学園都市奇妙録   作:イロマス

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何故か続いたので2話目です。
ちょっとライブ感でやってる感じが……。


奇妙な生徒その2

 定城ミツキは記憶喪失である。種類で言えば『エピソード記憶障害』に部類されている。彼自身の生まれや故郷、ひいては本来の個性すらも忘れてしまっている。唯一、彼にとって最も新しい記憶は真夜中の空の月の景色と、視界いっぱいに広がり、まるで月光に煌めきを放つ、雪の様な砂の世界。ボロボロの服に、震える身体を引きずってあてもなく砂漠を歩いた。

 夜の砂漠は寒いらしい。けれど、彼には寒さを感じる余裕すら無かった。あったのは、歩かねばという意思と、自分は何者なのかという疑問。

 孤独が彼の心を埋め尽くした。裸足で砂漠を歩いた為、足はボロボロになり、吐く息も浅くまるで今にも燃え尽きそうな命を無駄に消耗している、そう思わせた。

 歩き始めて約3日。限界だった。もはや気力は果て、視界は霞を帯び、遂に彼は近くの瓦礫に身を預ける様に倒れた。

 俺はこのまま自分自身を知ることもなく、死んでゆくのだ。薄れゆく意識の最中、そんな事を考えていると。

 

 ふと、自分の前に影が出来た。それは一人の少女であった。太陽の光を反射する汚れない桃の髪。双眼はオッドアイ。太陽を思わせる緋、月を思わせる碧。

 彼女の名は【小鳥遊ホシノ】。倒れ、死にかけたミツキはホシノに拾われる形でアビドスに匿われる事になったのだ。

 その後、アビドスの抱える()()を知った時、彼は自分自身を助けてくれた恩に報いようと、アビドスの生徒として生きることに決めたのだ。

 そんな彼は今……。

 

 

 

 

 ………まず小鳥遊ホシノ。このアビドス高等学校3年で『アビドス対策委員会委員長』。常に眠そうにしていてやる気のやの字も見えない人だが、俺を砂の中から救い出してくれた恩人でもある。()()ホシノの姿を見ると本当に俺を救った人と同じなのかと疑いたくなるが……。

 続々紹介しよう。アビドス高等学校2年生組の砂狼シロコと十六夜ノノミだ。砂狼シロコは狼耳が特徴的な静かな奴……ってはじめは思ってたけど、その実この中で一番アクティブで誰よりもキヴォトスらしい奴だ。

 いつかマジに犯罪犯すんじゃあないか心配で仕方ないが、それもまたシロコの良さ……なのだろう。

 十六夜ノノミ。コイツはなんて言うか……デカい。家も、懐も……アレも。あ、いや別に変な意味じゃあ無いんだ。だから意味深な笑みで俺を見るな、ノノミ。いつもおっとり世話するのが大好きな奴だが、なかなか芯がしっかりしている。最近はホシノとセットで居る事がよくある、ホシノのあのだらけっぷりがノノミの琴線に触れたんだろう。

 最後は後輩二人の黒見セリカと奥空アヤネだ。

 黒見セリカは一言で言うなら……ツンデレ。

 

「──ふん!」

 

 ゴッフ……!今中々なローキックが俺の足を襲った。加減はされているとはいえか弱い身からすれば正直堪える。足がプルプルする……。

 話を戻すと、コイツはこのヤベー奴らの中じゃあマトモな部類に入る。チョロいが。まだ少し頼りないが将来が楽しみである。

 同じく一年組の奥空アヤネはセリカとは打って変わって奥手でザ・真面目な優等生タイプの子だ。定例会議と呼ばれるアビドス復興のための会議では毎回まとめ役を務めてくれる。アヤネには色々助かっているとこがあるから足を向けて寝れないね。

 簡単にアビドスのメンバーを紹介したが、何故いきなりこんな説明をしたのかと言うと。

 

「シロコちゃん、ミツキ君この人拉致して来ちゃったんですか!?」

 

「事がバレる前に何とか揉み消さないと!」

 

「お前ら本当ブレないよな……」

 

"……あはは"

 

 こんな状況だ。先生に限ってないとは思うが、念のため誤解を生まないようにコイツらはこんな奴だと説明をしていた。

 てか、俺もシロコも拉致してくる様な奴だと思われてんのか?シロコはまだしも、俺は違うと思う。

 

「ん、心外」

 

 聞こえてたらしい。不機嫌そうな表情でこっちを見てくるシロコを無視しながら先生に説明を促す。

 

