【1000文字でキスしないと出られない部屋】
「何よこれ!?」
「閉じ込められたなおい!」
いわゆるアレである! 少年と少女は絶叫した!
絶叫はしたが、少年は冷静だった!
「なら話は早いな、ちょっと口を貸せ!」
「貸さないわよ! こっち来るな近い!」
冷静ではなかった! 恋は盲目なのだから仕方のないこと!
それはそれとして、少女の蹴りがいつにも増して鋭い! そして痛い! 少年としてはそれが最近すこし気持ちよくもなってきているが、それは秘密だ! おそらくバレてはいても!
「ちょっとさっきから
甘酸っぱくてついな!
そんな事より少年が巧みに間合いを詰めてきているぞ!
「フヘヘヘ泣こうと叫ぼうと誰も来ないぜ! 諦めろ減るものでなし!」
「減るのよ! 乙女心とか!」
文字数とか!
「うるっさい! ……そ、そもそもキスとか……ままだ早いでしょうが!」
「――まだ、と申したか」
「いきなり静かになるんじゃないわよ! 言葉の綾よ!」
500文字弱でようやくツンデレらしくなって参りました!
そんなツンデレ少女は今まさに部屋の隅に追い詰められているぞ! 少年の腕が逃げ場を塞いでいる!
「順番よ! 手順ってものがあるのよ! まずは文通からよ!」
(拝啓、好きだ)
「あんた、脳内に直接……!?」
ここで少年のダイレクトアタック! 少女は膝から崩れ落ちた! 効果は抜群だ!
「ゃ……っ、ま待って! 本当に待ちなさいよ待て!」
「ええい往生際の悪い! 今時ツンデレなんて流行らないんだぞ素直になれ! 素直ヒートに!」
「素直ヒートって、なに!?」
「知らんのか!? これだから今時の若い奴は!」
「同い年でしょうが! あっち行ってってば、このこの!」
説明しよう! 素直ヒートとは――
「しなくて良いから! それより、いま何文字!?」
800文字弱!
「もうそんなに!? どうするのよこれ!」
「そういえば……キスしないまま1000文字を超えるとどうなるんだ?」
出られない!
「……ずっと?」
ずっと!
「よし分かった、俺はキスしない」
「……はあ!?」
少年ここでまさかの賢者モードか! 否これは!
「な、なんで!? しないの!?」
「残念しませぇーん! ここでお前と一生一緒ならそれで良いんですぅー!」
「死んじゃうじゃない!」
(拝啓、一緒に死んでください)
「文通じゃなくて遺書か! ……~~んああぁ、もう!」
カチリ、と。
扉が開く。
「か勘違いしないでよねっ! これは――」