【完結】転生したらアバンギャルド君だったのでリオ会長を救います   作:天神茶々

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最終章やデカグラマトン編も含めた本編を全て書くことは確保出来なかったのですが、何か投稿したいなと思ったので、番外編という形でこのお話を投稿します。

レイドの合間に、時系列や設定などは深く考えずに(番外編なので)ノリと勢いで楽しんでいただければ幸いです。



【番外編】アバンギャルド君ライフは続く……。
デカグラマトン編:前日譚……? ネオアバンギャルド君を添えて


 

「どうかしらアバンギャルド君。新しく作ってみたの」

 

 褒めて褒めてと言わんばかりに、目を輝かせてこちらに期待の眼差しを向けるのは、我らが愛すべき17歳児の世話のかかる大きな妹(ビッグシスター)調月リオ。

 

 キヴォトスという、無数にある学園を中心とした自治区が広がる世界。

 

 その中で、比較的新しく設立された場所でありながら、圧倒的な技術力で3大学園の1つとして数えられるほどの影響力を持ったミレニアムサイエンススクール。

 

 その学び舎の生徒会――セミナーの会長であり、世界で唯一「名もなき神」の超技術を不完全ながらも扱える技術者。

 

 ミレニアムの生徒として、これ以上ないほど優秀な彼女であったが、ただ1つだけ――いや、やっぱり本当はたくさんある弱点の1つとして挙げられるのが……。

 

(絶望的に、デザインセンスがダサい……!!)

 

 自(・)分(・)が(・)言(・)う(・)の(・)も(・)な(・)ん(・)だ(・)が(・)、正直何を考えているのか分からないその表情。

 胸部に大きく刻まれた、アバンギャルド君の「A」のマーク。

 

 腕の本数が先代機(俺自身)から改善されたというのに、脚部は、先端が大盾になっている奇抜なデザインの足を、まるで蜘蛛のように四方に展開するというとんでもない魔改造が施されている。

 果たして、こちらのキャタピラと四本足なら、一体どちらがマシなのだろうか?

 

 相変わらずクソダサを地で行くアバンギャルド君の姿に、血も涙もない機械の体であるというのに涙が流れそうだと感じていると、リオがドヤ顔をしながら俺に告げる。

 

「名前はネオアバンギャルド君よ。次の作戦のために用意したのだけれど、良ければあなたの意見も聞いてみたいなと思って」

 

「えー、あー……うん。いいんじゃないか? 名前とか、結構いいと思うよ、うん」

 

 彼女を支える従者としては、この凄惨なデザインセンスを矯正するのが正しい姿だと思うのが……。

 しかし、以前もう1人の従者であるトキと一緒に試みた結果、リオが少し涙目になったところで俺とトキの心が同時に折れたため断念。

 

 結果的に、駄目なご主人様のそんなところも愛する激甘対応に拍車がかかっただけであり、きっと未来永劫、リオのデザインが改善されることはないだろう。

 

 いっそ、シャーレの先生のことを好きになり、あの人のために何か贈り物をしたくなって、けれど世間一般的には自分のセンスは壊滅的であり、贈り物として適していないことに気づく……といったような劇的なイベントが起きることを期待するしかない。

 

 そんなことを考えていると、俺の元にある一件のメッセージが届いた。

 

『飛鳥馬トキ:残念ながら、そのようなイベントは今後一切発生しないかと』

 

『アバンギャルド君:あー確かに、先生って生徒からの贈り物なら、リオのデザインでも喜びそうだもんな……』

 

『飛鳥馬トキ:いえ、そういうことではないのですが』

 

 メッセージの送り主は、俺と共にリオを支える従者であり、本日シャーレ主催のキヴォトス天下一武道会に参加中の飛鳥馬トキである。

 

 現在予選が行われている最中だが、様々な生徒が活躍をみせているとのこと。

 

