ジョジョの奇妙な冒険IF-オーディナリーワールド- 作:ニャンクル
真夜中の病院内で空条徐部流は一人、移動していた。
徐部流はゆっくりと内科の扉を開こうとしたが扉には鍵がかかっている。それもそうだ、既に時間は深夜をまわっている。
「本体はどこにいるんだ!?それにしてもこの大きな病院で探すのは時間がかかりすぎるな」
焦りがこみ上げ、ノブに手をかけても中に入れることはない。それに加えて人ひとりとしていない。
「これは何が何でもおかしくないか?」
看護師にさえ未だ徐部流は出会っていなかった。
まるでこの病院には自分しかいないかのように静かな時間が流れていく。
「今だに誰とも会わないなんて…。いや、深夜の病院何だからそういうことも有り得るか…」
コツコツ…コツコツ…
「…!?」
徐部流はスタンドを使い、天井の小さな窪みを利用して天井へ張り付くように移動してその足元の主が来るまで待ち続ける。
コツコツ…コツコツ…
「だ、誰だ…」
心臓の鼓動がどんどん大きくなっていく。
そしてその影を目で捉える。すると声が聞こえてくる。
「うーん、次はどこかしらぁー」
足跡の主はこの病院の看護師だった。
「か、看護師さんか…しかしあの人がスタンド使いという可能性がある以上迂闊には近寄れないな」
緊張感が漂う中、徐部流は看護師がその場を立ち去るまで天井で待ち続ける。
するとその背後の存在に気づく。
コツコツ…コツコツ…
看護師と同じ速度、同じ足音、同じ動きでゆっくりと看護師についていく存在。
「あ、あれは何だ…?」
驚きのあまり声が出るも小声で口を塞いでいたためどちらにも気づかれることはなく、速度を少し上げてその存在が看護師に向かう。
「ここはもういいかしらね」
看護師がそう言った直後、看護師とそれが重なる。
「!?」
すると前かがみに看護師が倒れた。
『看護師さんを助けなければ!』
そう徐部流が思った直後だった。
それが動き出し、看護師とその影が重なり、一瞬死角ができ、徐部流の目から看護師の姿が見えなくなる。すると、その存在が動き出した直後看護師の姿が消えて無くなっていた。
「なっ…………!?」
ほんの一瞬の出来事で何が起こったのか理解が遅れる。
「クウジョウ…どこにイッタ」
その存在はコツコツとまた音を立てながら暗い廊下の中へと消えていった。
「はぁはぁはぁ」
その存在が去るのを待ったのち、大きく呼吸をしながら息を整え、自分の考えの甘さに苦しむ。
「まるで神隠しだ、一瞬で人1人が消えるなんて…くそ、俺があそこで攻撃していれば看護師さんは助けれたかもしれない」
唇を噛み締め、血が滲み、血の味が口内に広がる。
「あ、あれはスタンド…。絶対にスタンドだ!それに俺の名前を喋っていた。俺のことを知る人物による攻撃なのか!?」
自らを知る何者かからの攻撃、謎めいた能力、何をしようにも出られない病院。徐部流にとってそんなことよりも守れなかったことの悔しさが表に出ていた。
「あいつは絶対倒す!消えた看護師さんが生きている可能性はあるはずだ。罪のない人を巻き込むなんて絶対に許しては置けない!」
決意を固めていく徐部流は敵のスタンドの能力を考察していく。
奴の能力は大きく分けて2つ…
『1つ目はこの病院から出ることができなくする能力』『2つ目は触れた相手の意識を失わせ、消す能力』の2つ。他にも能力がある場合も考慮しつつ作戦を練っていく。
そして2つの仮説に徐部流はたどり着く。
1つ目はスタンド使いが2人の場合。
1つ目の能力を前者、2つ目の能力を後者とするならばスタンド使い2人のうちの前者を後者が守る形でさまよって看護師を襲っていることになる。
2つ目の仮説はスタンド使いが1人の場合。
1人でこの病院の人間を消したことになるわけだ。まだ、スタンド使いとは1人としか出会ったことは無いが遠距離型のスタンドがいることもあるだろう。
「どっちだ…それとも他に仮説を立てるか…」
仮説を立て、敵の能力の対策を考えていった。
徐部流にとって敵が自分を知る人物と分かっただけでも心苦しさがあるのだ。だからこそこのようなことをさせてはならない、させるわけにはいかないのだ。
「奴は俺を知る人物か…」
徐部流は少し首を傾げながら自分の知る人物の中から容疑者を絞り出していく。
「母さん、裕李、学校の生徒、警察官、この病院内の看護師と医者か。」
悩み、悩み、悩み、悩む。
そしてここ数週間の出来事を振り返っていく。
「葉山との戦いの後、俺はここにきたわけだ。先程の様子からして俺の入院前から人を襲っていただろう。なら葉山が差し向けたスタンド使いでは無く、元々この病院にいる人間誰かなんじゃあないか?」
そして徐部流は自分の記憶を頼りに様々な考察をしていき、あることに気づく。
「そ、そうかぁ!簡単なことじゃあないか!俺に会っていてこのようなことをできる人間は1人しかいない!」
敵は恐らくあの人だろう。
徐部流は廊下へと音を立てずに降り、辺りを見渡しスタンドに気づかれていないのか確認したのち、目的の場所へと向かった。