十九話です。
遅くなってすいません。
「いやぁ〜、指の呪霊だけじゃなくってさ。遺体を調べてビックリ! なんと例のブツの受肉体だったの! 特級相当を各個撃破! 啓の方も一捻り二捻り入れられてたっぽいけど無事完勝! 今年の一年は豊作だね。僕の指導者としての腕が良いのかな」
都立呪術高専。五条悟私室。
はちゃめちゃ高そうな椅子に座りながらコーヒーに角砂糖をブチ込み、機嫌良く話し続ける五条。
通話相手は京都校教諭、庵歌姫。
盗聴対策として飲み会の幹事等々の隠語を用いて情報共有を済ませる。
それは、一連の騒動に絡む内通者の件。
五条の予想では、内通者は恐らく三人存在する。
一人は高専学長以上の上層部。
一人は上層部に情報を流す高専の人間。
そして残る一人は……つい先日判明したばかりである。
(呪具紛失事件の犯人……大体玄さんの予想通りだったけど、阿頼弥の内通者がまさか学生とはね。まぁあの術式なら納得だけど……歌姫のキャパ的に高専側の方も学生ってのは考えたくないね)
スマホを手で弄りながら、暗い思考を続ける。
呪い巡る世の中とはいえ子供ばかりがその坩堝にいるというのは、大人として気分の良いものではない。
若人は若人らしく青春を謳歌すべきだと、五条は思うからだ。
「後は頼むよ、冥さん」
そう言って送金ボタンを押す五条。
流石五条家当主というべきか特級術師というべきか、七桁のゼロを送る事に対して一切の躊躇が無かった。
いや、今はそれよりも優先して考えたい事が沢山あるというのが正しいかもしれない。
椅子に思いっきりもたれて、目隠しの中で更に目を閉じる。
(啓も大丈夫かな……薄々分かってたとはいえ、特に近い家族が内通者だった訳だし)
第二分家は現状実行犯でないだけで、ほぼ確実に騒動の元凶の一翼である。
主犯格と物理的な距離が近い以上、第二の人間は殆どが傀儡になっていると見て良い。
それでもまだ、子供はその毒牙に掛かっていないと五条は勝手に考えていた。
「ったく、若者の人生をナメくさりやがって」
十月某日。午後一時。
東京都内某所。某駅周辺の通りにて。
刺すような冷たい空気。雲の少ない快晴だった。
太平洋側に位置する東京の十月においては、さして珍しくない天気でもある。
道行く人達に薄着は一切見当たらない。
(何か、暑い……)
しかし肌寒そうな様子の大衆にあって、その少女は例外だった。
薄手の白ブラウスとデニムスキニーの上から、青系統のチェック柄のシャツワンピース。
あまり着込んでいないにも関わらず、彼女自身は汗ばむような暑さを感じている。
名を禪院真希という。
(……くそ)
現在駅前の「男をお姫様だっこする女性像」目掛けて真希は歩いていた。
その作品には銅像のように逞しい女性が増える事を願う作者の意思が込められているとか何とか。
ウィキで見た銅像の歴史を追想しながら、更に足を早める。
(何でこうなったいつの間にこうなった何でここにいるどこだここ……!)
