学園都市奇妙録   作:イロマス

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キャラの会話が難しい。
また新しいスタンドが登場します。
 


セリカを追え!その2

 

 嫌な予感がした。腹の底で気持ちの悪い泥が蠢くような、気味の悪い、嫌な感覚がした。

 セリカの尾行をした日の夜。皆んなと解散した俺はそのまま学校の図書室で、夜の砂漠の環境音を聞きながらのんびり読書をしていた。

 詩集とか、画集とかそんなものだ。俺にはホシノや先生のような帰るべき家が無い。家を買おうにも金が無いから、仕方ないので校舎を使って生活している。

 いつもはアビドスの旧校舎で寝泊まりしているが、何故か今日は胸にシコリが残った様な、妙な感覚があって、それを紛らわすために図書室で本を読んでいた。

 三冊も読めば眠くなるだろうと思っていたが、俺の予想を裏切り、眠気どころか欠伸も来ない。

 

「────セリカに電話でも、するか」

 

 そういえばラーメン屋では頭ぶっ叩かれたな、とその仕返しに夜通し話に付き合ってもらおうかなと、セリカに電話を掛けてみる。

 けれど、暫くしてもセリカからの応答が無い。何回かコールを掛けて、折り返しを待ってみても、来ない。セリカの事だから一回めは放っておいても二回目三回目はきっと呆れながら電話に出るはず、なのに出ない。

 

「…………、まさか」

 

 皆んなと別れてからずっとあるこの嫌な感覚とこの不通に嫌な関係を覚え、俺は咄嗟に〈能力〉で電話に触れる。

 俺からのコールの電波に乗っかってセリカの携帯に向かう俺の〈能力〉は、セリカから発せられた音、もしくはその周りの音を集めて地面へ沈める。

 〈能力〉を解除すれば、その沈めた音は地面から上がり、〈能力〉の出口へとなったセリカの携帯へ向かって飛び、俺の携帯へ戻ってくる筈だ。

 そして俺の予測はあたり、電話越しから聞こえる音は、通常では決して聞くことのない喧騒と、誰かの話し声、爆発音が鳴り響いていた。

 

「こ、これは!………嫌な予感は当たっていたっ!詳しくは分からないが、今セリカに何か大変な事が起こっているッ!」

 

 直ぐに先生に電話をしようとして、画面を走る指が止まる。

 

 俺、先生のモモトークも連絡先も知らない!

 

 そういえば最近は学校にいること自体少なく、シロコ達が連絡先を手に入れている中で俺だけが未だ連絡先を知らないままであった。

 どうしよう。今すぐ他の皆んなに連絡するか?いやきっと寝ている。一人で助けに行くか、無理だ。流石にキヴォトスの頭おかしい耐久力のある不良達を一人で倒せるほど、俺の〈スタンド〉のパワーは強くない。

 

「メンドくせー!こうなりゃ全員に連絡すれば良い!誰か一人でも起きてるなら、そのまま先生へ繋いでくれる!」

 

 もうやぶれかぶれだ、俺は後の事など考えずに全員へ電話する。

 アヤネ駄目、ノノミも駄目、シロコ駄目。

 

【もしもし〜?どうしたのミツキ君、こんな夜中に。おじさんこれから寝るところなんだけど〜】

 

「ホシノっ!セリカが拐われたッ!それも数時間前にだ!今直ぐ全員を学校に呼んでくれっ、出来れば先生にも連絡を!」

 

【…………それは本当?】

 

「嘘も真もあるか!〈能力〉は嘘を吐かない、とにかくセリカにただならない事が起きているんだ!………ヤバい、とにかくヤバいんだ!」

 

 まとまりの無い、不恰好な言葉の羅列にホシノはキチンと理解したのだろうか。一抹の不安が過るが、直ぐにホシノから皆んなに連絡するという旨が伝えられ、俺は安堵に胸を撫で下ろす。

 

 時間にして一時間を回った頃。時刻は午前1時。ホシノ達が学校へ到着し、俺は全員に事の顛末を話した。

 

"詳しい時間は分からないけど、セリカは数時間前に何者かと争って結果拐われた。そしてその行き先は不明………"

 

「きっと私達が潰した不良グループの誰かかもしれません。けど」

 

「その不良グループが沢山あって、その中からピンポイントで見つけ出すの至難の技だよね」

 

 不良、カタカタヘルメット団、正直候補がありすぎてその中からセリカを探し出すのはもはや砂粒の中からダイヤモンドを見つけ出すに等しい。

 こういう時、俺の〈スタンド〉が役に立てることはほぼ無い。情報収集に長けている訳では無いのだ。

 手詰まりか。そう思っていると、ひょいと先生が手を挙げる。

 

"ねえ、もしそのセリカの居場所が分かるって言ったら……どうする"

 

