悪い大人でも青春を謳歌できますか?   作:三度の飯より曇らせ

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難産でした。もしかしたら加筆、修正が矛盾の生じない範囲であるかもです。
主人公は別に頭が良いとか、戦闘に長けてるとかじゃないから、その辺の塩梅が難しいです。



悪い大人と黒見セリカ

 

 随分、低反発な布団だと感じた。マーケットの安価ホテルのほうがまだ高品質だ。これじゃ安眠もままならない。

 この硬さ。人肌の温かみもない冷たさ。いつだったか、泥酔した翌日の寝起きに、酒精とともに感じるような……。

 

 枕はどこ行った。だから俺は、枕が無いと床につけないんだって。

 

「……あ?」

 

 人を寛がせる気のない肌触りに、独特のにおい。知ってるぞ。コイツの感触は確かアスファルトの……。

 

「っ……黒見は!?」

 

 人の気配は気味が悪いほどに損なわれている。しかしこれはアビドスの夜じゃデフォルトな空気感。

 だが、今、この静けさは何より危惧していたものだ。

 

 クソッタレ。完全に見逃した。

 

 アイツら無力化ガスなんて使いやがって。流石マーケットの垢だ。麻薬の流用ならお手の物だな。

 確かに、手っ取り早く相手を鎮静化するならこれ以上ない適正な手札だが、こんな開けた場所で使うのはご法度だ。観客にも配慮してこその演者だろうが。

 

 唯一の救いは、まだ日が上がっていないこと。

 フェンタニル系なら最悪、日の出までお寝んねコースだったが、頻りに吸引したせいで耐性でも着いたのか。腕時計を見やれば、最後に確認した短針から二つ数字が進んでいる。

 ざっと二時間と半。まだ取り返しはつく。

 

「ああクソ、まだ朦朧とする」

 

 取り敢えず、調子を整えるのが先だ。視界もクラついて、今じゃ足取りも蹌踉としている。

 

 水でも買おう。こんなクソ田舎でも自販機ならまだ置いてあるだろ。インフレ気味の物価高でも、ワンコインで買える田舎特有の古臭い奴が。

 無いならもう見捨ててやるこんな土地。救ってやる価値もない。

 

「……あれ」

 

 スラックスの臀部のポケットを弄る。

 ここは我が妻、財布の定位置。指先に広がるレザーの冷たさがいつも通りに感じられる筈だが。いつまでもお目当ての感触は訪れない。

 

 これじゃ、夜な夜な路上で尻を慰める変質者だ。といっても無いもんはいつまでも無い。

 

 盗まれたか。だが誰が。こんなド辺鄙に誰が寄ってくる。

 飲み屋はない。飯屋だって碌にない。そもそもここまで電車に揺られる必要が無い。なら、該当者なんて指折りで限られてくる。

 

「チッ……こんな時にっ」

 

 自販機はしっかりと設置してある。最高だアビドス。ゲヘナを超えていけ未来の首都。

 最悪なのは、いつでもどの時代でも、自分の行いを客観視せず省みることもしないクソガキだってことだ。

 

 携帯の光で照らしながら地を這ってみたが、落とした線は早々に潰えた。重量的に風に飛ばされることもない筈だ。

 なら、可能性はただ一つ。小学生探偵が出る幕もない簡単な謎解きだ。だが、こんなにも人をイラつかせる。

 

 カタカタヘルメット団。従順で使い捨ての手駒だと思ってたが、オツム足りないらしい。誰が上に立ってるかすらわからないほど蒙昧だったか。

 認識を改めてやる。お前らは天才だよ。人の癇癪を引き出すことに関しちゃトリニティ以上だ。

 

「金は命より重いぞっ!!」

 

 ポッケに隠れていた百円玉で、どうにか水を購入できた。不幸中の幸いってやつだ。

 一口、掌に走る火照った体に気持ちのいい冷え具合の天然水を咀嚼する。

 十分だ。寧ろ、足りすぎるくらいだ。この一口だけでヘルメットなんて無尽蔵に凹ませることができる。対空砲でもなんでも持って来い。そんなお粗末な棒なんざへし折ってやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今はどの辺だ?」

