悪役令嬢ハーレム 〜乙女ゲームの負け役"正ヒロイン"に転生した俺は、死なないために悪役令嬢たちを堕としにいく〜 作:椿乃朱華
その日の放課後。サリアとコミニケーションの特訓している時。
彼女はなにげなく聞いて来た。
「王子と密会って、本当?」
ぶっ。いきなりなんてこと言うんだ。
というか、なんでお前が知っている。
ミリアルドとの話は漏れていないはずだぞ。
「どこで聞いたんですか、そんなこと」
「皆が噂してる。結婚相手を乗り換えるんじゃないかって」
ばっか、おまえ!
そんなことあってたまるか!
「いいですか! 私が手料理を振る舞いにいくのは、母の味を知らぬミリアルド様に、ご家庭の味を提供するだけです! 決して、不埒な仲になるためではありません!」
強めに否定しせいか、サリアは目を丸くしている。
そんなに驚かなくてもよくないか?
知っていて聞いて来たんだろうから。
「え。手料理?」
え。とはなんだ。お前が料理作りに行くのを密会とか言ったんだぞ。
「ですから、密会ではなく、彼の従者がいる前でお作りいたします。決して二人で会うわけではございません」
「……私は二人で個室に入って話していたことを言った。手料理なんて初耳」
あー…………そうね。
私は『王子と密会するって本当?』って捉えたけど、『王子と密会したって本当?』って意味だったのね。
そりゃそうか。ミリアルドが自分から言わない限り、手料理の話が広まるわけないもんな。
あの内緒話も密会と言えば密会か。
二人で話して、個室から出て来たからな。
これが墓穴を掘ったというやつか。
自分から暴露しちゃって恥ずかしい……恥ずかしすぎて寝込むレベル。永遠に。
ほんと、穴があったら入りたいよ。
いや、入る穴は今掘ったか。
安らかに眠るんだぞ、私の羞恥心。
でもなぁ。手料理のことは、ミリアルドがミーシャあたりに言いそうな気がしたから、そこから広まってもおかしくないと思ったんだ。
そこはあいつの信用のなさが悪い。
……というか、サリアもサリアだよ。
この言葉足らずめ。
お前がちゃんと言っていれば、こっちは受け取り間違えなかったんだよ!
「……聞かなかったことにしてください。私が早とちりしました」
「無理。こんなおもしろそうな……おもしろそうな話、見過ごせない」
「言い直しても何も変わってないですからね??」
「つまりとてもおもしろそうってこと。何も間違えてない」
ふんす、と鼻息荒くしているが、自慢げにすることじゃないだろ。
……はぁ。まったく面倒なヤツに知られてしまった。
「誰にも言わないでくださいね。こんなことが知れ渡ったら、殺されちゃうかもしれませんから」
「大丈夫。言う相手なんていないから」
自慢げに言うことでもないと思うぞ?
まぁ、たしかにその通りだとは思うが。
「それなら安心しました。本当に頼みますからね」
「でも、レイナがお呼ばれって、大丈夫?」
大丈夫とはなんだ。そんな失礼なことはしないぞ。
それに、あっちから誘って来たんだ。少しは大目に見てくれるだろう。
「向こうも私が元庶民だとは知っているはずです。過度な礼儀は求めてこないでしょう」
「でも、服はきちんとした物じゃないとダメだと思う」
あ。すっかり忘れてた。
そうじゃん。王族に見せられる私服なんてないよ。
「……制服じゃダメですかね?」
「制服で料理? 汚したら目立つよ」
うあー! それならきちんとした私服買わなきゃだ。
幸い、土曜日にあたる日には何も予定が入っていない。
突貫工事ではあるが、やらないよりはマシだろう。
「……お伺いする前日もお休みですので、そこで服を買いに行くとします」
「なら私が選んであげる」
「……サリアさんがですか?」
こいつに服選びとかできるのかよ。
「私はこれでも高位貴族。服選びのセンスは鍛えられている」
そういえばそうだったな。ゲームでも着ている服のセンスはよかった。見る機会が全くと言っていいほどないだけで。
それだけこいつの交友関係が壊滅的なんだよ。
でもまぁ、センスは信じてもいいだろう。
わざわざ変な服を選んだりはしないだろうし。そこまで嫌われていたなら私は泣く。
「……わかりました。では、お願いします」
「わかった。まかせて」
なんて言いながら、ない胸を張るサリア。
うーん。このやる気が空回りしないか不安だなあ。