PERSONA5 THE SKY 〜Phantom Thief and Hero Girl〜   作:ぎんすた

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どーもGINSTAです。

この度は半年も失踪に近い状態になり申し訳ございませんでした!!
一応他の作者さんの作品の感想欄には顔を出していたので完全に失踪していたワケでは…ないハズ…!!

長らく更新がなかった主な理由については活動報告にも書きましたが、モチベが低下していたこと、リアルで色んなことがあり忙しくしていたからです。

それが今は落ち着いてこうして時間に余裕ができたし、P4R発表されたし、P5Xされたし…ということでモチベ復活したので勢いのあるうちに更新しよう!って感じになりました。

ちなみにP5Xは容量の問題で配信でストーリー追う羽目になりそうです…。



今回は前回の続きから。
蓮が攫われて、仲間たちはどうするのか…

今回からSAO、文ストのキャラも登場しますが、ひろプリキャラは話の都合上、まだ登場しないのでご了承ください。

それでは、どうぞ。


#0.5 手掛かりへの片道切符:鍵と会議

双葉side

 

「フタバ…すまない。ワガハイのせいだ…」

「…モナ…」

目の前で蓮が攫われて…ただ泣いて、ひたすら自分を責めているモナを、わたしは抱きしめるしかできていない。

 

蓮ならこの状況…どうしたんだろう。

てか、そもそもこの状況蓮がいなくなったせいで起きてるんだった…。

 

蓮のやつ…モナをこんな状況にして…。

帰ってきたら一発殴ってやる。

それは蓮が帰ってきてからやるとして…。

 

「…つっ…」

問題はモナだ。

モナに今伝えるべきことを考えなきゃ。

モナは悪くない。けど、自分を責めてる。

このままじゃ、いつかのすみれやキリトみたいに心を壊すぞ…。

それだけは、蓮も、わたしも…みんなも望んでない。

ましてや、モナ自身も望んでないはずだ。

 

なんて伝えたらいいんだ…!誰かに聞きたいけど…聞けるわけないよな。

 

ハードルが高く感じる…けど考えなきゃ…!

 

考えろ…考えろ…!

 

 

 

《難しく考えるな。お前が伝えたいことを伝えろ》

 

 

《この程度、難局であるかのようで意外と単純なものだ。

難しく考える雑念を取り払え。

もし、ダメだと言うのなら力を与えてやっても良い》

 

 

「…!」

2つのぼんやりと聞こえる声…一つはもう1人の自分っぽいけど…もう1人は…。

 

背中を押してくれてるのか?

難しく考えるな…か。

 

 

《お前が伝えたいことを伝えろ》

「…」

そっか、考えるんじゃなくてわたしの気持ちを伝えるんだ。

わたしはモナに優しく声をかける。

 

 

「モナ」

「…なんだ…」

声をかけると、モナは泣きながらも少し落ち着いてこっちを見た。

わたしはモナに向き合って、さっき思ったことをそのまま伝える。

 

「モナは悪くない。一番悪いのは蓮を攫った奴らだ。

自分を責める必要なんて、これっぽっちも無いんだぞ?

 

寧ろ、これ以上自分を責め続けたらモナの心が壊れる…。

 

それだけは、蓮だって望んでない筈だ」

モナをいつもより優しく撫でる。

するとモナの様子が少し落ち着いてきた。

 

「…お前…そんなこと断言できんのかよ…」

「わかるよ、わたしも同じ気持ちだからな。

 

それに…わたし以上に蓮を見てきたモナなら、そんなこと一番わかるだろ」

「…!」

モナは途端、泣くのを止めてハッとした。

気づいてきた…みたいだな。

 

 

「モナ…攫われる前、蓮は何て言い残したんだ?

きっと、あいつらしい言葉をかけたんだと思うけど…

多分、お前にそうなってほしい意図は含まれてない」

「…!!」

「話してくれないか?蓮が攫われた時のこと。

わたしだけじゃなくて、みんなにも。

 

みんなに話したら少しは楽になるだろうし…情報共有したら何か糸口見えてくるかもしれない、だろ?」

「…そうだな…」

本来、わたしはこういうのガラじゃないけど…。

いつもみんなを引っ張ってくれてるリーダーは今はいないし、生きてるとしても恐らく攫った奴の手の中…。

 

モナのためにも…わたし達の日常を取り戻すためにも、蓮を探さなきゃって状況だし、わたしも気持ちが落ちている身だけど、リーダーが不在な以上、事情を知っている奴が動くしかないだろ…!!

 

「今からみんなを集めるぞ。緊急会議だ!!

そーじろー!店、貸切にしといてくれ!」

「…!おい、双葉!別にいいけどよ…平気…なのか?」

そーじろーはわたしを心配そうな顔で見つめる。

そりゃそっか…大切な人がいなくなって普通は平気な訳ないし、わたしも実を言うと大丈夫じゃない…。

 

「そーじろー、ありがと。正直言うと平気って訳じゃない。寧ろ、気持ちはダダ下がりな一方だ。

 

けど、ここで止まってたらいつまで経っても蓮は帰ってこないし…まず、一番早く事情を知ったわたしがこれをみんなに話さないと何も進展しない。

 

多分、みんなも大体同じ気持ちになると思う。

だからわたしだけでも、率先して動かないとな!」

わたしは片手を腰に当てて、少しでも気分を前に進める為に大胆不敵な笑みを浮かべる。

蓮も…ジョーカーもこんな感じだったのかな?

