「「「「ロボットぉ!?」」」」
モニターに映し出された一光のデバイス、スカルハートをセットアップした状態に驚くフォワード、当然といえば当然だ。
その姿は胸と額に髑髏を掲げ、襤褸切れの様なマントを装備していて古典的な銃器に見えるビームライフルは何も知らないフォワードから見たら質量兵器でしかない。
「そう、アレがカズ君のデバイス。」
「今でも再現されてねぇアイツだけのデバイスだ。十年前はモビルデバイスって呼ばれてた。それにアイツはスカルハートの装備だけでフェイト隊長やアタシ、なのは隊長とも渡り合う」
「嘘、ですよね?」
ヴィータの言う事を信じ切れないティアナ達、魔導師はランク、保有魔力によって使う魔法に差はあれどデバイスに登録されているものと自身が学んだ双方が扱える。
しかし、ヴィータの話では一光はあの装備で六課の隊長陣を捌き切れ、なおかつ勝ちにいけるほどの実力と言うのだ。
『疑ってる頃だと思うが、見てなさい新人』
「ハァッ!」
フェイトはザンパーフォームに切り替えたバルディッシュで切りかかる。振り下ろされた大剣を一光はビームザンパーで受け止めると一光を中心にクレーターが出来た。
「成る程、前のソレとは違うか!」
ビームザンパーを傾けて、刃を流してフェイトのバランスを崩す。同時にバスターガンで牽制するとフェイトは持ち前のスピードで回避。
追随する一光はザンバスターで追撃するがフェイトは障壁で防ぎ、プラズマランサーを十二個生成。
「ファイア!」
追ってくる一光に放つ。が、左腕を前に突き出し、若竹色のフィールドを生成。
「Iフィールド・ハンド!」
プラズマランサーを“無理やり逸らして”回避すると特徴的なX字のスラスターを一転に集中させて加速。ビームザンパーで斬りかかった。
「パッチワークって、まさかとは思ったけど!」
「ああ、十年前のフルドライブ・X3の胴体パーツだ!」
ビルの合間を縫うようにぶつかり合う二人。
「なのはさん、今のはなんですか?」
「Iフィールド・ハンドって言う防御フィールド魔法。受け止めるのではなくて逸らすのから負担も大きい。」
「あ、何か仕掛けてますね?」
エリオがビルを縫う際に一光が何かをしているのに気がつく。
「アイツがコレ出来るのって破棄区画に限るな?」
「そうだね、むやみやたらにやったらソレこそ瓦礫の山だもん」
ヴィータがなのはに尋ねると突然、フェイトを押し潰すようにビルが倒れた。
「ッ!?」
土煙が舞い、地上付近はフェイトからは見えない。その煙を利用した目くらましは後五回はつかえる。
フィールド中央と四角形の各角に聳える廃ビルはかなりの年月を放置した想定なのだろう。胸部バルカン、バスターガンで簡単に崩れるまで仕込みは出来た。
サーチの時間は与えない。
突然、フェイトは右足を何かにつかまれた。
煙から伸びるソレはチェーンに繋がれたスカルハートのフロントアーマー。
「ウォラァ!!」
鎖を力いっぱい引っ張り、地からませに振り回す一光。
「きゃあああ!」
フェイトは瓦礫に投げてられて今度はフェイトの姿が見えない。刹那、上昇した一光の
四肢を黄色い輪が捕らえる。
「バインドッ!?」
「トライデント・・・・スマッシャー!!」
金色の光が土煙から伸びた。三本に分かれた集束砲は一点に向かって伸びる。
そう、一光という標的に。
「スカルハートッ!!」
『処理・最大稼動、フルスロットル・イグニッション』
その号令と共にフェイスオープンするパッチワーク、その姿はまるで制御を失った怪物だ。
少なくとも、何も知らないフォワードからはそう見えただろう。
力任せにバインドを引きちぎり、スラスターを一気に吹かして避けるのではなく“向かって”いった。
「直撃!?」
「勝負あり・・・・?」
