ジョジョの奇妙な冒険IF-オーディナリーワールド-   作:ニャンクル

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第2話 ホワットエヴァーとオーディナリーワールドその①

 

時は2028年。

 

「じゃあ俺は部屋で勉強でもしてるから」

 

そう告げて立ち去る青年の名前は空条徐部流。

現在高校一年生である。祖父、空条承太郎と同様に長身で頑強な肉体、左肩に刻まれた星の痣を持つ。

 

「ったく、徐部流はすぐに家に帰ってきたら勉強、勉強ってうちの家系なのにあの子おかしいわ」

 

この女性の名前は空条徐倫。現在36歳であり、数年前に夫と死別後、一人で子供を育ててきた。

空条徐倫は17年前、エンリコ・プッチとの激闘の末、仲間そして父である空条承太郎を失いながらも何とか勝利を収めた。

それから母親と暮らしていたが日本人の男性と恋に落ち結婚。そして今に至る。

エンポリオ・アルニーニョとは現在も親交がある。

 

午後5時を回り徐倫は腰掛けていたソファーから立ち上がり、夕食の準備へと取り掛かる。

 

「徐部流ー、ご飯できたわよー」

 

「わかった、すぐにいく」

 

その言葉通りすぐにリビングに現れた徐部流は夕食をとりつつ、テレビを見ていた。そして、思い出したように徐倫に目を向ける。

 

「そういえば母さん、来週模試があるから」

 

「わかったわ、帰りが遅くなるのよね」

 

「あぁ、いつもごめんね」

 

「いいのよ、学生の本分は勉強だし」

 

テーブルに肘をつけながら軽く答える徐倫を見て徐部流の顔には笑みがこぼれてくる。

 

「何笑っているの?」

 

理由を聞かれた徐部流は苦笑しながら答える。

 

「母さんにその言葉は似合わないなと思って────」

 

「あんたねぇ、何てこと言うの!!!」

 

徐倫の拳が徐部流の後頭部めがけて勢いよく飛び徐部流は痛そうに頭を抱える。

 

「さすが母さん…いい拳してるよ」

 

「そりゃああんたの母親だし。それに死んだ父さん…あんたのおじいちゃんね、あいつにぶん殴られた時の痛みに比べればこの一発なんて軽いものよ」

 

徐部流を殴ったことに満足したのか、それとも夕食を食べて腹が満たされ満足したのか徐倫は満面の笑みでお皿を片付けに向かう。

徐倫に続いて徐部流もお皿を片付けて自室へと向かった。

親子の団欒を終えて助部流は自室で今日の勉強をしたのちすぐにベッドに入り、目を瞑って意識が遠のく。

 

次の日────

 

何も変わらない毎日、それが徐部流にとっての生きる意味。それは何が起きても変わらない。徐部流は変わらない毎日を過ごしたいだけなのだ。

 

次の朝を迎えると家では徐倫が朝食の支度をしていた。

 

「徐部流。ご飯ができたわよ」

 

朝食はいつも通りパンでよだれが出そうになる程香ばしく焼き上がったベコーンと野菜を挟んでサンドウィッチにしたものが出てきた。

 

「いただきます」

 

徐部流は朝食をすませるとすぐに学校に行く準備に取り掛かる。

 

ピンポーン

 

インターホンの鳴る音が家中に響く。

徐倫は慌ててインターホンの応答に答える。

 

「はい。あら裕李ちゃんじゃない。徐部流急いで」

 

「じゃあ行ってくる」

 

徐部流はすぐに玄関に向かい扉の前に行くとそこには黒髪の美少女が立っていた。

 

「おはよう。ジョジョ。迎えにきたよ」

 

「あぁ、悪いな裕李。少し遅れてしまって」

 

すまなそうな顔で答えると大丈夫だよと裕李と呼ばれた美少女は首を横に振る。

噴上裕李(ふんがみゆうり)は徐部流と同じ高校の生徒で、助部流に次ぐ学年2位の座にいる優秀な生徒であり徐部流の友人の1人である。

徐部流とは幼馴染というやつで毎日一緒に学校へと通っている。

 

「それよりもお前が俺をジョジョなんて呼ぶの珍しいな」

 

「そうかな?」

 

「あぁ、いつも下の名前なのに…何かあったか?」

 

「う、ううん。何にもないよ。なんか私も恥ずかしくなってきたから呼び名戻すね。徐部流」

 

「じゃあ学校に行きますか」

 

うんと頷き、お互い見つめ合っていると母親がニタニタした顔でこちらを見ていた。

 

