都市の右腕   作:プティパット

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リカルドヒースクリフが来ますね皆さん。
パッシブで音楽が上書きされるらしいですけど、赤い霧以来なんですよねこの演出。
楽しみだなー


強くなりたい

 

 

ノエルがすくすくと成長し、しばらく月日が経った日常の最中。

 

 

「ん、ガリオン。行ってくるね。」

 

「ああ、征って御出で、ノエル。」

 

 

ガリオンの考えた故の結果か、ノエルに知恵を身につけさせるために、学校へと通わせていた。

ノエル本人もそれに何も言わず、ガリオンの言う通りに通い続けている。

そんなガリオンはノエルを玄関で見送った後、ガリオンは遠くなっていくその後ろ姿をただ見つめる。

 

 

「…………」

 

「心配ですか?ノエルのことが。」

 

「……否、と云えば嘘になって終うな。」

「紅茶を淹れる腕が上がったと云うのに、なにかのきっかけで壊れて終えば、元も子もない。」

 

「……そう、ですか。」

 

 

彼女をそう言っていたが、バラルは気づいていた。

ガリオンの遠くを見届けているその目が微かに細めており、心配そうな眼差しを向けている事を。

当の本人は無意識なのか、あるいは隠しているのか。

普段ならば心に隙もなく、どこまでも読めない人なのに……ノエル(あの子)の事になると、ここまで分かりやすくなるとは。

 

 

「……何をしている。征くぞ、処刑者。」

 

「……はい、仰せのままに。」

 

 

彼女の命令に従い、バラルは次元を開いて彼女と自分たちの業務先へ移動するのであった。

 

 


 

 

「学校、バス……」

 

 

カバンを背負ってノエルがそう呟きながら、バス停でバスに乗る。

そうしてノエルはバスの後ろの席に乗る。

 

 

「………〜♪」

 

 

小さく鼻歌を歌いながら、そして窓の外を眺めて到着を待つ。

最近は学校でいろんな人と話し、そして友達も少なからずできる様になっている。

今日の学校では何をやるか、ノエルは少しばかり楽しみにしていた。

そんな事を考えていると、バスが目的地に到着し、ノエルはバスを降りる。

 

 

「……確か、ここを右に曲が──」

 

 

その時、突然背後から誰かの手が覆い被さり、ノエルの口を塞いでどこかに連れ出していく。

 

 

「ん〜〜っっ!!」

 

「へへっ、結構良さげなガキじゃねえか……こいつぁ、良い値で売れそうだ。」

 

(離せ……ないッ……!)

 

 

ノエルが必死に抵抗しようとするも、その力量の違いは凄まじかった。

 

 

「おっと、抵抗すんなよ?じゃなきゃ()()()を見る羽目になるぜ?」

 

「………ッ。」

 

 

痛い目、と言うその言葉にノエルは固まってしまう。

そして同時に脳裏に蘇るのは、かつての父親に殴られ、痛めつけられる記憶。

 

 

「はっ、そうやって素直に大人しくしとけ……今の内はな。」

 

(また、痛いの?)

(……嫌だ。)

(誰か……助け、て……!)

 

 

心の中で、ノエルはそう叫ぶ。

だがその声は届かず、ただただ闇に引き摺り込まれていく。

……その時、突然誘拐犯の真後ろに次元が裂かれ、拳が飛んで来て鈍い音を鳴らした。

 

 

「がッ……!?」

 

「──っ……バ、ラル?」

 

「全く……どこにいても危なっかしい餓鬼だな、貴様は。」

 

 

そしてその彼の後ろ、謎のカプセルに入った白い人像も裂け目から出てきて、バラルの言葉に対して皮肉を返すように言う。

 

 

「そういうお前も、私の力がなければノエルを探し出せなかっただろう?」

 

「爪に……目まで!?ど、どういうことだ!俺はまだ禁忌を犯してな──」

 

 

男がそう言い掛けた時、バラルが左腕の爪を突き立てて、男の顔の真横を通り越し、壁に突き刺す。

 

 

「ひっ……!」

 