スバルが驚き、ティアナは客観的に分析。当然、Sランクオーバーの魔導師の砲撃だ。
普通なら終っていただろう。
「未だです!」
キャロが鋭い声でそう言うとマントを失った一光がフェイトとつば競り合っていた。
「くっ、強いね・・・・!」
「フェイトも随分と・・・・ッ!」
フェイトと一光、一光は装甲に隠れているが共に口角が持ち上がっているのだ。
久しぶりに心躍る・・・・と言った所か。この光景にヴィータが、
「あのバトルマニアカップルめ」
と呟いたのはなのはとはやてしか聞いていなかった。
「衰えてないね?」
「どこがブランクがあるだ・・・・むしろ強くなってるじゃねぇか」
ヴィータとなのはは『あの頃』を思い出しつつ、その光景に見入っていた。
鍔競り合いから一転、一旦距離を置いたら中距離からの射撃戦に変わる。
持ち前のスピードで翻弄するフェイトを未来視とも言えなくない予測射撃で追い込む一光。そして、フェイトにとって想定外のものが降って来た。
「これは!?」
廃ビルのアンテナだ。一本といわず何本も飛来、数本過ぎた後、コンクリート片に変わったが、そのサイズは確実につぶれたら死ねるくらい大きなものだ。
「あらゆるものを武器にする・・・・忘れたか!?」
「まだだよ!ファイアッ!!」
コンクリート片を縫って、フェイトの放ったプラズマバレットが飛来する。
「ザンバスターッ!」
一光は減速することなく早撃ちで応戦、フェイトが逃れるであろう予測コースにも一発ずつ放つ。
「「ハァァァ!」」
そして、両者着弾を待たずにぶつかり、フェイトのザンパーが一光を捕らえたように見えた。
「え!?」
「「なげたぁ!!?」」
モニターに見入っていたフォワード、最初にキャロ。刀身を掴んで投げるというデタラメ先方に驚くエリオとスバル。
「な、何てデタラメな・・・・」
頬をひくつかせるティアナである。
「今ならいけるか!?」
スラスターを全力で吹かし、ビームザンパーを振り上げる。
「くっ・・・・負けないよ!」
フェイトが左手を引くと其処には一つの魔力スフィア。
放つか振り下ろすか、どちらが早いかでこの義戦は決着になるだろうとなのは達隊長陣はそう思う。
一瞬の閃光。
「はい、其処まで~!」
なのはの号令でモニターの中の二人は動きを止めた。
ビームザンパーはフェイトの右肩に、フォトンバレットは一光の右肩アーマーを撃ち抜いていた。
目下、決定的な違いは・・・・・、
「・・・・・・紙一重かぁ。」
ビームザンパーはフェイトの張ったプロテクション、障壁にぶつかって亀裂を入れるまでにいたっているが、フェイトは一発でも一光へダメージを入れている。
「衰えてないね。むしろ、強くなってる。」
「Iフィールド・ハンドは魔力消費が激しいからあんまり使いたくないけど今はしゃあない。」
「え?でも・・・・」
フェイトは直っているんじゃと言い掛ける。
「いやぁ、実際は直ってないんだよ。」
一光はぶっちゃけった。五年経ってミッドに舞い戻った今でもスカルハートは修理し切れていないのだ。だからパッチワーク。
「それであんな高速機動を!?」
「おう、収穫はあったかい?」
七人が歩み寄る中、聞き取れた台詞にフォワードが息を呑む中でスバルが声をあげた。
「ふぅ~ん。それでなんか?継ぎ接ぎみたいな色合いは」
はやてが悪い笑みを浮かべている。
何か思いついた顔だあれは。
「そういうこった。早いところ直したいからな、この後技術部に行こうと思う」
「ソレはいいけど、その前に皆の動きも見てもらっていい?」
なのはが尋ねてきた。
断る理由もないし、なのはが教えいる子達だ。気にならないといえば嘘になる。
「ああ、こんな俺でよければ」
シュミレータの再設定でなのはがコンソールをいじり始める。とその間、僅かな時間でもスバルやエリオと話す時間が取れた一光だった。