「何だよ母さん」

 

「いいやぁぁぁ?何でもないけどぉぉ??」

 

「おばさん、別にそういう関係じゃあないんですよ?」

 

裕李が否定しても尚、徐倫はその表情を辞めずに2人を見送る。

 

「それじゃあ2人とも行ってらっしゃーい」

 

「行ってきます」

 

母親に背を向けて2人は学校へと向かう。

 

登校中には男女ともに学校の生徒がこちらに近づきおはようと2人に言いながら走って登校している。

そんな中で男子生徒の一人がこちらに向かってくる。

 

「噴上さん、それにジョジョおはよう」

 

「おはよう。零士」 「おはよう瓜鷹くん」

 

挨拶を交わすと瓜鷹と呼ばれた男子生徒は短髪の髪をかきながらこちらと同じペースで歩いてくる。

瓜鷹零士(うりたかれいし)は徐部流のクラスメイトで徐部流の親友。

 

瓜鷹から一緒に学校に行こうという問いかけに俺たちはもちろんとうなづき学校へ向かう。

もう少しで学校とゆうところで瓜鷹が口を開く。

 

「そういえば2人はどんな感じで出会ったんだ?イケメンと美少女さんカップルで有名なお二人さん」

 

「そ、そんなんじゃないよ!」

 

赤面で少し困った表情で答える裕李に対し徐部流は特に気にせずに話を進める。

 

「裕李とは幼馴染なんだよ。まぁ出会い方は地味だったけどはっきり覚えてるな」

 

噴上裕李とは俺が小学生の時にで出会った。

俺が公園で遊んでいるときにじっと見つめてくる少女と目が合い近づいてきた少女が裕李だった。小学生の頃から不思議な性格をしていて自分より優秀な人を観察するのが趣味らしく、よく俺のことを見てきた。そんな性格から子供の頃はよく他の男子からいじめられていた。

しかし今では成績優秀容姿端麗の美少女で、学校でも有名となっている。

 

と長々と話していると呆れ顔で零士はこちらを見ている。

 

「え?なにかおかしいこと言ったか」

 

隣をみるとリンゴのように赤くなった顔で俯く裕李の姿があった。

 

「そんな話してるとそりゃ噴上さんも顔真っ赤になるよ」

 

裕李はうんと深く頷くと頬をぷくっと膨らませながらこちらを見ている。

 

「気に触ることを言ったなら許してくれ」

 

そうこうしているうちに学校が目の前に見える。

 

「あっ、もう学校つくな」

 

あと数メートルで学校に着く。俺はごまかしながら小走りで校門を抜けると先生に挨拶を交わし昇降口へと走る。

それに合わせて2人とも走りながら昇降口に向かい、ロッカーで上履きに履き替え三階の教室に向かう。同級生に挨拶を交わしながら教室の扉を開け、自分の席についた。

 

「間に合ってよかった」

 

ホームルームを終え携帯のバイブをポケットから感じて携帯をみて驚く。

 

 

『早くこの街から逃げろ』

 

 

なんだこのメール。発信先を見ても心当たりがない。迷惑メール…?にしてはこの文面のみ。

 

「何だこれ…」

 

疑問を抱きつつ携帯を見つめていると頭に衝撃が走る。

 

「おい、空条。学校では携帯を開くな、どうしたんだお前みたいな生徒が校則を破るなんて珍しい。何かあったのか?」

 

振り向くと教師が教科書を持って立ち尽くしていた。

 

「い、いえ。少し迷惑メールのようなものが来ていて」

 

「そうか、そんなメール無視しとけ無視しとけ」

 

教師はすぐに教室をでていき、ほかの生徒からどうしたとこちらを見ていく。

 

徐部流は苦笑しながら何でもないよと首を横に振り、携帯をしまった。その後特に何も無く一日を過ごしていった。

 

 

放課後になると生徒たちは自由に帰宅するもの、部活をするもの、勉学に励むものと多種多様に増え、その中で徐部流は一人で今日のメールのことについて熟考しながら、近道をするべく裏道を通って行く。

 

裏道に入って少し経った時前から男が歩いてくるのが視界に入る。

 

男とすれ違い、通り過ぎると耳元で囁く男の気味の悪い声。

 

「お前は空条徐部流か?」

 

心拍数が上がりすぐに後ろを振り返ると男は黙ってこちらを直視している。

 

「これは失礼。私は葉山照(はやまてる)というものだが君に言いたいことがある」

 

