映像の確認から数分しないでなのはとヴィータ指示通り、空戦のために飛立ち、猛スピードで向かう
フェイトと合流した。
三人がそれぞれうれしそうな表情で、
「アイツ、生きてた・・・・!」
「生きていてくれたんだ!!」
「随分、時間たっちゃった・・・・分かるかな!?」
それぞれ声に出して呟いた。フェイトは目じり涙まで浮かべて。
かつて実の兄のように慕っていた青年を思い、命を捨ててまで主を救い、自分らを救ってくれた戦士を思い、三人は一層スピードを上げる。
あの時、なのはを始めにフェイト、はやて、ヴォルケンリッターの面々は「一光が居たのに!」とリンディを攻めた。幼かった三人には納得いかなかっただろうが、クロノが必死に説得した事もあり、何とか心に整理をつけた。
つけたつもりだった。
それでも皆が移る写真を見る度、悲しみは襲ってきた。
それがどうか?
髑髏のロボットと聞いて、知っている三人は期待を抱いただろう。頭では理解しているつもりでも心
がソレを拒む。
三人は早く会いたいという思いでいっぱいだった。
「心配させやがって・・・・文句を言った後、ぶん殴る!」
「そうだね!言いたい事、いっぱい出来た!!」
「うん・・・・うん!」
気がつかぬうちに三人のスピードは上がる一方だ。
『懐かしいですね、レイジングハート、バルディッシュ、グラーフアイゼン、急速接近。二時の方向4000メートル・・・映像はいります』
スカルハートの報告に一光も自然と笑みがこぼれた。
モニターされた三人、ヴィータは変わらないが他二人は見違えるが、デバイスは見違えようがない。
「こりゃ、五年・・・・程度じゃないね。」
ザンバスターを下ろし、ふっとそう思う。
最後の一機であるガジェット三型が起爆するのを見て、索敵。ガジェットの機影がないことを確認し、車両に戻る。
『はやてさんの部隊なんでしょうかね?』
相棒からの問い掛けに一光は一息つこうと頭部装甲を解除し、息を吐く。
「だろうな。しっかし、輸送ヘリかぁ・・・・・」
思わず見上げ、ストームレイダーの到着に目を細める。かろうじて管理局のロゴが見て取れる辺り、敵ではなさそうだ。
降りてきたのはバリアジャケット姿の四人とリインフォースのミニチュアサイズ。四人の中には過去、なのはやフェイトと同い年くらいの少年少女もいる。が、どうでもいいことに、
「男女比おかしいだろ・・・・少年、ハーレム目指すのか?」
そんな事を言う亡霊であった。
「連絡がついてよかった。はやての部下で良いんだよな?」
粗方戦闘中にはやてから情報を聞いていた一光は頭部装甲をまた展開し、ザンバスターは向けて尋ねた。
シグナムにぶった切られた経験が活きるとは。
「はい、管理局遺失物管理部機動六課の者です!」
おどおどしながらミニリインより早くスバルが口走る。
「OK、すまんな。コイツを止めてくる」
一光はそう言うと車両へ消えていく。
「リイン曹長・・・」
ティアナがミニリインに指示を仰ぐ
「とにかく目的は達成です。ロングアーチとヴァイス陸曹に連絡を、周辺の警戒もお願いします」
ティアナ達に指示を出しながらも、ミニリインことリインフォースⅡは一光が入っていった車両を見据えていた。
その後、止まった車両の近くにストームレイダーは着地し、レリックと思われるロストロギアの収容
は、ガジェットの襲撃もなく、滞りなく終った。
その一部始終を見ている一光にミニリインが近づいてきた。
「ご協力、ありがとうございます。貴方のおかげで無事に回収することが出来ました」
一光にお礼を言う。
「いや、気になさらず。乗客の方は?」
「安心してください。皆さん無事に保護いたしました」
その報告に安心する一光、誰かを亡くすのはもう見たくない。
「そうか、ところで頼みがあるのだけど・・・・ん?」
一光がストームレイダーで六課まで送ってもらおうと言おうとしたその時、ストームレイダーの隣にヴィータが降り立った。
「ヴィータ副隊ちょ・・・・う・・・」
スバルが声を掛けようとしたが、いつもと違う雰囲気にたじろいでしまう。
「ヴィータ・・・ちゃ・・ん・・・?」
ミニリインもスバルと同じくたじろぎ、自然と道を開ける。
ヴィータは俯きながら一光の前まで行き、
