悪い大人でも青春を謳歌できますか? 作:三度の飯より曇らせ
ちょっとだけ原作キャラが残酷な目に合う描写があります。ご留意いただければ幸いです。
私は知識が浅いので、もしかしたら矛盾点だったり間違えている箇所があるかもしれませんので、もし発見されたらごめんなさい。温かく見守ってください。
青天の霹靂ってやつは、きっとこういう場合に使うんだろうな。
比喩じゃなく嵐が訪れるってのは、初めての経験だが。なら、この沈黙は正しく嵐の前の静けさ。震えてくるよ。多分、武者震いだ。
スリルが欲しいとはぼやいたが、決してこういう類じゃない。どうやら神様は人を愛していても人の心は理解できないらしい。もっと空気を呼んでくれ。
しかし、それほど長い付き合いでもないってのに、ここまで顔を合わせてうんざりする人間ってのも希少だ。
本当に数奇な縁だ。今すぐにでもラーメンのスープと一緒に飲み干して、クソと一緒に流してしまいたい。
「何?もしかして、アンタの知り合い?」
「さあ知らないな。多分、ハリウッド俳優か何かと勘違いしてるんじゃないか?人気者のオーラが共通してるんだろ」
「人気者?よく言うね。マーケットですら嫌われてる癖に」
詰る声も鮮麗で美妙。久しく聞かなかった鈴を転がすような声色だ。
俺の身体は記憶力がとても良いらしい。どれだけ陽が落ち昇ろうとも、声を聴いただけで思い出せる。
ここまで引っ張ておいてアレだが、別に睦まじい関係ではなかった。
適当な表現でいえば、そうビジネスパートナー。今の黒見の立ち位置にかつてコイツが座っていた。それだけのこと。
全く、俺の隣はグラマラスな美女で予約が埋まってるってのに。どうしてこうも貧しさが滲み出る生意気な女が寄るのか。
もしかして使ってるボディソープがゴキブリホイホイだったりしないか。確かに、色合いから性格までゴキブリと似通ってる奴らだ。間違ってない。
「もしかしなくても知り合いだよ。それで、この娘が今回の犠牲者?ホントいい趣味してるね」
「犠牲者?人聞きが悪いな。寧ろ俺の隣に座れることに感謝して欲しいくらいだ。これでも倍率はかなり高いぞ?」
「都合よく利用されて、最後には捨てられる。これのどこが犠牲じゃないって言うの?お得意の言い訳で説明してくれない?」
「ちょ、ちょっと話が飲み込めないんだけど……結局、アンタは誰なわけ?」
おっと、突然の威嚇も最早お家芸だな。心なしか髪の毛も逆立って見える。
お陰で空気は剣呑だ。三分クッキングよりお手軽に用意された。この店呪われてるんじゃないか。いい加減、気持ちよくラーメンを啜らせてくれ。
別にバラされて困るような悪行は、俺には心当たりがない……筈だ。
同窓会なら歓迎だが、個人情報の流出は流石に御免被るな。ここは、可及的速やかに場を落ち着かせないと。
「ちょっとムツキ、何かただならぬ雰囲気なのだけれど……」
「ちょっと待っててねアルちゃん……まあまあ、カヨコちゃん。とりあえず座ろ?」
「……そうだね」
流石だ便利屋。その名前を背負ってることだけはあるな。グッドジョブだ。
これ以上の悪化は、今なところないとして、こっちはこっちで機嫌を取らないといけない奴がいる。猫の飼育は俺に向いてないな。従順な犬が恋しいよ。
「ねえアンタ、アイツとどういう関係なの?」
「あー、強いて言うなら、知り合いか。仕事は死と隣り合わせだしな。一期一会を大事にするんだ」
「て言う割には、深い関係性なように見えたんだけど……?」
「そいつは気のせいだ。ラーメンの湯気で視界が曇ったんだろ」
