〜前書き〜
■タイトルについて
タイトル初期案は『狼煙』でしたが、原作の該当する回のタイトルを確認したところ、まさかの丸被りでした(笑)
そのため、同音同義語の別漢字『烽火』に変更しました。
■内容について
今回は原作第13巻の内容を踏襲しつつ、打倒王政へのつなぎ回となるよう話を要約しているため、説明口調が多くなっています。
ご了承くださいm(__)m
↓それでは、本編へどうぞ↓
___【トロスト区駐屯兵団本部】
とある一角の部屋にて。
そこには、ベッドに入ったまま上体を起こし、ピクシスの話を聞くエルヴィンの姿があった。
先の死闘で右腕を失ったエルヴィンは失血多量によって昏睡状態にあったが、何とか一命は取り留めた。
それから約一週間経過した今日、ようやく話ができる状態にまで回復を遂げたのだ。
髭は伸び、顔色こそ良くなかったが、エルヴィンはピクシスの話を真剣に聞いていた。
ベッドの横にはリヴァイが座り、ピクシスの後ろにはアンカが立っている。
コンコンコン…
扉のノック音の後に部屋に入ってきたのは、104期の新兵コニーを連れたハンジだ。
今回の襲撃事件における『巨人の発生源』の調査を担当していたハンジは、その調査結果から得た情報を順に説明すると、最終的にこう結論づける__
「今回出現した巨人の正体は、『ラガコ村の住民』である可能性が高いと思われます」
ハンジの意見を聞いたその場の者たちは、一様に目をひん剥いた。
「つまり、巨人の正体は
このエルヴィンの問いに対し、ハンジは「全ての巨人がそうである確証はない」と前置きをして話を続ける。
ハンジ曰く、巨人の正体が人間である“根拠”として挙げられるのが、コニーの出身地である『ラガコ村』の住民の行方だ。
ウォール・ローゼ南区に位置するラガコ村は、先の【壁内巨人発生事件】の際に壊滅しているが、村の残骸には不可解な点が残った。
村にある家屋の殆どが
住民たちは巨人が来る前に逃げたとも考えられたが、逃走用の馬は馬小屋に繋がれたままだった。
そして、極め付けには__壁内に出現した巨人の“個体数”とラガコ村の住民の“人数”が一致したのだという。
さらには、コニーの生家に横たわったまま身動きが取れずにいる巨人の存在が、その根拠に拍車を掛けた。
その巨人は頭の大きさに対して体や四肢の大きさが比例しない奇形の体型をしており、手足の細さ故に立って歩くどころか起き上がることすらままらない状態なのだ。
そして、ハンジの隣で家族の肖像画を握りしめていたコニー曰く、その巨人の顔に自分の母親の“面影”を感じたのだとか__
―“ 巨人の正体は人間である ”―
この仮説が正しいとした時、巨人の『弱点の謎』にも一歩近づくとハンジは考える。
エレンが巨人の体から出てくるときの状況も加味して考えると、巨人のうなじの中に人の大きさのままの“何 ”があるとすれば、縦1m横10cmに相当するのはおそらく__『脳から脊髄までの長さ』だ。
これまでに生け捕りした巨人のうなじからは人の部位のようなものは見つかっていないが、『体の大きさに個体差はあれども弱点は同じ』という性質は揺らがない。
巨人の肉体と同化して姿形が見えなくとも、そこには
そのような観点から逆算して煮詰めていくと、もはや巨人の正体は人であると結論付けても早合点ではないだろう。
そう捉えたリヴァイは、やるせない気持ちを吐露しながらベッドの方に顔を向けた__すると、エルヴィンは一点を見つめたまま奇妙に顔をニヤつかせていたのだ。
「お前、何を……笑ってやがる」
「あぁ……なんでもないさ」
「…気持ちの悪い奴め」
エルヴィンは皮肉な御託を並べてリヴァイの悪口を軽くあしらうと、ハンジにエレンとヒストリアの居場所を尋ねた。
どうやらその2人は、現在安全な場所に身を潜めてもらっているらしい。
_ヒストリアを辿れば、壁内で最も巨人の謎に詳しい組織を追及できる。
_エレンが巨人の力を十分に発揮できれば、ウォール・マリアを奪還できる。
この混沌とした壁内情勢において何よりも重要とされるその2人は、ほとぼりが冷めるまで世間から隠しておくことにしたのだ。