「久しぶり、ヴィータ。丁度良かった」
一光は少し警戒した。前にもあったこの展開、そして
「こ・・・・・の・・・・・・馬鹿・・・野朗!!!!!!!!」
一光のお腹目掛け、思いっきり拳を放った。だが、思ったように力が入らずその拳は一光のお腹を軽く叩く程度であった。
突然のヴィータの行動と大声に驚く一光達。
だがヴィータはそんな皆を無視し、
「馬鹿野朗!!生きてるなら、何で連絡しなんだよ!!!どんだけあたしらが心配したと思ってるんだよ!!どんだけ・・・あたしらが・・・しんぱ・・・うぁああああああ!!!」
耐え切れず、ヴィータは一光に抱きつき、大声で泣いた。
一光は、突然大泣きしたヴィータに戸惑うも、微笑み、頭を撫でながら
「悪い」
優しく語りかけた。
「ちっと閻魔様と話す事が多くて、五年も掛ったけどな」
その一光の冗談に反応するヴィータ。
「馬鹿野朗!!!何が五年だ!!十年経ってんだぞ!!」
ヴィータの言葉に
「マジで!?」
一光は目を見開き、こちらも驚いた。
六課に向かうストームレイダーの中で一光は思い返したように呟いた。
「十年・・・・通りでねぇ」
映像のなのはとフェイト、思いの他成長してたしねぇ。
「アタシだって信じらんねーよ・・・・けど」
「けど?」
「本当に一光なんだよな?」
未だに混乱するヴィータは確認するように聞く。アルカンシェルの直撃を受けて生きているなんて普通はありえないのだから。
「何度も言わすな、幽霊じゃないぞ」
「・・・・だったら何でオメー歳取ってないんだよ?」
ヴィータの問いは最もだ、とある戦闘民族でもなければ割りと本気でリビングデットしてきたわけでもない。謎だ。
「知らんわ・・・・・」
そんな様子を新人フォワード組はさりげなく見ていた。
「彼、ヴィータ副隊長の知り合いかな?」
スバルが興味丸出しでティアナに尋ねる。
「分からないわ、だけどヴィータ副隊長はあんな行動するんだから、親しい関係なのは間違いないんじゃないの?」
ティアナは素直な感想をスバルに言った。
ティアナは勿論、フォワード組やリインフォースⅡでさえ、先ほどのヴィータの行動には驚いていた。
フォワード組から見たヴィータのイメージは、『見た目ではキャロと同じ、もしくはそれ以下の年齢の女の子にしか見えないが、空戦AAA+ランクの魔道師で戦闘教官でもあり、スターズ分隊の副隊長を務めるすごい人』である。
そんなヴィータがいきなり抱きついて大泣きである。事情を知らないフォワード組は驚いて当然である。
「もしかして・・・・ヴィータ副隊長の恋人?」
スバルが真顔で呟いた。
「それは・・・・どうかと・・・」
スバルの呟きをエリオが苦笑いをしながら否定をした。
「リイン曹長はご存知ですか?」
キャロがミニリインに尋ねる。
「彼は十年前にフェイトさんと一緒に暮らしていた人です。名前は『紬一光』さん、お亡くなりになったと聞きましたが」
ミニリインは、はやてや姉から聞いた話を思い出しながら答えた。その時、
「おっ、なのはさんが戻ってきたぞ」
ヴァイスは皆に聞こえるように言い、ストームレイダーのメインハッチを開ける。
「おっ、丁度『証拠』が来たぞ。びびるなよ~」
ニヤニヤしながら一光に言い放つヴィータ。
すると、メインハッチからバリアジャケットを着たなのはが入ってきた。
「「「「お疲れ様です!!!!」」」」
フォワード組の言葉に微笑で答え、バリアジャケットを解除する。
そして、一光に向き直り、
「カズくんのバカァ~!!」
「ッ!?」
行き成りビンタ、そして抱擁。先のヴィータの一件もあり、さほど驚く事はなかったが特に言うならスバルと操縦中のヴァイスがソレこそストームレイダーが墜落の危機に瀕するほどの驚きをしたと記載しよう。
余談ではあるがこの時のスカルハートは、
『胸部接触、心拍数上昇』
「報告するな!」
『危機的状況と推測します。フルドライブ認証「しねぇし!」』
マスターをからかう事に必死だったと、お茶目な相棒である。
機動六課隊舎
「それじゃあ、カズくんからすると五年しかたっていないの?」
「ああ、正直驚きの連続だよ。コイツはからかうし」
『すみません、つい』
「おい!」
