誰もが一度は夢に見たことがあるのではないだろうか
「空を自由に飛びたいな」
常に重力に縛られ、地を這うことしかできない人間。そして人間は届かぬものに憧れを抱くと言う。ならば空への憧れは至極当然の欲求だ。
「あぁ、空を飛びたい」
彼もまた空へ魅了された者の一人。毎日空を見上げ、叶わぬ夢に想いを馳せる。だが人間は成長するにしたがって不可能が可能になっていく。
「外だ。空だ」
家から外へ。まだ体は小さくとも憧れは大きい
「勉強だ。空だ」
やがて学生となる。空への憧れは増すばかり
「仕事だ。空だ」
就職し、社会人となる。ここまではよくある人生。だが彼は違った
「お金だ。空だ」
知識を身に付けた。空力、それは重力へ反逆できる学問だった。まず彼は知識をつけた。資金を集めた
「材料だ。空だ」
彼は知った。空を飛ぶ鳥のように、翼を手に入れよう。羽ばたくための力、動力を手に入れよう。空力を手に入れよう
「翼だ。空だ」
彼が初めて作った機体。それは歪で、不格好で
「壊れた…」
地へ反逆しようと加速したその瞬間、折れた。翼が折れてしまった
「修理だ、改善だ。空だ」
彼は翼を治し、強化し、再び挑んだ。そして
「空だ、空だ、空だ…」
飛んだのは精々数十メートル。見方によれば飛んだと言うより跳んだと言うべきか。だが彼は確かに大空へ翔んだのだ
「起業だ。空だ」
数年後、彼は仕事をやめ、一つの企業を立ち上げた。ちっぽけな町工場。企業と呼ぶには些か疑問が残るその名は
SCHNEIDER
後に空力バカだの空力キチだのと皆に愛される最高の企業の産声が上がった瞬間であった
★★★
「懐かしいものだ…」
社長の座る椅子にしては貧相な、今にも折れそうな骨組みに非常に薄い、これまた今にも破れそうな布が張られたお世辞にも座り心地が良いとは言えなさそうな椅子に座る者。彼が見返すのは入社したものが必ず目にし、16000字のレポート提出が命じられるビデオの冒頭部分。空に憧れ続けただけのただの人だ
「あぁ、今日も空が美しい」
彼はどんな天気だろうとそう嘯く。彼にとっては天気など些事に過ぎず、空があるかないか、それだけだ
「そしてその美しい空を我が子が駆ける」
ナハトライアー、ラマーガイアー、派生を除けばシュナイダーが誇る最高のアーマード・コア改めアーマーレス・コア。飛行機から紆余曲折を経て、現在のシュナイダーが手掛けるのは広く使用される兵器であり、乗り物であり、飛行手段だ。以前は地を這うばかりだったアーマード・コアもシュナイダーの参入により大空へ羽ばたく翼となった。中小企業でしかないシュナイダーは大企業たるアーキバスコーポレーションの傘下として今日も元気に空への想いを現実とすべく尽力する。
「余計な口出しさえなければ我が子もより羽ばたけると言うのに…」
宣伝のため作成したナハトライアーは既存のアーマード・コアの概念に囚われた設計だ。対してラマーガイアーは持てる全てをつぎ込んだはずだったのだが…
「なんですかこれは。腕も頭もない。この飛行機モドキをあなた方はアーマード・コアと言い張るのですか?ふざけていないでやり直しなさい。それと第一隊長がそちらへ訪問した際には即座に我がヴェスパーへ連絡して追い返すように。だいたい以前設計製造を依頼したブースターの時も…」
小言が返ってきた。無視して帰るが流石に資金打ちきりは不味い。苦渋の決断で翼にマニピュレーターを取り付け、間接部を増やし、整流板にカメラを取り付けて頭部パーツだと言い張った。シュナイダーの全社員が苦虫を噛み潰したような顔で号泣した。
★★★
そして時は流れ、同じく羽ばたくことに魅力を感じ、自らのアーマード・コアにツバサと名付ける素晴らしい同志と出会い
「頃合いだな。シュナイダーACを投入する」
大企業の枷が外れ、これまた素晴らしい鍛造技術を有する企業の技術支援を受けて、彼らの可愛い我が子は焼けたルビコンの空を翔ぶ。彼らは大歓喜し、涙した。彼らの目は爛々と輝き、澄んでた…
シュナイダー:空力に関しては他の追随を許さない技術を誇る。飛行機からアーマード・コアまで、空を飛べるあるとあらゆる乗り物の設計製造を行っている。彼らの企業理念はただ一つ。「空力第一」彼らにとっては命さえもただの重りでしかない。彼らがいなければ航空業界の発展は十年は遅れていたとさえ囁かれる。空力を愛し、空力に生きる。そんな彼らはただ空へ憧れ続けたただの人である。
主な製品
飛行機、ヘリコプター、飛行船、アーマード・コア
特にアーマード・コアに関してはそれまで推力で強引に跳んでいたアーマード・コア界隈に空力による飛翔という概念を持ち込んだ革命児。ただのブースト移動が他社の下手なABより速度が出ると言う常識外れの光景は誰もが一度は目を疑う。最近では発掘された技研製のジェネレーターをリバースエンジニアリングし、無限に空を翔ぶことのできる最高のジェネレーターを開発しているとされる。