アコードをぶっ潰す!   作:呼び水の主

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戦え!正義のアストレイ!

 

 俺の名はミハイル。

 俺は、落ちこぼれだ。

 

 何を唐突にと思うかもしれねぇがまあ聞けや。

 ザフトとの戦争が始まった当時、俺はタンク乗りだった。

 地を駆ける巨砲。地上戦の華。それが俺たちだった。

 ……ザフトの、ジンとかいうモビルスーツが現れるまでは。

 

 モビルスーツはバケモンだ。

 当初デカいだけの的だと笑われていた奴ら。

 だが宇宙軍が大敗を喫し、奴らは地上に降りてきた。

 その力を前にして、俺は震えた。

 高所からの視認を可能にする頭部カメラ。

 悪路を軽々踏み越える、二脚という走破性。

 リニアガンと同等、それ以上の威力を持つ携行兵器。

 デカさは強さだ。生身の人のような身軽さで、巨人が戦場を走る。

 それだけで俺たちは蹴散らされた。

 

 なんとか生き残った戦場で、俺の相棒の棺桶になっちまった鉄の塊を前に、ただ呆然とするしかなかった。

 ……コイツじゃモビルスーツには勝てん。

 タンクに愛着はあったが、俺はそれ以上に負けず嫌いだ。

 それから間も無くして、連合軍にもモビルスーツが配備されることになった。俺はすぐさま機種転換に名乗りをあげた。

 

 だが、現実は非情だ。

 貴様には適性がない。その一言で俺は俺の大事なもん全てを失った。

 自信も、プライドも。

 今更タンク乗りに戻れるか。そりゃ、俺のプライドが許さねぇし、何よりタンクに失礼だと思った。

 

 そしてそんなこんなで流れ着いた先が、モビルスーツの支援機「スカイグラスパー」のパイロットだった。どういうわけだか、俺には戦闘機の適性はあったらしい。

 

 そういうわけで、ストライカーパックとかいうモビルスーツの背負い物を運ぶ配達屋のオッサンのできあがりだ。

 しかし肝心のモビルスーツ「ストライクダガー」は急造品故にこの背負い物が使えないときた。なんなんだよ、そりゃ!

 不本意。その時の俺の心境はこれに尽きるね。

 俺は腐った。何が楽しくて戦闘機にデカい大砲や剣を引っ付けて飛ばないといかんのだ。

 

 それからしばらくして……。

 『オーブ解放作戦』と呼ばれる「侵略行為」が始まった……。

 中立国であるオーブに設置されたマスドライバー。

 それを接収するためにオーブへと無茶な要求を突きつけ、それを反故にさせる事で侵略の口実を作る。

 最低な作戦だ、反吐が出る。俺たちは、何の為に軍人になったんだ?

 だが、軍人は上の命令には逆らえん。

 

 俺の配属先はユーラシア連邦から派遣されたタラワ級強襲揚陸艦「ヴェールヌイ」だった。

 そこには連合内でも数少ないストライカーパックを装備できる105ダガーが配備されているらしい。それで、俺に白羽の矢がたったってわけだ。

 ようやくスカイグラスパーの真価を発揮できる。……といっても、ただの運び屋だけどな。

 

 この艦に配属されて3日。明日には、オーブの領海に突入する。

 今日も今日とて、俺は艦内の格納庫で自機の整備を手伝う。

 俺はこのフネじゃよそ者だ。整備士に恩を売っておいて損はない。

 

「おーうミハイルやん。また整備手伝いにきてくれたんか?」

「ああ、自分の機体ぐらいは見ておかんとな」

「勤勉なことやなぁ。あの馬鹿にも、あんさんの爪の垢煎じて飲ませてやりたいわぁ」

「……そういえば、俺のチームメイトはまだ部屋から出てこないのか?」

「ああ、チームの相棒ならまだ部屋でゲロっとるやろなぁ。あの馬鹿が船酔いとはカワイイところもあるもんや」

 

 クツクツと笑う整備長を横目に、俺は専属の僚機となる105ダガーを見上げた。

 急造品のストライクダガーより力強い印象のヘルメットに、落ち着いた濃紺のカラーリング。俺には乗る資格のないモビルスーツという兵器。

 

 知らず、拳を握りめていた。ハッとして手の力を抜いて、白くなった指をほぐした。あの時、モビルスーツがあれば……。俺にコイツがあれば、救えた命もあっただろうか……。

 未練を断ち切るようにモビルスーツから背を向けて、自分の機体へ歩き出した。

 

 そして、振りかえった先にその男はいた。

 

「……やぁ。アンタが俺の相棒?俺の名はゼレンスキー。ご覧の通り、『イケメンお兄さん』だ。オーケー、握手は一回だけだぞ?今ならサインも付けちゃうね。よろしくな?……ヴッ!」オロロロロ

 

 

 この馬鹿が、俺の僚機だと……?