他にもコニーの報告から、
その『投石技術』はかなりの腕前で、知性のある巨人であることは間違いないと思われるが、気になるのはその“獣”のような外見だ。
だが、今回の事件は謎が多く、どの説も推論に過ぎず明確な根拠はない__それに加え、世間で混乱が続いている以上は、『巨人の正体の説』もまだ広める段階にはないだろう。
そこで、今はとにかく慎重を期し、水面下での情報収集に徹するのが吉という結論で話はまとまった。
***
___一通り話を終えたのち。
今後の方針を見据えたところで、エルヴィンが話題を切り替える。
「…ところで、ハンジ。カイルは
「あ、あぁ……体が鈍ったからと言って、今日は訓練場の方にいるよ」
「そうか…」
すると、ハンジの気まずそうな声色から何かを察したのか、ピクシスがゆっくりと腰を上げ始める。
「それでは、わしらはこの辺でお
「はい、司令」
ピクシスはアンカから上着を受け取ると、さらにコニーへ顔を向けた。
「スプリンガーと言ったか? お主も自分の持ち場に戻ってよい。ご苦労じゃった」
「…はい」
覇気のない声で返事をしたコニーは、重たい足取りで部屋を出て行く__それに続くようにして、ピクシスとアンカも扉へ向かう。
3人が部屋から去ると、ハンジはピクシスが座っていたソファへどかっと腰掛けた。
「はぁ……ほんとに大変だったんだよぉ!?
== 遡ること、数日前 ==
同じく、駐屯兵団本部の別の部屋にて。
「よかった、かなり食べられるようになったわね!一時はどうなるかと思ったわ……熱は全然下がらないし、意識もはっきりとしないし…」
「…心配かけてすまない、アンカ。君には助けられてばかりだ」
そう言ってベッドの上で食事を終えたカイルは、空になった器をアンカに渡す。
「いいのよ。私にしてあげられるのは、これくらいしかないから……あ、そうだ。あなたが話せるくらいまで回復したこと、ハンジさんにも伝えておいたわよ。そろそろここへ来る頃だと思うけど…」
「そう…」
ハンジを呼べば元気を取り戻すだろうと思っていたが、カイルの反応はアンカの予想に反して気力のない相槌のみだった。
暗い表情で目線を落とすカイルの姿に目頭が熱くなったアンカは、カイルの手をそっと握る。
「アデルのこと、本当に残念に思うわ。だけど、彼はきっと後悔していないはずよ。命を賭してあなたを守ったことを……だから、アデルのためにもあまり気を落とさないであげて」
「…あぁ、ありがとう。そうするよ」
カイルは少しだけ明るさを取り戻した声でお礼を言うと、アンカの手を握り返した。
コンコンコン…
「は…ハンジさんが来たわね!それじゃ、私はこれでっ…」
「あぁ、また…」
カイルが手を振ると、恥ずかしそうに手を振り返しながら部屋を出て行くアンカ__その入れ替わりで、ハンジとリヴァイの2人が部屋に入ってきた。
「失礼するよ。……カイル、具合どう?」
「おかげ様でだいぶ良くなりました。ですが……大事な時に役立たずですみません」
「無事にエレンを奪い返してきてくれた君がそれを言うのか? 役立たずなのは私らの方さ。ここで待つことしかできなかった……君にはたくさん苦労をかけたね、すまなかった」
「…いえ。エレンを奪い返せたのは、団長とアルミンの働きです。俺はただ、見てることしか……それに、
「あぁあぁ、君が落ち込む必要はないよ!そんなに体がボロボロになるまで戦ってくれた君を、一体誰が責めると言うんだ?」
「…違うんです。全部、俺の…せい…」
カイルは小声でそうつぶやくと、悔しそうにベッドのシーツを握りしめる。
「俺は判断を見誤りました。憲兵や駐屯兵だけじゃない……調査兵団の仲間もたくさん失いました。あの時、敵の意表を突くためにと、独断で巨人の群れへ飛び込んで行ったから……だから、団長を守れなかった……
それを聞いたリヴァイは耳をぴくっとさせると、眉間にシワを寄せながら口を開いた。
「…損失? カイル、お前は今まで何を学んできた?」
「え…?」
