こんな見切り発車にも程がある作品に皆様本当にありがとうございますッ!!
ブラボー!……オオ、ブラボー!!
血が沢山出ている。痛みが常に全身を駆け巡るし、視界がハッキリしていない。
脳の処理が追いついていないんだ。痛みと血の消耗で脳が麻痺しているんだ。
くそっ、身動きが取れない上に〈スタンド〉も満足に出せない。
まずは足を治さなければッ!
転がった足に手を伸ばすと敵〈スタンド〉もそれを妨害するように足を振り下ろす。俺は無事な方の足で敵〈スタンド〉の足元を払い、バランスを崩す。
敵〈スタンド〉は直ぐ体勢を戻すが、その一瞬の隙に俺は側に転がった足を手に取って真上に投げる。投げられた足は勢いを乗せて俺の傷口に向かって落ちてくる。
「足は俺の〈能力〉で下へ向かって落ちるッ!精々気休め程度だがッ、今は動けるだけで良いッ!」
落ちた足はぴっちりと傷口に隙間なく張り付く。俺は足が落ちない様に〈ムーン・アンド・サンド〉でズボンの一部を千切って傷口を縫合する。
もちろん麻酔は無いから痛みを伴う。ただ〈ムーン・アンド・サンド〉の精密さで動けるようにはなった。
要所要所で〈ムーン・アンド・サンド)で身体のサポートを行いながら家や道を走り抜ける。
その途中、俺は近くの家の二階の窓を突き破る。俺の入った部屋は空き部屋だったが、不良の溜まり場として使われていたのか、何丁か銃が乱雑に置かれてあった。
これ幸いと一丁の拳銃を手に取った俺は弾倉に弾がある事を確認して装填。チャンバーチェックで問題なく動作する事を見た後、部屋を出る。
「………〈骨〉の動きからして、ここからそう遠くない所か………やはり、〈骨〉はスタンド使いと惹かれ合うのか………」
ますますこの〈骨〉が何なのか気になる。変な繋がりだったり、この〈スタンド使い〉に惹かれる性質だったり。
その時、頭の片隅でふとある仮説が浮かんだ。
「待て……花京ルカは何故あの〈骨〉を………ギフトって言っていたな。〈スタンド〉、〈骨〉、〈惹かれ合う〉………分かりかけてきた。花京ルカへ〈骨〉を送った送り主はきっと理由なく送ったんじゃあ無い。
俺は思い返す。少し前に先生達と不良達の拠点潰しをした時、何人か下っ端の不良が言っていた。花京ルカの様子がアビドス襲撃の日以降おかしくなったと。
だから来たのだ。ルカの不調と〈骨〉の動き。何か嫌な予感がしたからここまで〈骨〉について来たのだが。
「〈スタンド〉ッ!初めて見た、キヴォトスの人が〈スタンド使い〉になるなんてッ!………余りにもタフッ!」
荒い息を吐きながら部屋を出て階下へと移動しようと、階段へ歩いた俺は下を見て足を止める。
既に敵〈スタンド〉は階段の下でその怪しく光る目を俺へと向けていた。
先回りされていた。心の中で舌打ちした俺はいつでも〈ムーン・アンド・サンド〉を使えるよう構える。
今までは逃げながらこの敵〈スタンド〉を倒す方向でいたが、もうそんな回りくどい事はやめた。
「この家でッ、この場で、今ッ!………ケリをつけるッ!」
広いところでは敵〈スタンド〉の土俵だ。けれど、この狭い場ならば敵〈スタンド〉の動きは多少制限される。勝ちの目が少しはこっちに傾くのだ。
それを知ってのことか、敵〈スタンド〉はこちらを見上げるだけで襲いかかることはしない。
機を見計らっている。俺も、奴も。
膠着状態が続く。いつ奴が攻撃してくるか分からない。今この瞬間かも知れないし、次の瞬間かも知れない。その次の次の瞬間かも。
だがそれは奴も同じで、俺の〈能力〉も奴の〈能力〉も分かりきった今、変に手は出せない。けれど何かの拍子で拳がぶつかってしまうのは明々白々だった。
ハッキリと分かるのは………そう、この戦いはこの場で決着する……ただそれだけが分かる。
数秒?数分?はては数時間?しばらくこの状態の俺と敵〈スタンド〉は、ギジリ、と木の軋む音を合図にほぼ同時に拳を振り抜いた。
「オラぁァァッ!!」