"改めて、自己紹介させてもらうね。私は先生。連邦生徒会のシャーレから来たんだ。君達の支援要請を受けてね"

 

「先生って事は……受理されたんですね!私達の支援要請がッ!」

 

「やりましたね、アヤネちゃん!」

 

「私、ホシノ先輩起こしてくる!こんな時に居ないなんて!」

 

「ホシノは屋上だろうから」

 

 慌ただしく部室を出ていくセリカ。

 

「浮かれてんなぁ………仕方ないんだ、先生。そろそろ物資も切羽詰まってて、何度も送った申請がようやく受け入れてもらえたんだ」

 

 部屋の椅子にぐでっとほおをついていると、ドアの向こうから慌ただしく近づいてくる足音が二人分聞こえて来た。

 

「ホシノ先輩!ほら、しっかりして!」

 

「うへぇ、おじさんには朝は厳しいよ〜……あれ?」

 

"君が小鳥遊ホシノだね"

 

「……そう言うあなたは先生、だねぇ〜。ようやくって所かな〜」

 

 うへ〜い、と気の抜けた態度で挨拶するホシノ。先生も気さくに挨拶を返している。

 

「あ、おはよ〜ミツキ君〜」

 

「……おはようございます。あと、朝から引っ付かないで。暑い」

 

「そんな事言っちゃって〜。良いでは無いか〜」

 

「……()()()()()

 

「ごめんなさい」

 

 そそくさと俺から離れたホシノはそのままノノミの胸に飛び込んだ。

……羨ま、けしからんな。

 

「あれ、先生とシロコは?」

 

「学校内を案内するって言って出て行きました」

 

「まあ、シロコなら問題ないか。にしても、ようやくか。支援要請」

 

「うへー、少しは余裕出てくるかもねー」

 

「そうかもな」

 

 いつもの定例会議はまだやらないだろうなと思い、俺は休憩がてら簡易ソファで横になった。

 

 

───────

 

「以上がこの学校の全て。何か聞きたい事、ある?」

 

"……このキヴォトスの人は、銃で撃たれても問題ないんだよね"

 

「うん。私達は頑丈だからね……頭を撃たれても気絶で済むの」

 

"気になったんだけど、ミツキはキヴォトス人と同じなのかな"

 

「ううん。ミツキは私達とは違って先生と同じ、銃で撃たれれば傷つく」

 

"……変な感覚がして。初めてミツキに会った時、カード取られたでしょ。あの時、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「………先生も、そうなのかな

 

 定城ミツキ。まだ会って1時間も経ってないのに何故か妙に親近感というか、安心感というか、奇妙な感覚がする。

 シロコが言う通りなら、ミツキは私と同じ脆い人だ。銃で撃たれれば下手をすれば死に至るわけで。

 

"だから気になる。ミツキはどうやって今までやってきたのか"

 

「それは、私からは言えない。ミツキはあまり自分の事は言いたがらないから。だから………」

 

 そこまで言いかけてシロコは動きを止める。どうしたのかと首を傾げると。

 

今日こそ!この学校捕りに来たぜェ!

 

 銃撃音。ハッと窓先を見ればアビドス校門に8人くらいの不良が固まって各々の武器を振り回していた。

 

「懲りずにまた来た。先生、ここで待ってて」

 

"あ、シロコ!?"

 

 窓から飛び降りたシロコに驚いて私は身を乗り出す様にして叫ぶ。

 すると正門玄関から続々とホシノ達が武器を持って現れてくる。

………あれ、ミツキが居ない。

 

"あれ、どこに"

 

「俺を呼びました?」

 

"ミツキ!?"

 

「ホシノから先生を守れって……大丈夫かと思うけど、念のためで」

 

 そう言うなりミツキは懐から一丁の銃を取り出す。アレは確か、トンプソン・コンテンダーだったか。

 私の隣に立ったミツキは窓越しから不良達の数を数えると懐の弾丸の数と不良の数を数える。

 

「8人………()()()()()()

 

"数?一体何が?"

 

「先生。これからやる事は余り周りには言わないでくれると嬉しい………このアビドスの皆んなと……先生。………この皆んなだけの秘密です」

 

 そう言うなりミツキの雰囲気が変わる。どこか掴めない、奇妙な雰囲気からまるで歴戦の強者の様な抜き身の剣のような鋭い雰囲気に。そしてポツリつぶやいた。

 

「…………ムーン・アンド・サンド(砂漠の月)

 

 




次でようやくスタンドバトルやれますよ、やったね。

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"1月17日少し文章変えました"
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