「いいか? これまでに調査兵団が失ってきた兵士はごまんといる。誰が特別かどうかなんてのは関係ねぇ。無慈悲にも死はいつか訪れる。それが現実だ。……俺はゴミ溜めのような地下街で育った。そこでの処世術は『やられる前にやれ』というのが通説だが、初めて信頼に足る仲間を失った時、それが必ずしも正しいわけではないと知ったんだ。何が正しいかは、その時々の状況によって変化する。当事者しか味わうことのない苦悩を、他人にとやかく言われる筋合いはねぇ」
途切れなく連ねられたリヴァイの見解は、どこか掴めそうで掴めない__そんな印象だった。
「…え、えっと…」
カイルが目をぱちくりさせながらリヴァイの顔を見つめていると、ハンジが補足するように付け加える。
「つまり、リヴァイが言ってることはこうだ……『一人一人ができることには限界がある。そこを嘆いたって仕方がない。失った兵士たちやエルヴィンの腕だって、君だけじゃなく私たちみんなの責任だ。だから、これからも手を取り合って一緒に頑張っていこう!』……ってリヴァイは言ってんだよね?」
「…あぁ、助かる…」
そう言ってリヴァイは少し不服そうにハンジから目を逸らした。
リヴァイなりに励ましの言葉をかけてくれていたのだと理解できたが、尚もカイルの顔は暗いままだ。
「兵長、ハンジさん……ありがとうございます。ですが、調査兵団として指揮系統に大きな打撃を受けたのは事実です。右腕を失った団長が、今後兵士として戦地に赴くことは…」
「奴の“右腕”なら、ここに
「!?」
リヴァイの予想の斜め上を行く切り返しに、カイルは思わず吹き出してしまう。
「…ははっ、やはり兵長には冗談でも叶いませんね」
すると、カイルの笑顔に安堵したのか、ハンジは手を叩きながら話題を切り替える。
「冗談はさておき、先のことは一旦置いておこう!今はとにかく回復に努めてくれ。ちょうど調査を進めている件があるんだけど、それはまた後日君にも共有するよ」
「わかりました」
「それと……ずっと意識が戻らなかったエルヴィンが、さっきようやく目を覚ましたんだ!まだ話ができる状態ではないけど、意思疎通はできる……カイル、一度エルヴィンの元へ顔を出したらどうだい?」
期待の眼差しで提案を試みたハンジだったが、カイルは目線を窓の方へ逸らすと、シーツを握る手にさらに力を込めながら答えた。
「いえ、
「そう…」
==============
ハンジはカイルとのやり取りを洗いざらい話すと、顔を曇らせながら両肘を膝につけた。
「…とまぁ、そんな具合に。カイルは今回の件について、かなり責任を感じているようだった。彼にプレッシャーをかけ、あそこまで追い込んだのは私たちだ……面目ない。今日もここへ来る前に声をかけてみたんだけど、まだ気を落としてるみたいなんだ。白状すると、カイルがここへ顔を出さないのは『君に合わせる顔がないから』だと言っていたよ…」
「…そうか」
「だから、エルヴィン……君の方から、彼に話をしてやってくれないか?」
「あぁ、そうするよ」
こうして、その日の夕方__エルヴィンは
***
___【トロスト区内門前:調査兵団所有墓地】
「ここにいたか、カイル…」
墓石の前に座り込んでいたカイルは、慣れ親しんだ声に勢いよく振り返った。
「エルヴィンさん!?……お身体はもう、良いのですか?」
「あぁ、まだ慣れないが歩ける……君も数日寝込んだと聞いた。具合はどうだ?」
「え、えぇ……この通りです」
「そうか、よかっ…」
「申し訳…ございませんでした…!」
カイルはエルヴィンの反応を聞き終えるよりも前に、勢いよく頭を下げてみせた。
エルヴィンは少し驚きつつも、冷静に問い詰める。
「…何を謝ることがある?」
「先の奪還作戦でのことです。俺は平然と兵役違反を犯しました。ハンジさんにもその事実を伝え、処罰を申し入れたのですが……受け入れてもらえませんでした。俺は、どうすればっ…」
「カイル、顔を上げろ…」
言われた通りにゆっくり顔を上げると、真剣な顔つきのエルヴィンと目が合った。