『ウシャアァァッ!」
同時に放たれた拳は、俺は〈能力〉で身体を少し沈め敵〈スタンド〉の拳の軌道から外れ、敵〈スタンド〉はそのパワーを活かして弾く。
俺は直ぐに〈能力〉を解除、弾かれるようにして浮上したもう片方の拳を敵〈スタンド〉の顔面にぶちかます。
『ウギ……ガッ!』
間髪入れずに両の拳でラッシュを食らわせる。敵〈スタンド〉は壁に腕を突っ込み、俺の真横から貫手で貫こうとしてきたが、手すりを支えに体を浮かせて回避、そのまま体を捻って敵〈スタンド〉の側頭部を蹴り付ける。
流石に怯んだ敵〈スタンド〉。けれども尚動く姿に俺は懐から銃を取り出して天井に向けて発砲する。
銃弾の当たった天井は、俺の〈能力〉で一部分が下へ落下、敵〈スタンド〉目掛けて降ってくる。重さと勢いを持って落ちてくる瓦礫を敵〈スタンド〉は粉々に粉砕する。好気と俺は近づくも、落ちた瓦礫の一部から現れた足に防御が間に合わずモロに食らい、吹き飛ばされる。
「うぐっ……瓦礫に憑依したかッ」
血を吐きつけた俺は2階の個室に逃げ込む。
部屋の中へ入り込んだその時、右足首に感じた強い痛みにバランスを崩す。
床に倒れた俺は肺の空気が外へ強制的に吐き出される圧迫感と顔を打つ痛みに呻く。
足を見ると、敵〈スタンド〉の腕が逃すまいとがっしりと掴んで離さないでいた。
『掴ンダ……ゾ。コレヨリ憑依先ハオマエダッ……!ソノ全身ヲバラバラニシテヤル───』
「───掴んだか。俺の足を………正直、これは一か八かの賭けだった。けれどお前はきっと俺の
俺の〈能力〉で触れたのはまだ治りきっていない右足首だ。その瞬間、右足首の傷は敵〈スタンド〉の腕を伝うように下へと向かう。
まさか、と敵〈スタンド〉は俺から手を離そうとしてくるがもう遅い。肘まで移動した傷は、〈能力〉の解除と同時に敵〈スタンド〉の腕で炸裂。肘から先を吹っ飛ばした。
『グゥオッ!!ナニィィッ!!』
崩れる床。穴が空き俺と敵〈スタンド〉は下の部屋へと落ちていく。
「逃げようったって触れるための物体が無い空中じゃあッ!もうどうしようもないッ!そしてッ!!」
拳銃を地面に向けて発砲する。床にめり込んだ弾丸は〈能力〉で地面に沈んでいく。そして沈んだ銃弾はある物と接触する。
それは水道管だ。銃弾が触れた水は沈み、〈能力〉の解除で勢いを乗せて放たれる。
たった数秒。けれどその数秒こそ、俺が求めた唯一の勝ち筋だ。
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッッ!!』
拳のラッシュと湧き上がる水圧に流石の敵〈スタンド〉も抵抗の術は無く、最後の一発を顔面に食らわすと弾けるようにして虚空へ消えていった。
倒した。あの厄介でどこまでも無敵な敵〈スタンド〉を倒したのだ。いや、倒したわけじゃあ無いのかも知れない。敵〈スタンド〉のパワーが切れて持続時間が切れたのか、それとも本体が解除したのか………まあ何にせよ重要なのは俺は奴から生き残った事だ。
と、ここまで考えて気がついた。俺はまだ空中にいるのだと。
不味い。そんな言葉が頭の中をよぎったその瞬間、今日何度目か分からない衝撃と肺の空気が一気に抜ける感覚に襲われる。
「───ハァッ……ハァッ、ッく……生き、てる、勝った……!」
本来なら今直ぐにでもこの〈骨〉に従って示す先に行かなければならないのだろう。けれど、全身に感じる痛みと脱力感に立ち上がる気力も湧かず、俺はしばらくの間この状態でいた。
今は……この勝利を噛み締めておこう。俺はそっと目を閉じ、脱力感に身を任せた。
自分で作っておいて、この〈フライ・ミー・トゥーザ・ムーン〉どうやって倒すんだよって思いました。見切り発車の弊害がここに来て………。でもガンバります。
こう言う時こそ〈ヘイ・ヤー〉が欲しい。
評価、感想を頂けるとモチベーションが上がりますので、評価、感想お願いします。