「ドーモ、デーモンスレイヤーです。」


気が付いたら魔族なる種族に転生していた男。
初めは恵まれた身体能力と魔力を鍛えるだけだったが、生まれてくる同族がどいつもこいつも人類の敵であることを知り、人類と友諠を結ぶためには脅威となる魔族達を全滅させなくてはならないのでは?と気づいてしまう。

そう思いながらも終ぞ行動に移すことはなかった。だがある日、彼は燃え盛る炎の中で決意した。


「魔族死すべし、慈悲はない。」


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人を殺す魔法があるなら魔族を殺す魔法があってもいいよなぁ。
→魔族を殺す魔族… ニンジャスレイヤー=サンでは? という思い付きから生まれた本作。

フリーレンはニワカなので描写は微妙かも知れません。何か矛盾点があれば教えてください。
続きはネタはあるけど未定です。希望があれば書きます。


一話 フー・リープス・ワット

春の陽気に包まれた山村は、いつもと変わらぬ穏やかな一日を過ごしていた。子供たちは広場で追いかけっこに興じ、農夫たちは田畑を耕し、主婦たちは軒先で洗濯物を干していた。誰もが今日もそんな日常を信じて疑っていなかった。

 

村はずれの小道に、一人の旅人が現れた。しかし、纏う空気が明らかに人間とは異なっていた。その目に宿る感情の欠片もない眼差しが、それを物語っていた。

魔族だった。

 

「止まれ! …あんた、旅のもんかい」

フードを目深に被った旅人に話しかけたのは、壮健な男だ。彼は村の金物職人で、村唯一の戦士でもあった。

 

「ああ、これは僥倖。どうか食事を恵んでいただきたいのです。」

「いいぞ。だが、その前にあんたの素性を教えて欲しい。」

 

すると旅人はゆっくりとフードを脱ぎ、答えた。

「私、こういうものでして」

「美味しそうな食事を用意していただいて、あなた方には感謝していますよ」

その旅人には角があった。エルフのような姿だが、この角こそ魔族の証拠だ。

 

魔族は村を見渡して不敵な笑みを浮かべた。その表情にはまるで食事を前にした時のような歓喜が浮かんでいた。

「逃げろ!」

男の叫び声が響き渡る。パニックに陥った村人たちが四散する中、魔族は優雅に腕を上げ、村人の一人を指差した。

 

「さて、収穫の時間です。 生物を実らせる魔法(ルティオハース)

指差された村人の体内からはたちまち植物が生え、絶望の表情のまま草木と一体化する。

「ドルフ!! 貴様っ!」

無視された男が腰の短剣を振るおうとした瞬間、魔族はそれを膂力だけで抑え込み、嗜虐的な笑みを浮かべた。

 

「人というものは素晴らしい。恐怖は最高の調味料、馬鹿な獣風情ではこうはいかない。」

「どうです?私の調理は。あなたには特等席で眺めることを許しましょう。」

 

クソ魔族が、死んでしまえ。

男は心の中でそう呪うしかなかった。

 

おお、しかし、見よ!女神は彼らを見放してはいなかった。どこからともなく飛来した十字ナイフ(スリケン)が魔族の両腕を破壊したのだ!

「グワーッ、何者!」

 

「オヌシの言う通りだ、馬鹿な獣風情を痛めつけたところで何の感慨もない。」

「ドーモ、デーモンスレイヤーです」

おお見よ!「魔」「殺」と刻まれた恐ろしいメンポを! 赤黒の殺戮者のエントリーだ!

 

「デーモンスレイヤーだと! 実在したのか…裏切り者め!」

「何を当たり前のことを。裏切りが魔族の習性ではなかったのか?」

 

「異常者が、この私に楯突いたことを後悔しなさい! 生物を(ルテ)

「イヤーッ!」

「グワーッ!」

デーモンスレイヤーのチョップが魔族の両指を破壊!

「イヤーッ!」

「グワーッ!」

デーモンスレイヤーのソバットが魔族の脊椎を破壊!

「イヤーッ!」

「アバーッ!」

デーモンスレイヤーのパイルドライバーが魔族の頭部を破壊!

 

「さて、オヌシが生き残る方法はただひとつ。そこの村人にかけた魔法を解くがいい。」

ニンジャスレイヤーは魔族の首を掴み上げ脅迫した。コワイ!

