◆一「大雨」
リムグレイブ南方に広がる"啜り泣きの半島"は、常に雨が降っている。
それが啜り泣きという名の由来となっているあたり、この辺りはこれが当たり前なのだろう。
今のところ、この常に降り続ける雨の理由に思い当たるものはない。
大きな謎だ。
余談だが、啜り泣きの半島の地形を示した地図と石碑が道中にぽつんとあった。
嵐の関門の警備を思うととても杜撰なように思えるが、ここの場合はおそらく理由がある。
実は啜り泣きの半島の石碑の北側には、崩れた城壁がある。
俺はこの城壁の崩れた部分から南側へ侵入し、地図にありつけたんだ。
つまり平時なら城壁は壊れておらず、城壁の南側にあるこの地図と石碑は護られていたと思われる。
他方で、城壁の内部には平原が広がっていて、巨大な弓を構えるゴーレムが城を護っていた。
だが俺には、その"モーンの城"の奥に用事があったんでな。
何とかうまいことゴーレムの攻撃を凌いで、城に忍び込んだ。
◆二「モーンの城」
実は啜り泣きの半島に入ってすぐに、ちょっとした縁に恵まれてな。
その時に手紙を預かった。
手紙の届け先は、リムグレイブ最南端にあるモーンの城。
そこの城主へ手紙を届けるのが、俺の用事だ。
城の中は酷い有り様だった。
なんせ死体が山のように積み重なっていたんだ。
死体を積み上げていたのは混種の者。
どうやら城に仕えていた者達だったそうだが、決起したようだ。
死体に広場を潜り抜けて上の方に昇ると、そこでは城の兵士と混種達が殺し合いを繰り広げていた。
城中でだ。
城主は、城壁の奥で采配していたよ。
手紙は届けたが、まだ成すべきことがあるとな。
モーンの城には至宝があるそうだ。
それだけは、絶対に混種に渡せないのだと。
流石に数が入り乱れる戦場では、俺にできることは多くない。
ましてや情報を探るなんてできる状況でもない。
手紙だけ届けて、城を去ったよ。
それでこの話は終わりだ。
これ以上、手帳に記すべきことはない。
◆三「幻影の木」
リムグレイブにもいくつかあった、黄金に輝く小さな木。
小黄金樹よりも小さいこれらは「幻影の木」というらしく、その根元にはよく"黄金の種子"が見つかるそうだ。
この幻影の木と黄金の種子は、エルデンリングが壊れた時に黄金樹から飛来したそうだ。
特筆すべきは、この黄金の種子は聖杯瓶を強化できるという点だ。
とりわけ、聖杯瓶の使用回数を増やす効果とされている。
つまり体の傷を癒す聖杯瓶が長持ちするというわけだ。
狭間の地を旅するのにとても重要なものだな。
俺が把握している限り、この黄金の種子は嵐丘のボロ家の近く・リムグレイブ東部のハイト砦の近く・モーンの城の近くにある。
合計で三つだけだが、これだけでも集めれば聖杯瓶はぐんと長持ちするようになる。
聖杯瓶の使用回数に不満があるなら、これらの場所を巡っておいて損はない。
もしかしたら俺が見落とした奴や、時空のゆがみで出てきたものが拾えるかもしれないしな。
聖杯瓶は褪せ人の宝だ。
その聖杯瓶を強化するものが、エルデンリングが砕けた時に各地へ飛来したというのだ。
この話が本当なら、褪せ人を支援する何者かの意図を感じてならない。
もしかしたら、二本指だけでなくエルデンリングと黄金樹もまた新たな王を求めているのかもな。
◆四「魔術師塔」
啜り泣きの半島の東部に、一軒の塔が建っていた。
入口が封印されているこの塔は"魔術師塔"というらしい。
文字通り魔術師が住んでいた、ないしは何らかの拠点としていた場所なのだろう。
中に入れば、無人ではあったものの、魔術師に連なる秘宝を入手することができた。
入口が封印されていたのは、この秘宝を護るためのものだろう。
だがちょっとしたヒントを残し、そして部外者が解けるようになっている辺り、これは回収を前提としているのかもしれない。
あるいは、先人たちが未来の弟子のために残したのがこの秘宝なのかもな。
秘宝の名は"メモリ・ストーン"。
黒く薄い石を、首飾りとして加工したものだ。
かつて永遠の都が見上げた黒い月の欠片……という噂話を聞いたことがある。
だがそれよりも確実なのは、このメモリ・ストーンは魔術師がより多くの魔術を行使するのを助けるものだそうだ。
一度に多くの魔術を記憶するのは、至難の業だ。
だから魔術師は、この石の力を借りるのだろう。
魔術を用いるのなら、これを集めておいた方が得だな。
次回は1/4夕方頃の予定です。