午後05:35 西区中央部 中央パトロール西分署 6階刑事課オフィススペース
フィリーは刑務所で腐り果てるほうが良いと考えたエレオノール・シュバルスの残り財産を押収することにした
問題は7000億ミッドの資金の行き先である。それを追求しなければならない
奴がしゃべらないなら記録を追いかけるしかない。7000億ミッドもの金を見捨てるわけにはいかない
必ず回収しなければならない。
「どこに逃げたのか調べてみるしかない」
お金の流れは帳簿記録を調べればわかっている
銀行の記録を調べるのは普通なら難しい。裁判所の許可が必要である
だがHRは犯罪組織対策法に登録されているので令状なしですべての口座をチェックできる
こちらはフリーでアクセスできるそこで金の流れを追いかけた
かなり複雑に分散したり合わさったりしていたが最終的にはあるものに化けていた
「ミッドチルダ連邦国債になったわけね」
7000憶分の連邦国債を購入して記録はそこで終了していた
持ち主はヒューマット・アケレス。退役時空管理局員だ。以前はHRのメンバーだった
今は抜けている。表向きは。しかし犯罪組織対策法の監視対象リストには登録されているので調べることができた
「こいつを指名手配するとしましょう。それと国債を差し押さえて資金源を断つとしましょうか」
HRにとっても大きなダメージになるはずだ。
フィリーはすぐに検事局に連絡して連邦国債を差し押さえるように要請を出した
検事局はすぐに動くとのことだ。HRの資金源を断てるなら当然の判断だ
「検事局の動きに期待したいところだね」
----------------------------
東区東部セントラルクラナガン空港 セントラルカジノノース地区7番街2丁目 カジノ店舗内
薬莢の回収作業を終えると次は壁にめり込んだ弾の回収作業である
ここからは東分署の現場鑑識チームも来てくれるので少しはペースアップできるはずだ
「疲れる仕事ばかりだから嫌いなんだよね。乱射事案は」
「本当に疲れました」
サイノスの言葉にティアナも少し疲れた表情をしていた。証拠写真を撮るのも楽な仕事ではない。
ミスは許されないのだからしっかりと気合を入れて撮影しなければならない
「本番はこれからだよ。次は弾を回収するからね」
「まだあるんですか?」
ティアナはサイノスの言葉にもう疲れたという表情を浮かべていたが本番はこれからだ
壁にめり込んだ銃弾の回収が一番大変なのだ。数発なら楽だが、今回の場合は大量にある
いくら現場鑑識チームの応援があってもかなり大変な作業になることは間違いない
それでもやらなければならない仕事なのだから努力するしかない。それが捜査なのだから
「当然だよ。頑張るよ」
「了解です」
『ピーピーピー』
「サイノスだけど」
サイノスの携帯電話に着信が入ってきた。
相手は正体を明らかにしたくないのか非通知設定になっていた
『爆弾が設置されている。逃げるなら今すぐ逃げることだな』
そして通話が切れた。その電話を受けてすぐにサイノスは大声を出した
「全員避難!爆弾があるかもしれない!」
サイノスは持てるだけの証拠を持ってティアナの手を引っ張る形で避難していったが、
カジノ店を出る所で爆風に巻き込まれた。サイノスは意識を失った。
ティアナも同じである。現場は騒然としていた
『セントラルカジノ地区エリアにコードレッド発令。緊急事態宣言を発令する』
コードレッドが発令されてさらに緊急事態宣言が発令されると事態は最悪の方向に向かって話が進むことになる
----------------------------
中央パトロール本部庁舎 8階捜査部オペレーションルーム
シエルは爆発騒動を受けて急いでオペレーションルームに来ていた
「状況は?」
「今のところは何も情報は何もない。監視カメラの映像を展開する」
正面スクリーンに現場エリア周辺に設置されている街灯観測システムの監視カメラ映像を映し出していった
本当に今は状況が混乱している。爆弾騒動で現場周囲は大混乱である
まずは避難命令が出されている。セントラルカジノノース地区内から一斉避難命令が出されていた
民間人は速やかに退避することが求められている
これ以上の犠牲者を出さないためにも当然の措置である
「ギブリ、カリフ。無線傍受をして。爆弾関係のものだけを識別してね」
「「了解」」
ギブリとカリフはすぐに作業に入った。
同時に並行してサイノスとティアナのバッジから心音が確認できるかも調べていた
簡単に行ってしまえば生死の確認作業をしていたが2人とも心臓の鼓動は確認できていた
つまり生きていることは間違いないということである。
問題は状況がどうなっているかがわからないということだ
「ギブリ。サイノスとティアナは現時点を持って捜査から外して。付近に別に捜査官はいるの?」
「ちょっと待ってくれ」
ギブリは最寄りにいる捜査官を探した
「ジャスティがいる。どうする?」
「彼に現場指揮権をゆだねて行かせて」
ギブリはすぐに通信をすると言ってジャスティに話を通した
『サイノスは大丈夫なのか?』
「生きていることは大丈夫だが。通信には応答しない。とにかく現場に向かって指揮権を握ってくれ」
そこにシエルが通信に割り込んだ