 

「…はぁ…わかったよ。けど、無茶はすんな。

無茶してるとわかったら、強制的に休ませるからな」

「らじゃー!!」

「但し、自分から動くなら準備手伝え」

「…はーい」

そんなわたしを見て、そーじろーはため息を吐き、頭をかきながらも元々そのつもりだったとはいえ貸切にすることを了承し、中へ入る。

わたしもモナを中で休ませて、みんなに連絡を入れたり、モナからワームホールがあった場所を聞いて残された蓮の鞄を回収したり、貸切の看板を出したりとか、色々準備を手伝った。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

ー約3時間後ー

 

みんなに連絡を入れた後、緊急事態だということで、みんなは急遽急いでルブランに来てくれた。

 

ちなみに、わたし達がどうして異なる世界同士を行き来できるのかって?

 

わたし達はコンパスの世界に行くときに、スマホに入った専用のアプリを使って行くんだけど…

その中に異なる世界を行き来できる機能があって、それを使ってお互いの世界を行ったり来たりしてるわけだ。

 

で…

 

 

「双葉!!蓮が攫われたって本当なのか!?」

 

 

「真か春かと思ったらキリト!?意外と速いな…!?」

 

高校生

ーーーキリト/桐ヶ谷和人

ーーーーアルカナ『世界』

 

連絡してすぐに、キリトが慌ただしい雰囲気でルブランの扉を勢いよく開けた。

意外な人物が一番に駆けつけたのでわたしは正直驚いた。

 

 

「当たり前だ!!

あのメール見たら、クエストよりも仲間の安否を優先するに決まってる!!

 

それで…メールの内容は嘘じゃないんだな…!」

彼は切羽詰まった顔で、息を切らしながら中へ入ってわたしとの距離を詰める。

余程慌てて駆けつけたみたいだな…。

 

「…マジモンのマジだ。モナが実際に見てる」

「…なっ…!!」

わたしが連絡したことが本当であることを伝えると、彼は狼狽えて後退りしボックス席のテーブルに掌を打ち付けた。

 

「そんな…蓮、嘘だろ…!?

くそっ…なんでだよ…!!」

震える拳を握りしめて、悔しさを滲ませている。

蓮はキリトや敦と、コンパスの中でめちゃくちゃ仲がよかった。

恐らく、かなり悔しいんだと思う。

 

「キリトくん!!双葉ちゃん!!」

「双葉!!あのメールの内容、悪戯じゃないわよね!?」

「メールを見た時には驚きましたが…何事ですか!?」

「あのメールをみた途端、お兄ちゃんがいきなりログアウトしたんだけど…何があったの!?」

そんなキリトを見ていたら、アスナ、シノン、アリス、リーファもキリトの後を追ってルブランに入ってきた。

 

この後に竜司達他の皆も、仕事を切り上げたり、遠くから交通機関とかをまたいだりして急いでルブランに駆けつけてくれた。

ソフィアに至っては、一ノ瀬のスマホからわたしのに移る形で。

芥川と善吉は後から来るみたいだ。

 

仲間達が殆ど揃い緊迫感の漂う中、蓮を探す為の緊急会議が始まった…。

 

 

 

…もう少しだったのに…間に合わなかったのか…?

また…俺は…

 

 

 

会議が始まる前、キリトが何か小声で呟いていた気がするけど…気の所為…か?

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

蓮が攫われたこと、そして攫われた時の状況がモナを通じてこの場にいる全員に共有された。

芥川と善吉にはチャットで共有している。

 

「まさか、現実世界に転移門みたいなワームホールが開くなんて…。

まるで、現実と仮想…いや認知の境界が曖昧になっているような現象じゃない…」

 

高校生

ーーーシノン/朝田詩乃

ーーーーアルカナ『力』

 

「しかもそのワームホール、すんげー強力だったって話だろ?

蓮がモルガナ入ったカバンを投げて引き離さなかったら、モルガナまで吸われてたってことだろ!?

 

モルガナ全然悪くねーじゃん!!

寧ろ蓮に助けられたんだって!!」

 

春から大学生

ーーー坂本竜司

ーーーーアルカナ『戦車』

ーーーーーペルソナ『キャプテン・キッド』

ーーーーーーCN『スカル』

 

「そんなこと、わかってるんだよ!!だからこそ、ワガハイ何もできなかったのが悔しいんだよ!!」

「まぁまぁ…落ち着こうよ、モルガナ。

多分、モルガナが逆の立場でもそうしていたんじゃないかな?

私も、大切な人が巻き込まれたらその人だけでも助けそうな…そんな気がする」

 

同じく春から大学生

ーーー高巻杏

ーーーーアルカナ『恋愛』

ーーーーーペルソナ『カルメン』

ーーーーーーCN『パンサー』

 

ルブラン内には重苦しい雰囲気が漂っていた。

蓮がここにいないっていう事実が、更にこの空気を重くしている。そんな気がする。

 

「でも、認知世界を生み出した偽神は3体全部退けたって話だよね?

でも、今回現実と認知の境界が曖昧になる事態が実際に起きてる。

 

それを可能にできる異能者がいたってこと…?

まさか…蓮はそいつに狙われた!?」

 

武装探偵社社員

ーーー中島敦

ーーーーアルカナ『愚者』

ーーーーー能力名『月下獣』

 

「そう決めつけるにはまだ速いと思う。

けど、彼が何かに巻き込まれたのは間違いなさそうね」

 

大学生

ーーー新島真

ーーーーアルカナ『女教皇』

ーーーーーペルソナ『ヨハンナ』

ーーーーーーCN『クイーン』

 

「蓮も私と敦の友達。

攫った奴を見つけたら、ただじゃおかない…!」

 

武装探偵社社員

ーーー泉鏡花

ーーーーアルカナ『星』

ーーーーー能力名『夜叉白雪』

 

敦と真がこの事態について考察する中、敦の隣に座ってた、この中で最年少である鏡花はただ一人…蓮を攫った奴を見つけて懲らしめようとやる気満々だ。

 

ただ鏡花の後ろにいる、ペルソナに似た彼女の異能であり半身みたいな白い女性の存在《夜叉白雪》まで出てきて、帯の結び目から懐刀ちらつかせてをスタンバってるし…まさか…。

 

「大丈夫。殺しはしないし、皆に不利益が出るようなことがない程度にやるから」

 

「読まれてた!?てか、懐刀をちらつかせんな!!