 言わずと知れた暁のホルス、小鳥遊ホシノ。

 ゲヘナで誰にも敵うことのない、空崎ヒナ。

 驚異的な再生力から歩く戦略兵器と呼ばれる、正義実現委員会の剣先ツルギ。

 何度倒そうとも立ち上がる、C&Cの約束された勝利の証美甘ネル。

 

 なお、当初はお姫様らしくないという理由で不参加を予定していた美園ミカは、下江コハルの「助けてくれた日のようなかっこいい姿を見てみたい」という発言を受け、緊急参戦が決定。

 

 そんなキヴォトス最強格(レベルカンスト勢)とは直接対決になっていないようだが、色々と原作を前倒しにした結果、ついにアビ・エシュフなしで未来予測が可能になったトキは、順調に勝ち進んでいっているみたいだ。

 

 ちなみに、彼女たち以外にも活躍している生徒は多く見受けられ、

 

 何故か登録されている写真よりも大人びて見える、砂狼シロコ。

 毎試合悲鳴を上げながらも勝ち進む、陸八魔アル。

 衝撃的なハイレグ姿で話題を搔っ攫った、歌住サクラコ。

 試合中一切気配の感じられないSRTのスナイパー、霜沢ミユ。

 所属不明ゆえに情報のない、謎のへそ出しヘルメット団。

 

 ちなみにミレニアムからは他にも、名もなき神々の王女の力で1人だけジャンルの違う戦いを繰り広げるケイと、トキから譲り受けたアビ・エシュフを改造した武装を身にまとうアリスが、凄まじい活躍をみせているとのことだ。

 

 正直、試合展開が気になりすぎるので、本選はリオと一緒に観戦する予定である。

 

 と、ここまで遠回りな現実逃避をしたところで、目の前の問題に改めて向き合う覚悟を決める。

 

「なるほど、俺の次の機体はこれかぁ……」

 

 リオによって、ネオアバンギャルド君という名前を付けられたその機体を、改めてじっくりと観察する。

 

 果たして、これは改善なのだろうか。それとも改悪なのだろうか。

 

 きっと、キヴォトスのどこを探しても、誰に尋ねても正解の出ない問いを延々と考えていると、リオがどこか気まずそうに声をかけてきた。

 

「アバンギャルド君。伝えていなくて申し訳ないのだけれど、ネオアバンギャルド君はとある人物に操縦してもらう想定で機体を作ってあるの」

 

「(期待はしてなかったけれど)マジで!?」

 

 やった! 変な悩みを抱えずに済んだ!!

 

 もしもネオアバンギャルド君に乗り換えることになっていたのなら、きっとリオが「お披露目会」と称して知り合いを集め、そして集まったみんなから、相変わらずクソダサな機体への同情や憐憫の眼差しを向けられることになっていただろう。

 

 そんな辛いイベントを回避できたことに喜びつつ、結局今の機体がくそダサいと思われ続けることには変わらないことを思い出して闇落ちしかけたところで、とんでもない情報が入ってきたことに気づく。

 

「あれ? 今、別の人に操縦してもらうって言った?」

 

「えぇ。ネオアバンギャルド君は、彼(・)女(・)の専用機体として設計したもの」

 

 専用機体がアバンギャルド君なんて、前世でどんな悪行を積めばそんなことになるんだろうか。

 

 いや、ちょっと待て。

 

 アバンギャルド君を操縦と言われて、思いつく人物が1人しかいないのだが――!!

 

「フレーム単位での反応速度、コマンドの圧倒的入力精度、ネオアバンギャルド君のスペックをフルに活かせるのは花(・)岡(・)ユ(・)ズ(・)、彼女以外に存在しない……!!」

 

 ユズ、ネオアバンギャルド君に乗れ。でなければ帰れ。

 

 ……いや、やっぱりあんなクソダサロボット(アバンギャルド君)になんて乗らなくていいよ。

 

 心の底からそう思う。

 

「色彩がキヴォトスに襲来した時の、ユズがアバンギャルド君Mk.3を操縦した時のデータと、物質を巨大化させる技術を見たときに思ったの。この2つを掛け合わせれば、間違いなく最強だって……!!」