 

「わ、わかった…まだ間に合うと思う。解除したら助けてくれ、頼むよ。」

「さっさとするがいい、私の手元が狂わんうちにな」

 

魔族は指を再生させると、哀れな村人…ではなく、他の村人達に魔法を発動した。

「ほう、何のつもりだ?」

即座にデーモンスレイヤーは魔族の腕ごと破壊する。

「グワーッ! …こいつらを戻してほしくば、私を逃がせ。そうすれば解除してやる。」

「斬新な命乞いだな。どうやら長く苦しみたいと見える。」

「フ…放置すれば私の魔法は感染するぞ。早く私を逃がせ。」

 

大きく溜息をついたデーモンスレイヤーは、何の感情も感じさせない目で呟いた。

魔法を殺す魔法(キルジュジツ)

途端にセンコめいた炎がデーモンスレイヤーの左目に灯る。

「では、オヌシの処刑を始めようか…」

 

「な、これは、私の魔法が発動しないだと!?」

「魔法を失っただけでこの体たらく。魔法にしか興味を向けてこなかった魔族の弱さ、その愚かさを証明している。

オヌシの一生をかけた魔法は何一つその力を活かせぬまま、オヌシとともに滅ぶ。そしてそれこそ全ての魔族が辿る運命だ。オヌシらを一人の例外なくカラテ・スクラップにしてくれる」

 

「分かった!解除する!解除するから、もう一度チャンスを…」

「聞くに堪えんな。イヤーッ!」

ゴウランガ!デーモンスレイヤーのカラテ・チョップが魔族の首を切断し、続く踵落としにより魔族は爆発四散!

 

「全魔族死すべし」

 

 

魔族を始末したデーモンスレイヤーは周囲の村人たちに目を向ける。

すでに変えられてしまったものは元に戻らなかったようだ。デーモンスレイヤーはそのことに落胆を覚え、そして己の判断を後悔した。

 

「な、なあそこのお方…」

「災難だったな。そして、村人たちについては、すまなかった。」

「いや、助けようとしてくれただけで十分だ。あいつらも仇を討ってもらえて喜んでるだろうさ…」

 

「これを」

デーモンスレイヤーはクロスカタナが描かれた布を取り出した。

「商人にこれを見せれば、多少だが物資を融通してくれる。」

「何から何まで助かる、赤黒の人。この御恩は忘れない。どうか名前を教えてくれないか」

「貴方の感じるような恩などない。ただのデーモンスレイヤーだ。 …お達者で」

 

 

 

 

 

それから長い年月が経った後。

 

「またデーモンスレイヤー像ですか」

「ちょっと前までこの辺りでデーモンスレイヤーがよく出没したんだってさ」

年若い女子…片方はエルフなのだが、2人の旅人がクルシュの街に訪れていた。

 

「おや、お二人はデーモンスレイヤーのファンですかな?」

「いえ、最近よく見るので気になりまして」

「この街にも魔族が出たのかな」

妙にガタイのいい怪しい頭巾男が二人に話しかけてきた。

 

「その通りです!ひいじいさんの代に、かつては小さな村だったクルシュに魔族が現れましてな。それを退治してくださったのがデーモンスレイヤー様なのです。」

「大昔ではないですか、フリーレン様」

「う~ん、私達の時間感覚だとまだこの辺にいるんじゃないかな」

「はは、さすがに会えませんよ。デーモンスレイヤー様は魔族を狩るお方ですから、十年もあれば国のひとつやふたつは越えますぞ。」

「まあ、そんなものか。ありがとう。」

「またデーモンスレイヤーについて聞きたいことがあればいつでもここに来ると良いですぞ!」

赤黒の装束姿で筋肉を誇示するようにポージングする変人を尻目に、フリーレン達は今日の宿を探しに行った。

 

 

その後、宿を見つけた二人は今日の出来事について語り合う。

「なんというか、凄い方でしたね」

「知らないとはいえ、魔族が信仰されるのは複雑な気分なんだけどね」

「フリーレン様は何度かデーモンスレイヤーに遭遇しているんですよね?」

「うん。放置してれば勝手に魔族を殺してくれるからお互い不干渉だけどね」

「では、デーモンスレイヤーがなぜ魔族同士で殺し合うのかご存知ですか?」

「人間と相容れない害獣だから駆除するみたいなこと言ってたけど、どこまで本当かは怪しいよ」

「一度会ってみたい気もしますね」

「まあ、悪いようにはならないと思うけど。おすすめしないよ」

「なぜですか?」

「あいつ、魔族のいるところにしか出てこないから確実に巻き込まれるし、しかも相手を毎度爆散させるからね」

「…やっぱりやめておきます」

 

今後行く先々で大魔族と戦うことになる一行が、彼と鉢合わせないなどという事がありえるのであろうか。

 




魔族はニンジャではないのでアイサツはしないしサヨナラ爆発四散もしません。
でもプライドは高いのでアンブッシュ(奇襲)したりアイサツを返さなかったりとかはあまりしないんじゃないかな。

今回殺された魔族の生物を実らせる魔法は不意打ちで使えばかなり強力です。相手の体内から攻撃できるので当然ですね。ですが精神がサンシタだったので修行が足りず、指を向けないといけないし発動速度も微妙でした。
この魔法をかけられた対象は抵抗しないと十分程度で完全に植物と化し、一時間待つと肉体の各部位の複製を結実する大変気持ち悪い魔法です。味は元よりも良くなるとのこと。

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