ジョジョの奇妙な冒険IF-オーディナリーワールド- 作:ニャンクル
ジョジョextra10
これは本当はなかった物語。
Part6とは違う世界線。
この物語はPart6で空条徐倫が生き残った世界の物語である。
プロローグ
2028年の日本。
冷たく乾いた空気が留置所の中に入っていく。留置所内は質素で、トイレとベッドのみの最低限の衣食住が保証されているような場所。そこに何人もの人が冷たい楼で生きる意味を失い収監されている。
その中で唯一大声で何か喚いている女の声が聞こえてくる。コンクリートで囲まれた部屋の中で苛立ちの隠せず、貧乏ゆすりをしながら女性が足を組みベッドに座っていた。女性は筋肉質でスタイルが良く、お団子頭の黒髪に、後ろの毛は三つ編みにしている髪型をしており、顔立ちからしてハーフとよくわかる顔をしている。
「やれやれだわ」
ため息をつく女性を前に警官は1人静かに女性の見張りをしている。
イライラが限界に達した女性は大声で叫ぶ。
「ねぇ早くここからだして」
女性は強い口調で叫んだ。何度も何度も、警官が反応を見せるまで何度も叫び続ける。
するとようやく警官が椅子から立ち上がり、女性を見ると息を深く吸い込んでいく。
「うるさい!静かにしてろ!」
留置所内に警察官の注意する声が響き渡る。そんな警官の態度に不満と怒りを露わにする女性は歯をギシギシいわせながら舌打ちをするとベッドから立ち上がり楼にしがみつく。
「あぁ!?これは冤罪だ!正当防衛だ!早くここから出せ!私は今日痴漢にあったからその痴漢したやつに向かって罵声を浴びせてボコボコにしただけなのに、こんなことで警察に牢屋にぶち込まされる私の気持ちがわかる?今からでもいいわよ、痴漢したやつをここに連れてきなさい!もう一発入れてやる!」
「うるさいと言っているだろう!そんなことを言ってもなにも変わらんぞ!」
冷徹な表情で女性を皮肉にみる看守は椅子に座り、上司に言われた通り女性の牢屋の前でじっと待っていた。昼の12時からこの女性の牢屋の前で待っているというのに、一向に上司は帰ってくることはなく、もう夕方の四時を回っていた。4時間もこのうるさい女性の前にいるのだから警官はとてもストレスをかかえていた。なぜ自分がこの女性の看守を任されてしまったのだろうと上司に対して怒りが溜まっていく。
「おい」
女性がそんな疲れ果てた看守に話しかける。
「…。」
看守は女性のことを無視して椅子にへたり込んでいるとまた女性から話をかけられる。
「あんた、この音聞こえないの?」
「黙っていろ!」
そう言うと女性はすぐに口を動かすのをやめた。
音?何の音だ?音などなにも聞こえない。警官は不思議に思うもまたこの女性が変なことを言っているのだろう、そう思った時だった。
タッタッタッタッ
たしかに音が聞こえてくる。誰かがこちらに走ってくる足音。女性の方を見ると女性は先程とは違い、静かにベッドの上で足を組んでブツブツと何か呟いている。それよりも、音が良く聞こえたと感心してしまう。
タッタッタッタッ
足音がだんだん大きくなる。看守は立ち上がり、誰がくるのかじっと見つめている。
女性はなに1つ表情を変えず、ずっと何かつぶやいている。
「やっときたわね」
タッタッタッタッ
そして、ようやく、人の姿を警官の目は捉える。すごい勢いで走ってくる男性の後ろには警察官が疲れ果てた表情で男性についていけず、歩いてこちらへ向かってきている。
「ちょっと君!止まれ止まれ!」
そんな走ってくる警戒をし、止まるように訴えかけるとすぐに男性は立ち止まる。
「あ、あなたは…?」
警官の前で挨拶をした男性は見るからに背が高く身長180cm以上あり、この近くにある進学校の制服を着ている。
「こんにちは」
男性の挨拶で警察官も挨拶を返すと、遅れて上司である警官が荒い息を吐きながらやってくる。