俺はあのガラクタにクレームを入れる権利があるだろう。散々インテリ風を装って頭蓋を開けたら空っぽかよ。
電脳にもロボトミー手術が適用できるなんて初めて知ったよ。後遺症の発現までばっちりノルマ達成だ。廃品回収を呼んでおこう。
件のカヨコが現在所属する組織「便利屋68」。こっちの界隈じゃ、そこそこ名高い。もちろん悪い意味で。
便利屋なんて名乗っているが、法人化は一切していない。おまけに構成員は軒並み学生で、同業者からは「クラブ活動」だったり「擬き」なんて揶揄されている。
まあ、依頼の完遂率は驚異の100。しかし、やり方がぶっ飛んでいて、寧ろ顧客にとっては利益はマイナス。逆に面白いよ。まるでコメディアンだ。ミスタービーンを見てる気分。
知ってか知らずか、便利屋を選んだその目は感服するよ。今度、眼鏡市場に行こうか。
「まあ、まずはラーメンを食おう。食卓を囲う相手に貴賤はない」
こんな空気じゃ美味しく頂ける気もしないが、麺が伸びる方がまだ悪だ。
ここはラーメン屋。向かい合う相手を間違えるな。心を通わすのは麺とスープだけ。蚊帳の外だったアビドスの面々も和やかに楽しんでいる。
他方、便利屋といえば、最安値の一人前を四人で食おうとしている。なんでも今回の仕事でひもじい思いをしているそうだ。きっと俺たちは話が合いそうだ。
全く、これだから「クラブ活動」なんて侮蔑されるんだ。今日で学べよ、便利屋。
「はあ……大将、紫関ラーメン四つ、ツケで頼む。手形は置いておく」
「……フッ、はいよ!」
このご時世で手形払いをする機会があるとはな。まあ、一度は憧れるシチュエーションだ。夢の代金にしては安い。
「……なんで」
「俺はホームレスの目の前でシャトーブリアンを頬張るような趣味は無いんだ。グルメの前に人間関係の確執なんて関係ないさ」
自分で言うのも気障だが、確かに俺は悪人だって誹謗されるようなことは網羅してきた。少なくても善い人間じゃないだろう。
だが、鬼畜でもない。常識も良識も備えてる。良心だってある。ただ、仕事じゃそれが枷になるから無視してるだけだ。私生活まで悪役を演じきれるほど、俺はストイックじゃない。
一期一会を大事にするってのは、強ち虚言でもないんだ。
いつだってくたばれる仕事だからこそ、気が合う相手との出会いってのは貴ばれるんだ。袖振り合うも他生の縁ならこの再会も運命みたいなものだろう。仲よくしろよって神の啓示さ。
それに、この美味を共有することでお気に入りの店が繁盛する。ただでさえ過疎地域に看板立てて客足も芳しくない。潰れるのも後味悪い。
恩は売れるだけ売っておけ。そしたらどっかで蜘蛛の糸になる。
「ありがとう。あなた、優しいのね」
「謝礼は出世払いで頼むぜ同業者。いつか肩を並べる日を待ってる」
善行を積むのもやっぱ気分が良い。人を殴り飛ばすよりは少なくとも。
さて、この一抹の爽快感を肌身に感じながら、ラーメンの後味と一緒に煙に吐き出すとしよう。纏わりつく二つの視線は気にしないように。人気者で嬉しいね、ホント。
しっかりと、空になったどんぶりをカウンターの前に置いてから。支払いは黒見持ちだ。人の金で食うラーメンと焼き肉は倍で旨かった。病みつきになりそうだ。
「んじゃ、一服してくる」
俺が好きな至福のツートップ。寝起きの一服と飯の後の一服。
また脂っこいものを食った後は最高だ。こってりとした口の中とタバコの香ばしさは、バットボーイズ以上のタッグだ。俺たちも是非目指すところ。
……まあ、便利屋が相手なら特段、苦労もなく打ちのめせるな。
「か、かっこいい……」
「えっ」
