久々にやよいPとして復帰したら見事に脳みそ溶けました。
アイマスに美羽様ぶち込んだら、それってとっても楽しいかもー!
さて、次はようやくSEKIHEKIです。
西涼編並に書くの難しそう……。
「どうする?鑑惺よ」
「私としてはさっさと逃げたいんやけど……」
隣の屋根に現れた春蘭を前に、二人で二,三言話す。強すぎる踏み込みであえなくボッシュートかと思われた春蘭だったが、屋根を踏み抜くギリギリのところで持ちこたえた。今は強度を心配してか、幾分慎重にこちらに向かってきている。……最初が強すぎただけで、普通に歩いたり走ったりしても屋根は壊れないのだが。まぁ、そのおかげでこちらにもいくらか余裕がある。
「そうじゃな。上手く逃げれば、あの歩みではこちらに追いつけまい」
「そ~なんやけどな……多分、私らが背を向けて走り出した瞬間、春蘭さんも走り出そうとするやろ。んで、その一歩が意外と大丈夫で、あとは……な?」
「慣れるということか……」
「それやったらここで一当てしといた方が良え気がすんや」
「そもそもそう言っているうちにここまで来たな」
「何をコソコソ言っている!いざ尋常n……くっ」
大上段に七星餓狼を構えた春蘭だったが、足下がミシリと音を立て、その構えを崩す。
やはり、この足場では十全の力を発揮できないらしい。バカたちの馬鹿力を封じることができる。フィールドとして屋根の上を選んだことは正解だったな。
「チッ……戦いにくい……」
「ほう……夏侯惇といえば後先考えない突撃が売りだと聞いていたが……この戦いの決まりをしっかりと気にしておるのだな」
「ん!?……あぁ!当たり前だ」
……絶対忘れてたな。足がズボッってなったら特大の隙になるから気にしてるだけに違いない。
「んだらさっさと黙ってもらおか。……増援呼ばれても困るし」
「ではしっかりと合わせてくれよ。鑑惺よ」
黄蓋が軽く一歩出るのに併せて、細剣による斬撃を飛ばす。春蘭にとっては、黄蓋が動いたと思ったらその奥にいた私から攻撃が出たために、軽いフェイントになっているのだ。
「くっ」
「そうらっ!」
若干反応が遅れたところに、黄蓋の中段突き。
春蘭はそれを大剣の腹で受けるも、勢を殺しきれない。
「ぬっ、う、……はっ!」
縁を蹴り、隣の屋根へ跳ね戻ることにより距離をとった。無理に押し込んでこないのは、やはり足場に不安が有るからか。
と、そんな考察を他所に、春蘭がこちらを指差す。
「貴様ら卑怯だぞ!二人がかりなどと!!」
「え、いや、二人で居るとこに春蘭さんが突っ込んで来たんやん……」
「うるさい!そういう時は空気を読んで一人ずつ相手をするものだろう!」
「空気とかどの口が」
「すまんな聆。うちの姉者が」
「ヴぁ……いつの間に」
「ウチもおるで!」
「来て欲しぃなかった」
「ほぅ……これは………」
前方に夏侯姉妹、後方に霞か……。
「………」
「………」
私と黄蓋は、何も言わず背中合わせに構える。
「ちぇ〜。こっち逃げて来ると思って潜んでたのに……」
「気がついていたか」
左右それぞれの路地から、猪々子とかゆうまが跳び上がった。
「まぁこんだけ集まったらお前らも来とるやろしなぁ」
「ああ。姉者が気配を垂れ流しにしてくれたおかげでな」
「ちなみに真桜も周りに罠を仕掛けてるぜ」
「もはやお前たちに『逃げ切る』という選択肢は無くなったということだ」
「だから何じゃ?ここに居る全員をのせば良いのだろう?」
「言ってくれるな……」
何の合図も無しに、四方向から同時に迫る。
この分だと私の相手はかゆうまと霞になるか……。霞は普通に強いし、何よりかゆうま厄介だな。これまで私と鍛錬をしてきたせいで柔軟性が高まっている。もちろん、その分私も乙女武将特有の超反応や怪力に慣れているのだが……。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「おおおおおおおおっ!!」
「来いやォらァッッ!」
「覚悟ッッ!」
ドゴンゥ
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「いらっしゃいませ〜。こちらのお席どうぞ〜」
「ふふっ……案外似合っているわね。華雄」
「くっ……」
都の女官を模したヒラヒラの従業員制服を着たかゆうまを、華琳がニヤニヤと眺める。そして、そこにすかさず霞がチャチャを入れる。
「うぷぷっ良お似合うとるわ」
