名もなき褪せ人の手記   作:上代わちき

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 聖別雪原編です。
 こちらは全三話予定。

 また、筆者は活動報告にて、エリアごとに文字数を計上しています。
 聖別雪原編の文字数は、「巨人たちの山嶺」編の文字数として計上予定です。


五十ページ目「聖別雪原について【1】」

 

 

 

◆一「ロルドの大昇降機」

 

 王都ローデイルから巨人たちの山嶺へ上る時に使った「ロルドの大昇降機」。

 こいつには隠された秘密がある。

 

 そいつは巨人たちの山嶺への道であると同時に、ミケラに由来する地への道でもある。

 

 

 それは大昇降機に対して「秘割符」を掲げることで至るという。

 ソールの城塞に隠されていた"鍵"とは、こいつのことだろう。

 

 補足だが、ソールの城塞に隠された"鍵"こと「秘割符」は、二つあるうちの片割れでしかない。

 もう一つは、リエーニエのしろがね村にて保管されていたとのこと。

 つまりもともとはしろがね人のためのもの、あるいはミケラが誘おうとしていた勢力のひとつがしろがね人たちだった……ということかもな。

 

 

 その二つを揃えば、満を持してミケラに由来する地「聖別雪原」に至ることができる。

 

 

 

 ただし、俺はミケラとの縁がないようだ。

 ソールの城塞で秘割符を得ることはなかったし、しろがね村の秘割符ももう俺の世界では失われていると思われる。

 

 だからここからは、俺の目で見たものではなく、運よくミケラとの縁に恵まれた別時空の友人達からの証言を記していく。

 例によって今まで以上に情報の正確性がなく、そしてすべての情報を記せたわけではないことを予め断っておく。

 

 

 レアルカリアの時と違い、事前に約束して情報を聞き込みできた……というものでもないからな。

 すまないが、より詳しく正確性のある情報を求めるなら他を当たってくれ。

 俺はあくまで、俺の掴んだ情報と真実を記すだけだ。

 

 

 

◆二「聖樹への秘路」

 

 秘割符でロルドの大昇降機が起動した先は、地下墓だったそうだ。

 「聖樹への秘路」だ。

 

 ミケラに由来する地の果ては、"聖樹"に繋がるそうだからな。

 それ故の名称だろう。

 

 

 

 聖樹への秘路が地下墓となっているのは、この道を外部から隠すためだろうか……?

 また聖樹の加護か、それとも巨人たちの山嶺に近い地だからなのか、この場所で採れるすずらんはかなりの高品質らしい。

 

 その他気になるところと言えば、獣の神殿などにもいる卑兵がこの地を守護していることだが……。

 それとは別件で、この地には「死に生きる者たち」に縁深い「死の根」が隠されているという。

 

 

 この情報は結構重要だと思うぜ。

 ミケラは「死に生きる者たち」に縁深い。

 俺はそう考察しているが、それを裏付ける証拠になるかもしれない。

 

 一方で卑兵がこの地にいるのは、その死の根を狙うが故かもしれないな。

 奴らは死に生きる者たちと敵対している筈だからな。

 

 

 

※追記

 

 聖樹への秘路には、神肌勢力が出入りした痕跡もあるらしい。

 ここに「黒炎僧兵、アモン」の遺灰が隠されていたとのことだ。

 

 ミケラとその聖樹は、神肌をも誘おうとしていたのだろうか?

 それとも神肌側に、ミケラに対して何らかの用があったのかもしれないな。

 

 

 

◆三「吹雪と光」

 

 聖樹への秘路から外に出れば、いよいよ「聖別雪原」だ。

 この地の特徴は、とにかく吹雪が酷いことだ。

 

 かなり視界が効かないようだ。

 だが先人たちが後進のために、光の目印を施してあるそうだ。

 

 その光を辿れば、雪原の奥地までたどり着けるらしい。

 

 

 

 これは特に、しろがね人のための試練であるようだな。

 なんせこの雪原には魔術師塔があるそうなんだが、その名を「しろがねの魔術師塔」というらしい。

 中に入るための試練として、インプ同士を戦わせるものがあるそうなんだが、その有力な答えはミケラに由来する"誘惑の枝"でインプの片方を味方にすることだそうだ。

 

 しろがね人とミケラの関係性を伺う材料の一つにはなるかもしれない。

 

 

 

◆四「イエロ・アニスの地」

 

 狂い火の勢力は、ミケラの地にも手出ししているようだ。

 

 これも別時空の褪せ人からのタレコミなんだが、聖別雪原には「イエロ・アニスの廃墟」なる場所がある。

 近くに坑道を持つことから、もともと豊かな財を持つ街だったことが伺える。

 

 その坑道は「サリアの結晶坑道」同様隕石に由来する場所だそうだから、かなりの良質な鉱石が採れるそうだ。

 きっとかなりの武器を作れたわけだから、この隕石が理由で"街"が作られたのかもな。

 

 

 だがそんな「イエロ・アニスの地」は、狂い火によって侵された。

 その廃墟にいる者達は狂い火の病に罹患し、廃墟の地下には「堪えきれぬ狂い火」なる祈祷の知識まで眠っているという。

 

 

 

 狂い火の影響は坑道までには及んでいないらしいのがせめてもの救いだが、実に恐ろしい話だ。

 ミケラといえど、狂い火の脅威には対抗しきれないのかもしれない。

 

 それとも、狂い火もまたミケラにとっては誘う対象の内なのだろうか?

 だとしたら、俺はミケラを心底軽蔑する。

 

 

 

 狂い火にかかわっていいことはない。

 君達にとっては耳にタコができるような言葉かもしれないが、繰り返し警告させてくれ。

 

 

 




 次回はレガシーダンジョンの聖樹にも触れますが、かなり巻きます。ご了承ください。
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