「まず、エレンを取り返せたのは、君の補佐があってこそだった。その後の君の判断は、兵士として褒められたものではないかもしれないが……逆に言えば、君に
「ですが、今回は……
そう話すカイルの目線は、風になびくエルヴィンの右袖に向けられていた。
悔しそうに眉をひそめるカイルを目の前に、エルヴィンは左手を右肩に添えながら話を続ける。
「これは必要な“代償”だと心得ている。これまでに私が巨人に食わせた人数を思うと、片腕では到底足りないだろうが……いつか行く地獄でそのツケを払わなくてはな」
「そんなことはっ……いえ、その時は俺もお供します」
「ふっ、気持ちだけ受け取っておくよ………それから、カイル。一つ聞きたい」
「…何でしょう?」
「奪還作戦での混戦時、君は私を庇いに来てくれたが……その時のこと、覚えているか?」
すると、カイルは少し気まずそうに目線を斜め下に流す。
「…そ、それが……
「いや、それはない……
エルヴィンは何故かその先の言葉を飲み込み、黙ったまま墓石の前にしゃがみ込んだ。
そして、カイルが手向けた花の手前に一輪の花をそっと置くと、沈みゆく夕日を切なげな顔で眺めた。
「…カイル。少し、歩こうか」
**
トロスト区までの帰路で、エルヴィンはカイルに“昔話”を聞かせた。
それは、エルヴィンがまだ幼い頃の話__父親は学校で歴史を教える教師で、母親は酒場で踊り子の仕事をしていたそうだ。
両親が
エルヴィンが己について語るのは非常に珍しく、カイルは聞いてはいけない話を耳にしているような背徳感を感じていた。
そんな風に少し落ち着かない様子でいると、エルヴィンが昔話を聞かせた
「突然、すまない……実は、先日の奪還作戦で落馬した際、走馬灯のようなものを見たんだ。脳裏に浮かんだのは、これまでに死んでいった仲間たちや両親の顔。そして、巨人に捕まれそうになった瞬間……君が光の如く目の前に現れた。その時、私は思った……人類にとっての『
「エルヴィン…さん…」
「…
「!?」
どこか聞き覚えのあるその言葉に一瞬目を見開いたカイルだったが、すぐに満面の笑みを浮かべてみせる。
「いいえ、ちっとも…!」
その答えに、エルヴィンも顔を綻ばせた__それからいつもの真剣な表情に戻ると、カイルの“意志”を確認する。
「君に頼みたいことがある。……まだ、戦えそうか?」
「はい、もちろんです!」
「ふっ、頼もしい顔だ。早速だが、君には~~~~……」
そうして、エルヴィンはカイルへとある『調査』を託したのだった。
***
___数日後。
ウォール・ローゼ内の山奥に潜む、古びた小屋にて。
その小屋の食堂にはリヴァイを筆頭に、エレン、アルミン、ミカサ、ジャン、コニー、サシャ、そしてヒストリアといった104期の新兵が顔を揃えていた。
この8名が『新生リヴァイ班』であり、エレンが死に物狂いになれる環境を整えるためにと、リヴァイが編成したものだ。
さらに、食卓の横のソファには、ハンジ班の兵員たちが神妙な面持ちで腰掛けている。
一同が揃うと、リヴァイが状況の整理と今後の方針について話を始めた。
壁内に巨人が出現した今回の事件では、その発生源や岩を投げる獣の巨人など多くの謎が残されたが、調査兵団の目的は依然として『ウォール・マリアの穴を塞ぐこと』にある。
そこでリヴァイは、以前アルミンが提唱していた案について、もう一度皆へ聞かせるよう促した。
「…はい。『巨人化したエレンの能力で穴を塞ぐ』といった案です。ハンジさんの調べによると、女型の巨人の硬質化した皮膚と壁の素材は構成要素が一致していたそうなので、壁は……どうやら
アルミンの主張は、エレンが硬質化の能力を発動できるのであれば、従来の作戦のように資材を地道に運び続ける手間が省けると言うのだ。
さらに、巨人の活動しない夜に馬だけで駆けることが出来れば、トロスト区からシガンシナ区までは一晩で辿り着くことも可能__現時点では雲を掴むような理想論ではあるが、この可能性を試さない手はない。
そこで、エレンの『硬質化の能力』を引き出すため、実験の場を見繕うようハンジを指名した。