混乱。
何かを考えていないと思考が纏まらない。何かしていないと何も手につかない。
見慣れた東京の景色を忘れてしまう程だった。
真希がこうも追い詰められたのには、やはり理由がある。
彼女の思考を追う訳ではないが、実際何故こうなったのか。
発端は、真希のスマホに届いたとあるメッセージだった。
『真希ちゃん』
真希の事を「ちゃん」付けで呼ぶ人物など、真希は一人しか知らない。
阿頼弥啓。高専における一つ下の後輩であり、許嫁である少年。
どちらかと言えば直接会う事の方が多い為、啓がそのように文字で連絡してくるのは稀であった。
物珍しさから、スマホに注視し過ぎたのが悪かったのかもしれない。
『デートしよ』
頭が無量空処だった。
危うく無限回の情報伝達に陥る所であったが、そこで真希は思い出した。
かつて啓と交わした交流会で勝ったら……云々の約束である。
そして気が付けば、もう目的の場所の近くまで来ていた。
「啓の奴はいんのか……?」
平日とは言えやはり東京。
雑踏はそれなりに多い。
幾度と無く見た顔を探すのも楽ではない。
「あ……」
間の抜けた声が漏れた。
銅像近くの噴水前に啓は居た。見つけた瞬間顔が緩みそうになったが、無理やり抑える。
さも何ともない風を装って近付いていく。
「け──」
「ねぇねぇ、君今一人? 暇なら私達とどこか遊びに行かない?」
「え?」
真希より僅かに早く、二人組の女性が啓に話しかけた。
目に見えるような愛想と甘ったるい声。
相手の断りにくいような、ありふれた誘い文句。
それは考えるまでも無く、「逆ナン」であった。
(おいマジか……どんなタイミングだよ)
咄嗟に銅像の裏へと隠れた真希は、内心で悪態を吐きながらその光景を盗み見ている。
「私達結構この辺詳しいからさ!」
「そーそー。あ、そう言えば最近向こうのカフェで新作出たし、丁度良いんじゃない?」
「それ良い! ね、君も行こうよ!」
「あぁ、えっと……」
あまり相手の意思を尊重しないタイプなのか、元より有無を言わさない腹積りなのか。
何にせよ中々に手強い相手で、啓も対応に困っている。
彼の誰にでも優しい性格は、このような時にこそ仇となる。
(まぁ確かに、一人で居たらただの女ホイホイみたいなもんだしなアイツ。今まで外に出なさ過ぎたな)
決して口には出さないが、啓の容姿は真希も解っている。
身長は少し低いが、それ以外はバカ目隠しとも張り合えるレベルと言って良い。
加えて今は服装がそれに拍車を掛けていた。
恐らく母・篝が手を加えているであろうコーディネート。
家柄上和服をよく着る啓が、今は打って変わってひじょーに流行を押さえた綺麗系の様相だった。
放っておく人間の方が少ないだろう。
(まぁそれはそれとしてそろそろ返してもらうか)
幾ら啓の気持ちを知っていたとしても、許嫁なのだとしても、あまり見ていて気持ちの良い物でもなかった。
そうして許容範囲を超えた感情が真希の脚を突き動かした。
「あの、申し訳ないんですが……お断りさせてもらいます」
『え?』
疑問の声には、真希の物も含まれていた。
啓の答えは真希の予想通りにはならず、しかし期待通りとなった。
罪悪感の滲む笑みで謝りながら、啓は続ける。
「とても大事な人との約束があるんです。だからごめんなさい」
礼儀正しいお辞儀に、女性二人は何も言えなくなってしまった。
啓の気持ちをこのまま踏み躙るような残酷さを、彼女達が持ち合わせている筈も無く。
同様に真希も次の歩を踏み出せずにいた。
所在無げに静まり返った光景を見ている。
「あっ! 真希ちゃん!」
だがその静寂を破ったのもまた、啓であった。
驚く程歓喜に満ちた顔で、真希の下へ走り出した。
その両手を取り、ニッコニコで話し掛ける。
「もしかして待ってた?」
「いや……私もついさっき来たばっかだ」
「そっか。あ、今日の服も可愛い」