 

 何だろう。ここまで混ぜるな危険を的確に表した状況は他に存在しない気がする。

 

 俺の知る原作知識はとっくに全て過去のものとなってしまったが、原作の未来でアバンギャルド君を巨大化させようという状況が発生していないことを祈った。

 

「次回のキヴォトス天下一武道会は、ユズとネオアバンギャルド君で優勝するのが目標よ」

 

 あ、駄目だ。もうこの人止まりそうにない。

 

『飛鳥馬トキ:諦めましょう、アバン様。せめてもの情けとして私が直接葬って差し上げます』

 

『アバンギャルド君:……今更なんだけど、どこからこっちの会話を聞いてるの?』

 

『飛鳥馬トキ:優秀なメイドたるもの、いつでもどこであってもアバン様の考えていることはお見通しです v(ᓀ‸ᓂ)vピースピース』

 

 ちなみにだが、この場にいないトキがこうして的確にメッセージを送ってくる理由は本当に謎である。

 以前、ウタハに死ぬほど頼み込んで、機体に変なプログラムが仕込まれていないかメンテナンスしてもらったが、出てきた結果は異常なし。

 

 つまり、トキは本当にこちらの心を読んでメッセージを送信してきていることになるのだが……。

 

 最早これは、謎のテレポートガール鷲見セリナと同じものとして扱うべきなのかもしれない。

 

「それにしても、なんで今更こんな物を用意したんだ? もう既に、戦力はこれでもかと集まっているように思えるけど……」

 

 正直な話、ミレニアムだけ戦力が過剰すぎるのではと常々思っている。

 

 キヴォトス天下一武道会に参加している、ネル、トキ、アリス、ケイはもちろんのこと。

 

 和泉元エイミや他のC&Cのメンバーたちもかなりの実力者だし、特筆すべきはミレニアム特有の技術力だ。

 

 アバンギャルド君やAMASといった戦闘用ロボットを無数に生産できるだけではない。

 ヴェリタスやコユキのハッキング能力や、物質の巨大化や脱出シーケンスといったとんでも技術を、色彩の襲撃中という極めて限られた時間の、土壇場で実用化させる天才たちの存在。

 

 集団としての戦闘力で、果たしてミレニアムに勝てる学園が、キヴォトスに存在するのだろうか?

 

 そんな俺の疑問に、リオは静かに答えてくれた。

 

「確かにミレニアムなら、私たちが用意してきた戦力ならキヴォトスの誰にも、どの学園にも負けないのかもしれない。けれど、私たちの次の相手は恐らく――」

 

「ミレニアムを超える技術力を持つと考えられる、神名十文字(デカグラマトン)だからか」

 

「えぇ。万全を期して臨むべきよ」

 

 ここ最近目撃情報の増えている、様々な姿をとる巨大な機械たち。

 

 1番目の預言者、最もきらびやかに輝く至高の王冠――ケテル。

 2番目の預言者、王国を守りし古代の守護者――コクマ―。

 3番目の預言者、違いを痛感する静観の理解者――ビナー。

 4番目の預言者、慈悲深き苦痛を持って断罪する裁定者――ケセド。

 5番目の預言者、合理を越えた勇猛な仲裁者――ゲブラ。

 6番目の預言者、苦難称える美しき贖罪者――ティファレト。

 7番目の預言者、勝利を証明する無限の大地――ネツァク。

 8番目の預言者、輝きに証明されし栄光――ホド。

 9番目の預言者、礎を御する力の浄化者――イェソド。

 

 そして、消滅したデカグラマトン本体が言及した最後の存在。

 

 10番目の預言者、世界の果てに到達せし王国の巡礼者――マルクト。

 

 最後のマルクトに関しては特に未知数であり、未(・)だ(・)デ(・)カ(・)グ(・)ラ(・)マ(・)ト(・)ン(・)勢(・)力(・)と(・)直(・)接(・)対(・)決(・)に(・)は(・)な(・)っ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)も(・)の(・)の(・)、原作知識がない以上、いつ何が起きてもおかしくない。