「えーと……もうすぐ砂漠に差し掛かるところっす」

「おーし予定通りだな。後は自由に捨てていいって言われたが……」

「どうせなら、助からなそうな奥に投げません?コイツ等、ぶっちゃけ目の上のたん瘤ですし」

「ま、一人死ぬだけでも戦力低下になるだろ。じゃあ砂漠の奥に……」

「ハァ、ハァ……女子会にしちゃ、物騒な会話だなァ!!」

「は……はぁあああ!?」

 

 漸く見つけた。フルマラソンも斯くやという距離、アビドスを網羅する勢いで走り回ってやっと見つけたドブネズミ。今なら地図でも描けそうだ。

 この時間帯で、アビドスで車は知らせてる奴らはお前ら以外居ないんでな。車さえ見かけりゃ判断は不要だから楽だったよ。

 

「お前、装甲車のルーフを……!」

「ああ、意外と柔いな。ハリボーの方が歯ごたえありそうだ!!」

 

 無理くり腕をぶち込んで車体の屋根を剥がす。どうやら俺にはフィストでファックする才能も有るらしい。

 

 装甲なんて大仰な名前も、金の前じゃ大した障害にもならない。

 剥がしたそれもポケットに入れるには少しかさばる。俺は二十二世紀出身でもないんで四次元ポケットも持ってない。なら、即席の武器として昇華させてやる。

 

 雑然と長方形にくり抜かれたルーフを、地面と垂直になるように構え、車内へ突き落す。

 

「ひいっ……!」

「斬新なオープンカーだなァ!俺もドライブに連れてってくれよ!!」

「くそっ降りるぞ……!」

 

 砂漠の砂をクッションに外へ身を乗り出すヘルメット軍団。

 アクセルとハンドルが欠けた車が真面に走行するはずもない。中々、思い切りが良いな。アクション映画顔負けのスタントだ。

 

 ここで事故って変に傷を負うのも面倒だ。しかし、後部座席には黒見セリカが鼻提灯を膨らませている。

 いつまでも眠りこきやがって。手を煩わせんなよクソアマ。

 

「ああクソ!死ぬなよ黒見ィ!!」

「……ぇ」

 

 タイヤ痕が刻まれる砂の山。当然、道の舗装なんてされてるはずもなく。物言わぬ足に余った慣性が暴れ回り、その体躯の天地を返す。

 

 体の中に仕舞うように黒見の身体を抱きとめる。

 こんな所でお陀仏なんてさせてたまるかよ。何のための一千万だと思ってんだ。

 

 受け身を取る暇もなく、無謀な背中に衝撃が見舞う。

 背骨はこの程度じゃ折れない。毎朝、牛乳にフロスティを嗜んでるんだ。カルシウムには自信がある。気を付けるべきは最低限脊椎だけだ。

 だが、痛いもんは痛い。スーパーサイヤ人だってオフの日に石を投げられたら痛がるんだ。是非もない。

 

「やったか……?」

「それフラグっすよリーダー」

 

 黒見は生きてるな。さっきよりも脈が厚い。呼吸も深くなっている。

 

 だが、安心はできない。攫った地点から砂漠まではそこそこ距離がある。ガソリンの状態によっては爆発しかねないぞ。じゃなくたって、スパークで引火しかねない。

 ここで心中なんて、三途の川の渡し守へのお布施にもならない。どうせ死ぬならあの世で自慢できる死に様じゃなきゃな。

 

「おい、起きてるか?ドリームランズでの冒険はもうお預けだ」

「なん、で……アンタが」

「なんで?全財産ベットしてやって見殺しにできるかよ。せめて元は取れる働きはしてくれなきゃ困る」

「でも!私はアンタの言う通り役立たずで、結局、勝手に攫われて……足を引っ張ってたっ!!」

「自虐は後だ。とりあえず、俺の財布を取り返すのが先だァ!」

 

