進撃の巨人~もう一人の選択~   作:赤道さとり

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~前書き~


※初めてお読みいただく方々へ※

本作品には関連作品として、主人公の幼少期スピンオフ小説もございます。
【進撃の巨人~Another Choice~】(https://syosetu.org/novel/368820/

幼少期スピンオフにも伏線や原作オマージュが含まれておりますので、そちらも併せて目を通していただくとより楽しめるかと思います。


↓それでは、本編へどうぞ↓



主人公カイル 立志編
#01 プロローグ


 

 

『調査兵団』

 

それは人類の英知の結晶にして、最後の“希望”である。

 

 

屈強な精神力と強靭な肉体を兼ね備えた彼らは、様々な苦難や死闘を乗り越え、やがては強大な敵である“世界”に抗った唯一無二の存在となる。

 

彼らの躍進により、歴史の過ちを悔い改めた人類は、()()()()()へと足を踏み入れるのだ。

 

そんな調査兵団の一員として、数々の試練を共に乗り越えた者がいる。

 

 

 

これは、彼らと共に歴史を作り変えた、『もう一人』の物語__

 

 

 

 

 

 

=====

 

 

今から約100年前。

 

人間を捕食する“巨人”の出現により、人類は絶滅の危機に見舞われた。

 

天敵からその身を守るため、生き延びた人類は3重もの『巨大な壁』を築き上げる。

 

その壁は外側から順に、

 

ウォール・マリア

ウォール・ローゼ

ウォール・シーナ

 

と呼ばれ、中心に佇む王都を取り囲むようにして円形に建っている。

 

壁の高さは50メートルにも達し、頑丈な造りと十分な厚みによって強固な守りを実現しているのだ。

 

故に、この100年間、巨人が壁内に侵入した例はない__()()()()()

 

 

 

『ウォール・マリアは陥落した!!急げっ……巨人がすぐそこまで来てる!!』

 

『巨人が壁を破壊しただと!?……俺たち人類は、もう……終わりだ…!』

 

 

 

そう、人類は再び絶滅の危機を迎えることになるのだ。

 

 

 

だが、それはまだ__()()()()()のお話。

 

 

=====

 

 

 

 

 

 

***

 

 

___838年。

 

 

そこは、ウォール・シーナ西区【ガルド街】の外れに位置する。

 

小高い丘の上にポツンと佇む牧場の中で、“事件”は起きた。

 

 

ゴォォォォォ…!ゴォォォォォ…!

 

 

『急げ!!こっちにもっと水を回せ!!』

 

『ここはもうダメだ!……崩れる!!』

 

 

燃え盛る炎の轟音が必死の叫びをかき消していく。

 

山から吹き下りた風が容赦なく炎を煽り、木材や血肉の焼ける匂いを運ぶ。

 

やがて、辺り一面が火の海に飲み込まれ、牛舎や家屋は次々と倒壊していった。

 

炎の勢いは留まることを知らず、その場に居合わせた住民たちは成す術を失った。

 

しかし…

 

 

ザァーーー…

 

 

突然降り出した雨によって、炎はようやく息を途絶えたのだった。

 

 

 

焼け跡から見つかったのは、馬や牛たちの亡骸と__()()()()()()

 

 

「許さない……俺は、絶対に君を許さない!……復讐してやる!!」

 

 

その日、少年は思い出した。

 

 

__ヤツらに虐げられてきた不条理を。

 

__隷属の日々に囚われていた屈辱を。

 

 

 

 

 

 

***

 

 

___翌朝。

 

 

ベチャッ……ベチャッ…

 

 

銀バエが飛び交う中、雨でふやけた馬糞を体中に塗りたくっている者がいた。

 

昨晩の火事で焼失した『シャルマン牧場』の()()()()、“カイル・シャルマン”だ。

 

カイルは何の躊躇もなく馬糞をグチャっと掴むと、端正な顔にそれを押し当てる。

 

 

ベチャッ……ベチャッ…

 

 

昔、とある老人がこう言った。

 

 

 ー“『いつか君の才に気づき、目指すべき進路を示してくれる者が現れるじゃろう』”ー

 

 

ベチャッ……ベチャッ…

 

 

 ー“『その時までの辛抱じゃ』”ー

 

 

「ジェイクさん……俺は、貴方みたいにはなれない」

 

 

そう嘆きながら、憎悪が張り付いた顔で憂いを吐く。

 

 

「俺は……()()

 

ベチャッ…

 

 