「俺はこの餓鬼の子守りを任されているんでな……もし何かあった場合、責任を問われるのは俺だ。」

「禁忌を犯そうがなんだろうが、貴様みたいな塵屑(ゴミクズ)にかまっている暇などない。」

「理解したなら、とっとと失せろ。」

 

 

バラルが圧を掛けて男をガン詰めした後、男は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

男が完全に消えたのを見て、バラルはため息を吐きながらノエルの方へと振り返り、目と背丈を合わせるように小さく屈む。

 

 

「バラル、その……」

 

「礼を言うなら、俺じゃなくて後ろのこいつに言え。」

 

「初めまして、ガリオンの召使よ。」

「私の名前は『ルダ』……『目』やら『凝視者』やらと呼ばれているが、お前も好きに呼ぶといい。」

 

「ルダ……」

 

 

カプセルの中に入った白い人像、ルダ。

B社の凝視者であり、人々はそれを省略して『目』と呼んでいる。

 

 

「……ルダ、ガリオン様にはちゃんと『様』を付けろ。」

 

「別に良いではないか、頑なになるのは苦手なのだよ。」

 

「こいつ……!」

 

 

バラルとルダが言い争っている時、ノエルがふと会話に割り込む。

 

 

「えっと、2人とも……」

「……ありがとう、ルダもバラルも。」

 

 

その言葉にバラルはきょとんと立ち尽くしていた。

処刑者や爪になって感謝されるなんて、そうそうないことなのだから。

そしてバラルは軽く咳払いをした後に話を続ける。

 

 

「……これに懲りたら、次からは気を付けろ。」

「この都市だとどんなに安全な巣の中でも、裏路地と似たようなことが起きる場合もある。」

「だからもうこんなことが起きないように気を付けろ……いいな?」

 

 

そう言ったすぐ後にバラルは振り向き、ルダを呼びかけて裂け目を通り戻ろうとするが。

ガシッと、突然バラルは裾を掴まれる。

 

 

「……あ?」

 

「バラル……お願い、しても良いかな?」

 

「なんだ……俺やルダも忙しいから、手短に済ませろ。」

 

 

そうしてしばらくの間、沈黙が流れる。

その直後にノエルは決意したようにバラルに一言尋ねる。

 

 

「──強くなるには……どうすればいい?」

 

「…………は?」

 

 

予想外の質問に、バラルは困惑を隠せずにいた。

それを見ていたルダは面白がるように、そして興味深そうに話す。

 

 

「これはこれは……なんとも奇抜な子だ。」

「まだ幼いのに、強さを求めるか……興味深い。」

「して……その強さを求める訳とは何故だ。」

 

 

ノエルがルダの言葉に対して、いつもの虚な目をしながら返す。

 

 

「さっきみたいに襲われて……もし帰れなくなったら、ガリオンに紅茶が作れなくなる。」

「だから強くなる。強くなってぼくもガリオンも守る。」

 

 

そんな単純な答えを聞いたルダが高笑いを浮かべる。

 

 

「ふふふ……ハハハッ!そうかそうか、実に忠実な子だ。」

「ではそうだな……時間がある時にバラルに鍛えてもらい、戦い方を教わると良い。」

 

「は!?おいルダ、勝手に決め-」

 

「大丈夫だ、お前の負担を減らすべく業務は別の人にやらせる。」

「その代わり、しっかりとやっておくれよ?」

 

 

ルダはキッパリとバラルの反論を切り落としたあとにそう釘を刺す。

 

 

「ああ、そうだ。早く学校へ行かなければ、遅刻してしまうぞ。」

 

「!……本当だ、わすれてた。」

 

 

ルダは急いで走り去っていくノエルを見た後にそのままスッと裂け目に入っていった。

残されたバラルは大きくため息をつき、天を仰ぎながら呟く。

 

 

「はあぁ……こうなればとことんやるか。」

「とりあえず並みのフィクサーと戦える技量と力を身に付けさせるか……メニューを考えなきゃな。」

 

 

さっきはあれほど言っていたバラルだが、やりがいのあるものだと思ったのか頭を捻らせて呟く。

そう呟きながら裂け目の中へと消えていくのだった。

 

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