「うるせぇ馬鹿……」
「じゃあ行こ?」
「お、おう」
「あ。お誘いありがとうございました。逃げるようで悪いんですが、僕達はこれで」
爽やかな笑顔を残して、啓達は流れるように雑踏へ紛れていく。
残された者達は、移ろう視界をただ眺める事しかできない。
「ねぇ」
「……何」
彼女達が再び口を開いたのは、あの後ろ姿が完全に見えなくなった後だった。
「顔も服も性格もアホ程良くてその上彼女スーパーラブな一途少年とハイパースタイル眼鏡美人の美男美女カップルってどう思う?」
「推さいでかッッ!」
「それでこそ我が友ッ!!」
ザワ。ザワザワ。
東京都内。場所は移り変わって、とあるカフェ。
そこは大通りに面していないながら、様々な年齢層に人気を博す名店の一つ。
いつも通りの客足に満足気な店長であったが、今現在、客の雪崩はかつての繁忙期を遥かに凌ぐ程だ。
そして不思議な事にテラス席の指定が特に多く、また店内での飲食を勧めると一部からは断られる始末。
ザワザワ。
一体何がと頭を悩ませる店長は、ついにその元凶を見た。
「ほぇ〜、これが噂に聞くタピオカか……見た目面白い」
「野薔薇に聞いたやつだから味は保証するぜ」
テラス席の一つに座る一組の男女。
周囲の視線はまるで渦のように二人を取り巻いている。
片や真っ白な地毛と翡翠の瞳を持つ、ビスクドールのような印象の少年。
片や長い睫毛と切れ長の目、艶のある黒髪が和の美しさを織りなす少女。
陶器のように儚げで、宝石のように絢爛で、着物のように綺麗で。
容姿よりも内面に重きを置く篤実な店長も思わず慄くキラキラ空間。
「あ、ホントだおいしい。流石野薔薇さん」
「だろ」
啓の笑顔を見ながら、一番人気のショートケーキを一口放り込む真希。
真希の喜ぶ表情に一層嬉しそうな表情を浮かべ、ストローを口に入れる啓。
その微笑ましく尊い世界に周囲の人々は一喜一喜一喜。
気付かれぬよう反応は抑えているが、常日頃、非日常に身を置く啓達にそれが解らない筈も無く。
「……真希ちゃん目立ってるね」
啓が笑みを漏らして言った。
頬杖を突きながら、真希の事を愛おしそうに見ている。
「あ?……いや周りは大体お前の事見てるだろ」
「そう? そんな事無いでしょ」
「ハァ……ま、お前はそもそも自己評価低いしな」
「んー、そう言われても……」
(((ごめんなさい全然両方ガン見してます)))
聞き耳を立てていた大衆は全員がそうツッコんだ。
真希も真希で自覚が全く足りない、というかお互いがお互いを贔屓し過ぎているのだろう。
だが啓に関しては、つい先刻女性に誘われたばかりでありながら、全く思い当たる節が無いといった風である。
ここまで来ると謙遜というよりは病気だ。
「じゃあ悟が全裸で女誘ってるとこ想像しろ」
「絶対ヤダ」
「お前はそれの十歩手前辺りだ」
「僕の事どう見えてるの!?」
「悪い、流石に冗談」
(((何か美男美女のテーブルから"全裸"って単語聞こえた……!!)))
ドぎつい例えをされ困惑する啓を、くつくつと笑いながら面白そうに見ている。意地悪な笑みだった。
周囲の人々にとってはより困惑する例えであったのは言うまでもない。
「てゆーか真希ちゃんに言われたくないんだけど」
「あ?」
「真希ちゃんは芯があって意思が強くて皆に厳しいようで優しくて生き方がカッコよくて、ていうか内面だけじゃないけどとにかく! こっちはずっとドキドキさせられるの! 真希ちゃんの方が絶対自己評価低いよ」
「〜〜っ……お前声抑えねえと殺すぞ……」
「それはすいませんでした」
子供じみたふくれ方で捲し立て始めた啓は、最後まで幼い理論のまま結論を言い放った。
まぁそこそこの声量……周りには全然聞こえる大きさであった。
真希は両腕に顔を埋め、呻きながらキレる。何がとは言わないがもう真っ赤っかだった。
啓は即座に謝った。
