交わる探求の道   作:美食研究会の財布


原作:ブルーアーカイブ
タグ:柚鳥ナツ 黒舘ハルナ
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交わる探求の道

 

雲一つない晴れ渡る空

 

「うーん……」

 

しかし浮かない顔の少女が一人

 

「どうしたものか……」

 

少女、柚鳥ナツはトリニティ領をあてもなくさまよっていた。

普段なら彼女の周囲には他の生徒が三人ほど居るはずだが、今はその姿は無い。

 

「む?」

「あら?」

 

そんな迷える少女の前に、一筋の光明·····というにはあまりにも似合わない羽根と尻尾をもつ者が現れた。

黒舘ハルナ。究極の美食を追い求めるあまり、少し暴走することもある純粋な少女である。

 

「あなたは確か……ナツさん、でしたか。丁度良かったですわ、少しお時間頂けますか?」

「え?まぁ……いいけど」

 

ゲヘナ生が何故トリニティにとか、丁度良かったとは、とか聞きたいことはあったが、ナツはそれらを飲み込み黙って着いて行くことにした。

それが正しいという直感があったのである

 

─────────────────────

 

幾許か歩いた後、二人の足が止まった。

到着したのはトリニティ市街地から少し外れた路地に最近出来たカフェであり、部内でもいつか訪れようと計画していた店だった。

ナツは一人だけ先取りすることを躊躇いもしたが、今更「やっぱりやめとく」などと言える訳も無くハルナの後を追って入店した。

席に通され注文を終えた後、口火を切ったのはハルナだった。

 

「ナツさん、着いてきて下さりありがとうございます。お誘いした身ではありますが断られると思っておりましたから」

「それは私がトリニティ生で君がゲヘナ生だから?」

「まあそうなりますわね」

「私は食に国境は無く、スイーツもまた然りだと考えているからね。会長さんは食において信頼できると思ったから着いてきた。それだけだよ」

「会長さん、ではなくハルナとお呼びくださいな。共に先生に呼ばれて珍妙な怪獣を退治した仲ではありませんか」

「あぁ……あれはなんだったんだろうね」

 

そんな話をしているうちに注文の品が運ばれてくる。

ナツはティラミス、ハルナはチーズケーキを注文していた。

 

「ところで、ハルナはスイーツも好きなの?」

「スイーツ、というよりは料理全般ですわね。ですがこってりした料理が最も好きだと伝えておきますわ!」

「うーん、そっちは専門外だなぁ……」

 

そう言いながらティラミスにフォークを突き立てる、するとカチン、と耳を疑う音が鳴りナツは天を仰いだ。

 

「解凍くらいちゃんとしておいてほしいなあ……そっちはどう?」

「ふふふ……素晴らしいですわ、新店だというのに覚えのある味が出てくるとは思いませんでした」

 

ベクトルは違えど被害者という立場に変わりない様だった。

ナツはどう励ましたものかと思案するが、彼女はこのような状況で美食研究会がどのような行いをするのか失念してしまっていた。

 

「対話する価値もありませんわね……ナツさん、走る準備をしておいてください」

「え、それってどういう───」

 

ハルナは懐からボタンを取り出すと、ナツの言葉を待たずにそれを押す。

瞬間、世界が白く染まった。

 

─────────────────────

 

阿鼻叫喚の地獄絵図と化した店を後にした二人は全速力で逃げた。

逃げ慣れているハルナとは対象的にナツは息も絶え絶えといった様子でハルナを睨みつけていた。

 

「はぁ、はぁ……いきなり爆破するのはルールで禁止だよね?」

「あら、キヴォトスはルール無用ですわ」

 

「そんな訳ないでしょう」

 

聞こえるはずのない三人目の声に動きが止まる。

ナツが恐る恐る背後を見ると、自分より小柄で、しかし何よりも迫力のある毛量と得物を備えた少女が立っていた。

 

「あらヒナさん、ごきげんよう」

「生憎、ごきげんじゃないわね。誰かさんが散々逃げ回った挙句トリニティの生徒まで巻き込んでいるのだから」

「風紀委員長がいるということは……もしかしてハルナ、さっきの二軒目?」

「そういうこともありますわね」

「無いわよ。まったく……」

 

呆気にとられるナツを他所に大人しく連行されるハルナ。

その背中に言葉をかける間もなく二人は去ってしまった。

またしても一人になったナツだったが、その足取りは軽かった。

 

「いや、でも爆破は勘弁して欲しいかな……」

 

探求の道はまだまだ続く

 

─────────────────────

 

ゲヘナ学園地下牢にて

 

「やっと着いた……」

「おや、どうも風紀委員長。ようやく美食研究会が揃いましたね」

 

牢屋にハルナを放り込んだヒナは、先客に向き直った。

 

「イロハ?なんであなたがここに……そこに先生が転がっているのと関係が?」

″誤解なんだよ、万魔殿をパンティって略していたのがバレただけで″

「……という訳で、二日くらい入ってもらおうと思いましてね。まぁ仕事は当番の生徒に任せればいいでしょう」

 

その言葉に納得しかけたヒナだったが、牢屋の中から続く言葉に頭痛を覚える。

 

「ちなみに明日の当番は私ですね☆」

「明後日は私ね」

「……先生、またシャーレを乗っ取られたくなかったら問題児ばかり呼ぶのをやめた方がいいと思う」

″そう思うならここから出してくれてもいいんだよ?″

「他の仕事があるから失礼するわ」

「じゃあ私もこれで〜。風紀委員長、一緒に昼寝でもどうです?」

「仕事が片付いたら構ってあげる」

「それ、何時になるんですか……」

 

後日、シャーレの業務をなんとかこなしたヒナはハルナの友人を自称するトリニティ生からの連絡に頭を抱える事になるのだが、それはまた別の話……

 

 

 


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