原作無視で無茶苦茶やっていきます

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禪院蒼爾

---報告---

2018年6月 二級術師・伏黒恵 宮崎県仙台市杉沢第三高校にて特級呪物・「両面宿儺の指」回収の任につく。

所定の場所に呪物を確認出来ず、呪物の残穢を辿って捜索開始。

持ち去られた呪物の回収中に呪霊による襲撃を受ける。

その際呪物捜索に一時協力を依頼していた地元高校生・虎杖悠仁が呪物を摂取し、両面宿儺が受肉。

合流した特級術師・五条悟によって虎杖悠仁捕縛。虎杖悠仁の秘匿死刑が決定。

五条悟の進言により秘匿死刑の執行猶予期間が設けられる。

 

---

 

「はぁ...」

 

報告書を読んで思わずため息をつく。特級呪物「両面宿儺の指」。呪術全盛とされる平安の世にあって最強とされた術師・両面宿儺のなれの果て。呪物となっても破壊すらかなわず固く封印しておくしかなかった正しく劇物と呼べる代物を、何故高校の百葉箱に設置したりしたのか。しかもその回収に、いくら将来を見込まれているとはまだ学生の二級術師を派遣するなど、やはり総監部は頭の中がぐずぐずに腐っているとしか思えない。事実任務は失敗に終わっているのだ。両面宿儺の受肉という考えうる限り最悪の結果で。

 

「悟も悟だ。両面宿儺が受肉した奴を生かしておくとか、一体何考えてんだまったく」

 

任務に巻き込まれて両面宿儺が受肉した少年、虎杖悠仁。非常に気の毒ではあるが様々なリスクからこの少年の秘匿死刑は速やかに執行されるべきだろう。聞いた話では呪物に肉体の主導権を奪われることなく自我を保てているとのこと。あの両面宿儺が受肉したというのに肉体を奪われずに済んでいるなど俄には信じ難い話だが、学長からも説明があったということは事実なのだろう。しかし、今現在肉体を奪われていないからといって今後もそうとは限らない。なにかの拍子に両面宿儺が肉体の主導権を完全に握った場合どれだけの被害が出るだろうか。

 

「やあ、どうしたんだい?浮かない顔して」

 

「例の編入生だよ」

 

「ああ。宿儺の器ね」

 

「とんでもねぇ爆弾持ち込みやがって。あのバカの楽観主義はどうにかなんねぇのかまじで」

 

「どうにもならないだろ。学生の頃からずっとああなんだ」

 

「...そうやってお前が甘やかすのも問題だと俺は思う」

 

「はは、否定できないな。そういえばさっきそこで会って話したけど、どうやら1年生全員で今日任務らしい」

 

「へぇ、任務内容は」

 

「なんでも特級仮想怨霊の受胎を非術師が視認したらしくてね。その調査だそうだ」

 

「特級...」

 

だめだ、嫌な予感しかしない。

 

「場所分かるか」

 

「確か西東京市の英集少年院だったと思うよ...行くのかい?」

 

「受胎とはいえ特級案件だからな。万が一があったらシャレになんねぇだろ」

 

「全く。相変わらずお人好しだね」

 

「ほっとけ」

 

---

 

悪い予感というのは当たるもので、不完全ながらも少年院はまるまる呪霊の領域になっているようだった。いくら特級でも受胎では領域の使用は困難であるから、特級が孵化してしまった可能性は高い。補助監督として同行していた伊地知から話を聞いた俺は急いで領域内に侵入した。迷宮のような領域内で呪力の濃い方へと向かっている最中、釘崎さんと共に領域から脱出しようとしている恵と遭遇した俺は、虎杖君が単身特級の足止めをしていることを聞き、全速力でその場へと向かった。辿り着いたときには虎杖君は見るからに重傷で、もう少し遅れていれば最悪の事態になっていたかもしれない。

 

「え...誰?」

 

「説明は後だ。この腕、君のだよな」

 

「あ、うん」

 

落ちていた腕を虎杖君に渡し、俺は呪霊と向かい合う。予想通り特級ではあるようだが、さほど強い分けではないようだ。

 

「虎杖君。あいつの攻撃手段は?」

 

「えっと、腕は多分切り飛ばされたと思う。あと、呪力をぶつけてきた」

 

「なるほど」

 

虎杖君の説明を聞いた俺はすぐに自身と虎杖君に術式を施し、少し離れているよう指示をだした。俺のことを警戒しているのか先ほどから距離をとって様子を伺っている呪霊に対し、不意を突く形で一気に距離を詰める。突然のことに慌てた呪霊はすぐさま術式で俺に攻撃を仕掛けるが、既に対策を施した俺に呪霊の攻撃は通らない。そのことに驚き固まる呪霊に容赦なく拳を叩き込み、続けざまに蹴りを放って吹き飛ばした。何が起きたのか分からない様子で焦る呪霊に先ほどとはうってかわってゆっくり歩いて近づいていく。呪霊は怯えた様子で術式や呪力による攻撃を放ってくるが、それらは全て無効化され俺にダメージは入らない。放たれ続ける攻撃を全て受けながら、遂に呪霊の目の前に立った俺は拳に全霊の呪力を込める。

 

「じゃあな」

 

黒い火花をまとった一撃が呪霊に突き刺さり、断末魔をあげた呪霊が塵になる。同時に領域が解けて元の少年院の風景に戻ったところで、気が抜けたのか虎杖君はその場でへたり込んでしまった。

 

「大丈夫...ではないよな。よくやったよ虎杖君。片腕切り飛ばされても立ち向かうなんて、なかなか出来ることじゃない」

 

「どうも...えっと、ところで誰?」

 

「...そういえば自己紹介してなかったな。俺は禪院蒼爾。呪術高専東京校3年の担任だ」

 

「え!先生だったの!?」

 

「ああ。同僚から君たちの任務について聞いてな、嫌な予感がしたから様子を見に来たんだ。本当、間に合ってよかった」

 

「そうだったんだ。禪院先生、助けてくれてありがとうございました。」

 

「礼はいい。それより、話がある」

 

「何?」

 

「申し訳ないんだが虎杖君、君にはここで死んでもらわないとならない」

 

「...へ?」


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