学校に戻ったアビドス一同、依然変わりなく惰弱な空気を醸し出す。
まあ、束の間の平和だ。存分に味わっておけ。ここからはノンストップで地獄巡りだ。シートベルトが間に合わなくても知らないぞ。
そう思念して、間髪入れず刺し込んだ不穏な空気。赤縁の眼鏡っ子、確か奥空アヤネの叫びがもたらす。
「校舎より南15㎞地点に大規模な兵力を確認!」
「また、ヘルメット団が……?」
「いえヘルメット団ではなく、傭兵です。日雇いの」
「へぇ~、結構高い筈だけど」
まあ、相手はあの便利屋だ。大した損害もなく退かせるだろうが、それじゃこのイベントの見所がなくなる。あっさり片づけたら何のために招聘したのか分からない。
舞台装置は舞台装置なりに、確りと働いてもらわないと。いざとなればガラクタに責任転嫁させればいい。リボンに包んでプレゼントしてやる。
「お前らは学校に待機してろ。15㎞ならまだ余裕はある。銃の手入れでもしていてくれ」
「まさか一人で戦うつもりですか!?」
「いくら何でも無茶よ!」
「ここで全員出撃して、迂回していた別動隊に学校を荒らされたら元も子もない。ここを守る奴らも必要だ」
「でも、一人は流石に厳しいんじゃない?」
どの口が言うかホルス様。お前だったら多少真面目に動けば熟せるくせに。命張ってる俺への嫌味か。
だが、ここで一人にならないとシナリオの本懐が達成できない。ここは詭弁でも連ねて、できるだけ俺が輝くように転がすべきだ。
「お前らは所謂、最後の砦だ。奥でどっしりと構えてりゃいい。無線借りるぞ」
残機はゼロの超ハードモード。だが、意地汚さなら俺の右にも左にもいない。コマンド―以上の無双を見せてやる。
……と、息巻いたのはいいものの、こいつは流石に多くないか。アリの群れでも観察している気分だ。
雇われの傭兵が、バイトを雇ったって所か。雑兵ばかりかき集めやがって。塵が積もったって所詮は虚栄。背は高く立って打たれ弱さは変わらない。
そんな金があるなら親孝行でもしたらどうだ。こんな無駄遣いして、故郷のママも泣いてるぞ。
それじゃまあ、食後の運動タイムだ。
「頭上注意だ、お客様!!」
流石に、ビルの屋上から紐のないバンジージャンプは自殺行為か。俺にマトリックスにはまだ早いか。まだスプラッシュマウンテンくらいが丁度いい。
しかし、お誂え向きなクッションが俺を受け止めてくれて助かった。今度、墓の前で感謝してやる。お供え物は何が良いかな。
「やっぱり来た……」
「あははー!登場の仕方は流石に予想外だったけどね!」
「あのジャンプ、なんてアウトローなのかしら!私もやってみたいわ!」
「止めておいた方が良い。きっと後悔する。俺は手遅れだ」
さて、便利屋の戦力だが、特段、頭に書き留める部分はない。
基本的にバランスが良い戦い方が基本だ。各々、担当する役割があって、それが嚙み合っていいチームワークが生まれる。ま、噛み合えばだが。
コイツ等のやり口は大体把握してる。社長はチームの奥で狙撃援助。カヨコで牽制、誘導。もう一人は爆撃で戦場をかき乱し、さらにもう一人、前衛が更にかき乱す。
つまり、測るだけ無駄ってことだ。ここはアドリブの一発撮り。臨機応変が試される。
まず先制は貰っておこう。
手榴弾のピンを口で抜き、左右にぶん投げて牽制。雑魚は自分のオモチャで遊んでろ。
そして、投擲用のナイフを一本、爆発娘のカバンに目掛けて投げる。そして、不意の爆発が戦場に興る。とっさに外方に投げて誘発は回避したか。いい反応だ。そう来なくちゃ。
「っ……これは事前に調べられてるね」
「チッ、やりにくい。皆、耳をふさいで」