男は黒のスーツを着た男性だった。年齢は30代前半で髪が長く背中まで垂れている。

普通に接したらとても良い感触で話せる男性なだけに不気味さが増す。不気味さと比例してこちらを凝視する目に狂気を感じる。

男は口を開く。

 

「君を始末させてもらう。これはあの方からのご命令だ」

 

自然なほどの殺意を向けられ、徐部流は動揺することさえしなかった。それほどまでに自然な殺意、徐部流自身が認識できないほど自然な口調で葉山は言い放った。

 

「えっ、今なんていいました?」

 

「君を始末する。ただそれだけだ」

 

何かの聞き間違えなのか、もう一度聞き直し、自然な言葉の流れに動揺する暇さえ与えてくれないこの男の佇まいに徐部流は恐怖を抱く。

 

「なんの冗談かは知りませんが、そう言う冗談はよくな…」

 

突然、何かに殴られたように飛ばされる徐部流はゴミの山に激突し、衝撃を吸収されなんとか立ち上がる。

 

「何するんですか!急に殴るなんて、警察呼びますよ」

 

「警察ね、どうやって呼ぶのか知らないが、勝手にするといい」

 

「あぁ、そうさせてもらいます」

 

徐部流はポケットに手を入れ携帯を探すも見当たらず、葉山の方へと顔を向ける。

 

「君の探していたものはこれじゃあないのかな?」

 

葉山は携帯を握り締めながら徐部流へと冷静な態度で言い放つ。

いつの間に取られた?こいつ、スリとかそういうレベルの話じゃあない。確かに携帯電話はポケットに入れたはず。なのに何かに吹っ飛ばされた一瞬のうちに奪い取られた。

 

「いつのまに取ったんですか!俺の携帯、返してください!」

 

俺の携帯電話は宙に浮いて、プラプラと揺れている。

 

「これを返すと君は警察を呼ぶだろう、それは困る。私はここで君を始末しないといけないからね」

 

手品師かもしれないと考えたがそういう次元の話じゃあない。何だ、何が起こっている。

 

「始末とかなんだか知りませんが、力ずくで取り返させてもらいます」

 

そう言ったのち、徐部流は携帯を取り返す策を考えていく。徐部流は周りを見渡し、自分が吹き飛ばされた時にあったゴミ袋を手に持ち、葉山の方へと向かっていく。

 

「何をする気か知らないが、君から向かってこられるのは好都合」

 

大きなゴミ袋を投げつけ距離を縮めていく。それを手で払い除ける葉山を見て徐部流はゴミ袋を全て上へと投げつける。

 

宙に舞うゴミ。そして、落ちてくるゴミが葉山に当たる前に吹き飛ぶ。ゴミを吹き飛ばしたあと、葉山は異変に気付く。

 

「どこにいった!?」

 

上を見上げた葉山は一瞬で徐部流を見失い、手の感触に違和感を感じる。

 

「携帯が…ないだと…!?」

 

「返してもらったぞ、俺の携帯!」

 

携帯を掲げて携帯を奪ったことを伝えると葉山は不敵な笑みを浮かべる。

 

「面白い、まさかね。私としたことがこの程度のことで携帯を取られるとは思わなかった。」

 

葉山は順に徐部流のしたことを述べていく。

 

「君がゴミ袋を投げたあとゴミが散らばり視界を錯乱させ、その隙をついたわけか。」

 

徐部流は唾を飲み込みながら頷き携帯を取り返したあとすぐに携帯で警察への連絡を試みるも携帯電話の電源がつかない。

 

「くっそ、あの一瞬でバッテリーを抜かれているとはな」

 

「念には念をというやつさ」

 

そう言ってこちらに向かってくる葉山を見て

徐部流は長い足で地面を蹴り全速力で真っ直ぐ走る。それを見た葉山も同時に走って追いかけてくる。

 

「あの変なメールに関係しているのか?」

 

「あのメールだと?やはり協力者がいるようだな空条徐部流」

 

協力者?なんのことだ?まずなぜこの男は俺の名前を知っている?あの方とは誰だ?そしてこの男の目的はなんだ?様々な思考が徐部流の頭を滝のように流れていく。しかし、今は走ることだけを考えよう。

それが最善策、この男何か危険すぎる!

