何故かメノリに成り代わりました。   作:如月雪見

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前回、姫様のおねだりによって虚夜宮に大雪が降り、それを使っての雪まつりが強制的に催されました。
滑り台という名の巨大なラージヒルは怖かったです。


今回、元々は一度きりの特集だったのに、姫様は勿論、リッカとナナゴウちゃんの為にとイベントを企画したり参加したりしては掲載される写真の選別etc…で、何だかんだと瀞霊廷通信の取材を受け続けているメノリに、新たな企画の相談が来ました。



瀞霊廷通信の取材(会議)と交渉

 

 

「お待たせしてすみません、東仙統括官、檜佐木様」

「いや、時間通りだ」

「今回もお時間いただき、ありがとうございます」

「では、定例の瀞霊廷通信についての話し合いを始めよう」

「「はい」」

 

瀞霊廷通信に私の特集記事を掲載して以降、それまであった死神と破面の壁がかなり低くなったらしい。

 

それもこれも私が尸魂界での催し事に参加したり、虚夜宮でイベントを企画したりする度に瀞霊廷通信に写真が掲載されるからで、私と行動を共にする事が多いロカ達にもいつの間にかファンが付いたらしく、ファンレターやプレゼントが届くようになった。

 

幾ら壁が低くなっても、死神から手紙や贈り物を貰っても困惑する破面が圧倒的に多いので、東仙に止めて貰うよう頼んだ。

 

…私達はアイドルとか推しキャラじゃないからね

 

他にも、厨房のみんなや料理教室の参加者達に加えて【繭】、【刃】に所属している破面達の遣り取り(日常)を掲載して貰ったりもした結果、『今月の虚夜宮』は瀞霊廷通信のトップ10に入る人気コーナーになった。

 

「今回の〖もっと知りたい虚夜宮!〗の質問は…う~ん…これは本人に聞かないと無理ですね。ちょっと連絡してみます…ごめんね突然…うん、うん、そうなの。で、聞きたい事があるって…うん…あ、本当?ありがとう。…夕食の時なら大丈夫だそうです」

「ありがとうございます。後程、必ず伺います」

「では今回の『クイズに答えて抽選に応募しよう!』の〖料理長の気紛れスイーツ〗は、バロマナとフルーツたっぷりのタルトとオリジナルティーの茶葉セット、限定100名様のみでお願いします」

※毎回、瀞霊廷通信の各ページの何処かに、カノン達のイラストが隠れていて、そのページ数を全て正解した人達の中から抽選で○○名様にお送りします。というクイズ形式を取っている。

「因みに、先程お出ししたお茶とお菓子がその試作品です」

「…今回は競争率が高くなるな」

「食べる前に思わず撮影しましたが、絶対に応募の大半を攫っていきますよこれは!」

「…では、たっぷりの文字を消して、バロマナとフルーツのタルトに変更して、フルーツの量を減らしましょうか」

「いや、そういう問題では無いと思うが…」

「元の人数には出来ませんか?」

「数を減らしたのにはちゃんと理由がありますよ。今回からビアとロカのコーナー〖ボク&私が作ったお菓子をお裾分けしちゃいます。〗が追加される事を考えた結果です」

「「あぁ…」」

「初回だからか、かなり張り切ってて…ココピンを使ったケーキ、コインが出たらもう1個プレゼント。此方は胡桃入りです!に決めたそうです。此方も限定100名様でお願いしますね」

「…了解です」

「…くじ付きのケーキか…注釈に、不正行為が発覚すればプレゼントは取消。と解りやすく記載しなければならないな」

「やっぱり、その可能性はありますよね…企画倒れにならないよう、起こり得る問題は全て排除しないと…」

「あぁ、傷付くのはビアとロカだからな。しっかり配慮しよう」

「ありがとうございます」

 

次の瀞霊廷通信の掲載記事について、編集長の東仙と補佐の檜佐木と話し合いながら『今月中の虚夜宮』の内容を決めていった。

 

 

 

「…で、『今月の虚夜宮』メインは料理教室・番外編…前回の母の日企画〖おかあさんに「ありがとう」「だいすき」をおくろう〗に続いて、父の日企画〖おとうさんにも「ありがとう」「だいすき」をおくろう〗…何方もこっちの子ども達を招待して…凄く盛り上がりましたよね」

「姫様はご両親が大好きですからね。同じ文化が尸魂界にもあるとリッカが教えたのが企画のキッカケだったのですが…上手くいって良かったです」

 

 

 

前回の母の日は準備が大変だった。

何せ、〈あの〉藍染が何処までなら手を出しても大丈夫かを確認するのに手間がかかったから。

 

…だって、藍染は勿論だけど、姫様に恥をかかせたり、笑いものにさせる訳にはいかないもの

 