「とっとと調べやがって下さい先生」

 

"アッハイ。少し待ってて"

 

 そう言って先生は手元のタブレットを操作する。少しすれば達成感に満ちた表情で先生はタブレットを机に置く。

 地図の映像だった。

 

"セリカのスマホ、誘拐に巻き込まれてから少しの間、運良く壊れずに残ったようで、セリカがどの方向へ行ったのかのルートはある程度分かった。それに"

 

 タブレットの画面をスワイプする。するとアビドス付近の映像が映し出される。

 

"街にあった監視カメラをハッキングして、過去の映像を流してる。これからこのカメラの過去の映像を全て調べ上げる。既に壊れて動かないカメラもあるから探すのに時間は掛かるけど………大丈夫、任せて。残業には慣れてるから"

 

「「「「…………」」」」

 

「無理は………するなよ?」

 

"ハハっ、大丈夫大丈夫。生徒を助ける為だからね、頑張るよ"

 

 本当に大丈夫なのだろうか。遠い目をした先生を尻目に、俺達はセリカ救出の為の準備を始めた。

 

 

────────────────────────

 

 

 暗い部屋だ。唯一の光源といえば、ステンドグラスから刺す月光。

 そこは小さな廃教会。居るのは二人。しかしそのどちらもがまるで人の風からかけ離れた姿をしていた。

 一人は黒がそのまま人の形をとったような姿をしている。黒のスーツ、黒の顔。表情は光が溢れる目と口でようやく分かる。

 

『…………〈回転〉と〈重力〉。それは密接な関係だ。この地球が誕生した、その瞬間から〈回転〉と〈重力〉は共にあり、そして今日まで影響を与えている。いわば兄弟なのだ…………切っても切れぬ、強固な力………ワタシが言いたいことが分かるかね?』

 

「さあ、どうでしょう………見当もつきませんね」

 

『運命だ………人は巡る事で惹かれあい、運命という力で出会うのだ。ワタシと君の出会いも運命だし、これから先君が出会う者も、ワタシが出会う者もまた運命………』

 

 男の背後の闇から聞こえる声は、壊れたラジカセから流れる音声のような、ツギハグとした聞く者を慄かせる、そんな声をしている。

 

『だがもし、その運命を味方につけられるのなら。その者は幸福である………決して敗れも、失いもしないのだから』

 

「クックック………私の送った〈骨〉にはその力があると?」

 

『厳密には違う。〈骨〉はあくまでキッカケであって、真の目的は他にある。………なあ、()()

 

『運命は生きた者にとって、不可侵、不可逆の絶対的な力なのだ…………生きた者の行き着く先は死だ。それは君も………ワタシ達〈スタンド〉さえもだ。このワタシの〈能力〉を持ってしても完全に逸らすことは不可能だ。けれど、けれどだ…………もし、生きた者ではなく、死んだ者から産まれた者だったとしたならば………それは生きているのか?それとも死んでいるのか?』

 

「その、死んでいる者ならば運命に左右されず、力を支配できると?不可能です。このキヴォトスにおいて、そんな人間が居るとは思えない。とても興味深いですが………だとしたら今頃大変な事になってる筈」

 

『だが居る。このキヴォトスにな………死んだ者から産まれた者が。今はまだその自覚が無いようだが………その時が来ればそれはきっとこの世で最も幸福な瞬間になるだろう』

 

 闇から現れたソレは一歩黒服に近づく。その顔はまるで黄金の古時計が張り付いた様な顔で、唯一の人の要素と言えば声を発する口だけ。

 

『君に渡した〈骨〉は無事産まれた者に辿り着いた………後は待つだけなのだ、()()()()()の鍵は揃いつつある…………ようやくなのだ!』

 

 脳裏に思い描く天国の姿にソレの声はいよいよ賛美の色を帯びてくる。対する黒服はその表情と声色を変えず。

 

「…………ベアトリーチェは、〈骨〉の力に既に気づいているようですが?」

 

『彼女か…………別に、放っておいても構わないだろう。所詮は天国へ向かう為に供えられる哀れな子羊だ。君は産まれたての子羊が自分に襲い掛かっても全力で殺すか?』

 

()()()()は失敗した。覚悟が無かったからだ………だが今度こそ辿り着いてみせる………天国へ!』

 

 

 

 




黒服ってこんな感じだったっけ?


スタンド名【ステアウェイ・トゥ・ヘブン】
破壊力?
スピードA
射程距離?
持続力A
精密動作性C
成長性?
〈能力〉
簡単に言うなら未来の操作。人は決して自らの運命には抗えないが、唯一このスタンドだけはそのルールから外れることができる。
自分や触れた者の未来を観測し、もしそれが不都合な未来だとしたら、それに干渉して降りかかるであろう未来を他の人間に肩代わりさせる事ができる。


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