フルフルニィ………「誰!?柱間って誰なのォ!!?」   作:アンディライリーのうさぎ

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46話 薄明ちょっと待ってよカムバック

 溶け合って、混ざり合って。境界線が無くなるように。

 

 死を生み出した夜の女神が、ため息を溢す。すると真っ暗な世界に風が吹き、それに攫われるように星々の明かりが揺らめいた。

 

 熱いのはニンゲンだからで。熱さを感じるのは生きているからで。

 

『死』の者たちは胡座をかく。

 

 一滴分の涙が旅路に出た。それは短い航海だった。

 

 白い肌に落ちた一滴分の涙には兄弟がいる。彼らもまた、ウミガメの赤子のように旅立っていく。そうして『死』の者たちに捕食される。

 

 ふいに伸びてきた白くしなやかな指が、一滴分の涙を捕まえた。

 

 涙の元にその指が触れる。何をそんなに恐れているのだろうかと。そんなにも境界線を曖昧にすることが、恐ろしいのだろうかと。

 

 首が振られる。暗闇の中に浮かぶその髪も、境界線が曖昧だった。

 

 

「こんなに、熱いんだな」

 

 

 恋の女神がすっ飛んできて、夜の女神も『死』の者たちも吹き飛ばす。その熱狂具合はさながら、伝説の試合を見届ける実況解説者のようである。

 

「肌と肌を合わせると、そうなるものだよ」

 

「知らなかった」

 

「もっと、私の熱さを知ってくれ」

 

 女は男を抱きしめる。恋の女神が頭に手を当ててフラつく。

 

 恋の温度はもしかしたら、マグマダイブより熱いかもしれない。これまで男が忌避してきたものが、逆に安心感を与えている。

 

 この安心感は、自分が生きていていいのだと、そう思えてしまうほどの──何か目に見えない導きがある。

 

 まさか、この『愛』こそが、自己愛の鍵だというのか?

 

 恋の女神はうんうんと頷く。怒った夜の女神が、『死』の我が子たちを引きずってやってくる。

 

 男には境界線の融和が、『生』そのもののように感じられた。しかし『生』を感じるからこそ、『死』の者たちに首に縄をかけられしまう。夜の女神は微笑し、恋の女神をあざけり笑う。

 

 

「柱間」

 

 

 恋の女神は震え、懐から核スイッチを取り出す。夜の女神も『死』の者たちも、一様に戦慄した。

 

「お前が自分を愛せない分まで、私が愛してやる。お前が自分を愛せるようになっても、私は柱間に変わらずの愛を向ける。この愛は1000年経ったところで潰えはしない。空海の消えずの火のように」

 

 女の両手が、男の顔をやさしく包んだ。

 

「だからどうか……私を、愛さなくともよいから…側に、いておくれ。私を一人に、しないでおくれ」

 

 頼む、と発した女の声は震えていた。一方で、男は虚を突かれた顔を浮かべている。「まさかここに来て?」の表情だった。

 

「……オレはここまで来たら、娶る気でいたんだが」

 

「────えっ?」

 

「言っただろう? 「もし誰かを愛するなら、同じようにオレを愛してくれる人がいい」と」

 

「わ、私を助けるために、苦渋の思いで決断したのではないのか……?」

 

「まあ、腹を決めるのに時間はかかってしまったが…」

 

「ゆっ…友人で居られなくなったら、もうお前に私を助ける価値もないのかと……っ」

 

「………この、阿呆め」

 

 男が女を膝に座らせるように抱え直すと、「きゃうっ」と可愛らしい声が上がった。まだ戦が続いていたことを両陣はすっかり忘れていた。顔が真っ赤な男は一度体勢を変えさせて、改めて膝の上に女を座らす。

 

「友でなくとも、オレが人の世に不干渉になっても、お前のことは必ず救うよ」

 

「……その中に、あの小娘も入ってるんだろ?」

 

「あぁ。お前も羂索も、オレにとっては甲乙が付けられない大切な存在だ」

 

「…たとえ目の前で幼子が死のうとしても、本当に私のように不干渉を貫くことができるのか? その結果でまた自分が死ぬなんて、愚かなことにならないか?」

 

「………そう言われてしまうと、難しいな」

 

「……結局、お前は甘ちゃんではないか」

 

 でもと、女は──天元は続ける。

 

 

「そんな甘ちゃんで阿呆なお前だから、私は柱間という男を好きになった」

 

 