 愚痴なら幾らでも聞いてやる。悲観なら生きてるうちに幾らでもできる。

 胸に燻ぶる感情の坩堝はあるだろう。よりにもよって俺に助けられる状況に、納得がいってないのも当然だ。何より、こんな自分が助けられていいのかという、自分への不信からくる罪悪感。

 あの時、その時の情動なんていつでもどこでも見返せる。俺だって、一昨日見たインディジョーンズのワクワク感は今だって鮮明に思い出せる。

 

 けど、命は何をしたって取り返せない。

 

 死んだら終わり。金は人の人生は購入できても、命には代えがたい。一番欲しいものはいつも金じゃ手に入らないんだ。

 金は命より重いのは心からの本音だ。だが、俺は悪い大人なんでな。命も金も欲しがる生粋の欲張りなんだ。

 

「だから、俺の命もお前の命も失ってたまるかよ。俺にとってお前はもう一千万級の価値が在んだよっ!!」

 

 無遠慮に俺の身体に覆い被さるデカブツを、空いている片手で押し上げる。

 大した防御力もないくせに、車体だけぶくぶく太りやがってこのメタボが。ゴールドジムをサボった弊害がこんな所で。

 

 感じる一瞬の浮遊感。隙を見せたなクソデブが。横綱になってから出直しな。

 

 装甲車を持ち上げながら、二本の足で大地を踏みしめる。

 ああ、重い。今にも肩が喰われそうだ。須臾にも力を抜いたら、左腕から先は砂に埋まって戻らないだろう。

 だが、俺はこれより重いものをよく知っている。

 

「財布を返してもらおうか。クソガキども」

「は、はあ!?財布って何のことだよ!てか片手で装甲車持ち上げんなよ!!」

「さ、財布?……あ、あれ捨てちゃった」

「……よーしレッツパーリーだ。血祭りを上げよう。そーれっ!!」

 

 メジャーにも通用する剛腕から投げ出された剛速球を車で再現する。何の搦手もないストレートだ、受け取れ。

 

「やばっ……」

「ちょ、ちょっと待―クソっ」

 

 地面を走る筈の車が、時速150を超えるスピードで宙を疾駆しヘルメットの脳天を狙うが、すばしっこく避けてくる。

 

 避けるのにも遅い。砂に足を取られているのを考慮したって愚図だ。

 実力は大したことないな。以前の有象無象と団栗の背比べ。鼻をほじってたって負かせる。

 

「黒見、害虫駆除のお手本を見せてやる。超アリーナ席でな」

「う、うん……」

 

 テイラースウィフトのライブじゃプレミアがつく席だぜ。これは中々お目にかかれるもんじゃない。生涯、感謝するんだな。

 

 さて、敵は散り散りに戦線を広げている。広範囲での絨毯銃撃が意図するところか。

 学ばねえな。それじゃ、反って一対一の構図が作りやすい。これで勝てるのは、彼我の実力にある程度の差がついている時に限られる。

 

 さて、残念だがお前らは「差をつけられる側」だ。

 

「まず一匹」

「な、速―がっ」

 

 早々に手頃な一匹の心臓にナイフを突き立てる。然程、距離も離れていないから接近はし易かった。

 

 遮蔽物が無い砂漠地帯で、トリッキーの演出は裏目に出やすい。どう足掻いたって防ぎようはないんだから、避けることに努めるしかない。

 だが、銃弾を回避する方法なんて知る訳ない。少なくともウィキペディアには記述が無かった。

 ま、撃つ方向はある程度分かる。相手にとって敵は俺一人だ。なら標準を定める点も推測はできる。

 

「残り二匹だな。今のうちに辞世の句でも考えておけよ」

「言ってろ!」

 

 芸のない乱れ撃ち。タダでさえ凡才なんだから、曲芸の一つでも備えておけよ。二番煎じで詰まらない。

 零れた数発は甘んじて受け止める。この前の傷だって完治してないってのに、そろそろ体を休ませてやらないと。

 

 痛みは奥歯で噛み潰し、速度だけは決して落とさない。

 敢えて、走りの軌道は変えない。変に動き回れば砂の柔さに足を取られて躓く可能性が高い。

 敵の動きが一直線だからこそ、相手の狙いも明け透けになる。

 