「き、貴様も似合っているぞ!」
「うん。ありがとう」
「くっ……!」
「コラあんたたち!お客様の前で雑談しない!!」
「「す、すみません!オカミさん」」
オカミさんというのは、今私たちが働いている店の店主である。……そして、数刻前の訓練の被害者だ。
数刻前、私と黄蓋に対して、四方から同時に突撃する作戦がとられた。……一足に超えられるような範囲に、私と黄蓋、そしてかゆうま、猪々子、春蘭、秋蘭、霞の計七人分の体重(+α)がかかった。
つまり、この店の屋根がぶっ壊れたのでその罰として働かされているのだ。
「ふぅ……今回は私が勝ったと思っていたのだがな」
隣で葱を刻んでいた秋蘭が口を開く。私と秋蘭、そして黄蓋は厨房での仕事を与えられていた。
「『今回は』って……」
多分、私との勝負のことを言っているんだよな?それなら、おかしな話だ。組手や模擬戦なんかでは七:三くらいで向こうが勝っているはず。そんな、『いつもは勝てないが今回はチャンスが有った』みたいな言い草はおかしい。
「いっつもだいたい秋蘭さんのが勝ってない?」
「そうは言っても聆は模擬戦で全ての技を使っているわけではないだろう?」
「まぁ……」
そりゃ、私の戦いは半分手品みたいなものだからな。訓練で毒霧バラ撒いたり仮死状態になったりしたら大顰蹙だろう。
……あと、この場でその話はやめて欲しいのだが。今は外で野菜を洗っているが、黄蓋が聞き耳を立てている気がする。
「それに、こういう特殊な条件下での戦いでは、殆どの場合で聆の組が勝つだろう?」
「照れるなぁ」
……特殊なことをしなければ勝てないんで普段から特殊なことばかり考えてるからな。
「……まさか、今回も屋根が抜けると見越して一箇所に皆が集まるように誘導を?」
(心の中で)噂をすれば黄蓋。
「さぁ?どないやと思う?」
本当は無理に決まってんだがな。敵方四方向五人の動きの操作なんぞできるか。せいぜい三人が限度だ。
「全く恐ろしい奴じゃ……」
私としては黄蓋の方が恐ろしい。何気にサラッと屋根の上の戦いに順応していた。私は若干建築もかじったおかげで屋根の強度の見当がついていたのだが……黄蓋はどうなのか。
「私も身内ながら気になって仕方がない」
「何?惚れとん?今晩一戦交える?」
「遠慮しておく」
敢え無く断られた。本気じゃないからどうでもいいが。
「っとまぁそんなことを言っとるうちに餡かけ炒飯あがったでー」
「おうっ!じゃあアタイが持っていくぜ」
「こぼさんように気ぃつけよ?」
「へへっ任せなっt――」
「うわっ!?」
「うぇ!?」
案の定、皿をさげてきた春蘭にぶつかった。
「………」
「………」
「………」
「わ、悪い」
「やから気ぃつけよ言うたのにぃ」
「ほ、ほら!こぼすのとぶちまけるのとじゃまた別?みたいな?」
「ふふふ……」
「へへへ……」
「私はええけど。……な?」
「……アタイだけ居残りとか無いよな?」
「そぅならんよぉに挽回せぇ」
「うぅ……。じゃあ、作り直し頼む……」
「おぅ。もうやっとる。できたらまた呼ぶから」
「よろしくな!」
そう言って、猪々子はテーブル掃除に行った。小走りで。
「反省を期待するだけ無駄か……」
「そもそも私が一番下っ端やのに。……もうちょいしっかりしてほしいな」
「その階級差は有って無いようなものだろう」
「魏もなかなか緩いのじゃな」
「外には鬼畜集団として有名らしいけどな。特に私なんか人間ですらないらしいで?」
「ああ、何だったか……。複数の屍と外法を集めて作られた呪の巨人だとか」
「この超美人に向かって屍とかちゃんちゃらおかしいやんな」
「いや、それはどうだろう……」
「じゃが……これほどまでに戦を繰り返していれば、良からぬ噂が立つのも当然と言えるじゃろう。」
「でもなぁ、この戦の時代をさっさと終わらせるにはどっかが勝たなんならんし。停戦協定結んでも結局は牽制のしあいが続くことになるやろからな」
「それに、次世代を作るだけの人材を篩にかけるという意味もある」
あ、それは初耳だ。やっぱり、一刀とか秋蘭には色々と言ってるんだな。
「私的にはもうちょい自重してほしいけどな」
「……なるほどな………」
まぁ、この世界、道楽で戦争やってる奴なんか袁紹ぐらいなもので。……だから、私は皆を救いたい。
……だからちょっと手加減してくれよ?黄蓋。
正直、華琳が他国を攻める理由を考えるのが難しいです。