夜叉白雪も刀をしまえ!!

 

ここは飲食店だ!!

わたし達意外に他の客いたら、銃刀法違反で通報されておしまいだぞ!!

 

やる気満々なのは嬉しいけど…今は会議しよ?な?」

「…会議を主催した貴方がそう言うなら…。わかった…」

鏡花はわたしが宥めると懐刀を収め、夜叉白雪も刀を収めてしまってくれた。

ちなみに白雪自体はまだ出てきたままである。

 

「お前、引っ込まないんだな」

『…』←意地でも引っ込む気は無い

「まぁ…別にいいけどな」

「夜叉白雪、変なことしたら引っ込んで貰う」

『…!』←ビビってる

「だから、懐刀出すな…」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

鏡花と夜叉白雪が大人しくなった後、わたしは気を取り直して皆に声をかけた。

ちなみにあの後、そーじろーに『余計に騒いだら追い出すぞ』とわたしと鏡花、夜叉白雪共々きつーく言い渡された。

 

「とにかくみんな。急な呼びかけだけど、集まってくれてありがとな。

 

今回みんなに集まって貰ったのは他でもない、蓮を探す為だ。

 

みんなの気持ち…痛いほどわかるし、わたしも正直、ショックでテンションはいつもより下がってる」

話しながら周りを見ると、元気がないやつ、蓮が攫われた理由を考察しようとしてるのか考え込んで黙り込んてるやつ、そして…今すぐにでも蓮を探しに行こうとするやつ…

 

みんなそれぞれ考えようとしてることが顔に出てた。わかりやすいな…。

 

「けど、何時までもこのままじゃいられない。そうだろ?」

「わかっている。だが、探すにしても今は彼に繋がる手掛かりが何も無さすぎる」

 

春から美大生

ーーー喜多川祐介

ーーーーアルカナ『皇帝』

ーーーーーペルソナ『ゴエモン』

ーーーーーーCN『フォックス』

 

「そう!それ!蓮を探して、見つけ出せなきゃこの重苦しい雰囲気は晴れないし、わたし達のいつもは戻ってこない!

 

だけど情報はワームホームに吸い込まれて、謎の神聖術の術式を詠唱していったっていうのだけ。

あまりにも少なすぎる…。

 

そこでだ!皆で手分けして情報を探りたい。

こーゆーのって闇雲に探してもしょうがないし…しかも未知の案件すぎてわたし一人じゃ流石にお手上げだ」

いくらわたしがハッカーで、認知の研究をしていたお母さんの娘…っていっても、今回の件は謎だらけすぎる。

多分、この世界の手段だけじゃ解決できない。

 

この世界だけ…ならばな。

 

「でも…ここには色んな世界か集まった奴らが集まってる。

みんなで手分けすれば、少しでも前に進めると思うんだ。

 

蓮の行方を掴むために、少しでも情報が欲しい…。

みんな、協力してくれ。

 

お願いだ…!頼む!!」

 

わたしはみんなに向かって精一杯頭を下げた。

沈黙が流れる。

正直、こういうの慣れないから…賛同してくれるか…全会一致できるか不安だ…。

 

暫くすると、竜司が口を開いた。

 

「顔上げろよ、遠慮すんなって」

「…!」

竜司に言われて顔を上げると、皆の顔つきが変わっていることに気づいた。

やる気に満ちた顔だ。

 

「ようは、みんなで蓮を探したいってことだろ?だったら言われなくてもやるぜ。

 

あいつがいなくなって、このまま大人しくしてろっつーのが無理だろ」

「竜司…」

「僕も同じ意見。場合によっては太宰さんや乱歩さんの力も借りよう!! 」

「敦…!」

「双葉先輩やモナ先輩だけが背負う必要ありません。

絶対先輩を見つけましょう…!!」

 

高校生&新体操選手

ーーー芳澤すみれ

ーーーーアルカナ『信念』

ーーーーーペルソナ『サンドリヨン』

ーーーーーーCN『ヴァイオレット』

 

「…すみれ…!!」

 

『双葉、私にも頼ってくれ。

わたしはジェイルのニオイを感じ取れたから、少しだけど認知世界のことなら力になれるぞ。

一ノ瀬に言って、暫くはお前のスマホにいるようにする』

 

人の良き友人であるAI。

ーーーソフィア

ーーーーアルカナ『希望』

ーーーーーペルソナ『パンドラ』

ーーーーーーCN『ソフィー』

 

「マジで!?お前がいれば心強いぞ!」

『困った時はいつでも言ってくれ』

「よろしくな、ソフィア!」

 

「双葉、私達の方でも別方面から情報収集に当たろうと思います。

 

認知世界を経由して、生身で仮想世界にダイブという前代未聞のことをお前達がやってのけてるのですから、私達の世界の技術にも何かヒントはある筈です」

 

整合騎士&人工知性『A.L.I.C.E』

ーーーアリス・シンセシス・サーティ

ーーーーアルカナ『運命』

 

「あたしも手伝うよ!