慎重に段階を踏んで、最後の盛り付け(デコレーション)ならどうにか出来る事が判明した。

※それでも不安だからと、藍染は一切手を出さずに姫様のやりたいようにさせて、溢したり、汚れた所を拭いたりとフォローに徹していたが。

 

この結果を踏まえて、3種類のケーキ生地と、同じく3種類のクリームに茹で小豆、そしてカット済みのフルーツを用意して思い思いのデコレーションをして貰い、それに添えるメッセージカード作りをする事にした。

 

 

 

そして当日、来ないと言っていた涅マユリが飛び入り参加で来て、お目付役として阿近が駆け込んで来たおかげで、何とか身の安全は確保された。

 

…即効性だろうと遅効性だろうと、実験体にされるのは本当に勘弁だからね

 

因みに企画の直前になって、私も「リッカとナナゴウちゃんのママだから」と、他のお母さん方が待機しているVIPルームへと送られた。

 

殆どの方が微笑ましくモニターを見ていたけど、私とサチさんはそれぞれ別の意味でハラハラしながら見ていたのを覚えている。

 

 

 

そして、今回の父の日企画はしっかりと気合を入れて挑んだ。

 

…何せ、藍染は勿論、涅マユリのご機嫌取りも目的のひとつだったからね

 

普段から料理をしている方々ばかりなので、安心してレンジで出来る簡単なケーキを作れた。

勿論、ケーキに添えるメッセージカード作りの時間もしっかり設けた。

因みにデコレーションの時、茹で小豆だけではなく型抜き出来る羊羹シートも作ったのだが、ほんの出来心でわかめ大使っぽい形状の抹茶羊羹シートを忍ばせておいたら、杏奈ちゃんと緋真さん、ルキアがしっかり気付いてデコレーションに使っていた。

※この後、朽木家で正式に商品化したいとの交渉があり、瀞霊廷の貴族街に豪邸を建てても尚余る法外な大金と引換に〈羊羹シート・わかめ大使〉の全権限を譲る事になった。

本当にほんの出来心で用意したから、もしかしなくても怒られると戦々恐々としていたのに、予想の斜め上に突き抜けた結果になって卒倒しかけた。

 

 

 

…予定外の事も起きたけど

…どちらの企画も、子ども達に料理への興味や関心を持って貰える良い機会だったなぁ

 

※余談だがビアとロカも参加していた。

しかし、相手は当然ザエルアポロでは無くイールフォルトとテスラに渡す為だった。

「テスラさんにはいつもお世話になっていますからね。あと、ボクはイールさんを伯父と認める事はあっても、オリジナルを父親と認める日は未来永劫、絶っっっっっ対に来ませんから」

「全く以て同感です」

そう語った2人の表情は〈無〉そのものだった。

 

 

 

「…『今月の虚夜宮』はこんなところでしょうか?」

「ふむ、そうだな…あぁ、抽選券のデザインだが、今までは君の描いたイラストを使っていたが…今回は姫様が描いたこの絵に変更するが…構わないか?」

「えぇ。何より藍染様からの強い要望ですし」

「…では、これで今回の瀞霊廷通信の打ち合わせは終了する」

「「お疲れ様でした」」

 

こんな風に、最初の掲載から何だかんだ2年半が経った。

私は何度も話し合いに参加し続けた事もあって、『今月の虚夜宮』の代表兼責任者に任命された。

 

…自業自得かも知れないけど、肩書きがどんどん増えていくわ

 

今回の話し合いが終わり、他の編集者との情報共有の為に、一旦檜佐木は尸魂界へ戻って行った。

 

そして質問コーナーの取材の為にと戻って来た。

どうせなら取材のついでに夕食もと相手に誘われて、食堂の片隅で話をしている。

 

…吉良イヅルもだけど、檜佐木もかなり馴染んで来たわよね

 

取材が終わったらしい2人は食器を戻したその足で、何故か此方に来た。

そして…

 

「…写真集…ですか」

「はい!」

「料理長のならみんな絶対買いますよ!勿論、私も!」

 

以前から読者アンケートで私達破面の写真集を望む声が大きくなって来ていると、檜佐木はわざわざ持って来たアンケートの結果とコメントを見せて来た。

 

…嫌だなぁ

…って、あれ?