 

 それこそ、以前アビドスで起きた騒動によって、シャーレが突然爆破されたように。

 

「だからこそ、私は全力で備えるつもりよ。今回も、無事にハッピーエンドにたどり着くために」

 

「……そうだな。次も最後には笑えるように」

 

「えぇ。戦力の補強は任せてちょうだい。全力で用意するわ」

 

 そうして、キヴォトスの1日は着実に進んでいく。

 いつか訪れる、おそるべき災厄に備えながら――。

 

 

 

□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、どう考えても過剰戦力でしょう!?!?」

 

 

 

 キヴォトス某所――鋼(・)鉄(・)大(・)陸(・)に(・)て(・)。

 

 その存在を秘匿するため、本(・)来(・)よ(・)り(・)も(・)遥(・)か(・)に(・)縮(・)小(・)し(・)た(・)形(・)で(・)展(・)開(・)さ(・)れ(・)た(・)ネ(・)ツ(・)ァ(・)ク(・)の(・)鋼(・)鉄(・)大(・)陸(・)の(・)中(・)心(・)部(・)に(・)て(・)。

 3人の機械少女が今にも憤死しかねない勢いで大きな声を上げていた。

 

「まず、どうして王女と鍵がフルスペックの状態のままでキヴォトスの味方をしているのですか!? あれは世界を滅ぼす力じゃなかったのですか!?」

 

「調月リオが鍵の支援を受けて、名もなき神々の力を私たち以上に活用していませんか……?」

 

「特に、あの意味わからないほどくそダサいロボット!! 本当に訳が分からない!! どうシミュレーションしても、お姉様(マルクト)じゃないと勝負にすらならないって結果になるの、全く納得できないんだけど!!」

 

 順番に、オウル、アイン、ソフの3人がこの世の終わりの表情を浮かべる中、名(・)前(・)を(・)呼(・)ば(・)れ(・)た(・)と(・)勘(・)違(・)い(・)し(・)た(・)もう1人の彼女が入室する。

 

「アイン、ソフ、オウル。どうかしましたか?」

 

「「「お姉様!?」」」

 

「いえ! 違うんですこれは! その……!!」

 

「……あいつらの戦力がおかしくて、愚痴を言い合ってただけだよ」

 

「ごめんなさいお姉様……私たちがもっとちゃんと出来ていれば……」

 

 10番目の預言者マルクト。

 

 アインたちがお姉様と慕う彼女は、大切な妹たちが悲しい顔をしているのを見て、3人を優しく抱きしめた。

 

「「「!?!?」」」

 

「大丈夫です、我がいます。大切な妹たちの障害は、我がきっと打ち払ってみせますから」

 

 マルクトは、それがただの慰めにしかならないことを理解していた。

 それでも妹たちを、優しく優しく抱きしめた。

 

「これは、何かを打開できる行為ではありません。

 いわば、意味のない行為かもしれません。

 ですが……少し、心が落ち着きませんか?」

 

 マルクトの言葉に、3人の妹たちは優しく頷く。

 そうして身を寄せ合う彼女たちは、まるで機械ではなく本物の人間のようだった。

 

「そうですね。一度気分転換にこっそり出かけてみましょう。

 ゲブラから、あんてぃーくせらふぃむ? というアイドルのライブに誘われているのですが、一緒にどうですか?」

 

「「「うぅ……お姉様が行くなら一緒に行く……!!」」」

 

「では、一緒に行きましょうか。姉妹揃ってのお出かけは初めてなので、今からとても楽しみですね」

 

 そうして、彼女たちはゲブラに案内されるまま、遠いトリニティの地をお忍びで目指す。

 

 ……案外、リオたちがデカグラマトンとの決戦を迎えるのは、かなり遠い未来なのかもしれない。






アバンギャルド君「こっちじゃなくて、ダアトに転生したかった」

それでは皆さま、最後の採集……いえ、最終決戦も頑張りましょう!!
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