蓮さんはお兄ちゃんの友達だし…ね、お兄ちゃん!」

 

高校生

ーーーリーファ/桐ヶ谷直葉

ーーーーアルカナ『正義』

 

リーファがキリトに声をかけるが、当の本人は…会議が始まってからずっと何も喋らず、俯いたままだった。

 

「ちょっと、お兄ちゃん!」

「キリト、リーファが呼んでるぞー」

「キリトくん…気持ちはわかるけど、今はリーファちゃんが呼んでるよ」

 

春から大学生

ーーーアスナ/結城明日奈

ーーーーアルカナ『女帝』

 

 

「…!ごめん…!」

「キリトくん、やっとこっち向いた…。

もー、呼ばれたらちゃんと反応してよ」

「悪かったって、ちょっと考え事してただけだから」

わたし達が呼びかけて、アスナの呼びかけでやっと反応したキリトがこちらに顔を向ける。

 

「よかった…ちゃんと反応したな。

また廃人になってないか心配したぞ」

「双葉、お前俺のことなんだと思ってんだよ…」

「だって、モナを除けばこのメンバーの中で一番凄い反応をしてたからな…」

「確かにそうだけどさ…俺はこの程度で廃人化しないからな。

まだ、死んでいるって決まったわけじゃないしな…」

そう言ってるけど、声はいつもよりトーンが低く震えていて元気が無い。

 

蓮がいなくなったことが、相当堪えているいるようにも見える。

 

けど、次にキリトを見ると何かを決めたような…真剣な顔をしていた。

 

「…俺は認知訶学について、色々調べてみる。

前から興味はあったけど…今回の事件がもし認知絡みなら、蓮が何処かの認知の異世界に閉じ込められてる可能性がある筈なんだ。

双葉、暫くの間だけど…認知訶学に関する本、幾つか貸してくれないか?」

「緊急事態だし、別にいいけど…汚すなよ?」

「わかってる。善処するから」

わたしから認知訶学の関連本を借りる了承を得たキリトは立ち上がり、「あと…」屋根裏の階段を指差した。まさか…

 

 

 

「事件を調べてる間、俺は暫くこの世界に留まることにする。

 

元の世界と行き来はするけど、認知のことを調べるってなったら、こっちに留まった方が色々と都合が良いからな」

やっぱ、こっちに暫くいるみたいだな。

確かにその方がわたしの家と行き来しやすいし、調査の効率も上がるからな。

 

「お兄ちゃん!急に決めて、お父さん達にはなんて説明するの!?」

けど、突然決めたことなので家族であるリーファは当然困惑した。

両親に怪盗団のことは黙っているし、異世界やコンパスのこと以外は正直に説明できない。

下手な言い訳は絶対バレるけど…。

 

「おふくろ達には怪盗団のことは伏せて適当に誤魔化すよ。

この世界のバイトで泊まり込みとか、いくらでも理由はでっち上げられるし」

「そーかなぁ…一応あたしからも言っておくけど…」

こういうのって、お泊まりとか案外適当な理由で誤魔化せるものだ。

で、肝心の泊まり先は…。

 

「ということで惣治郎さん、寝床に暫く屋根裏を借りていいですか?

普段こっち来る時も蓮の許可を得て、利用していますし…ちゃんと店の手伝いもするので…お願いします!」

やっぱここの屋根裏だった。

キリトはそうじろーに向って勢い良く頭を下げた。

 

屋根裏部屋は蓮の部屋なんだが、高校3年に上がる前に蓮は地元へ帰り夏休み以外は空き部屋状態になってたから、キリトや敦達異世界組の男性陣が、蓮の許可を得てこの世界へ来た時の寝床として使ってる。

 

基本は男性陣が泊まるけど、キリト一人の場合は高確率でアスナも屋根裏に泊まりに来るのは別の話な。

 

「そう言うなら別に構わねぇが…親御さんにはちゃんと連絡しろよ?

あとわかっていると思うが、夜中に騒いだりしたら追い出すからな」

「…ありがとうございます!!

ちょっとうちに荷物取ってくる。

何か決まったら後でチャットで報告してくれ」

キリトはそうじろーにお礼を言った後、荷物を取りに家に戻るため『コンパス』アプリを起動しホログラムとなって消え、元の世界に戻った。

 

そして、それと入れ替わる形で来客を知らせる店のベルがなった。

 

 

 

 

 

「すまねぇ、遅くなった!

…って、様子を見るにいつの間にか話進んでる感じじゃねーか!」

 

 

 

警視庁公安部

ーーー長谷川善吉

ーーーーアルカナ『神官』

ーーーーーペルソナ『バルジャン』

ーーーーーーCN『ウルフ』

 

 

 

「遅くなってすまない、仕事が少々長引いた。 煩い人虎もいたか」

 

 

ポートマフィア遊撃隊隊長

ーーー芥川龍之介

ーーーーアルカナ『刑死者』

ーーーーー能力名『羅生門』

 

「入って早々暴言言うなこの芝刈り機」

「黙れ人虎。

ところでキリトは何処だ?最初に来たと聞いていたが…」

 

 

入ってきたのは黒いスーツを着た長髪のメガネの公安のおっさん…善吉と、黒いロングコートを身にまとって敦と軽い口論を繰り広げた、マフィアのおっかない狂犬…芥川だ。

 

善吉は入って早々ため息を吐き、芥川は辺りをきょろきょろ見回していた。

 

「あいつはさっき荷物を取りに家に帰ったぞ。

今日からここに暫く泊まるって」

「そうか、何れ戻るということか」

「ところで、お二人さんなんで一緒に来てんの?

