学園都市奇妙録   作:イロマス

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 セリカ・ロォードの話の裏で起きていた話です。
 新スタンドが登場します

4月6日加筆修正加えました


侵入警報発令中!

 

 セリカが教室を出ていき、先生も追って行ったその同時刻・住宅街で。

 

「この骨が指しているのは、この方角か」

 

 人の生活音の聞こえない、閑散とした住宅街を俺は一人歩いていた。

 この住宅街へ行くことになった理由、それは手のひらで生きているかのように震えている『骨』だ。

 三日前の襲撃の時に花京ルカから手に入れたこの『骨』は昨日から何か変な動きをするようになっていた。

 それはまるで長らく会えていなかった親の気配を感じ取った子供の様で、ある一定の方向へと動いていた。

 だが、何故この住宅街なのか、ここは俺もよく通った道で今更『骨』の求める物は無いと思うのだが。だがまあ、行ってみるのもアリだろう。あわよくば記憶に関する何かも得られたら嬉しいのだが。

 

「ただ………しっかし、ここを行けってのは無理があるんじゃあないか?」

 

 目の前に立つのは一軒家の白塗りの壁。さっきまで道のりに沿って歩いていたのに急に壁の方に向きやがった。

 

「本当にこっちなのか?………別に、俺のせいじゃあないよな?」

 

 『骨』が標す先が壁の向こうなのだから、俺は罪に問われないだろうと自分に言い聞かせる。

 辺りに誰もいない事を確認した俺は〈ムーン・アンド・サンド〉で壁を蹴り壊し、中に侵入する。

 

「お邪魔ァ……靴は、無いか。誰も居ないっぽいな『骨』は……まだ先か」

 

 あと何枚家の壁を壊すんだろう。確か壁の交換費用は20万から300万位したような。

 どうか誰も住んでいませんようにと神頼み、それから俺は壁を壊して、壊して壊しまくった。

 多分10枚くらいをぶち抜いて、ようやく広々とした道路に出た。

 後ろを振り返れば人一人分の穴が空いた家が並んでいる。

 

「ウゲッ………逃げよ………っおわ!」

 

 足早に去ろうとした、その瞬間ポケットの中のスマホが鳴り、飛び上がる。

 着信はノノミからだった。

 

「もしもし?どうしたノノミ……」

 

 電話の先から聞こえて来たのは走って息の切れたノノミの声だった。どうやらセリカが怒って教室を出て行ったらしく、探して欲しいとの事だった。

 まだこちらの用事も終わっていないのだが、一人突っ走りやすいセリカは危なっかしい。仕方なく切り上げて戻ろうかと、踵を返してふと……手の中の『骨』が異常な動きを見せていることに気がついた。

 

───ミツキ君?

 

「………何だ、これは。何か……おかしい」

 

 さっきまで一定の方向だけを指し示していた『骨』は、今は四方八方をぐるぐる回転して、方角はメチャクチャになっていた。

 その動きに妙な恐ろしさを感じた俺は、やはり早く立ち去らねばと足早に道を歩く。そして曲がり道に差し掛かった所で、俺は足を止めた。いや、()()()()()()()()()()

 

『フシュル……フシュ……ルルルル』

 

 不味い。何だか分からないが、アレは不味い。俺は咄嗟に近場の物陰に隠れる。アレに気づかれないように静かに物陰から顔を出して観察する。

 その姿は例えるならミノムシのミノを頭から被った人。木の葉が集まって出来たミノを被り、顔の部分は影ができており、しかし煌々と光る目がまるで何かを探しているかのように強く輝いていた。

 

 あれはッ……間違いなく〈スタンド〉ッ。だが何故ここに、そもそも『スタンド使い』は俺だけじゃあ無かったのか。疑問は尽きないが今この場で答えを得られることはない、そしてアレに関わるのは決して得策ではない……今はそっとこの場を去らなければと、アレとは真逆の方向に歩く。

 瞬間、()()()()()()()()()()()()()。俺は反射的に身を屈める。

 

「うおおおぉおぉぉッ!!」

 

 濃密な圧が俺の頭上を吹き抜ける。後ろを確認する余裕は無かった。もつれるように転がり、この場から距離をとる。

 

『………外シタ……カ………ダガ次ハ始末スル』

 

「何だこいつッ、さっきまでは興味なさそうに歩いていたというのに、突然ッ……まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 俺の本能がアレから逃げろと訴える。突き出された腕……アレに触れられたら確実に不味いと、本能が、全身の細胞が絶えず警鈴を鳴らしている。

………言われなくても逃げてやるさ!だが。

 

 一歩後ろに退くと、ソイツは恐ろしいスピードで距離を詰めてくる。今まで経験したことのないスピードだッ。俺の〈スタンド〉を出すスピードよりも、圧倒的に速いッ!

 

「初動が速すぎるッ!間に合わないッ………〈ムーン・アンド・サンド〉ッ!」

 

 ソイツの拳が俺に当たる直前、咄嗟に出した〈ムーン・アンド・サンド〉の能力で体の一部だけを地面に沈み込ませて攻撃を回避する。

 俺の頭スレスレを通った拳はそのまま後ろの壁にぶつかり、まるでトラックが猛スピードでぶつかったような音と衝撃を伴って壁を粉々に破壊する。

 

「コイツッ!パワーもスピードも俺の〈スタンド〉より強いッ!ダメだ、強すぎるッ………俺一人の力では勝てないッ!本体だッ……兎に角本体を探し出して叩かねばッ!!」

 

 〈スタンド〉には必ず本体が居る。それがルール、決して曲げられない絶対。

 だが何処に?辺りを見てもそれらしき人影は見えない。そう言えばコイツからは変な自意識のようなものを感じた。

 〈スタンド〉は本来、本体の意思を通じて動く謂わばラジコンに近いものだ。けれど目の前のコイツはまるで〈スタンド〉そのものの思考と意思で俺を始末しようとする意思を感じる。そこには本体の意思は無い。

 本体の意思が無い〈スタンド〉は一体どうなる?考えたくはないが、目の前のコイツのようにまるで人の様に動き回れるとしたら。

 断言できる、この〈スタンド〉は俺の知識からかけ離れた存在だ。近距離パワー型のような本体が近くに居るだなんてそんな考えは捨て去った方がいい。

 何メートル?何十メートル?この〈スタンド〉の本体はどこにいるのか、それが気がかりだ。

 

「考えるだけ無駄か……まずはこの場を離れなければ。奴を倒さない限り、俺はこの住宅街から出られないし、アビドス高に戻ることも出来ないッ!」

 

 方針は決まった。理不尽な状況ではあるが、今更退けない。この広い住宅街から一人の本体を探す。それはまさに雲を掴む事と同じ。

 ヤツが近づく。纏う雰囲気は俺を殺す気満々と言った様子だ。至近距離で真剣を首筋に当てられているような死の感覚が俺の全身を駆け巡る。

 ここまで来たら突き進むしか無い。

 

「見つけ出すッ!逃げながら本体を見つけ出して叩くッ!………俺が生き残るには、それしか無いッ!」

 

 振り抜かれた拳を避けながら、俺は住宅街の奥へと駆け抜けて行った。

 

 

 




「本体不明」スタンド名『フライミートゥーザムーン』
破壊力A
スピードA
射程距離A
持続力A
精密動作性E〜C
成長性B

【能力】
指定した対象に憑依する。(憑依した際、一時的に憑依した対象が本体判定になる)
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