「すまない、遅れてしまったね」
そんな上司を目の前に警官は敬礼をする。
「あの、渡辺警部この方は?」
「この子はそこにいる今日痴漢した男を殴った女性の息子さんだ」
「そうなんですか、これは失礼しました」
「気にしないでください、うちの母がまたすみません」
汗だくでやってきた高校生の姿に女性は待ちくたびれた様子で鉄格子の前で立っていた。
「遅かったわね、ほんとに」
男子高校生はため息をついたのちすぐに口を開いた。
「仕方ないだろ、学校あったんだから」
言い訳をすると女性はすぐに口を閉じる。
「この度はまたうちの母が迷惑をおかけしました。また冤罪ですかね」
「まぁ今回は痴漢に会われてそれでその相手に暴力を振るってしまってね」
「まぁこちらも警察官だから容疑がかかっている限りどうしようもないんだよ。まぁ今回は正当防衛と認めてもらえたので釈放されますよ」
「そうですか。容疑が晴れてよかったです、お疲れ様でした」
青年がいうと母親である女性に対して怒った表情を見せている。
「やれやれだわ。ねえ、やっぱ私は悪くないじゃあないの、どうしてくれるの?」
「母さん、もういいだろ、帰ろう」
青年が言うと「わかったわ」と一言いい、目をつむっている。
「これでもう大丈夫ですよ。申し訳ない、空条徐倫さん。手続きしたらすぐ帰宅してください」
空条徐倫、そう呼ばれた女性は立ち上がり不満そうな顔で息子を見つめる。
警察官はゆっくりと留置所の鍵を開いた。
「本当迷惑してるのよ。なんでこうも正当防衛で捕まっちゃうのかしら。ねぇ
徐部流、そう呼ばれた青年は仕方ないよと首を振る。
「アメリカの刑務所にも冤罪で捕まっちゃうほどの運のなさなんでしょ。仕方ないんじゃあないかなこれくらい」
「そうかもねェー」
軽く答える徐倫に助部流はため息をつきながら頭を抱える。
「そういえば空条さんお若いですね。母親で高校生の息子さんがいるのに」
「まぁ、上手いこと言って。なにかしてもらいたいの?」
「はぁ、母さん。そういうのはいいんで早く帰りましょうか」
「息子さんは名門校で成績トップらしいですね。本当にすごいなと思ってます」
「そんなことないですよ。親がこんなだから自分はこんなのになりたくないだけです」
「あんたそれどういう意味よ!」
徐倫は助部流に激怒したが冷静な助部流の頭を思いっきり叩く。
「いったぁぁぁ」
頭を抱えて痛みを堪える助部流に、笑いながら平手打ちを続ける徐倫を看守たちは笑顔で見守っていた。
「も、もういいだろ。やめてくれよ母さん」
「あっはっはっは。あっ、悪いわね助部流」
その後仲の良さそうに助部流と徐倫は留置所を後にした。
コインが落ちる音がする。
「準備は整った」
男は低い声で呟くと、落ちたコインが消えて無くなる。
「では、始めようか。空条、お前が来るのを私は待っている」
男は写真に写る青年、空条徐部流を見つめながら玉座に腰掛けていた。
とてつもない空気が流れている、その男の表情、声、雰囲気は狂気に満ち溢れていた。
苦笑を浮かべる男は最後に一言。
「お前は私が殺す。私が必ず息の根を止めねばならない」
これは〈
人間には〈因縁〉がある。〈因縁〉は果たさなくてはならない、どの時代であっても、それは時代を超えてなお、果たされる運命にあり、宿命にある。
誰が決めたのかは定かではない、ただ、これは血筋に限ったものではない。さまざまな〈因縁〉、〈因果〉、これが交差し混ざり合いそして繋がる。人は誰しもが何かしら繋がりがあるものなのだ。
最後にもう一度言おうこれは〈因縁〉の物語である。これから先の出会いは必然であり、それもまた因縁に繋がっている。因縁は果たさなくてはならない運命にある。
これは一人の青年、そしてその家系の〈因縁〉の物語である。