 しかし、その時の俺はまだ知らなかった。

 この男が『ユーラシアの星』であり、尊敬に値する戦士であると。

 

 そして迎えた戦場にて。

 俺はその光景に絶句した。

 果敢に抵抗を続けるオーブ軍のモビルスーツ。

 そして数で圧倒するストライクダガーの群れ。

 焼ける街。逃げ遅れた人々。

 ……ここは、地獄だ。

 

「チィッ!?」

 

 オーブのモビルスーツの放ったビームライフルが機首を掠める。

 こちらが撃てば、背後の街をも焼くだろう。

 俺は、こんな事をする為に軍に入ったわけじゃねぇ……!

 やられる……!

 モビルスーツのビームライフルがこちらに向けられる。

 その瞬間、物陰から飛び出してきた105ダガーがビルへと敵機を叩きつけた。その衝撃で、敵機はダラリと力なく腕を垂らし機能を停止した。

 

『ミハイル!ぼーっとしてたら死ぬぞ!』

「し、しかし中尉。自分は……」

『まったく。軍人向いてないよ、アンタも』

「いや、自分は……」

『だがそれがいい』

「え?」

『着いてこい、曹長!』

「どこへ行くんです中尉!?」

 

 中尉のダガーについて島の奥地へと入り込む。

 敵機の防御線の隙間を縫う様に、ぬるりと入り込んだ先には起動前のオーブのモビルスーツが2機鎮座していた。

 

 着陸させたスカイグラスパーから降り、鎮座しているモビルスーツでゴソゴソしている中尉の元へ走る。

 

「な、なにしてるんですか中尉!見つかったら殺されますよ!」

「乗れよミハイル」

「は、ハァ!?」

「乗りたかったんだろ?モビルスーツに」

「……な、何を言って」

「守る力が欲しかったんだろ?理不尽から、誰かを守る力が」

 

 ゼレンスキーが俺の目をまっすぐに見つめる。

 俺の過去なんて知らないはずなのに、なんなんだ、その目は……。

 

「アンタに、俺の何がわかる!?」

「わかるさ。あんたの顔はよく知ってる。誰かの笑顔を守る為に剣を取った人間の顔だ。俺が毎日鏡で見てる顔だ。……あんたの経歴も、調べさせてもらった。そして信頼できると思ったからココに連れてきた」

「何を企んでいるんです……?」

「ああ、今から話す事は他言無用だ…約束できるな?曹長」

 

 大統領命令?隠密作戦?親戚がオーブにいるから大西洋連合のアホどもをシバいてこい!?その為に「オーブのモビルスーツ」を2機用意した!?オーブのトップにも話を通してある!?や、やめてくれないか!情報の洪水をワッと浴びせてくるのは!!

 

「ヨォシ行くぞミハイル!オーブのモビルスーツなんて滅多に乗れないぞォ!」

「ま、待ってください中尉!!俺はモビルスーツの操縦なんて!?」

「訓練、続けてたんだろ?」

「し、しかし味方を撃つなんて……」

「なら君はひたすら守れ。幸いシールドなら沢山落ちてるからな。君がディフェンス。俺がオフェンスだ。俺たちのマヴ戦術、見せてやろうぜ!」

「ま、マヴ……?」

「ああ、俺たちはマヴだ!行くぜ戦友!俺たちは侵略するためにオーブに来たんじゃねぇ!これは、誰かを守る為の戦いだ!」

「誰かを、守る為の……。ええ、ええ!行きますとも!どこまでも!」

「よっしゃぁ!アストレイ!起動!!」ギィン!

 

 焼けていく戦場の片隅で、2機のアストレイが立ち上がった!

 スカイグラスパーから取り外したシュベルトゲベールを肩に担いだ機体と、盾を両腕に備えた機体が暴れ回り計画は木っ端微塵。マスドライバーもついでに木っ端微塵。アズラエルはブチ切れた。ウズミは親指を立てながら炎の中に消えた。

 

「……私の思いは継がれた。人の輝きの、なんと眩いことよ……。頼んだぞ、未来の種たちよ!我が生涯に、一片の悔いなし!」




全然関係ないゼレンスキーの過去のお話。
オーブ解放作戦で、鬼強いアストレイが暴れ回ったとかなんとか。
キラ「なんかすごく頼もしい味方がいる……?」
ムウ「なんか知らんが助かる!」
炒飯「グゥレイト☆」
こちらの無線には全く応答しない所属不明のアストレイが連合のストライクダガーを千切っては投げ、千切っては投げしていく所を炎に包まれながらウズミさんは笑いながら見てました。
その後、ミハイルくんはユーラシア連邦に移り元気に105ダガーで駆け回ってます。ヨカッタネ

どこかの世界の片隅で、悪の三兵器の流れ弾から家族を救われた少年がいた。
「か、カッコいい……!!オレも、きっといつか!誰かを守るパイロットになる!!」
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