名もなき褪せ人の手記   作:上代わちき

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四十八ページ目「古遺跡にて」

 

 

 

◆一「孤高なる者のボロ家」

 

 祝福「古遺跡の雪谷」から暫く進めば、凍り付いた川が見えてくる。

 

 この寒さだ。

 踏みつけても川に落ちることはないから安心して踏みしめていい。

 

 

 

 だがその代わり、この場所はゴーレム達が彷徨っている。

 

 白銀の雪が霧のように吹雪き、一方で岩肌や古遺跡が黒く聳え立つ。

 その景色の中で立つゴーレムの姿は、中々に荘厳なものだ。

 

 

 だからといって近づけば、その巨躯や長物の重い一撃で潰されてしまう。

 

 そんなゴーレムから逃げるよう、川の西側へ進んでみると、驚いたことに亜人達の姿があった。

 こんな雪深い地にも適応するような何らかの術があったということだが、全く予想外だった。

 この地のどこかに、彼らのための暖かい拠点があるのだろうな。

 

 

 一方で、興味深いことに亜人達は遺跡に住まうコウモリと敵対していた。

 縄張り争いだろうか……?

 

 

 

 そこから更なる情報を探ることはできなかったが、他方で別件の情報も得た。

 

 亜人とコウモリが縄張り争いしている先で「孤高なる者のボロ家」なる場所があった。

 そこは文字通りのボロ家なんだが、中には「旅巫女」の装備があった。

 

 巫女とは、指に見えんために、あるいは導くべき褪せ人に出会うために、狭間の地を旅するものだそうだ。

 そんな巫女の旅の、貴重な痕跡というわけだな。

 

 

 この巫女は、己の褪せ人に会うことができたのだろうか?

 お互いこんな状況じゃなきゃ、交渉の一つでも試みたんだがな。

 

 

 

◆二「古遺跡の死に生きる者たち」

 

 先の川を、西ではなく東の方向へ進めば、祝福「氷結湖」にありつける。

 この辺りが古遺跡とその外の境目なのか、「鳥の遠見」にもありつけた。

 これは主に、祝福の先に広がる凍り付いた湖を見張るためのものだろうか。

 

 それと、この辺りにも幻影の木があるから聖杯瓶の強化をしたい場合は根気よく探索してみることだ。

 氷結湖から少し戻る羽目になるがな。

 

 

 それはさておき、この祝福「氷結湖」からは古遺跡の上側にアクセスできそうだ。

 今回はそちらを探ってみることにした。

 

 

 

 

 すると、恐ろしいことにあの「死に生きる者たち」がいた。

 どうやら「氷結湖」の北西から登れる坂道は、古遺跡における墓地のようだ。

 だからなのか、その一帯は死に生きる者たちの縄張りと化していた。

 

 巨人戦争に縁がある者達のスケルトンなのか、奴らの一撃は鋭く強い。

 アルター高原までに遭遇した奴らと同じとは思わない方がいい。

 

 

 そこからさらに西へ進めば、奴らに縁深い「船」や、死に生きる者たちの一員として過去にも取り上げた「死の鳥」までいた。

 

 ……ここの「死の鳥」は「死儀礼の鳥」と呼ばれる、より特別で強力な怪物のようだ。

 死かき棒は霊炎が灯されており、その羽には"死儀礼"により鳥の守護者となった祭司たちが宿っているという。

 祭司たちは鳥に呼応して大量の槍を投擲してくるものだから要注意だ。

 

 

 

 まぁ、どう考えたってこいつらは「死に生きる者たち」の重鎮だ。

 そいつらが集中してこの場にいるということは、この辺りに奴らの拠点があるってわけだな。

 

 いよいよ「死に生きる者たち」の真実も近いかもな。

 

 

 

◆三「異端の魔術師塔」

 

 死に生きる者たちが徘徊する崖上の墓地だが、その途中で"見えない道"がある。

 この辺りの情報について明るい、別次元の褪せ人からのタレコミだ。

 

 何でもこの道は対岸の魔術師塔に一直線で伸びていて、そのまま魔術師塔にたどり着けるとのことだ。

 早速その情報を聞いて探ってみたが、まぁぞっとするような体験だった。

 

 