公安とマフィアって一生見られねぇ組み合わせだろ」

芥川にさっきのことを伝えていたら、竜司が二人が一緒にいる理由を尋ねてきた。

確かに珍しいな。

 

「たまたまばったり出くわしたんだよ。

一応こいつの監視も兼ねて一緒に来た。

ここで問題を起こされたらたまったもんじゃねぇからな」

「わかっている。ここでは殺し等の余計な問題を起こさぬという約束だっただろう。

言われなくても約束は守る」

「全く…破ったら承知しねぇぞ。

 

 

一応、お前らに報告だ。

雨宮が誘拐されたことはまだ上にはバレてねぇ。

公安の中でこのことを把握してるのは俺だけだ」

「それならよかったです…善吉さん以外の公安にバレたら大変なことになりますもんね…」

蓮が行方不明になったことがまだ善吉以外の公安に公になってないことに、わたし達はとりあえず一安心した。

 

公安にバレたらわたし達は自由に動けなくなるからな…。

 

「けど、何時までもこのままって訳にはいかねぇ。

公安からの監視がまだ解かれていない以上、このことが他のやつにバレるのは時間の問題だ。

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()だぞ」

蓮は怪盗団のリーダーとして、公安に顔が割れてしまっている。

何れ善吉以外にバレたらリーダーや善吉だけじゃなく、わたし達の身も危ない。

 

特にキリトや敦達別世界組は、二度とこっちの世界にこられなくなる可能性が高くなるし、わたし達は逆に元の生活に戻れないorこの世界にいられなくなる。

 

 

 

何より捜索が長引けば長引くほど、蓮の身がより危うくなる。

 

 

それだけは嫌だ…!

もう、あの日のようなことは二度と繰り返したくない。

 

 

 

 

「となると…公安にバレる前に、なるべく早く蓮を探して見つけ出さないとダメってことね。

 

みんな、さっき決めたように手分けして情報収集して、少しでも手がかりを集めましょう。

少しでも手がかりになることがあれば、随時グループチャットで報告すること。

 

 

但し、何か有用な情報を掴んだからって、一人で突っ走ったらダメよ。

必ずみんなで全会一致してから行動を起こすこと!」

 

「だってよ、マフィアの独断専行しがちな狂犬!!」

真の指示が言い渡されると、竜司はニヤニヤしながら芥川の方を向いてそう言い放った。

 

「黙れ金髪猿。僕の独断専行は僕の考えで動いているだけのこと。

速さと力だけが自慢の貴様と違ってな」

「誰が金髪猿だコラ、俺は考えるときはちゃんと考えっから!バカだけど!!」

 

「馬鹿なのは認めるんだな竜司…」

当の芥川本人はム…と不機嫌な様子で答える。

竜司と軽く言い争いになってるけど、それを横目に敦がジト目で呆れている。

 

「だが…独断専行しないほうが良いとなれば僕もそれに従うのみ。

蓮の行方がはっきりしない以上、下手には動けぬ」

「なんだ、わかってんじゃねーか…」

「貴様…僕が何年マフィアやってきたと思っている…」

「まぁまぁ…二人とも落ち着こっか?

 

取り敢えず、今日は一旦解散して明日から情報集めしない?

みんな、蓮がいなくなったこと受け止めきれてる訳じゃないし、双葉とモルガナが一番疲れてるだろうし…。

 

一旦休んでそれぞれで色々整理する時間が必要だと思う」

「それもそうね。

 

じゃあ、明日また集まりましょう。

みんなもそれでいい?」

 

ということで、今日は解散となり明日から蓮の捜索が開始されることになった。

 

そして、蓮の代わりに怪盗団の新たなリーダーを誰にするか話し合いが行われた結果、言い出しっぺのわたしがやることになり、副リーダーにキリト、真が就いた。

 

正直…わたし一人だけじゃリーダーなんて重たい役割は不安だったから、真とキリトが副リーダーになってくれてマジで助かった…。

 

でもキリトのやつ、あの時なんであんなこと言ったんだ…?

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

「…もう少しだったのに…間に合わなかったのか…?

 

また…俺は…」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

正直色々問いただしたいけど、相当狼狽えてたし本人が話してくれるのを待つしか無いな…。

 

今は明日に備えて休もう…。

 

ちなみに、モルガナは暫く佐倉家の世話になることになった。

寝る時はわたしの部屋じゃないとこで寝るっぽい…。

 

当たり前たけど…モナ抱きしめて寝たかった…。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ー???ー

 

むにゃむにゃ…

 

ん…?なんか寒気がする…?

それに鼻がムズムズする…

 

 

 

 

「…ふぇ…ふぇっくしょん!!

…ほぁっ!?」

あまりの寒気に思わずくしゃみをしてしまい、目が覚めた。

 

うえええ…春なのになんだこの寒さ!?

 

せっかくの至福の睡眠の最中だったのに…!!

おかげで目が覚めたぞ!!

 

わたしの部屋、それなりにあったかったはず…ん?

 

「いや、よく見たらわたしの部屋じゃ…無い?」

辺りをよくよく見渡すとさっきまで寝てたはずのわたしの部屋じゃなくて、青い石積の壁、トイレに鎖の垂れた鉄格子、そしてわたしが座ってる簡易ベッド…明らかに牢獄っぽい場所だった。

 

「って!?服も変わってる!?

てか、腕重いなって思ったら…これ手錠嵌められてんのか!?

 

 

何のプレイだこれ!?ここからだせー!!」

しかも首から下を見てみたらいつもの寝間着じゃなくて、

ハロウィンでも仮装の定番の一つになってる典型的な白黒ボーダーの昔の囚人服、右足には足枷。

そして両腕には、さっき言ったようにファンタジーでよく見るような手錠が嵌められてた。

 

それに…この景色何処かで見たような…。

 

 

 

 

気がつきましたか?

 

 

 

 

…!うぇぇぇっ!?

って思ったら牢獄の外から不意に声をかけられて、思わずびっくりして退いた。

 

 

 

 

…?この声…。

 

よくよく聞くと声の主が知ってる人だったので、落ち着いて鉄格子まで近づき、格子を掴んで牢獄の外を見てみると、

 

 

「…ってラヴェンツァじゃん!」

 

「はい、ラヴェンツァです。

”ここ”でお会いするのはお久しぶりですね」

 

 

目の前には金がかかった銀髪を下ろして頭に蝶と銀薔薇がついた青いヘッドドレスをつけ、青いワンピースを身にまとった少女(ロリ)《ラヴェンツァ》

 

そして、奥の看守長席らしきところに鼻の長いタキシードを着た老人が座っていた。確か…《イゴール》だったよな?

