◆一「戦学び」
円卓の本を読み続けていても収穫を得られなくなってきた。
重要な情報はまだまだ残っていそうだが、肝心の書斎の扉は開かない。
かといって他の本は、情報の精度がない。
これ以上はらちが明かないと判断して、リムグレイブに戻ることにした。
本や書では得られない情報を得るなら、外回りの方がいい。
まずは、遺灰を拾った嵐丘のボロ家から東に向かった。
しばらくは強風に耐えながらも傭兵の成れの果てと剣を交え、何とかうまいこと凌ぎつつ歩き続けた。
その先の森で、祝福の輝きと一軒のボロ家を見つけた。
ボロ家の中には、一人の男がいた。
立派な金属鎧を身に纏い、巨大な大剣を携えている。
だが何故か兜を脱いでいる。
話を聞いてみると、戦技についての話をしてくれた。
そして、その戦技を学ばせてくれることになったのだ。
曰く、戦技とは英雄譚であるという。
俺も褪せ人のはしくれ。
ましてや危険な狭間の地を旅する者。
戦士としての心得は多いほどいい。
だからいくつかの戦技を学び、その謝礼としていくらかのルーンを渡した。
さて。
ここで戦技についてトピックだ。
戦技は武器に付与するものだが、実は盾にも付与できる。
盾にも付与できる戦技として興味深いのが"戦技なし"だ。
これは盾に宿るパリィなどの戦技を剥奪してしまうもの。
一見してデメリットばかりだが、実はもう一方の武器の戦技をよりスムーズに扱えるためのものだ。
つまり、盾を装備したままでも棍棒やロングソードの戦技が使えるというわけだ。
盾を使うパリィは、なかなか扱いが難しい。
扱いきれないと判断したらその"パリィ"を抜きにして、それ以外の戦術に集中するというのも手だぜ。
やたらめたらに手段を増やしても、使いこなせなければ意味はないからな。
自分には向かないと思ったものは、捨ててしまってもいい。
◆二「血の指」
狼の群れを振り切って北に向かうと、恐ろしい敵と出会った。
一見して、普通の褪せ人のようだ。
だがそいつは血に染まったかのように赤く黒い闇を身に纏い、有無を言わさず俺に襲い掛かってきた。
巨大な大槌と、マグマを吹き出す戦技を駆使する強敵だった。
そいつがあの"火山館"の関係者であるだろうとわかったのは、かなり後になってからだな。
こういう手合いは"血の指"という。
もともとこの狭間の地は時が不安定で、お互いの時が重なるのは刹那の間だけ。
だが、何らかの術でその"ずれ"を渡り歩く者達がいる。
その一つが"血の指"だそうだ。
血の指は褪せ人を殺すことが目的の、血に狂った殺人鬼だ。
こちらの命を狙うわけだから、話なんて通じない。
出会ったら、殺されないよう逃げてしまうか、いっそ逆に殺してしまうしかない。
いずれにしろ、迷う暇なんてないぜ。
一方で、こういう"侵入"は何らかのうまみを求めて行われることが多い。
それはルーンであったり、特別なアイテムであったりだ。
そういう目的があるからこそ、"侵入者"は絶えないものだ。
中には本当の意味で血に狂う、闘争そのものが目的の狂人もいるだろうが、そういう手合いにつける薬はない。
もし話し合いができる機会を得たなら、なんとか"闘技場"へ誘導するようにしてくれ。
ちょうど、リムグレイブにも一つあるしな。
◆三「死に生きる者たち」
物騒で風が荒れるリムグレイブだが、今回は一際厄介な奴らと出会っちまったぜ。
それは巨大な塔を見上げることができる、見晴らしのいい平原にいた。
その平原の一角に小さな墓地があってな、これも何かの縁と考えて立ち寄ったわけだ。
だがそれがいけなかったんだろう。
墓地の地面から次々と骨の化け物が出てきやがったんだ。
スケルトンって奴だ。
思わず手持ちの棍棒で応戦したが、奴らはなかなか倒れない。
一度は地面に沈んでも、色のない炎のようなものを纏ってすぐ復活するんだ。
結局はその場から逃げるしかなかったよ。
しかも逃げた先の水没した村には、そんな使者たちを呼び起こす"船"もいた。
そういう"船"には近づかない方がいいと、円卓の褪せ人の一人にはあきれられたよ。
一方で、こいつらについての情報を得ることにも成功した。
わずかだが、今後に備えてここに記しておく。
曰く、奴らは"死に生きる者たち"というそうだ。
奴らは偉大なる黄金律の理を外れた存在で、エルデンリングの導きを穢すそうだ。
ずいぶんと奴らに対して攻撃的な内容だが、実際に襲われた身だからか、奴らが恐ろしい存在であることは確信を持って同意できる。
だからか、そんな奴らを狩る者が存在する。
彼らは特別な聖律の力を用い、死に生きる者たちを狩る。
あの厄介な復活能力を、その力で削ぐそうだ。
つまり、彼らの聖律の力を借りることができれば復活を繰り返す"死に生きる者たち"への大きな備えとなるわけだ。
それと、もう一つだけ奴らの復活を防ぐ方法がある。
一度地に伏せ、けれども恐ろしい力を纏って復活しようとする"死に生きる者たち"に、もう一度攻撃を加えるんだ。
そうすれば、奴らの復活を阻害できる。
以前軽く紹介した"地下墓地"には、こういう厄介な"死に生きる者たち"が潜むものもあるそうだ。
すずらんが欲しいのなら、上述の備えは頼りになる筈だぜ。
◆四「ケイリッドへの道」
リムグレイブの北東の道を進むと、鼻が曲がりそうな悪臭が漂ってきた。
草原特有の緑の瑞々しいものではない。
それは腐敗の臭いだ。
次第に赤い霧のようなものが立ち込めてきて、地面も赤い色を帯びるようになった。
挙句の果てに空まで赤くなっているのだから相当だ。
俺はすぐ引き返した。
なんせ巫女を騙る侵入者まで現れたからな。
人を両断できそうな刃を持つ、恐ろしい敵だった。
この不気味な土地は"ケイリッド"と言う。
伝説のデミゴッド"ラダーン"がいる地であり、かつては生命溢れる森林地帯であった場所だ。
だがあの腐敗のマレニアがこの地に攻め込み、その身に宿す身の毛がよだつ力を解放したことで、腐敗した地へと変えてしまったらしい。
腐敗の力を受けたラダーンは亡者のような有り様となり、今もケイリッドのどこかで彷徨っている。
そんな地で"戦祭り"が行われるという噂も聞いたが、口惜しいものだぜ。
戦祭りというからには各地から強者が集まる筈で、そんな彼らに話を聞けばいろんな情報を聞けるはず。
だが今は、逃げ帰るしかない。
腐敗への備えを見つけた時に再訪すると誓い、俺はリムグレイブへ戻ることとした。
お昼に予約投稿のつもりがうっかり投稿してしまいました。
どのみち本日投稿予定だったとはいえ、うっかり……。
それはさておき、次回は1/3の夕方頃の予定です。