 正直な銃口の向きに固定され、引き金に指がかかる。

 

 ―ここだ。

 

「これで二匹目ッ!」

 

 銃口から火花が散るたった一フレーム。それを合図に、姿勢を急激に低く構える。微かな呼吸で砂漠の砂が細やかに舞う。

 

 体勢移動に出遅れた髪を銃弾がこそぐ。

 目掛けるべきは脳天か。それじゃ間に合わない。なら心臓。それでも距離が遠すぎる。この姿勢のまま、致命傷に繋がるのはただ一つ。

 

 歩くにも立つにも要の部位。膝しかないだろ。

 

 神秘をこじ開けて退かす物理。頑丈さを度外視して、抉り込んだナイフは膝から血反吐をひねり出す。

 斃れる体躯からライフを取り上げて、もう一人の方向へ投げる。

 

「よーし最後は……うわ」

 

 得物はコルト・アナコンダ。なんて怪物を掌に収めてんだコイツ。

 文字通り一発が致命的。頭なら最悪即死。胴なら軽く気絶。四肢なら銃弾に食い千切られる。

 

 だが一騎打ちの原則は変わらない。

 迅速に、効率的に、何より先に命を狩った方が勝つだけだ。

 

「シッ―」

 

 さっき投げたライフルは若干当てが外れたか、奇襲の一助には成り得ない。

 

 まあいい。接近するにはアナコンダの視線を前にしても怯みはない。恐れるのはある程度接近してからだ。

 回避が間に合わない状況でのマグナムは群を抜いて凶悪だ。即座に一発逆転狙えるジョーカー。だが、その引き金は激しく重いぞ。お前に使いこなせるか。

 

 ほどよい距離まで来たら速度を落とすことなく、ナイフを投擲する。

 狙いは一点。相手の目、それを覆うヘルメットのバイザーだ。しかし、それだけじゃ流石に怯まない。未だに視線は執拗に俺を捉えている。

 

 多分、嘲笑ってんだろうな。貴重な武器を無駄遣いしたって。まさか、切れる手札が心もとないナイフ一本だと思ってるのか。

 

 何番煎じかのクロスレンジ。彼我の距離は最早視線の交わりが知覚できるほどに。俺は握りこぶしを腰まで引き、突き出すとともに掌を開放する。

 

「秘儀、砂かけってな」

「な、うおっ……」

 

 ここは砂が無尽蔵に湧いていいな。無際限に目つぶしができる。

 窓が壊れ、不用心になった目に、遠慮ない侵入者。それは今、お前が踏んでいるソレだ。

 俺はスタンスを曲げない。使えるものは何でも使う環境に配慮したエコ主義者なんだ。

 

 最後の最後で銃口を逸らしたお前の負けだ。腰抜け。

 

「そおいっ!!」

「ガ……オェ」

 

 ノーガードで真っすぐに入った黄金のボディ。やっぱ最後に頼れる相棒は拳だけだな。逆にお前は、武器に信頼を置き過ぎだ。

 

「ふう。さて……」

 

 黒見は無事か。他に人の気配もない。誘拐の時はもっと人員がいたはずだが。応援は呼んでないのか。

 

 結局、財布はこの塵芥にやり捨てされて失踪中。きっと心も革も傷んでるに違いない。

 本当についてないな。最後の命綱のカードも、もちろん財布と共にある。これからどうやって食い扶持を繋げば。

 セリカに頭を下げて金貸してもらうか。いや、冗談じゃない。プライドって点もそうだが、責っ付かれてるアビドスに金を借りるなんて、笑い話だ。それもスペースバンパイア見てるとき出るようなヤツ。

 はあ、今日こそはラッキーアイテムを確認しておこう。

 

「……ねえ」

「あ?黒見か……茶化す雰囲気でもないな。どうした?」

「さっきも聞いたけど……なんで私を助けたの?」

「あー……そのことかぁ」

 