 柱間に抱きついた天元は、黒いカーテンを払いのけて、その肩に顔を埋める。うなじに唇の当たる感触がした柱間は、思わず「うっ」と肩を跳ねさせた。

 

「ふふ、急所を狙われると恐ろしいだろう」

 

「……オレはもしや煽られているのか?」

 

「私が()()()()で満足する女だと思わないことだ」

 

 しかしてまぁ、どちらもかなり疲労している。天元の見目が元通りになるくらいには、延長試合が続いている。

 

「本当に……本当に夫婦になるなら、一つだけ私のお願いを聞いておくれ、柱間」

 

「何だ?」

 

「お前が私を愛せるように努力するから…柱間も、私を愛せるように努力して欲しい」

 

「……いいよ」

 

「………ッ、約束だぞ…!!」

 

 縛りは果たされ、柱間もまた天元を抱きしめ返した。肌と肌が重なる温度はやはり熱い。彼はその中で見つけた暗闇の中の星を、少しずつ手繰り寄せる。まだ名前も付けられていないその星は、夜の女神や『死』の者たちの忘れ物なのか。はたまた、すっ飛んできた恋の女神がうっかり落としてしまったものなのか。

 

 今はまだ、『恋』というものを理解しきれていない。

 

 それでももう一人の自分のように、その答えを見つけられる日が来るかもしれない。

 

 そしてその愛が、自分を愛するパズルの最後の一つになるのかもしれない。

 

 

「柱間、愛してる」

 

「…あぁ」

 

「ひとまずお前も努力をしてくれるなら、しよう」

 

「………何をだ?」

 

「き…決まっているだろ、そんなこと…」

 

 もしや接吻(キス)か? ──と思った柱間は、顔を近づけてみたが何か違う。頬を赤くする天元の瞳の中には、黒い炎があった。

 

 

 

「私が今までお前と『愛』してきた、700年分の情交をいたそう……♡♡」

 

「  」

 

「一日一度はまぐわっていたが、多少はまけて20万回分にしておくよ」

 

「 」

 

「どうした柱間? そんな呆けた面をして。なに、一日10回すれば、50年とちょっとで終わるよ」

 

「」

 

何でもする(愛してくれる)って、言ったもんね?」

 

 

 

 柱間はこの日ほど、かつての弟の忠告を守っていれば──と、後悔したことはなかった。

 

 恍惚と(うっとり)した顔を浮かべる恋の女神に、夜の女神たちはドン引きしたかもしれない。

 

 

 

 

 


 

【以降書きたいor考えている設定の箇条書き】

 

 ・別ルートで、一章と地続きの柱間が生存し、バケモノと恐れられる子どもを拾う話。氷タイプの少年も多分拾う。

 

 □千手家を乗っ取って隠居生活

 天元を崇めるのはもうやめようね、子孫たち。

 柱間は天元と同スタンスを取りつつ、助けを求められたらやはり助けようとしてしまう。特にキッズに対して。ただ、そこにある程度の線引きは生まれるようになった。

 天元は千手家の衰退で弱まってしまった国の結界の維持を務める。

 樹神教はどうするかな……物理的な方法はちょっとな…のところに、「私に任せてよ!」な羂索が参戦。えっ、天元を崇拝する宗教を一度潰した実績があるだって? いやでも……。「なに、穏便な方法で()()()やるよ」ほな、そこまで言うなら………と任せたが最後、乗っ取って勝手に教祖になる。大丈夫、これで統制は取れる。

 羂索の暇つぶし兼、天元といい感じになった柱間への反抗期兼、ちゃんと見てくれないと知らないぞ〜〜な「私を一番に見ろ」な執着兼、()()()の隠れ蓑兼、天元を崇める素振りを見せたら、即邪教としてつぶす腹づもり。目の前で父親が死んだのはいまだに根深く恨んでいる。(柱間にも天元にも、天元を崇拝していた人間どもにも)

 

 ・ちょっと待ってくださいよォ〜〜ン!! で止める、御三家同士の試合。

 千手家の人間としてお邪魔していた柱間ァ。柱間ァが蘇っているのは千手家の当主とか、一部の者しか知らない。

 

 ・運命的な出会いでJKと本気の恋に落ちてしまい、正妻に制裁される。花見って名前かもしれん。

 

 ・家の秘蔵書を読んで、「カッケェー!!」ってなる少年と、その少年が柱間ァの呪力を見てバルスを食らったムスカになるやつ。

 

