とある元エリートの悩み

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私は歩く

なぜ、私はここまで落ちぶれたのだろうか

なぜ、このような状況になっているのだろうか

 

大学を首席で卒業して、将来を期待されながら世間一般でいう大企業に就職した。

初めの頃はミスをしても新人だからと許してくれた。

3年が経つと首席で卒業したというのは嘘なのではないかと噂され、そこからさらに2年が経つと庇ってくれる人もいなくなった。

さらに2年が経つと上司からは「勉強はできても仕事ができないのであれば我が社には必要ない。他の会社に進む前に少し自分について考えてみるといい」と言われた。

 

地域の人からも期待され、エリートだったはずのあの頃の私はどこにいるのだろうか。

失業保険で食いつなぎながら過去を思い出していると。社会人になる前の自分が輝かしく、直視できない。

下を向いていても過去の自分から溢れる光が今の自分を苦しめる。

 

過去の自分を知っている地域の人からは「昔はすごかったのに」「あの人にあこがれていたのに」と、聞きたくないのに周りから聞こえてくる。その一つ一つの声が、さらに今の自分と昔の自分との差を感じさせ、苦しめる。

 

今の落ちぶれた私を昔の私が見たら何と思うのだろうか。何があったのか心配するのだろうか。それとも、このようにならないために努力しようとするのだろうか。どちらにせよ、何があったのかは聞いてくるだろう。

今は落ちぶれてしまっているが、私は私だ。過去も今もただそのことは変わらないのだ。私のことは私が一番分かっている。

 

実家に帰って来いという連絡が来た。私が会社を辞めたことを何処かで聞いたのだろうか。

家族に合わす顔がない今の私が実家に帰っても、両親に迷惑をかけるだけではないのか。そう思いながら横になると、「もう11年も帰ってないのだからいい加減戻ってこい」と、さらに連絡をしてきた。

11年、思い返せば大学に進学してからは何かと理由をつけて実家には帰っていなかった気がする。

親に迷惑をかけるかもしれないけれど、久しぶりに顔を合わせるべきなのか。

悩みながらその日は終わった。

 

失業し、時間がある。さらに今、過去と今の差に悩んでいる。このような時には誰かに話を聞いてもらうべきなのか。結局、ちょうど連絡も来ていたこともあり実家に帰ることに決めた。荷物をまとめ、両親に帰ることを伝えた。両親はただ一言、「そうか」とだけ私に残した。

 

悩みを解決させるため、両親に会いに行くため、私は実家に帰る。家の扉を開け、荷物を持って私は歩き出す。私は歩く、歩き続けるのだ。

 

 


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