 

 

「あと、この牢獄はわたし達の意志では開けません。

貴方が”鍵“に気づくことで開きます。」

 

「要はわたしが見つけないとダメってことか?」

 

「この牢獄はそういう仕様です。

所謂『システムで〜す』というものです」

 

「仕様は理解したけど、何処で知ったんだ、それ…」

 

「内緒です」

 

わたしじゃないと開けれないみたいだから、今は置いとくか。

 

 

それよりも、長鼻のじーさん…イゴールって、あのクリスマスイブの日にしか会ってないけど…。

 

 

てことはここって…

 

 

「お久しぶりですな、佐倉双葉さん。

どうやら驚かせてしまったようで申し訳ない。

 

ようこそ我がベルベットルームへ。

ここは精神と夢の狭間にある場所。

 

何かの形で『契約』を果たした者のみが訪れる部屋…ですが、今回は例外のようだ。

 

改めまして、私の名は《イゴール》

こうしてお会いするのはあの日以来ですな」

 

ベルベットルームの主

ーーーイゴール

 

 

やっぱベルベットルームだ!!

蓮がよく話してたし、あの決戦のクリスマス・イブにわたしも訪れた場所!!

 

青が基本のメインカラーで、その部屋模様は牢獄の他に製鉄所だったり、列車だったり、訪れる人の心の有り様で変わる不思議な部屋。その主がイゴール。

 

選ばれた客人や客人経由で知った仲間しかその存在を知らず、基本は蓮みたいに選ばれた人しか入れない。

 

曾てはあのクソな悪神(ヤルダバオト)に乗っ取られて、わたしが今いる牢獄に蓮が閉じ込められてたんだけど…その話は長くなるから今はナシで。

 

そして、ここは蓮の異能《ワイルド》の強さの鍵を握る大事な場所だ。

 

ちなみに、モルガナもここ出身だぞ。

 

「こちらは《ラヴェンツァ》

貴方にとっては説明不要のようですな」

 

「先程は驚かせてしまって申し訳ございません。

改めまして、住人にして案内人の《ラヴェンツァ》です」

 

 

ベルベットルームの住人

ーーーラヴェンツァ

ーーーーアルカナ『剛毅』

 

 

で、ラヴェンツァはベルベットルームの住人の一人。

蓮のサポート担当で、彼のことを《マイトリックスター》と呼び慕う、蓮大好きな幼女。

なんと、チェンソー持ってたりとか意外と属性てんこ盛り!!

 

実は2つに分かれられるんだけど…それは別の時だな。

 

正直こんなに可愛くて属性てんこ盛りな幼女に慕われてるとか…蓮のやつ、う ら や ま け し か ら ん!!!

 

と、これくらいにして…。

 

わたしは彼女達の話に集中する為、2人に向き直った。

 

 

 

 

 

「今回、貴方をお呼びしたのは貴方や、その仲間…

 

 

 

 

 

そして、行方不明のトリックスターにも関わる大事なことをお伝えする為です」

 

「…!!蓮のこと、何か知ってるんだな…!」

ラヴェンツァしか使わない蓮の呼び名…それが出た途端に、わたしは真剣な顔色になり彼女に問い詰める。

すると、ラヴェンツァは重々しげに口を開いた。

 

「残念ながらトリックスターはこの世界、そして貴方達の知る世界にはもういません…。

 

この世界や、コンパスによって繋がれた世界とは別の世界に囚われてしまいました」

「別の世界!?てことは…わたしたちも知らない未知の世界ってことか?」

「そういうことになります」

 

マジか…蓮がこの世界にいないってことは、その未知の世界に行かない限り手掛かりを掴めないってことじゃないか!!

 

…いや待てよ?

 

「てことは、その別の世界に行けば蓮を探せるってことだよな?」

「はい、流石理解が早いですね」

「それほどでも〜」

なーんだ、別の世界ならVoidollに頼んでコンパスのメインシステムからジョーカーの反応がどの世界にあるか特定させてもらえばいいじゃん。

あれなら未知の世界を見つけるくらい余裕だ余裕。

 

そう思って、希望が見えたと一安心したわたし。だけど、それは次のラヴェンツァが告げたものでことごとく砕けた。

 

「尚、その世界はコンパスのメインシステムで見つけて、この世界と繋げて行く方法を取るのは今のところ不可能です」

 

「え、マジかぁ…」

希望が見えた!!と思ったら現実を突きつけられて、夢なのに一気にテンション急降下…。

 

 

あ、ここ夢と現実と狭間の場所だったわ。

 

 

「なんで?」

「この世界とその世界では時の流れが異なり、ここやコンパスとはかなり座標が離れています。

故に万が一メインシステムと繋げるとなると、かなりの時間を要します。

 

こちらではたった1日しか経っていないとしても、向こうではかなり時間が過ぎているので、その分トリックスターの救出は夢のまた夢でしょう」

 

つまり、こっちの世界の座標と蓮が攫われたであろう世界と波長が合うタイミングじゃないと繋げることはできないってことか…。

 

でも、そこに行かないと蓮を探すスタートラインにすら立てない。

何か行く方法はないのか?