 ・『主人公』は絶対に産まれんだよ!! ママが死なずにパッパと結ばれたけども両親は悠仁の幼い頃に他界……or、宿儺の片割れやんけ! となった知的好奇心モンスターが、すでに技術として存在する柱間細胞を肉体に使う方法(ips細胞的な、欠損した部分を再生させる等)を使って、柱間細胞と完全に融合している息子を産むかもしれない。ただし流石に主人公に顔は生やせない。この技術を応用して自分の本体(脳)に柱間ァ細胞の影響が出ないようにして、父親と無理やりセッ……して第二の妻になる展開でもいい。言いくるめて『縛って』しまえばどうにかなるさ。「家族が増えたね♡」

 

 ・下半身が柱間細胞になった灰原くんが書きたいけど、下半身を失ったら流石に死ぬよなぁ…。

 

 ・天元推しになった理子ちゃん

「く、黒井…!! て、てて、天元様はす、すごくビジンじゃった……!! 妾も天元様みたいな綺麗な女性になりたい!!」

「そうですか」

「それと天元様には旦那がいたのじゃ!!」

「!!?」

 

 ・『器』候補のユキちゃん(ちびっ子)

 新たなヒロインの予感…!?

 

 ・呪術高専はホワイトな企業です! (と宣伝してるだけで術師が少ない以上はブラック)

 千手家の当代にあたる卑劣な人が、数十年前に上層部を一掃&改革を行ったかもしれない。等級1級詐欺の人。ついでに柱間細胞を欠損した肉体に応用する術など、いろいろ開発しているかもしれない。被検体に呪詛師や死刑者を利用してそう。

 

 □呪専とは関係こそあれ、その地下にはいない天元。

 

 ・娘のやらかしを止められないお父さん。娘は「人は殺してないんでね。ええやろ?」な態度。(人と呪霊の子は人間じゃないからノーカン。相手が勝手に死んでもノーカン)

 反抗期な娘を追いかけるお父さんと、逃げて今日もまた知的好奇心の脳汁を垂らして人生を謳歌する娘。そんな彼女はいきなりお笑い芸人になる。

 これはピンチャンフォーエバーの決定事項。そしてセンターマンに狂わされて呪術沼に落ちた人間の末路。最推しが出せてないから気配(霊圧)だけでも感じてくれ。珍しく死ななかった推しなんだ、キミィは…。

 

 ・ムキムキなおじさんが、ひょんなことから筋肉が大好きな少女を養子に取ることになる話。ストーカー被害も受けているおじさん。

 

 ・柱間が競馬でヒモ男と出くわす(結婚前)。または、パチ屋で自分の孫と知らない少年と出くわす。えっ、ヒモ男の奥さんが病気なの? というか結婚していたの?

 それならここにイイ細胞があってですねぇ……。

 

 ・漏瑚の真人育児日記

 育児ってこんなに大変なのォ〜〜〜〜!!?(大噴火)

 

 ・掲示板ネタ(読者目線の)も書ければ書いてみたい。

 

 □柱間細胞→人体への研究が進み、ある程度活用する術が見出されてきたものの、未だに謎の多い細胞。というかコレ人類のイレギュラーやろ。




【後書き】
 上で挙げたもの以外に、後々他にも書きたいものが出てくると思います。

 一応お話はここで区切りをつけて、以降は番外としてかいつまんで書いていければと思います。長くなるとどうしても話を終わらせることができなくなるかもしれないので。

 投稿については不定期更新になります。


 改めて、ここまで読んでいただきありがとうございました。
 感想や評価、お気に入り等も大変励みになっておりました。

 途中途中でご迷惑をお掛けしたことに関しては、改めて謝罪させていただきます。メンタルがマジで不調でした。

 それでもどうにかここまで書けたのは、ひとえに作品を楽しみにしてくださった方々いたからです。感想は生の声でもあるから、本当に助けられました。そのおかげで自分も開き直って楽しむことができました。

 思い返せば、柱間細胞に振り回された小説でした。柱間細胞アンビリーボバー。
 ちなみに「20万回」の件は天元に言わせたいと思っていたセリフでした。
 自分的としてはヤンデレ系が新成分だったので楽しかったです。

 最後に、もし何かございましたらウェボの方からどうぞ。

 ひとまず、ここら辺で。
 黒兎でございました。



もし作品を楽しんでいただけたらよかったです。
読んでくれた方や応援の感想をくださった方、本当にありがとうございました。
せめて最後までは出します。
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