名もなき褪せ人の手記   作:上代わちき

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五十八ページ目「竜の聖堂にて」

 

 

 

◆一「死に生きる獣人たち」

 

 竜巻を臨む露台から先に進むと、宙を浮く瓦礫の姿が見える。

 時が固定されているのか、恐る恐る踏みしめても落ちたりしない。

 足場として十分に信頼できそうだから、そのままその道を進んでみた。

 

 この辺りは「死に生きる者たち」の巣窟となっている。

 死の状態異常を持つ「ミミズ頭」が近くにいたせいだろうか……?

 とりわけ特徴的なのが、ここの死に生きる者たちは、ファルム・アズラの獣人と同じ姿であることだ。

 

 

 彼らの体もまた、ゴッドウィンに連なるものなのか。

 あるいは遺体を動かす力にこそ、死に生きる者たちの本質なのか。

 

 巨人たちの山嶺にいた死に生きる者たちが、アルター高原までにいた個体と比べてかなり手強いことは記憶に新しい。

 その本質的な理由は、彼らの肉体や武具が根本的に強靭だからなのかもしれないな。

 

 

 

※追記

 

 死に生きる者たちと言えば、各地の死の鳥は空から降ってきた遺跡の近くに出現することが多い。

 その遺跡の正体とは、空中に浮かぶこのファルム・アズラだったのかもしれない。

 

 だとしたらとんでもない発見だ。

 

 

 俺の予想が合っていれば、ここにはゴッドウィンとは別口の真実があるかもしれない……!

 例えば、そうだな……"霊炎"についての真実と言えば、これを読んでいるであろう君達の興味をひけるだろうか?

 

 

 

◆二「嵐の騎士」

 

 ゴッドウィンと言えば、彼の影響力があると思われるソールの城砦が雪山の地にあった。

 そこでは霊体の「失地騎士」がいたもんだが、何故かその失地騎士がファルム・アズラの地にもいた。

 

 特別な鍛石で鍛えているのか、はたまた単にこの地の加護故か、とにかく彼らの攻撃は今まで以上に重く強い。

 改めて気を引き締めて攻略することだ。

 

 

 この地の彼らは竜餐の祈祷を用いる。

 炎で広範囲を焼く祈祷を使うから、火に対する対策を用意すると戦いが楽になるだろうな。

 

 

 彼らがこの地にいる理由だが……「嵐」という概念がキーになると見ている。

 例えばこの地やソール以外にも彼らと縁がある場所としては、リムグレイブのストームヴィル城が代表的だ。

 かの地は「嵐」の名を冠している他、同城は「嵐の王」なる存在とも縁があるという情報もある。

 

 ファルム・アズラもまた嵐と縁があるのは、いくつも舞い上がる竜巻が証明していると俺は考えている。

 あるいは、彼らの故郷はこの地であったかもしれないな。

 

 

 

 他方で、先程軽く触れた「嵐の王」だが、その正体は竜なのではないかという説があることも記述する。

 彼の配下とも解釈できる失地騎士の一部が、竜にちなんだ力を使う理由はここにあるかもしれない。

 

 竜が人に化ける逸話はいくつかある。

 嵐の王とは、竜が人に化けてストームヴィル城を支配していた姿なのかもしれないな。

 

 

 

◆三「神狩りの本拠地」

 

 俺がよく使う黒炎の祈祷は、ストームヴィル城で拾った「神肌の祈祷書」に由来する。

 同書の出自は、空から降ってくる遺跡なのでは……と疑ったことがあるが、それを裏付けるような情報があった。

 

 

 神肌の使徒。

 そして、神肌の貴種。

 

 こいつらが、ファルム・アズラにいた。

 

 

 厄介なことに彼らは徒党を組んで襲ってきたものだから、その脅威性は単純に二倍。

 いや、相手の攻撃の数が増えたり視覚の隙を突いたりしてくるもんだから、実際はそれ以上だ。

 

 おまけに片方が倒れても、もう片方が何らかの祈祷を捧げて復活させてくるもんだから、今までで一番の脅威と言っていい。

 

 

 主な対抗策は、やはりこちらも数を揃えること。

 幸いその時の俺もサインに恵まれたから、その力で何とかした。

 

 また、彼らは睡眠の状態異常にすこぶる弱いという。

 眠り壺などがあれば、試してみるのも手だな。

 

 

 

 正直なところ、この件もまたかなり重要な情報だと考えている。

 ここまで神肌の勢力から盛大な歓迎を受けたのは、これがはじめてだ。

 

 先の祈祷書の件もある。

 ここには、神肌の真実がきっと隠されている!

 

 

 

◆四「鍛石の鈴玉」

 

 また鈴玉を拾った。

 今回は通常の武器を鍛える鍛石の鈴玉だ。

 

 とりわけ巨人戦争の英雄を支えたという、ガラス化した鍛石にまつわる品だ。

 こいつを入手すれば、たいていの武器を伝説級の性能にまで強化できるぜ。

 ルーンさえあれば、の話だがな。

 

 

 

 さて。

 もう一度言うが今回の鈴玉は、巨人たちの山嶺に縁のあるガラス化した鍛石のものだ。

 

 雪山の地に縁のある品がここにある理由だが、やはり「竜」の存在がキーだろうな。

 

 

 

 雪山の氷結湖には「ボレアリス」という竜がいたが、もともとは頂にいた存在だという。

 なぜ竜が火の頂にいたのかといえば、やはり滅びの火とファルム・アズラに何らかの繋がりがあるが故と考えるべきだ。

 

 つまりファルム・アズラにいた竜が、何らかの理由で火の頂に移動して住み着いたんだ。

 例えば、滅びの火を護る番犬として……とかな。

 

 

 

 だがその番犬は、巨人によって敗走した。

 当然竜側は、その巨人に復讐したい筈だ。

 

 巨人戦争の英雄を支えた、ガラス化した鍛石。

 そのもともとの出自は、巨人の敵を支援して利用しようと目論んだ、氷の竜の姦計によるものだったかもしれない。

 あるいは、古巣であるファルム・アズラにも協力を要請したのかもしれないな。

 

 

 




 神肌の問題児二人。ただし増える。
 ……これ要するにだいたい四人の公王では?(今更)
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