そして、二人のやり取りに周囲は口角がこれでもかと吊り上がった後、何らかの衝撃波で吹き飛ぶように席の周りへ倒れていった。
後日。
倒れた者達は『尊さが具現化して飛んで来た』と供述したという。
「……そういや聞いたぜ。この前の任務の話」
「この前って……ごめんどの任務の話?」
「八十八橋の件だ」
「……。悟さんか」
「お前が領域成功させたのにも驚いたが……やっぱ一番は花凛だな」
「……それは僕も一緒」
倒れ伏す人々には気付かぬまま、真希は一つ重い話を振る。
デートの場でする内容ではないとも思うが、それ以上に心配だったのだ。
啓が楽しい時間で何かを紛らわせようとしている、そんな気がしたから。
「良くも悪くも処分の管轄は第二だから、処刑や拷問はしないだろうけど、その分また花凛ちゃんが利用される可能性は高いね」
「いや、宗家が管轄でも別に処刑はしないだろ」
「どうだろ、父さん真面目だし。特級呪具の窃盗と造反行為とじゃ罪の種類が違う気もするし」
あの人言う程真面目か?……と真希は失礼な事を考えるが。
事実玄は、主犯による教唆の末に記録の改竄や呪詛師蒐集等を犯した分家の人間には例外なく処罰を下している。
第二分家の毒牙に掛かった分家は多いが、使われる毒の種類は様々だ。
思想が旧態寄りの分家には甘言による教唆、もとい洗脳が多く。
宗家寄りの分家は単純な脅迫や神決呪法による「縛り」の強制で自由意志を剥奪されていた。
真面目な玄は、その差を基に処罰の比重を変えている。
「……何で花凛だったんだろうな」
「え?」
「花凛じゃなくても良かっただろ。第二分家所蔵の呪具を第二の人間が奪うならリスク無いだろ」
「そこが"あの人"の怖い所なんだよ。自分の娘も計画の歯車に組み込んで、何かを狙ってる」
花凛の術式の練度を考えれば白羽の矢が立つのも頷けるが、娘に対してそれができる事実が、啓には理解できなかった。
その人物と自分が血縁関係にあるという事も、げに恐ろしき事情であった。
「……いや、それ以上は考えても仕方ねぇな。暗い話して悪かった」
「ううん、せめてこの話は僕の方からするべきだったよ。……ありがとね真希ちゃん」
啓が真希の気遣いに気付いていた事、あるいはその優しい微笑みに、真希は面食らって目を逸らした。
おまけと言ってはなんだが、頬もちょっと赤い。
「真希ちゃん」
しかし啓は知ってか知らずか、更に真希の手を取り追撃を掛ける。
指を絡め、ゆっくり握りしめながら隣の席へ移動する。
「好きだよ」
「な、何だよ急に……っ」
「本当に好きなんだ」
「顔……近ぇって……」
「ごめん、どうしても分かって欲しくて」
「っ〜〜……」
これが無辺にして無償の愛である事を。
誰にでも慈愛を向ける阿頼弥啓の、唯一無二である事を。
出会ってから今日まで、十一年間ずっと。
この先も。真希がどうなっても、啓が死んでも、死んだ後も、そうである事を。
そうしてついには、店内席の客までもがその波動に倒れる事となった。
同日。
とある任務終わり。
伏黒は伊地知さんと直帰。
虎杖は観たい映画があるとか何とか。
私はジバンシィの新作を試しがてら街をプラプラ。
……と思っていたのだが。
紆余曲折あって私は今四人でファミレスにいる。
四人とはもちろん、私、伏黒、優子、虎杖の四人の事だ。
優子って誰だよ、なんてしょうもないツッコミはいらない。
要は優子が虎杖とかくかくしかじかで。
つまり、そういうことなのだ。
「ねぇ、真希さんと阿頼弥の馴れ初めって知ってる?」
で、興が乗っちゃった私は勢いで優子が知らない「そういうこと」の話題を振ってしまった。
まぁ説明すればええねん、と一旦罪悪感を忘れる。
「優子、真希さんは私が尊敬するクソかっけー先輩の事よ。んで阿頼弥とかいうのはその真希さんを私から奪った憎っくき野郎よ」
「あ、こう言ってるけどちゃんと友達だから」