 

「ですが、一つだけその世界へ行く方法がございます」

「…!ホントか!?」

それを聞いてわたしは思わす鉄格子を掴み、顔を近づけた。

ちなみに顔は鉄格子から飛び出せなかった。

 

「詳しくは明日説明致します。

 

そして、もう一つ貴方にお伝えしなければならないことが」

「情報多いな。手短でオナシャス」

「では、手短にお伝え致します。

 

皆様がその方法で異世界へ行き、トリックスターを無事見つけて救出できなければ貴方やトリックスター、そして貴方の仲間諸共…

 

 

待っているのは『破滅』あるのみです

 

 

「…はい?」

ラヴェンツァから告げられたもう一つの情報、それは唐突な運命の宣告だった。

唐突に告げられた破滅というワードにわたしは理解が追いつかない。

 

でも…そういえば現実で蓮を早く探さないとわたし達も危ないって言われてたな…。

 

「つまり…蓮を救出できないと、蓮だけじゃなくてわたし達もバッドエンドまっしぐらってことか?」

 

「残念ながらそういうことです…」

「そういうことですな。

この牢獄が再び立ち現れたのも、それが関係しているのかもしれません」

「そしてそこに貴方が捕らえられているのも、今ある現実で貴方が置かれている状況が影響していると思われます」

 

 

「………マジかよぉぉ!!!」

わたしは思ったよりも状況が深刻なことに頭を抱えた。

 

イゴールもラヴェンツァもしれっと肯定するなぁ!!

慣れてるせいかもだけど!!

 

バッドエンドまっしぐらとか冗談じゃない!!!

 

 

ガンッ!!

 

「…ひっ!」

あまりの理不尽さに荒げていたら、ラヴェンツァに分厚い本で鉄格子を叩かれ、短い悲鳴をあげた。

 

ラヴェンツァをよくよく見たらヤバい、笑顔で怒ってるぅ!!

 

 

「少し落ち着きなさい。大事な話の途中です」

ラヴェンツァは笑顔を保ちつつも凍りついたような声でそう言った。

これガチギレさせたら怖いやつだ…

 

 

 

…ス…スミマセンデシタ…

私はビビって後退りし、震える声で謝った。

「よろしいです」

すると、ラヴェンツァの顔と声のトーンは元に戻り、様子を見ていたイゴールがタイミングを見計らって口を開いた。

 

 

 

「これは私の考察に過ぎませんが、牢獄が立ち現れた理由はもう一つ…

どうやら貴方がたはトリックスターから《大切なもの》を託され、これから数奇な旅路を歩む運命にあるようだ」

 

「蓮が?わたしに?」

蓮がわたしに何か託した?

そーいや今日何か入り込んだ感覚あったな…ってそれか!!

 

「トリックスターは攫われる直前、自らの運命を悟り貴方と仲間に希望を託した。

その希望は今はまだ大きくて小さい種…いや《かけら》と呼べるもの。

 

《かけら》は繋がりを育むことにより輝きを増していく。

この先に待ち受けている出会いが、貴方の中に眠る《かけら》に力を与える筈です。

それが破滅を回避する為の鍵となる」

かけらという名の希望…蓮はそれをわたしに託した!?

なんでわたしに?

その理由を考えようとしたら、ラヴェンツァが「双葉」と割って入る。

 

 

「貴方は託された希望を持って、この先来るであろう破滅に抗う覚悟はありますか?」

 

金色の双眼で真っ直ぐ見つめ、わたしにそう問いかけてくる。

 

破滅に抗う覚悟か…。

そういうの、わたしにとっては結構プレッシャーかかる質問だ。

わたしにはあいつみたいに重いものを背負える度胸とかはあまりない。

 

けど、蓮をこのまま見つけられないのも現実でバッドエンドを迎えるのも…

 

「破滅なんて…そんなの絶対に嫌だ!!」

 

私は鉄格子を強く握り締めてそう答えた。

すると、ラヴェンツァはその答えを待ってたかのように笑顔になり「そう仰ると思っていました」と告げた。

 

 

「トリックスターのペルソナの能力を怪盗団の中で一番知っている貴方ならば気づく筈です。

何より、貴方はトリックスター達を導いた叡智の者ですから」

「確かにそうだけど…それと何の関係が?」

「それは…時が来ればお話致します。

その際は私達がサポート致しますのでご安心を」

蓮が託したものや理由はわからない…。けど、ベルベットルームのサポートがつくとか、マジでありがてぇ!!

鬼に金棒!!

 

「さんきゅ…じゃなかったあざす!!」

 

「詳しい内容はその時が来れば説明致します」

「さて、今から貴方はベルベットルームのお客人だ。

貴方のこれからの旅路には必ずや、わたしの手助けが必要となるでしょう。

 

貴方が支払うべき代価は一つ。

『契約』に従い、ご自身の選択に相応の責任を持っていただくことです」

「うえぇ…そう言われると、急に荷が重く感じてきた…。

期待されてるってことでいいんだよな?」

イゴールからの期待の眼差しに、急に緊張感が増す。

 

蓮がいないからってわたしが立ち上がったのはいいけど…なんか逆にドンドンハードル上がってる感じがするのは気のせいか?

 

「まぁまぁ、お気になさらずに。

貴方は己の意志に従い、進めば良いのです。

 

今回のみ特例ですが、これをお持ちなさい」

イゴールが指を鳴らすと突如執務机から青い光が飛び出し、その光はやがて一つの青い鍵となってわたしの掌に収まった。

 

「これは?」

《契約者の鍵》、この部屋の客人の証だ」

この部屋の鍵ってことか。

大事なものっぽいから無くさないでおこう。

そう思い、鍵を握り締める。

 

ジリリリリリ

 

「…!!」

なんだこのベル!?