十年前と変わらない調子に戻った二人はこの男が残した功績とも言うべき『救った人達』に会うために部隊長室に向かっていた。
「ふふ、変わらないね。スカルハートとカズくんは」
微笑むなのははあの時とは違う威力を持っている。
成る程、あのヘリパイロット・ヴァイスの反応も納得だ。
「まぁ、直すのに苦労したけどな」
そう言いながら、あの直後を思い出す。
「それじゃスカルハートの修理ってカズくんが?」
「半分以上はね。パーツの交換からナハトの・・・・・思い出すだけで欝になりそうだ」
『五年も掛けて修理してくれまして。』
俯いた一光の変わりにスカルハートが答える。
「そうなんだ。あ、着いたよ」
部隊長オフィスの扉の前でなのはがブザーを鳴らす。
通信越しに顔は確認したが、あの悪戯娘がねぇと思うとまさかと思えてしまう。
「はい、どうぞ」
室内から女性の声が聞こえた。
「失礼します」
挨拶をしながら室内へ入っていくなのはと一光。そして
「はやて・・・?」
一光は目に映った女性の姿を見て驚く。そこには一人の女性として成長した八神はやてがデスクに
座っていた。
「うん。十年ぶりや。カズくんも無事でほんまに良かった」
「いや、多分間違いなく死んだよ?」「幽霊なんか!?」
はやての挨拶にボケで返す一光、十年経ってもボケのキャッチボールは健在なようではやても直ぐに乗ってくる。
「変わらないなぁ・・・・・・生きてるよ。奇しくもね」
そんな二人の様子を見て微笑みを浮かべるなのは。
「変わらんのはカズくんもや。協力感謝します!」
悪戯笑顔で微笑むはやては敬礼する。
「自分はやれる事をやっただけですってね!」
あの頃のように敬礼で返す一光であった。
時刻がお昼時ともあり、隊長陣、フォワード一同休憩タイム。
「んで、皆集合って最終戦争するのか!?」
合流したフェイトに抱きつかれ、未だに泣いている。
命を張ってつけた初代リインフォース(区別のためアインス、ツヴァイをミニリインと記載)とヴォルケンリッターの面々が部隊長室に集まったのだが。
「悪かった!フェイト、俺が悪かった!!」
「ひくっ・・・・・もう勝手な事しないでね?」
昔もそうだったが、この耐性は昔からつかないな。
「リインフォースも“置き土産”が効いたみたいだな?」
「お前は未来視でも出来るのではないかと何度も思ったよ。今の私があるのはお前のおかげだ・・・・ありがとう!」
凛とした風貌のアインスも目じり涙を浮かべて何度も繰り返す。それこそ、壊れたカセットレコーダーのように。
「お前は何て強運だ?」
「シグナム、奇跡ってのは起すもんだ?受け売りだけどな・・・・この台詞」
そう、闇の書事件の終盤・・・・防衛プログラムを撃滅する最後の戦いで吐いた台詞だ。
「『俺達で奇跡を起そうじゃないか』ね?カズくんには本当に驚かされてばかり」
「時にシャマルさん?料理の腕は「聞いてやるな」ザッフィー・・・・」
はやての騎士たち、なのはとフェイト、はやて自身とも挨拶を済ませた一光。
表情は再開の嬉しさからくる明るいものではなく、真剣なものに変わり尋ねる。
「はやて、さっきも言ったがコレだけの戦力だ。戦争でも出来るレベルだよ・・・・・あのロストロギアが絡んでるのか?」
「相変わらずの鋭さやね。そう、ロストロギア・レリック専任の部隊や、レリックは下手に弄ると大爆発しかねん代物や。迅速に回収できる部隊がいる」
「成る程、それであのメカか」
一光は納得したように呟く。
「そこで、その首謀者と思われるのがこの男、ジェイル・スカリエッティ」
はやてに続き、フェイトがモニターを操作して男の写真を映し出した。
成る程、確かに悪人面だな。
「・・・・・・・で、その部隊をはやてが設立。信用できる人員を集め、対抗しうる原石を磨く、か。納得
したよ・・・・・で、今更ながらさ」
「何?」
「そのミニリインは何!?」
十年前と同じようにずっこけてもおかしくない落ちを最後に持っているこの男。
「ああ、私の妹だ。」
「祝福の風二代目リインフォースⅡ(ツヴァイ)です!」
アインスの肩にちょこんと座るミニリインは元気よく自己紹介。
「本当に、歳の離れた姉妹だな。」
その日、何だかんだで隊長陣の仕事が遅れたのは言うまでもなく、一光の登場ではやての事務処理は若干増えたと記載しよう。