「ジャスティ。シエルよ。多少無茶な行動をしてもこっちでフォローするから現場の安全確保を最優先で行って」
『できるだけ早くやってみる。現場到着は10分以内』
「5分で行って」
そう言うとシエルは通信から離れた。
「カリフ。サイノスの無線端末に呼びかけを継続して行って。救護班が出たらこっちに回して」
「了解した」
----------------------------
東区東部 セントラルクラナガン空港 第1駐車場 4階駐車スペース
ジャスティは無線指示に従って素早く現場に向かうことにした
今は急いで現場に向かうことが求められる。ここからでも爆音は聞こえている。
緊急事態であることはわかっている。それで現場は大混乱になっていることは容易に想像できる
接近するだけでもかなり苦労があるだろう
「とにかく向かうか」
ジャスティはワーニングライトとサイレンのスイッチを入れて緊急走行で向かった
無線では頻繁に交信が続いていた。現場は騒然としていることは明らかだ
『現場ではさらに爆弾があるかもしれない。至急避難せよ!』
『急げ。民間人の退去が最優先だ!』
「現場は戦場だな。久し振りに戒厳令下の状況下のような場所に行くわけか」
ジャスティは無線を聞きながらそんなことを考えていた
現場に接近すればするほど混沌とした状況になっていた現場から少し離れた位置に車を止める
万が一に備えての対応である。止めた位置には多くのパトロール捜査官がいるので警備には問題ない
爆弾事件が起きた場合は車は少し離れた位置に止めることが鉄則となっている
二次被害を防ぐためである。車爆弾にされたら困るからだ
「ジャスティ・フォレスター捜査官!シエル首席捜査官から話は聞いています」
1人のパトロール捜査官がそう声をかけてくると救急車まで案内してくれた
「サイノスは?」
「衝撃波で意識を失ったようですが今は起きています。話を聞きますか?」
「当然だな」
ではこちらにと案内されたところに止まっていた救急車にはサイノスが腰かけていた
「サイノス。最悪の結果だな」
ティアナはストレッチャーの上で眠っていた
幸いなことに擦り傷を負っただけで済んだ。大きなけがは負っていない
「まったくだよ。でもこれは仕組まれた事件だよ」
「どういうことだ?」
サイノスとはジャスティに爆発直前の時の状況を説明した
それを聞いたジャスティはかなり表情を曇らせた。状況がかなり危険であることを示しているからだ
これ以上被害を拡大することは抑制したい
「爆発の少し前に予告電話があった。僕の携帯電話にね。つまり番号を知っていた」
わざわざ予告してから爆弾を爆発したのだから狙いは間違いなくサイノスかティアナである可能性は高い
問題は動機である。捜査官をしていたらいろいろな犯罪者から恨みを買っている
絞り込むのは簡単な作業ではない
「最悪だな。捜査部に挑戦状をたたきつけた人間がいるわけか」
「あるいは僕に個人的な恨みを持つ者がいるのかもしれない。今はまだわからないけど」
「だが仲間がやられたらこっちも本気を出さないとな。こちらに攻撃をすればどんな目に合うか理解させないと」
なめられていたらクラナガン捜査局の看板に泥を塗るようなことだとジャスティは言った
携帯電話の履歴を確認する。非通知でも発信源の自動探知システムが組み込まれているから番号はわかるはずだと
クラナガン捜査局員が持っている電話機には自動的に逆探知をするシステムが組み込まれている
非通知設定で電話をかけてもすぐに逆探知できる
ジャスティはサイノスから携帯電話を預かると携帯情報端末と有線で接続した
そして番号を逆探知した。発信者は意外な人物であった
「発信者の携帯端末の持ち主はサボルーク・ガラード。25歳。現役時空管理局員。時空管理局本部事務部に在籍」
名前に聞き覚えはあるかとサイノスに確認したが何もないと彼は回答した
いったい爆弾予告の意味は何なのか。とりあえず取り調べのために身柄を拘束することにした
無線で中央本部に連絡。爆弾魔としてとりあえず引っ張ってくるように求めた
----------------------------
北区南部 ノースクラナガン堰 駐車場
エディは車に乗り込むと車載情報端末を操作して監視カメラの絵増を確認していた
個々の駐車場を利用するのは釣りをする人ぐらいだ
堰でせき止められた湖には多くの魚類が存在する。釣りのスポットとして有名で休日は多くの釣り人が来る
ボートのレンタル事業をしている者もいるが今日は平日だ。釣りをする人間は少ない
さらに時間もかなり遅い。もう釣りをする時間は終わっている。夜釣りをするなら話は別だが
「この周辺に不審車両が止まっていた記録があれば良いけど」
エディは慎重に絞り込んだ。
爆弾などの不審物が設置されているかもしれないのだから当然である
「何かヒットしてくれると」
『ピッ』
「こいつだな。車両ナンバーは[ クラナガンサウスDXT-4365 ]か」
データベースで照合したところ、車の持ち主はアベル・クロッスタ。57歳
3年前に時空管理局を引退した退役時空管理局員だった
「また時空管理局が絡んでいるのか。面倒だな」
----------------------------