「憎っくき友達ってすごいワード……」
「そもそもお前のじゃないだろ」
余計な事を吹き込む男共はフル無視して私は話を続ける。
「で、誰か知らないの?」
「知らん」
「知らねえ」
「私は論外ですよね……?」
優子は仕方ないにしても私より距離の近い男共が揃いも揃って情けない。
私は早々とスマホを開き、他に知ってそうな人間を連絡先一覧から探す。
流石に真希さんに聞くのはキレられるし阿頼弥に聞くのも面白くない。
絶妙な感じの人物を選びたい。
「……あっ、篝さんいるじゃん」
思ったより上の方にあったその人物の名前に私はビビッと来た。
当事者の母であり阿頼弥当主すら一瞥で黙らせる敏腕奥さん。
真希さん硝子さんと同じ、私の中の尊敬できる女性リストに初対面で入った女傑。
考え得る最高の人選。これはもろたで。
「お前連絡先交換してたのか……」
「釘崎すげぇな……あの人に恋バナすんの?」
素早くメッセージを打ち込み送信する私を、男子二人が若干引い……尊敬の目で見てきた。
ふむ、悪くない気分ね。そのまま存分に尊敬するが良いわ。
その後、割とすぐに私のスマホは震えた。
送信元は言うまでもなく篝さん。
私は虎杖達にも見えるように画面を開いた。
『一目惚れよ』
篝さんの返信はこうだった。
色んな意味でシンプル極まる答えである。
故に私達は思う訳だ。
「うわぁ〜……」
「阿頼弥っぽい……」
「だな」
『あ、系がね』
追加で篝さんのメッセージ。
誤字ってるの可愛い。
『ごめんなさい。啓が一目惚れしたの』
「補足してなくても分かってます、すんませんっ」
(一目惚れが『ぽい』ってどんだけ愛に生きてる人なんだ……)
結論。
阿頼弥の事がどうでも良くなるくらい篝さんが可愛かった。
優子が若干引いた目をしてるけど私は気にしなかった。さっきの男子二人の目と似てるとか全然思ってないし。
……とそんな中、当の優子が恐る恐る手を上げる。
「ち、ちなみにその方達の写真とかってないんでしょうか……?」
「あー、確かに見せた方が早いわね。えっと……あ、これこれ」
「えっビスクドール!?……あ違った、ちゃんと人だった。えっとじゃあ、こっちがその泥棒猫?……さんの阿頼弥って方ですか?」
「Exactly」
「勝手に略奪された事を真実にするなバカ」
「てか小沢今すごい見間違いしなかった……?」
中々良いリアクションで写真に映る阿頼弥を指さす優子。
阿頼弥に対する認識もバッチリ。私は最大にサムズをアップする。伏黒が何か言ってたけど気にしない。
ん?……優子今ビスクドールって言った?
「ていうかその二人どっかで見たような……あ、やっぱり! これ見てください!」
『ん?』
「ついさっきSNSですっごく騒がれてたんですよ、とんでもないカップルがいるって! 二人を見て意識を失ったって書き込みまであります!」
優子が提示したのは大通りの歩道を歩く男女を死角から撮影したであろう写真。写っているのは、優子の言う通り噂の二人組で。
その様は明らかに、「デ」から始まって「ト」で終わるやつだ。
私は自分の中の思考が切り替わるのを感じた。
テーブルに十分なお札を叩き付ける。
「釣りはいらないわ、私は行く……! 虎杖、優子を駅まで送ったら連絡寄こしなさい、場所を伝えるわ」
「お、お前どこ行くつもり……?」
「決まってるでしょカチコミよ……ッ! 着いて来なさい伏黒! フォーメーション、Bッ!!」
そうして私はファミレスを飛び出し、今まさに巻き起こっている「そういうこと」を阻止するべく走った。
風になれ、私。
灼熱カップルも冷める最強の北風になれ。
「……じゃ、俺は追い掛けて止めてくる。お前はあんまり気にせずゆっくり送ってやれ」
「お、おう。無理すんなよ伏黒」
十九話、読了ありがとうございました。
ついに来たデート回。もっと甘々にしたい気持ちはあるんです。
信じてください。