 

「おや、そろそろ刻限のようですな」

「続きはまた明日、

明日、現実にある青い扉の前でお待ちしております。

 

 

渋谷の《アンタッチャブル》というお店の隣に構えているので、そちらを目印にしてください」

 

 

 

つまり明日は渋谷で必須イベントってことだな。

明日の予定が急遽きまったのはいいとして…眠くなってきた…。

 

 

 

 

「また、お会いしましょう…」

イゴールの別れ際の挨拶を最後に、わたしはまた睡眠へと戻っていった…。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ー翌朝・双葉の部屋ー

 

「そ〜じろ〜…あとごふん…」

現在、時刻は6時半過ぎ。

わたしはまだ…眠りの中だった。

 

「…?なんだこれ…?」

けど右手の感触に違和感を感じ、目を開けて違和感の正体を確かめる。

 

「…!マジか!?これ夢の中で貰ったやつだよな!?」

違和感の正体は…夢の中で貰ったベルベットルームの鍵だった。

昨日見た青い鍵が実際に現実に姿を現したことに驚き、一気に眠気が醒めた。

 

「夢の中のものが現実に出てくるってファンタジーかよ…!ベルベットルームすげぇ…」

「フタバ!?朝からどーしたんだ!?」

夢の中のアイテムが現実に顕現するという超ファンタジーななことが現実で起こっていることに興奮し、手元にある《契約者の鍵》をまじまじと見つめていると、わたしの大声を聞きつけたのか下で寝ていたモルガナが慌てて部屋へ駆けつけてきた。

 

『双葉、朝から何かあったのか?』

更にマイクで声を拾ったのかわたしのスマホのにいたソフィアも画面をつけて姿を現し、カメラ越しに様子を伺い始めた。

 

「…!おい、その鍵!ベルベットルームのだよな!?

なんでフタバが持ってるんだ!?」

部屋へ入る最中、目に鍵が入ったのか物凄い速さでベットへ上がり、鍵のことについて問い詰める。

 

『ベルベットルームってラヴェンツァのいるところだろ?それとその鍵は何が関係しているんだ?』

一方、ベルベットルームにあまり詳しくないソフィアは鍵を見て首を傾げていた。

 

 

「フタバ…お前、まさか…」

「多分、モナの考えてることと大体あってる。

わたし、蓮と同じ立場…ベルベットルームの客人ってやつに選ばれた」

『つまり、その鍵はベルベットルームの客人しか持てないアイテムで、双葉は客人になったから所有者の資格を得たってことか』

「大体そーゆーことだな」

わたしはモナとソフィアに昨日ベルベットルームに呼ばれたことと、そこであったことを簡潔に伝えた。

話を聞いたソフィアはある程度理解し、モナは「マジかぁ…まさかフタバが客人に…」と驚いていた。

 

 

いや、わたしが一番驚いてるぞ…。

 

 

 

「レンがフタバに託した《希望》と《かけら》…ざっくり聞いただけじゃ謎だらけだな…。レンがなんでフタバにそれを託したのか一番の謎だけどな」

「ラヴェンツァがわたしならわかるって言ってた。

あと、これ結構大事な話」

「何だ?」

『む?まだ何かあるのか?』

 

わたしの何か有りげな前置きにふたりが首を傾げる中、さっきざっくり伝えた時に敢えて伝えなかった話をここで伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

「蓮の手掛かりに繋がる鍵、確実じゃないけど早速ベルベットルームで見つかった」

 

 

 

「…………」

『…………』

部屋に沈黙が流れる。

 

 

「いや、あっさり見つかるのかよ!!」

『急な進展…

あと猫ガナ、うるさいぞ』

 

 

10秒後、沈黙が破れモナの全力のツッコミが佐倉家に響き渡ったのだった。

 

 

 

 

 

NEXT⇒0.5『手掛かりへの片道切符:旅立ち、新たな世界へ』

 

 




本当はこの後双葉が旅立つところまでやりたかったけど、長くなりそうなので一旦ここでストップ。
今回もひろプリ勢出番無し!!
ひろプリ勢はひろプリ世界に入ったら出すのでお待ちください!!

0.5話、本当は前後編やる予定なかったのですが、確実に長くなるなと感じたので前後編に分けることにしました。
半年も待たせてこれか?言われそうですが…
文字数安定の一万超えでした()
あと、案の定情報盛り沢山なのは申し訳無いです。

今回は前半全員集合からの会議パート。後半はベルベットルームでお送りしました。
いや…この作品やる時から覚悟してたけどキャラ数多!!!
(自分で書いてて何言ってんねん)

今回一番の難産が会議シーンでした。
蓮を除く怪盗団全員に加えて、キリト一行や敦くん、鏡花ちゃん、芥川もいたので会話をどう収集つけるか…とかそこら辺結構悩みました…。
これを上手く裁ける他の作者さんすげぇ…。

ちなみに、文ストキャラ、SAOキャラのアルカナについては大体過去にソシャゲや公式で登場したアルカナモチーフのキャラやグッズで割り当てられたアルカナを参考にしています。
他のP5キャラと普通に被ったりしますが、そこは多めに見てください。
(公式とは別のアルカナに変更する場合あり)

ベルベットルームのシーンに関しては台詞はベルベットルームの動画を参考にしながらイゴールさんの台詞とか引用させていただきました…。
ラヴェンツァちゃんの口調とかこれでよかったのか…。
P5Rやりながら確認しようと思ってます。

この作品の話、コンパスキャラが出ていない&アニメ『2.0』とは関係ない作者が考えた捏造設定が主であるってだけで

『P5、文スト、SAOのキャラがコンパスで出会ったり、再会したりした』前提の設定なのでコンパス思いっきり絡んでるんですよね…。
なので、タグつけるべきか悩んでるんですが、内容が内容なので下手に追加したら検索妨害になりかねないから今のところ追加していません…。

誰がアドバイスください…。
後、感想もお待ちしています。

さて、次回はいよいよ蓮を探しにひろプリの世界へ旅立ちます。

お楽しみ。
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