 

「無視か、まぁどちらでもいい、君を殺してからその携帯の履歴を確認すればいいだけだからな。そのために携帯電話も壊さないでおいたのだ」

 

走る速度を上げてくる葉山に徐部流もまた走る速度を上げていく。

 

徐部流が全速力で走っていると右足に違和感があり、走りながら恐る恐る右足に目を向ける。

 

「ぐぁっ。足が切れている!」

 

徐部流は勢いよく転び足を抑え激しい痛みと戦う。ナイフか何かで切られた痕が右足にある。

足からの流血が止まらず持っていたタオルで応急処置をとる。

 

「追いついたぞ。空条徐部流」

 

男は息を切らしながらこちらに目を向け一歩ずつこちらへと歩み寄ってくる。

 

「逃げなければ、この男は何かやばい」

 

「すぐに楽にしてやる」

 

男が冷徹に言い放つと徐部流に寒気が襲う。男の背後から何かとてつもなく嫌な気配がしている。

生存本能が訴えかけてくる、この男に今近づかれることはとてもまずい、本当にまずい。

 

「お前にはこの俺の隣のものが見えないのか?」

 

言葉を発する葉山に対し疑問を抱く。

この男はなにを言っているんだ。目の前の男の周囲にはなにも見えず男だけがこちらへと歩み寄ってくる姿のみが見える。だが、何となく気配があることは感じる。

 

「くっそ、なんなんだ。何が見えるって!頭おかしいんじゃあないのか」

 

「これはまた好都合。楽に始末できそうだ。逃げられては困る。君という存在が何を意味するのか。少しでも害となるものは始末しなければならない」

 

不敵な笑みを浮かべながらこちらへと近づいてくる葉山に徐部流は少しでも距離を取るべく、傷ついた足を引きずっていく。

 

「何が見えるっていうんだ!?少しでも距離を取らないと本当に殺される!」

 

だが、徐部流は寒気と痛みで思考回路が麻痺しており、いつも通りに頭が回転していかず、痛みに耐えることしかできない。

 

「俺の人生はここで終わるのか…」

 

男との距離が近くなっていく。そんな中で徐部流は思う。

ここで俺は死ぬことは出来ない!俺は平穏で普通の生活を送りたい。母さんを悲しませるわけにはいかない!

 

そして、徐部流は息を吐いて叫ぶ。

 

「この状況を打開するすべはある!頭が回転しないのなら!こうして頭の中を空っぽにするしかない!!!!うぉー!!!!!!」

 

徐部流は自らの足の傷に手を突っ込んでいく。

 

「お前一体何を!?」

 

驚く葉山に目もくれず、徐部流は自分の足に手を突っ込み続ける。

 

痛み、痛み、痛み、痛み、痛み、痛み。

痛みが徐部流の身体中を駆け回っていく。

そんな徐部流は自分の行為によって寒気が一気に飛び、アドレナリンが爆発的に増加していくのを感じる。

 

「痛い、だが、これが今の俺に必要だった!この行為こそが俺の思考回路を解き放つ!」

 

徐部流はアドレナリンの分泌により痛覚が麻痺し痛みが薄れ、思考回路が回り出す。徐部流の頭がフル回転し、今の状況を打破する最善策を見出していく。

 

葉山はその光景に唖然とするも、すぐに気持ちを収め、徐部流に向けて冷静に攻撃をする構えをとる。

 

そして徐部流はただ一つ、母親の言葉だけを思い出す。

 

『徐部流、もしもピンチになったときはおじいちゃんの遺品のロケットを使いなさい。そうすればそのピンチから抜け出せる。何に使うか、それは自分で考えなさい、この()()()()を使うということはそういうことだから、いいわね?』

 

男が腕を振り上げると同時に徐部流はロケットを開き自らの意識をロケットに持っていく。

 

()()()()になにがあるんだ?考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ………』

 

そしてロケットの裏にかすかにくぼみがあることに気づいた徐部流はすぐに写真を取り外すと何かの()()()()()のようなものが姿をあらわす。

 

「死ねぇー!!!!」

 

振り下ろされる腕ではなくそのかけらに意識が集中していた徐部流はハッと腕に気づき、かけらを力を込めて握り締める。

 

「ウオォォォォォォォォォォォォォ!」

 

激しい激痛が手に走る────

 

……………………ッ!!!

 

オラァ!!!!!!

 

徐部流はかけらを握りこんだ腕を開き目をつむっていた目を開くと目の前で起きている光景に唖然とする。

 

「な、なにが起こった?」

 

ドンッと大きな音を立てて壁の壊れる音が聞こえる。

 

そこには葉山が瓦礫に埋もれている。そして俺の前には人型の『何か』が俺に背を向け平然と立ち尽くしていた。

 

 

 

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