あの構えはアイツの十八番か。真面に喰らったら致命的な隙だが、わざと受けるほどドМじゃない。
まあ、ナイフでも投げて防ごうか、って所で邪魔が入るな。鬱陶しい。
地面に転がっていた丁度いいクッションが散弾を代わりに受け止める。働き者のいいクッションだ。IKEAも見習った方が良い。
最高速度で下手人、えーと伊草ハルカだっけ。そいつに接近しショットガンの回りが利かない範囲に入り込む。
「主役の見せ場を奪うなよ。出しゃばり」
勢い任せに引き金が引かれたショットガン、FP6の腹を横に蹴り、射線をカヨコのいる方向へ通す。
俺の立ち回りを遮ったお仕置きだ。お前がナイフの代わりになってくれ。
期待通り、カヨコはデモンズロアを下ろし、苦い顔で後退する。それは悪手だ間抜け。及び腰は負けの証だ。
「おっと、どこに行くんだ?久しぶりに思い出話でもしようじゃないか」
「ッ……」
伊草ハルカを投げ飛ばし、今度はカヨコに接近する。情熱的なお誘いは断ってくれるなよ。
避けることも間に合わず、デモンズロアを抱えた腕を力任せに握り、相手は痛みで銃をその手から離す。その華奢な肉付きじゃこの拘束は解けない。
「イカした銃だな。自決用か?ちょっと撃ってみてくれ、よっ!」
「……そんな」
デモンズロアにヘイトを買わせて、社長が狙撃のしやすい環境を作る。いい作戦だ。独善的じゃない素晴らしいチームだと思う。
だが、狙いが分かりやすいな。俺の脳天をお邪魔するはずの弾丸を、腕を握られているカヨコで防ぐ。狙撃の腕はいい。後は状況判断だな。
社長からの愛のビンタはどんな味だカヨコ。ま、もう意識もないから感想は期待できないな。
有象無象は待つことなく無尽蔵に群がってくる。
黒煙越しから乱痴気に銃を発砲し、それでも数の暴力で脅威的だ。しかし、こんな所で足を取られている場合じゃない。
こんな時でも万能なのが手榴弾。俺は銃が撃てないもので、こういった猪口才しか取り柄が無いんだ。悪いな。
俺に凭れるように脱力しているカヨコの服に手榴弾を二個、詰め込んで近場の敵へ放り込む。
「これお前らのだろ?返すよ。お土産も握らせておいた」
「え―」
直後、爆音が劈く。黒煙は増長し、さらに視界は曇っていく。この視界じゃスコープ越しに狙うのは厳しいだろう。
これがアウトローのお手本だぜ、社長さん。
「随分、容赦がないじゃん。知り合いじゃなかったっけ?」
「おいおい睨むなよ?これでも先輩だ。公私混同はしない姿を参考にして欲しいくらいなんだが?」
「成程ね。カヨコちゃんが言ってた『使えるものは何でも使う』ってこういうことだったんだ……」
「お、嬉しいね。俺の名声がしっかりと届いてるな」
この爆弾娘、浅黄ムツキはしっかりと次の爆弾を握ってる。だが、得物が大きすぎるな。それじゃ攻撃に移るまでに対策されるぞ。
復習の時間だ。先達として学習能力を試してやろう。二の舞ならないことを祈るぞ。
「……ハルカちゃん!」
「あ?……やばっ」
気が付いた時には手遅れだった。目の前の視界は、一切の黒。少し火薬が香るバッグが迫っていた。
腕を前に組み、心許ない防御で精一杯。やけどで済めばいいが。
一丁前にブラフか。先輩を前にいい肝してるな、後輩。
急に名前を呼び出したから、てっきり伊草が背後を取ってるかと思ったが油断が過ぎたか。この煙が見事に仇になった。
臨界点を超えた爆弾は、見境なくその膂力で暴れ回る。
布を越しても肌を焼き焦がす熱量。これはC4の比じゃないぞ。マジで死ぬ。やけど所か肉片残らず消滅する。何持ち出しやがったんだコイツは。
「がっ……あ、いってえ」