しかし、何故かハンジはノリ気ではない様子__それどころか、エレンにはしばらく身を潜めておいてほしいと言うのだ。
逃げ腰のハンジに対し、リヴァイがその理由を尋ねると__
「ニック司祭が死んだ……死因はわからないけど、殺されたんだ!」
それは、今朝のこと。
調査兵団に助力したことでウォール教に狙われる可能性を危惧し、トロスト区の兵舎で匿っていたニックが、遺体となって発見されたのだ。
現場へ駆けつけたハンジが一瞬だけ目にしたニックの遺体は、顔が何度も殴られたようにひしゃげていて、指の爪はほとんど剥がされていた。
そう、遺体には明らかに
殺害現場を監視していたのは、中央第一憲兵団のジェル・サネス__本来であれば、王政府に直属で仕える中央憲兵が壁の最南端の事件に関与することなどあり得ない。
さらに、決定的な疑念となったのは、サネスの拳の皮が
これらが意図するところは、中央の“何か”がエレンを手中に入れようと必死になっているのだと察しがつく。
壁の中が不安定なこの時期に兵団が二分しかねない手段に出るとは、もはやその切迫度は
だが、リヴァイは尚もハンジの主張に難色を示す。
「それで? 俺たちは大人しくお茶会でもやってろって言い出す気か?」
「室内でできることはまだ色々あるよ。編み物とか……今だけ頼むよ」
「『今だけ』だと?……それは違う、
そう言ってリヴァイは剥がされた爪の枚数を確認すると、ニックが口を割っていない可能性を主張した。
だとすれば、中央の“何か”は調査兵団がレイス家を注視してることまで警戒していないかもしれない__そう見立てたリヴァイは、今後の方針を2つに絞る。
「…まぁ、俺に言わせりゃ今後の方針は二つだ。背後から刺される前に外に行くか、背後から刺す奴を駆除して外へ行くか……お前はどっちだ、ハンジ?」
ハンジはニックの顔を思い浮かべたのち、意を決した表情で答える。
「両方だ。どっちも同時に進めよう…!」
***
___同時刻。
ウォール・ローゼ北区のとある牧場にて。
ヒヒィーーーーィィン!
「どうどう!どうどう!……ダメだ、ちっとも言うことを聞きやしない!あぁぁ、まったく…どうすればっ…」
そこには、暴れ馬を落ち着かせようと必死に手綱を引く中年の男がいた。
すると、その男の背後からそっと手を差し伸べるようにして、爽やかな青年がその場に現れる。
「馬を落ち着かせる時は手綱を強く引きすぎず、馬の横から首元を軽く叩くのが効果的です。後は、落ち着いた声でゆっくりと声をかけてあげると…」
青年はそう助言しながら、慣れた手つきであっという間に馬を落ち着かせてしまった。
農作業服を身に纏った青年の後ろには、ベッツとルドルフ
牧場の男は「お見事!」と言わんばかりに、盛大な拍手を送りながら礼を言う。
「いやぁ〜、助かったよ!見かけない顔だが、もしかして君が…」
「申し遅れました。本日からこちらの牧場でお世話になる、
そう、その青年は麦わら帽子を被った“カイル”なのであった。
―【 続く 】ー
〜後書き〜
『原作第53話:狼煙……ギャグ線高すぎませんか!?』
…どうも、著者です(´-ω-`)
ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
原作第53話は、ハンジが飛ばし気味にちょけてる感じが堪らなく面白くて…
スケッチとエレンの顔を見比べるときの表情とか、リヴァイがエレンに力説してるときの真顔とか、シュールすぎてニヤニヤ笑いながら読んでいました(笑)
今回は、リヴァイの力説について、対象をエレンではなくカイルにすることでオマージュしています。
また、エルヴィンの昔話の内容はオリジナルとなります!(そのうちスピンオフ作品で詳細が明らかになるはず)
◼︎次回予告:『#32 打倒王政①:手掛かり』
レイス卿領地へと潜入したカイルたちは、そこで『レイス一家襲撃事件』の全容を知る。
一方で、サネスを拷問するリヴァイたちや、ピクシスと密談をするエルヴィン。
打倒王政に向けて、それぞれが“手掛かり”を掴んでいくも_!?