カイルは最後のひと掴みを左胸に擦りつけると、遠くの空に目をやった。

 

 

「ネフェル、みんな……見ていてくれ」

 

 

そう言って、一歩、また一歩と踏み出す。

 

奈落の底を辿るその足取りからは、迷いや躊躇いが一切感じられない。

 

街の中央を睨みつけるその瞳は、微かに__それでいて、力強い“信念”を纏っていた。

 

 

 

この時、カイルはまだ気づいていない。

 

 

 

『復讐』を果たさんと向かうその先に、

 

まばゆい希望(ヒカリ)が待ち受けていることを__

 

 

 

 

 

===== 850年 =====

 

 

審議所の地下牢にその少年はいた。

 

 

(この子が巨人化の力を有するエレン・イェーガー……外見だけで見ると、ごく()()()少年だ…)

 

 

カイルはエレンの瞳の奥底に垣間見えた“狂気”に慄きつつも、数日後に開かれた兵法会議に臨んだ。

 

エルヴィンの策が講じ、エレンを調査兵団へ引き入れることに安堵した矢先に、奇妙な出来事は起こった。

 

 

バチッ…!

 

 

弁論場の拘束から解放されたエレンの体を支えた瞬間、二人の指の先から()()()()()が瞬いた。

 

互いに目を丸くするカイルとエレン。

 

しかし、その時はただの思い過ごしだと、気に留めることはなかった。

 

あの“悪夢”を見るまでは__

 

 

 

 

 

***

 

 

___エレンを調査兵団へ迎え入れた日の晩。

 

 

「…うぅ………くっ……」

 

 

寝床についたカイルは、酷い“悪夢”にうなされていた。

 

小屋のような建物の中で、血まみれになった小太りの男の上に馬乗りの状態__右下に目をやると、小さなその手にはナイフが握られていた。

 

 

(こ…れは?……俺が、殺したのか!?……それにこの男、どこかで()()()が…)

 

 

ふと、人の気配に目を向けると、小屋の淵に放心状態で横たわっている少女が一人。

 

 

(誰だろう……面影がある。ついさっき見たような気が…)

 

ブンッ…

 

 

突然、場面が切り替わった。

 

胃が押し上げられるようなふわっとした浮遊感__まるで、だだっ広い空間に浮かんでいるような感覚だ。

 

その時、カイルの顔の横を何かが通り過ぎた。

 

 

(鳥!?……俺は、空にいるのか…?)

 

 

咄嗟に真下を見るも、蒸気のような(もや)で何も見えない。

 

微かに隙間から覗いた景色は、()()()()()()()()地面だった。

 

 

(これは、何だ?……俺が見たものじゃない……違う!!)

 

 

その光景に只ならぬ恐怖を感じた瞬間、ようやく目が覚める。

 

 

…ガバッ!

 

 

ベッドから飛び起きると、酷い頭痛に見舞われているのがわかった。

 

カイルはこめかみを押さえながら、息も絶え絶えにつぶやく。

 

 

「ハァ…ハァ……これは、一体…」

 

 

()()()()だ?

 

 

 

 

 

 

―【 続く 】―

 






〜後書き〜

『人生初の物書きに挑戦中』

初めまして!著者です(´-ω-`)


まずは本作品に目を通していただき、誠にありがとうございます!

この物語では、原作【進撃の巨人】における調査兵団の活躍(主にエルヴィン、リヴァイ、ハンジ)を主軸とし、事件の深堀や独自解釈によるオリジナルストーリーを描いております。

※ifストーリーではなく、あくまでサイドストーリーとなります。
※著者は小説に関して超大型級の素人のため、文章構成や語彙表現に至らない部分もありますので、ご了承ください。


また、プロローグの後半にある850年の出来事は、この先の話『#22 出会い④:エレン・イェーガー』のワンシーンをチラ見せしております。

エレンと接触したことから見た“夢”の景色__一体、カイル・シャルマンとは何者なのか?
そして、エレンの巨人の力やエルヴィンとの関係にどんな秘密が隠されているのか!?

是非、続きも楽しんでいただけますと幸いです(´-ω-`)


~おまけ~

◎カイルの声のイメージ:坂本真綾さん
著者は坂本真綾さんの声が大好きで、セリフも坂本さんの声で再生しながら考えています(笑)
大変おこがましい妄想ではありますが、声をイメージできた方が読みやすいかと思ったので共有させていただきました!

◎著者紹介
https://note.com/singeki_satory/n/nc0e46ed233d3
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