 何の考えなしに一直線に進めば魔術師塔の壁に当たるだけで侵入できない。

 だが見えない道の途中で、青白い光が見えた。

 その光は坂道のようで、足を滑らせないよう慎重に進めば、魔術師塔のベランダに至る。

 それは、この「異端の魔術師塔」の試練でもあったようだ。

 

 内部を通じて対岸への道が開けたが、対岸の探索については後回しにしようと思う。

 まだ死に生きる者たちがらみの情報が、まだまだつかめそうだからな。

 

 

 

 なお魔術師塔に侵入してもまだ試練は続く。

 内部には人形兵が未だに動いていて、侵入者である俺に襲い掛かってきたからな。

 塔に入ったからって安心はしないようにな。

 

 

 

 なお塔の宝は「創世雨」という魔術の知識だった。

 これは「彗星アズール」と同じ「伝説の魔術」のひとつだ。

 

 空に暗黒の星雲を呼び、そこから暫くの間凄まじい星雨を降らせる。

 扱い方を間違えなければ、伝説の名に相応しい威力を誇るそうだ。

 

 

 この知識に曰く、これは輝石の魔術のはじまりとされるらしい。

 そんな魔術の知識がこの「巨人たちの山嶺」にあるということは、この地は星見にとっても縁深い地なのかもしれない。

 

 なんせこの魔術自体が、"かつて古い星見が見出した、最古の源流魔術"だそうだからな。

 あるいは、魔術に関する真実もまたこの地に眠っているかもしれない。

 

 

 

◆四「星見の廃墟」

 

 リムグレイブで、遺灰を一つ拾ったことを君達は覚えているだろうか?

 前々からこの遺灰をずっと弔おうと機会を探していたんだが、何らかの運命に阻まれるようにうまくいかなくてな。

 ついついこの地までずっと遺灰を運んでしまっていた。

 

 だがそれでよかったんだろう。

 

 

 古遺跡の橋を渡った先で「星見の廃墟」にたどり着いた。

 そこでは一体の霊クラゲがいて、彼女に近づくと遺灰が反応しだした。

 

 俺はそこで、鈴の音を聞いた気がした。

 もしかしたら、別時空にずれてしまった"放浪騎士の彼"が鳴らしてくれたものだったのかもな。

 

 それと同時に遺灰の霊クラゲが出現して、廃墟の霊クラゲと共に"星を見に行った"んだ。

 それは、俺が手に入れた遺灰の主の心残りでもあったらしい。

 

 

 

 とても儚く、そして暖かい物語を垣間見た気がした。

 俺は、この瞬間のためにこの遺灰を手に入れたのかもしれない。

 

 

 

 さて。

 そんな心温まる景色は、一方でこの「星見の廃墟」の封印を解く鍵でもあったらしい。

 あの霊クラゲが、封印していたのだろうか?

 

 封印の先を探ってみると「原輝石の刃」を手に入れた。

 魔術と祈祷の消費FPを減らす代わりに、最大HPも減ってしまう代物だ。

 

 これは古い魔術師の道具で、原輝石を自らの魂とするために、この刃で心臓を切り裂くものだそうだ。

 ……何か、とんでもない秘密をも垣間見た気がするな。

 

 

 

 死に生きる者たちと星見・魔術師。

 

 どうにもこの辺り、もしくはこの地は。

 知力に満ちた者達との縁が多いらしい。

 

 

 

※追記

 

 星見の廃墟からさらに橋を渡った先には「小黄金樹」がある。

 この地には正常な「黄金樹の化身」がいるが、追い詰められると分身するのが厄介だ。

 

 それでも苦労して倒すと「緋色の泡雫」と「青色の結晶雫」を落とす。

 

 

 緋色の泡雫は、配合して飲んでもすぐ回復しない。

 その代わり飲んでから一定時間の間、一度だけ瀕死の時に自動的に傷を癒してくれる特殊なものだ。

 

 だが今回取り上げたいのは「青色の結晶雫」だ。

 その効果はシンプルで、魔術を行使するのに必要なFPを回復するもの。

 これが星見や魔術師の真実が眠るかもしれない、この「巨人たちの山嶺」にあるのは、実に興味深いと思わないか?

 

 

 

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