自分を含め周囲の味方を巻き込んで打ち上がる盛大な花火は、文字通り俺の肉体を破壊しつくした。
至近距離で耳をぶっ刺した轟音で、鼓膜も使い物にならない。心中に俺を巻き込むなよ。勝手にやってろ。
この桁違いな威力はヘキサニトロか。それとも俺の知らない未知の火薬か。何にせよ、三途の川を飛び越えて、閻魔様とすれ違ったまである。
ああ、切り札にしては上出来だ。教鞭を振るおうとしたら逆に体に教え込まれたよ。爆弾って鞭で。これ、巻き込んだ奴ら全員逝ってるんじゃないか。
「これで終いよ!」
「おっと……まだ王手には早いだろ。もう、少し、遊ぼうぜ」
俺の様態を見て好機と捉えたのか、前線に上がった社長さん。だが、まだ甘い。こんな呑気にスナイパーライフル構えてたらな。
撃鉄を起こす前に銃口を鷲掴みにし、狙いから無理やり逸らす。
予想外の反撃に狼狽えたのか、反応が悪い社長の顎に狙撃銃のストックをかち上げ、それで意識は彼方へ飛んでった。
まるで化け物でも見たような眼をしやがって心外だな。ここにはエイリアンなんていないぞ。寧ろ、化け物はこんな兵器を持ってるアンタらだよ。
「アル様を、よくもっ!!」
「おっと、敵討ちなんて泣けるね」
息を整える間に、突貫してくる伊草の姿が見える。生憎、俺の鼓膜は休暇中で、どんな恨み言を呟いてるのか聞こえない。残念だ。
理性を手放したように、ショットガンを乱射しながら突っ込んでくる伊草だが、足元は不用心に鍵をかけ忘れている。
足を引っかけ、蹈鞴を踏む彼女の横顔にストレートを一発。その矮躯は黒煙に消えていった。追撃する体力はもうない。
そろそろ痛みがヤバいな。気を抜いた刹那に意識は俺の手を離れる。ガキが風船の糸を握るように、必死に繋ぎ留めないと俺もあの世へ旅立ちそうだ。だって、家族が手招きしているのが鮮明に見える。
「で、次はどんな秘密道具が飛び出すんだ?教えてくれよ」
「残念だけど私は降参かな~。手札は全部切っちゃった。さっきのがとっておきだったんだけどね~」
「……とっておきって言ったか?なら誇っていい。あれは最早ミサイル以上だ。お宅の風紀委員長も目じゃないぞ」
どうやら戦意はなさそうだ。今際の際で俺に軍配が上がったか。
流石にコレを上回る代物を拵えてちゃ俺の負けは必至だ。ツァーリボンバーでも持ってこられたどうしようかと思ったよ。ならもう、キヴォトス全土を滅したってお釣りがくるレベルだ。
「くふふ、ありがとう……でも、お兄さん」
「あ……?」
「私たち以外の動けるバイトちゃん達はどこに行ったと思う?」
「……はは、もう勝手にしろ。どうせ雑兵じゃアイツ等には勝てねえよ」
吐き捨てたころには、浅黄の姿は消えていた。大方、気絶した仲間の世話でも焼いているんだろ。仲間思いで眩しいね。この歪んだ視界じゃより輝かしく見える。
「そういや無線は……生きてるな」
意識が飛ぶ五秒前。直立するのも億劫だ。しかし体を倒しても、アスファルトの無機質な冷たさを期待できない。そういや、爆弾のおかげで焦土になってんだった。
つくづく、あの爆弾に鼻を折られた。油断がどうこうと宣っていた自分が恥ずかしいよ。まあ、これで死ぬことはないだろうが。
一応、目的は達成できたかな。あの火力に五体満足で耐えたんだ。キャプテンアメリカを名乗っても、多分怒られないだろう。
「あーあー、マイクチェック。聞こえますかどうぞー」
『っ大丈夫ですか!?凄い音がしましたけど』
「……悪いな。残りがそっちに行った。備えとけ。じゃ」
『ちょ、ちょと―』
今だけは枕が無くても寝れそうだよクソッタレ。