 本音を曝け出したらここまでの計画も総てご破算だ。ここまで体に鞭打って、それは割に合わない。

 

 だからと言って、綺麗ごとを列挙できるほど俺はポエムに富んでない。これならもっとギャルゲとかやっとけばよかった。あの主人公、得意だろそういうの。

 若しくは先生の格言とか音声拾っとけばよかったな。あの人なら多分、この状況で満点の回答ができるんだろう。まるで用意された答えをなぞるかのように。それこそゲームだ。

 

「ぶっちゃけ特にない……まあ、一千万も投資したんだ。いきなり大暴落されてもいい気分じゃないっていうか」

「でも、私には結局そんな価値ない!成す術なく拉致されて、アンタに助けられて、それであんたも少なからずケガを負って……」

「別に、ここに来たのは財布を取り返すためだ。骨折り損だったが。後は、何だろうな……」

 

 ああ、本当に俺はどうしようもなく教導者の才覚が無いんだろう。こんな赤裸々な感情を前にして、適当な言葉も浮かばない。

 人の諭し方なんて、義務教育で習わないだろうが。仕事じゃ、言葉の前に銃弾が飛んでくる性質だし、履修する機会が無かった。

 どれだけ映画を見たって、そのセリフはそのキャラクターだけのもの。俺が言ったって薄っぺらいものになる。

 

 どうすれば、コイツの心は俺に向く。考えろ。

 

「……俺は、なんの見込みのない奴に、一千万なんて大金は投資しない」

「は……?」

「お前は、一人じゃ確かに足手まといだが、誰かといれば輝くタイプだ……そうだ。俺とコンビでも組まないか?バッドボーイズを目指そうぜ」

「……ふふ、何よそれ。私、女子なんだけど」

 

 そう。恐らくこいつは、脇役に徹して初めて輝く魂だ。そのためにもある程度の協調性が必要だった。

 言うなれば月か。他者の後光で輝いて見せている。コイツには少し高尚すぎる表現だとも思うが。

 

 兎に角、地雷を踏み損なったみたいで命拾いだ。いきなり人を地雷原に放り投げるのは止めてくれ。心臓に悪い。

 

「まあ、でも……せっかくだから乗ってあげる」

「あ?乗るって何に?インディペンデンスデイにはまだ早いぞ」

「違うわよ!だから、その、コンビがどうのって……やつよ」

「えぇ……」

「っ……や、やっぱ私……役に立て―」

「あー、最高の提案だ。流石だ相棒……」

 

 クッソ面倒臭いなコイツ。メンヘラってやつか。この手の女は一番苦手だ。何せ、人の執着ほど解きにくい鎖もない。

 

 一番御しやすいと踏んで、手籠めにしようと半ば命がけで画策したってのに、とんでもない爆弾に化けやがった。

 まったく質の悪いドッキリだ。こんなんじゃ俺がピエロみたいじゃないか。理事の言う通り、そのうち本当にゴムが入用になりそうだ。大変不本意だが。

 

「私、アンタの隣だったら、一番、輝ける気がする」

「oh……そ、そうか」

 

 ああ、なんて眩しい日の出なんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、若干の予想外はあったものの、実質アビドスの戦力は削がれたも同じこと。寧ろ、お釣りが入ってより働きやすくなった。

 最高のチップだ。コイツがあれば、何をしたって基本的に懐疑されない。何故なら、アビドスは人情にとても厚いようだから。コイツに向けた信用も信頼も、俺にとっては最高の免罪符になり得る。

 

 本当にいい買い物をした。コストコにだってこんな良品は置かれてない。

 所謂、掘り出し物ってやつ。一見、何の取り柄もなさそうだが、馬鹿と鋏は使いよう。こういうやり方が大人の流儀だ。

 意外と皆、似たようなことをやってる。会社見学とか行ってみたらどうだ。同じ光景を目にできるぞ。

 

 安心しろよ黒見セリカ。役立たずなんて嘘っぱちさ。お前は本当に有用だ。よく働くポーンだよ。まあ、プロモーションはしたがな。

 

 

 

 

 

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