名もなき褪せ人の手記   作:上代わちき

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四十四ページ目「王都ローデイルにて【2】」

 

 

 

◆一「下層街」

 

 王都ローデイルには、金色の屋根を持つ建物と、赤い屋根の建物がある。

 それぞれの建物は大通りやある種の施設を通じて、別々に隔離されている。

 特に後者の赤い屋根の建物は、比較的低所のエリアに密集していて、おそらくは上層の住宅街へ登れないよう隔離されていたと思われる。

 

 俺はこの赤い屋根が密集するエリアを、仮称として「下層街」と呼んでいる。

 今後も手帳内ではそう呼称する。

 

 

 下層街は、死体が山のように積まれている凄惨な場所だ。

 腐った亡者が死に場所を探すかのように徘徊し、中には死に生きる者たちやしろがね人もいる。

 同じ王都ローデイル内でも、とりわけ身分が低かったりする者達が、ここに押し込められていたようだ。

 

 この死体の山や陰惨とした雰囲気のせいか、爛れた樹霊まで暴れ回っている始末だ。

 ユビムシまでいるのは、なんでだろうな?

 

 

 

 下層街の上には大きな橋のようなものがあり、そこには騎士達がいる上層街がある。

 この街は、きっとこの下層街を監視する役割もあったのかもしれない。

 下を探索していると、上の騎士から弓矢を放たれてしまう場面もあった。

 ここは相当生きづらい街だっただろうな。

 

 

 そういう事情もあってか、この辺りは下水にも近い。

 この辺りを散策していた際は酷い悪臭に悩まされていたが、それが死体のそれなのか下水のそれなのかまるで判別がつかなかった。

 

 

 

 そのためか、ここには恐ろしい場所への入り口も隠されていた。

 

 

 

※追記

 

 "恐ろしい場所"について記す前に、一件だけ補足事項がある。

 下層街の一角に教会がある。

 

 王都下層、教会。

 ここでは死衾が行われていた形跡がある。

 

 

 ここ最近になって知ったんだが、あの手合いは「死に生きる者たち」とのかかわりが指摘されていたようだ。

 だからこの下層街に死に生きる者たちがいたんだろう。

 

 今後の身の振り方には気を付けないといけないな。

 

 

 

 

◆二「忌み捨ての地下」

 

 下層街の井戸から降りていくと、下層街以上に穢れた不浄の地があった。

 

 そこは「忌み捨ての地下」と呼ばれた場所で、ネズミが死体と汚物を啜り喰らう景色が広がる。

 下水としての側面もあるようで、上からちょろちょろと土着色の液体が降り注いでくる。

 悪臭もひどいから、あまり長居したくないな。

 

 

 だがそんな場所で永遠を過ごすことを強いられた者達がいる。

 "忌み子"どもだ。

 

 

 「忌み水子」というアイテムがある。

 FPを消費して追いすがる呪霊を放つ道具だが、これは供養の像でもある。

 

 忌み赤子はその醜い角をすべて切られて、大抵は死んでしまう。

 だからせめてもの詫びとして供養して、呪われないよう願ったようだ。

 

 

 

 だがそれでも、忌み子の中には生き延びてしまう者もいるだろう。

 あるいは、何らかの事情で角切りを免れ、その代わりとして地下に幽閉されることを運命づけられたような者もいるという。

 そういう手合いは、この忌み捨ての地下に閉じ込められる。

 

 そして、如何なる理由か忌み子は強靭な肉体を持つ。

 だから破砕戦争では戦士として出された。

 今日の狭間の各地で忌み子を見かけるのは、その名残だろう。

 

 

 

◆三「忌み捨ての噂話」

 

 忌み捨てにいる忌み子どもは強敵だ。

 下手をすれば上層にいる騎士よりも手ごわい。

 

 上で"待たせているもの"もあるから、肌での探索はすぐに切り上げた。

 臆病風に吹かれた……といっても、否定できないだろうな。

 

 

 

 忌み捨ての地下には、狂い火が眠っているという。

 それも、その"真実"に大きくかかわるようなものが、な。

 

 真実の探求者である身としては、それを探るべきだろう。

 だが、狂い火に関しては姿勢を改めたと以前記した。

 その姿勢を翻すつもりはない。

 

 狂い火にかかわっていいことはない。

 故に、俺はすぐ忌み捨ての地下から撤退したのさ。

 

 

 

 上述の噂話が真実なら、忌み捨ての地下が真に封印していたのは"忌み角"ではなく"狂い火"ということになる。

 あるいは、だからこそゲルミア火山では狂い火に侵されるローデイル兵がいたのかもな。

 

 

 

※追記

 

 忌み捨ての地下にかかわる噂話はもう一件ある。

 ここにはあの"血の君主"とも、何らかの形でかかわりがあるようだ。

 

 

 忌み捨ての地下には「ローデイルの地下墓」がある。

 おそらく角切りで殺されたり、あるいは地下で果てた忌み子のための墓なのだろうが……。

 現在その場所は、血の貴族が占領しているという。

 

 どうやらこの場所には"血の君主"の興味をひくような何かがあるらしいな。

 もしや、上述の狂い火がそうなのだろうか?

 案外、血の君主は狂い火の脅威から狭間を護ろうとしているかもしれない……と、色々あってそう考えているが、証拠はない。

 

 

 いずれにしろ、忌み捨ての地下を探るなら"血の君主"に対する備えも必要になりそうだ。

 奴らは"出血"の力を操るから、対策を怠らないようにな。

 

 

 

◆四「竜の遺体」

 

 王都ローデイルにて横たわる竜の遺体。

 数々の状況証拠から、"グランサクス"という名前の竜ではないか……と噂されているが、真偽のほどは定かじゃない。

 

 

 かつてローデイルは、大古竜の襲来によって城壁が破れた。

 それは歴史上唯一の事例であり、続く古竜たちとの戦いの始まりだったとか。

 

 その際の大古竜とは、このローデイルの遺体であり、その得物があの巨大な槍なのだろう。

 その使用方法は"投擲"だろうと文献などで指摘されているが、まぁこれも確かめるすべはない。

 

 

 

 一方で、そんな竜の力は後のローデイルの力になったことは有名だな。

 それがゴッドウィンとフォルサクスの友情であり、騎士達の竜信仰であり、俺の振るう祈祷「雷の槍」や「雷の武器」というわけだな。

 

 竜のツリーガードという存在も、巡り巡って言えばこの竜の存在によって強化されたもの……と表現してもいいかもしれない。

 

 

 

 黄金と竜。

 王都と遺体。

 

 これは、その象徴と言うべき景色なのだろうか。

 

 

 




 王都の下層街は、どことなくブラッドボーンのヤーナム的なテイストを感じてなりません。
 血生臭い描写に留まらず、下水を探索できる点も共通するためでしょうか。

 もしくは「忌み捨ての地下」も含めて、デモンズソウルの「塔のラトリア」的と評する方が適当かも。
 ブラボの元ネタもラトリアらしいですし。


 それはそれとして次回は4/5 20:00予定です。
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