 

「…そう言えば前に、女性死神協会からも同じ依頼があったような…」

「なっ…!」

 

たまたま見たアニメのおまけコーナー、死神図鑑の事が記憶に残ってたから、丁重に断ったけど。

彼方の依頼を断ったのに、瀞霊廷通信の方を了承するのはどうかと思うからと、断らせて貰った。

 

「…完全予約制、1人1冊厳守で」

「無理なものは無理です。それに、女性死神協会の方々も同じ事を言っていましたよ」

「くぅっ…!」

 

その時の女性死神協会からの提案は以下の通り。

 

載せる写真全てを選ぶのは私自身、使わない写真は全てネガごと私に返還する。

完全予約制で1人1冊、偽名を使用或いは成りすましをしての多数買い及び横流しや転売が判明したら、即、写真集は全て回収して焼却処分。

 

どんな提案をされても、私は断った事を話した。

 

私の頑なな態度に、檜佐木は漸く諦めてくれた。

しかし、私達の遣り取りを見ていた他の破面達が、折角諦めてくれた檜佐木の味方をして騒ぎ出し、勢いを取り戻した檜佐木が私が了承するまではと引き下がらなくなった。

 

…いや、貴方達はほぼ毎日此処で会うから必要無いでしょう?

…そんな事は無い?

…何処の所属だろうと欲しい物は欲しいって

…何で?

 

どうやって場を収めようか悩み始めたところにリッカが檜佐木に話しかけた。

 

「ねぇねぇ、ママのしゃしんしゅうってなぁに?」

「ん?写真集って言うのはこういう…これは乱菊さんのだけど…こんな感じで色々な格好をしたメノリさんをたくさん撮って、ひとつの本にしたものだよ」

「ふ~ん…あるよ、しゃしんしゅう」

「「「「「え?」」」」」

「おへやにあるよ。もってくる?」

 

…嫌な予感がする

 

「待ってリッカ!アルバムは写真集じゃないから!」

「う?ちがうの?」

 

…やっぱり!

…写真集とアルバムの違いまでは解っていない!

 

危うくリッカとビアにロカ、カノン達、そして部屋に遊びに来た事のある面子(テスラやシャルさん等)しか知らないアルバムを公開するところだった。

アルバムと写真集の違いを教えて、アルバムはおいそれと他人に見せる物では無いと理解させた。

 

「「「「「…チッ」」」」」

 

…今舌打ちしたのは誰々かしら?

 

「兎に角!写真集はお断りです!」

「なら、カレンダーでも構いません!」

「私が構います!」

 

中々諦めて貰えない。

どうやって、諦めて貰おうか本格的に悩み始めたところに、アンケートとコメント欄を見ていたビアが思わぬ発言をして来た。

 

「…写真集は兎も角、カレンダーなら良いと思いますよ」

「「「「「え?」」」」」

「ビ、ビア?」

「メノ姉様は料理長として瀞霊廷通信に携わっていますよね?なら、カレンダーも料理長としてならいけませんか?」

「えっと…?」

「例えばですけど…瀞霊廷通信の抽選の商品〖料理長の気紛れスイーツ〗を作っているところを撮影したのとか、完成したのをメノ姉様と一緒に撮影したのを使うとか。瀞霊廷通信にはイメージ商品しか掲載していませんし…どうでしょうか?」

「…そ、それならまぁ…うん、料理長としてなら…」

「いや、アンケートではメノリさんの写真集かカレンダーをと要望されてて…」

「お言葉ですが、料理長という役目もメノリさんの一部です。メノリさんの日常です。というか、メノリさんの日常の半分を占めています。それに、メノリさん=料理長というのは私達にとっては当然の共通認識ですので、これを否定されるのは心外です」

「う…」

「それに…これ以上食い下がると、ストライキを起こして瀞霊廷通信に掲載している『今月の虚夜宮』は兎も角、〖料理長の気紛れスイーツ〗が無くなるかも知れないが…それでも良いのか?」

「うっ…それは…」

 

ビアに便乗したロカとテスラが反論する檜佐木を黙らせた。

 

…折角、ビアが妥協点を提案してくれた上に、ロカとテスラが援護してくれている

…写真集を回避出来る又とないチャンスだわ

 

「決まりですね。写真集はお断りですが、ビアの提案した〖料理長の気紛れスイーツ〗の番外編として、カレンダーなら構いませんよ。卓上タイプでも壁掛けタイプでも。いっその事、それぞれ違う写真を掲載しても」

「う~…あ~…解り…ました!それで行きましょう!」

「はい」

 

 

 

 

 

 

…何とかなって良かったぁ

…ビアが良い妥協点を見出して、ロカとテスラが檜佐木の言いくるめに参戦してくれて、本当に助かったわ

…明日のオヤツは銅鑼焼きアイスと野菜チップス・特製スパイス味にしましょう

…さて、少し遅くなったけどご飯食べましょうか

 






写真集を巡っての攻防戦は、第3者の介入でどうにかなりました。
実は、お互いに意思を曲げずに平行線のまま険悪になりそうになって、「あ、これは非常に拙い」と思い、打開策が思い付くまで放置していました。

他の作品が思い付いたのもあって、かなりの期間放置していたのを読み返していたら、ビアが動いてくれました。
それに便乗するロカとテスラ。
おかげで上手く纏まりました。
3人に感謝です。



次回は、虚夜宮の温水プール開きです。
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