色は、伝承に語られる楽園に相応しいものだろう。

 

 一方でそれが戦にも利用されていることは周知だが、それ故か調香師だけでなく王都の兵も爆竹の要領でその術を使う。

 彼らと立ち会う時は覚えておくといい。

 

 

 

 まぁ調香師については以前にも散々記した。

 だから今回はその周辺について語ろう。

 

 

 調香師達の影には、「小姓」と呼ばれる者達が任についていた。

 彼らは貴人に仕え、主を守ることを生業とする。

 確証はないが、まぁほぼ間違いなく調香師の護衛としてここにいるのだろう。

 

 彼らは刺剣とクロスボウの扱いに長けている。

 実際に戦闘するとなると、調香師以上の強敵となる筈だ。

 

 

 

 彼らはどうも、"小さく生まれついた"故に小姓となったようだ。

 そこに能力・才能・意思は、一切関係なかったそうだ。

 

 先ほど見た、王都ローデイルにおける身分差の痕跡は、この文化によるものかもしれないな。

 

 

 




 次回は4/5予定です。
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